【一般社団法人大蔵財務協会理事長賞】小さな気付き、大きな学び 宮古島市立北中学校 下地 凜子

プルルルル。母の携帯がなった。家の中が、急に静まり返り、いつもと違う空気が流れ込んできた。勉強に集中していた私は、ふと母の凍った表情に気づき、緊張が走った。

 去年の夏、畑仕事をしていた私の祖母は、突然転倒し、膝を骨折してしまった。祖母は、母に電話をかけ、助けを求めたのだ。母は、不安そうな表情で祖母のところに駆けつけ、私は心配で落ち着かない時間を過ごした。空が暗くなった頃、母は帰ってきた。祖母が心配だった私は、真っ先に祖母にビデオ通話をすると、祖母は安心したようなやわらかい表情で「病院へ行って手当てをしてもらったよ」と話してくれた。私は安心し、肩の力が抜けるのを感じた。祖母はその後、二ケ月間のリハビリを続け、少しずつ回復していった。久しぶりに祖母に会った時、祖母は「税金のおかげで医療費も安くなって、二ケ月間のリハビリも毎回の費用が千円以下だったよ。とても助かったな。」と笑って話してくれた。当時税金について深く考えたことがなかった私は、祖母の笑顔を見て、ただ安心していた。それから数日後、私はアメリカに住むいとこと電話をしていた。会話の中で、いとこの母が盲腸になったと聞き、その医療費は八百万円もかかり、全額自己負担だったという。私は、言葉を失った。同時に、祖母は税金のおかげで医療費の負担が軽くなったのに対し、いとこの母は、多額の医療費を全額自己負担しなければならなかったという違いに、大きな疑問を抱いた。

私は気になって調べることにした。すると、日本の医療費の四割が税金で補われていることを知った。一方で、アメリカでは医療費にあまり税金が使われていないという記事を見た。日本の医療に税金が使われているのは、健康や生活を守るためにある。しかし、アメリカは日本のように税金が全国民を守る制度はない。そのことを知った時、頭に祖母の顔が思い浮かんだ。あの安心した笑顔の裏側には、税金の助けがあったからこそ生まれたものだと思った。そして私は、日本の税金制度は偉大で素晴らしいということに気付き、誇りに思った。

税金について考えている時、ふと国語科の先生が話してくれた「日本三大義務」のことを思い出した。私たちが今、教育を受けることができているのは、税金のおかげだ。その税金は働く人が納めた大切なお金。人は、税を納めるために働き、納められた税金は、将来働く子どもたちの教育のために使われる。先生は、それを「バトンリレーのような仕組みだ」と教えてくれた。この話を聞いた時、私は今教育を受けられていることに心から感謝し、一生懸命勉強に励み続けようと思った。そして将来は働いて税金を納め、今度は私が誰かを支える側になりたい。だから私は、今日も勉強する。それは税金で支えられた未来を、今度は私が支えるために。