私の両親は小さな宿屋を営んでいる。私も私の両親も、元は愛知県出身だが、私が三歳の頃、日本の南に浮かぶこの小さな島、宮古島に移住し宿を開いた。夏は、宮古島の海を求めて、たくさんのお客さんがうちに泊まりに来る。そのため、夏はうちの一番の稼ぎ時だった。数年も経てば常連さんもでき、我が家は賑やかで平穏な暮らしを送っていた。
しかし、そんな中突如としてコロナウイルスは現れた。そして訪れた自粛期間は私たちの夏を覆い、ほとんど収入ゼロの日々が続いた。また、そのせいで私たちの生活は一変した。お客さんの笑顔で溢れ賑やかだった我が家は閑散とし、蝉の声がよく聞こえるようになった。父や母は家計を補うために外部で働き、体調をよく崩すようになった。そんな両親を見つめ、何もすることができない自分の無力さを知ったあの時の感情は忘れ難い。また、そんな中でも光熱費などあらゆる請求がやってくるのだけは変わらない。うちは五人家族のため、コロナによる物価高騰は堪えた。
そんな時に私たちの生活を支えてくれたのが、個人事業主に対する支援金だった。これは、コロナによって収入が減少し、生活が不安定になった自営業者を支えるための給付金だ。これにより、私たちは生活を支えられ、危機を乗り越えることができた。そして、これが税金から出ているものだと知った時、私の税の見方は変わった。
小さい頃、いや、なんなら中学生頃まで私は、税の存在意義を理解していなかった。何を買うにしても付き纏ってくる消費税というのは、幼い私の僅かなお小遣いを減らす邪魔者でしかなかった。また、中学で歴史や公民の学習を通して、税の歴史や仕組みなどを知ったが、年貢高すぎだろ、や、税の種類多すぎ、といった感想しか湧いてこず、私の税への見解を、拗れた方向に加速させていく一方だった。
私の中での税に対する考え方がこんなであっただけに、私たちを支えてくれた支援金は税から出ている、という事実は、私の今までの考え方を大きく揺るがした。今の私は、税を「未来への投資」と考えている。昔、両親が払っていた税金や私が邪魔だと思いながらも払った消費税が、支援金という姿に変わり、コロナ禍の私たちを救ってくれた。それと同じように、今私たちが払っている税金は、きっと未来の私たちを救ってくれる。税は時空を超えて人々の生活を支えてくれる。それを信じ、私は今日も税金を払う。
沖縄県教育長賞前田 みぞれ(高校生) 沖縄国税事務所長賞佐久川 果歩(高校生) 宮古島税務署長賞伊波 きよら(高校生)
宮古島税務署長賞上地 翔琉(高校生) 沖縄税理士会会長賞砂川 満智佳(高校生) 沖縄県納税貯蓄組合連合会長賞松川 久麗杏(中学生)
宮古島税務署長賞下地 亮真(中学生) 沖縄県納税貯蓄組合連合会優秀賞垣花 ゆう(中学生) 沖縄県納税貯蓄組合連合会優秀賞根間 萌英(中学生)
沖縄県納税貯蓄組合連合会優秀賞伊計 結菜(中学生) 宮古青色申告納税貯蓄組合長賞平良 亜桜(中学生) 宮古青色申告納税貯蓄組合長賞仲村渠 玲愛(中学生)
宮古青色申告納税貯蓄組合長賞仲宗根 莉聖(中学生) 沖縄県宮古事務所長賞齋藤 翼(中学生) 租税教育推進協議会代表幹事賞池間 妃織(中学生)