予約画面の補償オプション欄に「CDW」という三文字が並びます。チェックを入れるか外すかで、3泊4日なら数千円単位で料金が変わる項目です。CDWの意味が分からないままCDWを外すと、返却時の精算で初めて自己負担額の大きさに気づく人もいます。補償まわりの読者相談では、これがいちばん多い行き違いです。
CDWは、レンタカーの基本料金にもとから含まれている車両保険の「免責額(自己負担分)」を、ゼロまたは大幅に下げるオプションです。事故や擦り傷の修理代そのものを増やしたり減らしたりするものではなく、その修理代のうち借りた人が払う部分を肩代わりします。数百円から二千円台の追加料金で、もしものときの自己負担額が大きく変わります。これがCDWの仕組みです。
ひとつだけ先に言っておくと、CDWに入ってもNOC(休業補償)は別に残ります。クレジットカードの付帯補償をあてにする場合も、NOCまでカバーするカードはほとんどありません。
CDWが肩代わりするのは「免責額」だけ
CDWは「Collision Damage Waiver」の略で、日本語では免責補償制度と呼ばれます。
レンタカーを借りた時点で、基本料金には対人・対物・車両・搭乗者傷害の4つの保険がすでに含まれています。ここはどの会社でもほぼ共通です。問題はその先で、車両保険には「免責金額」という自己負担分が設定されています。修理が必要になっても全額が保険でまかなわれるわけではなく、決められた額までは借りた人が払う。CDWは、借りた人の自己負担をゼロにするか、一定額まで抑えるためのオプションです。
つまりCDWは修理代を安くする仕組みではありません。修理代のうち「誰が払うか」を付け替えるための補償だと考えると、輪郭がはっきりします。
基本保険に残る免責額はいくらか
標準保険のままで事故を起こすと、自己負担額は傷の大きさではなく免責の区分で決まります。大手各社の普通乗用車なら、車両免責5万円・対物免責5万円が基本。車両免責と対物免責が同時に発生すると、自己負担は合計10万円になります。しかもこれは修理代の話で、車を貸し出せない間の休業補償(NOC)はまた別に請求されます。
CDWに入っておくと、この免責額が免除されるか、低い上限まで下がります。加入料は会社と車種クラスによって異なり、上位クラスほど高くなる設定があります。普通乗用車とバン・特殊車両(1ナンバー・2ナンバー)では料金が分かれ、沖縄地区独自の料金を設定している会社では、普通乗用車でも一段高くなることがあります。会社ごとの料金は補償の料金をまとめた記事で確認できます。
ここで取り違えやすいのが、CDWとNOCの関係です。CDWに入っていても、NOC(車が使えない間の休業補償)はそのまま残ります。修理代の自己負担とNOC、その両方を一度に消したいなら、ワイド補償(安心パック)という上位プランを選びます。
| 補償の状態 | 修理代の自己負担 | NOC(休業補償) |
|---|---|---|
| 基本保険のみ | 免責額の全額 | 発生する |
| CDW加入 | 免除または大幅軽減 | 発生する |
| ワイド補償加入 | ほぼゼロ | ほぼゼロ |
CDWを外すか入れるか、判断の分かれ目
CDWは必ず付けなければいけないものではありません。外して数千円を浮かせるのも選択肢です。外すかどうかを決めるとき、見ておきたい点が二つあります。
ひとつは、クレジットカードの付帯保険でまかなえるかどうか。ゴールドカードや旅行特化型のカードには、レンタカーの車両損傷を補償する特約が付いていることがあります。ただし適用条件はカードごとにばらばらで、そのカードで決済することが条件だったり、国内と海外で扱いが違ったり、補償される免責額に上限があったりします。会員サービスのページで「レンタカー特約」「国内旅行傷害保険」の中身を読んでおくと確実です。
もうひとつは、もしものときの自己負担を先に金額で見ておくこと。免責額が10万円前後になり得る一方で、CDWの加入料は3泊4日でおよそ数千円。この二つを並べれば、外すか入れるかの判断はつけやすくなります。
なお、飲酒運転・無免許運転・約款で禁じられた走行で起こした損害は、CDWに入っていても対象外です。どこまでが対象外かは各社の規約に明記されているので、契約前に目を通しておくと安心です。
クレジットカードの付帯補償がある場合は、CDWを外す選択肢もあります。ただしクレジットカードの付帯補償は、NOCまでカバーするものはほとんどありません。免責額が補償されても、NOCの負担は別に残ることがあります。補償内容を確かめるときは、「NOCも補償されますか」と確認してください。
宮古島で対象外になりやすいケース、農道・砂浜・塩害の線引き
宮古島の道は、本土の観光地と少し勝手が違います。幹線道路はきれいに舗装されている一方で、集落の細い路地やサトウキビ畑沿いの農道が、そのまま観光ルートにつながっている。ビーチ入口の駐車スペースで縁石に乗り上げる、畑沿いの狭い道でミラーを擦る、海沿いの駐車場で潮風にさらされ、塗装が傷む。車体を傷つける場面は、初日の運転でも起こり得ます。
ここで問題になるのが、先ほどの「約款で禁じられた走行は対象外」というルールです。多くの会社が未舗装路・砂浜への乗り入れを約款で禁止していて、そこで付けた傷にはCDWもワイド補償も適用されません。農道の先にビーチが見えていても、車は舗装路に置いて歩く。それが、せっかくの補償をムダにしない一番の方法です。
もうひとつ、意外と知られていないのがタイヤのパンクと鍵の紛失です。この2つをCDWの範囲外としている会社が多く、別枠の負担になります。予約時に補償選択画面か規約ページで「パンク時の費用」「鍵紛失時の費用」の扱いを確かめておくと、いざというとき慌てずにすみます。
CDWのよくある質問
Q. CDWに入れば修理代は全部カバーされますか。
いいえ。CDWがカバーするのは免責額(自己負担分)だけで、修理代そのものを肩代わりするものではありません。さらにNOC(休業補償)はCDWの対象外で、別に発生します。修理代の自己負担とNOCをまとめて消したい場合は、ワイド補償(安心パック)が対象です。
Q. 手持ちの自動車保険で、レンタカーの免責金額もカバーできますか。
ご自身の自動車保険に「他車運転特約」が付いていれば、免責金額をカバーできる場合があります。ただし、NOCまで補償するケースはほとんどありません。契約中の保険窓口で特約の適用範囲とNOCの扱いを確かめてから、補償プランを決めると迷わずにすみます。
Q. CDWの料金はいくらが目安ですか。
会社と車のクラスで変わりますが、1日あたりおおむね1,000〜2,000円台の前半が目安です。バンや特殊車両、沖縄地区料金の店では一段上がります。日数が増えるほど合計が膨らむので、予約画面の補償選択欄で総額を確かめておくと安心です。会社別の正確な金額は補償の料金をまとめた記事で確認できます。
Q. CDWは予約後に追加・解除できますか。
返却前まで変更できる会社と、借り出し時の選択で固定される会社があります。途中で変えたい場合は、借り出し前にレンタカー会社の予約窓口へ電話で確かめておくと安心です。