第2章 – 直感をみがくと、幸せになれる
~今日からできる直感のみがき方~
第2節 心の深層へのアプローチ
~インナーチャイルドを癒す~
心に宿る、小さな子どもの声
魂のメッセージが届きやすい意識とは、岩などの障壁がなく、広がる砂浜のような意識のことです。このイメージはこれまで何度もお伝えしてきましたが、では、どうやったらそんな意識を保つことができるのでしょうか。
その一番の妨げとなるのが、マイナスの感情です。砂浜のイメージで言えば、白い砂浜にサラサラと寄せる波に「わー!」と楽しそうに足を遊ばせるような意識でいると、魂からのメッセージを素直に受け取ることができます。しかし、ゴツゴツとした岩場に足を取られながら波を避けて歩くような意識では、魂のメッセージは届きにくくなります。この岩のようなものが、マイナスの感情なのです。
ただ、すでにマイナスの感情が湧き上がりやすい状態になっていると、「感情を切り替えてください」と言われても簡単にはできません。そこで、ぜひ試していただきたいのが「インナーチャイルドを癒す」という方法です。
感情の象徴としてのインナーチャイルド
インナーチャイルドは「感情の象徴」と考えるとよいでしょう。プラスの感情が働くことが多いときは、インナーチャイルドが喜び、笑っています。一方、マイナスの感情が働くことが多いときは、インナーチャイルドが悲しみ、泣いている状態です。
プラスの感情はプラスの意識を生み、プラスの現実を引き寄せます。しかし、マイナスの感情はマイナスの意識を生み、マイナスの現実を引き寄せてしまいます。つまり、マイナスの感情を放置しておくと、マイナスの現実ばかりが続く人生になってしまうのです。
ですから、怒りや悲しみ、恐れといったネガティブな感情が湧き上がったときは、そのままにせず、自分自身を癒し、安心させることが大切です。そのためには、自分の心の奥にいる「インナーチャイルド」に意識を向け、優しく寄り添ってあげましょう。孤独で泣いている小さな子どもに寄り添い、「大丈夫だよ」と声をかけて安心させるようなイメージです。
私はこれを「魂のステージ」と表現しています。マイナスな感情は、インナーチャイルドからの「癒してほしい」というサインであり、同時に魂の成長、ステージを引き上げる大きなチャンスでもあるのです。
過去の記憶が結ぶ心の結び目
多くの場合、インナーチャイルドは幼いころのトラウマを抱えています。幼いころに身近な人を亡くしたり、親に受け入れてもらえなかったり、厳しく叱責されたり、学校で仲間外れにされたりといった経験。そのときの怒りや悲しみ、恐れをインナーチャイルドが抱え込んでいると、マイナスの感情が生じやすくなります。
「私にはトラウマなんてない」と思う方もいるかもしれません。しかし、自分でそのトラウマをはっきりと自覚しているとは限りません。むしろ、自分では覚えていないことのほうが多いかもしれません。多感で傷つきやすい時期に起こった出来事が、あまりにもつらく悲しいために、その記憶を心の奥底にしまい込んでいることがあるのです。それをインナーチャイルドが「深い傷」として抱え込んでいるのです。
私の体験から~インナーチャイルドとの出会い
私自身の経験をお話ししましょう。私の場合、3歳のころに祖父と死別したことがトラウマとなっていました。ただし、それを最初から自覚していたわけではありません。インナーチャイルドに向き合ううちに、少しずつ見えてきたものなのです。当初からわかっていたのは、「私はどうも昔から焦燥感や喪失感が湧き上がりやすい」ということだけでした。
たとえば中学校に上がるタイミングで転校した際、お友だちとはすぐに会える距離にいたにもかかわらず、卒業式の日に「もう会えない」と涙が止まらなくなったことがあります。このように、周りから見れば「大したことじゃない」と思われるような小さな出来事でも、強い焦燥感や喪失感に襲われることが多かったのです。そして、それは大人になってからも続きました。
しかし、その根源が何かわからないままでした。そこでインナーチャイルドに会いに行くために、何度か瞑想を行いました。最初のうちは「3歳」というキーワードばかりが浮かびました。「3歳のころに何があったんだろう?」と思いながら瞑想を繰り返すうちに、幼い私を優しく追いかける手、抱き上げる腕のイメージが浮かんできました。その手と腕は大きく温かく、包み込まれると心から安心できるものでした。
記憶の扉が開くとき
ある日、母がふと「あなたが3歳のとき、おじいちゃんが亡くなったよね」と話したとき、それが祖父の手と腕だったことに気づきました。母によると、私は幼いころ祖父にとてもかわいがられていたそうです。しかしある日を境に、それが完全に失われました。「おいで」と差し伸べられたあの手にもう触れることができない。その喪失感を、3歳の私は「人の死」をよく理解できないまま深く傷ついて抱え込んでいたのです。
「おじいちゃん、どこにいるの? もう会えないの? どうして?」そんな幼いころの問いかけと傷みを、私のインナーチャイルドはずっと抱え込んでいました。それが焦燥感や喪失感となってたびたび湧き上がっていたのです。
癒やしの道のり
トラウマを癒やすことは簡単ではありません。深く傷ついたインナーチャイルドは、一度癒やせばもう大丈夫というわけではないのです。私も「祖父との死別」というトラウマを自覚してからも、焦燥感や喪失感に襲われることがあります。
大切なのは、トラウマを完全に解消しようとすることよりも、トラウマを自覚し、それによって湧き上がるマイナスの感情に対して何度でも自分を癒やすことです。繰り返しインナーチャイルドに会いに行き、安心させてあげることが重要です。泣いている小さな子どもに寄り添い、「大丈夫だよ」と声をかけ、安心させてあげてください。それが、インナーチャイルドを癒やし、魂のメッセージを受け取る力を高める第一歩なのです。
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