エンディングノートの作り方、選び方、記入内容のすべて。あなたの大切な思いを形に。

終活のすすめ
エンディングノートの作り方

エンディングノートとは、自分の人生の最終段階において、残されたご家族や友人に向けて自分の意思や希望を明確に残すための手段です。これは、遺言書とは異なり法的効力を持たないものの、自分の財産や葬儀の方法、そして大切な人々へのメッセージを伝えるための個人的な記録として用いられます。

生きているうちにあなたの情報を整理することで、いざという時にご家族が直面するであろう様々な決定を容易にし、あなたの意志が正確に伝えられるようにするためのものです。

今回は、エンディングノートの作成方法、選び方、そして書くべき内容について詳しく解説していきます。あなたが自分自身やご家族のためにエンディングノートをどのように活用できるかの理解を深めることができるでしょう。

目次

エンディングノートって何?遺言書と何が違うの?

エンディングノートは、個人が自身の最後の意思や希望を文書化したもので、主にご家族への指示や感謝のメッセージ、葬儀や財産の取り扱いに関する自分の願いが記されます。このノートは遺言書としばしば比較されますが、いくつかの重要な違いがあります。

まず、エンディングノートには法的な効力がありません。これは、法的手続きとしての遺言書とは異なり、あくまでも指針やガイドとして機能します。そのため、エンディングノートは法的な紛争を解決するための文書としては使用できませんが、亡くなった人の意向をご家族が理解するための一助となることが期待されます。

次に、エンディングノートは遺言書よりも広範な内容を含むことが多いです。例えば、日常生活の小さな詳細やパーソナルな感情、親しい人々へのメッセージなど、法的文書には通常含まれないような情報が記載されることがあります。これにより、個人の生きた証として、また人生の総括としての役割を果たすことができます。

エンディングノートの作成は、自分の意思を「形にする」作業であり、それを通じて、自分が大切にしてきた価値や思い出を後世に残すことができます。それは同時に、ご家族が喪失感と向き合い、癒やしを見つける手助けをすることも可能にします。

エンディングノートがもたらす、3つのメリット

ご家族への愛を形にする

エンディングノートを使用することで、自分の最後の意志やご家族に対する感謝の言葉を明確に整理し、伝えることができます。これにより、ご家族間での誤解を防ぎながら、自分の本心をしっかりと伝えることが可能になります。

人生の大切な瞬間をいつでも振り返れる

自分の人生を振り返りながらエンディングノートを記入する過程は、自己理解を深める大切な機会となります。これにより、人生の大切な瞬間や達成したこと、苦労したことなどが記録され、自身の歩んできた道のりを確認することができます。

大切な情報の備忘録として

エンディングノートは、重要な個人情報や財産の詳細、医療情報など、日常生活で必要となる情報の管理にも役立ちます。これにより、緊急時にご家族が必要な情報を迅速にアクセスできるようになるため、安心して生活することが可能になります。

心を込めたエンディングノートの作り方

エンディングノートを作成する過程は、あなた自身の振り返りと、今後どうしていくかという計画の両面が重要です。しかし、効果的なエンディングノートを作成するためのステップさえわかれば難しいことではありません。難しく考えず、順を追って確認してみましょう。

あなたの願いや目的を明確にしましょう

最初に、エンディングノートを作成する目的をはっきりさせます。これはご家族へのメッセージを残すためなのか、または個人的な記録のためか。目的によって、記載する内容が異なるため、このステップは非常に重要です。

書きたいことに合ったフォーマットを選びましょう

エンディングノートには様々なフォーマットが存在します。

  • 市販されている手書きのノートなど
  • オンラインでダウンロードできるExcelやWord、PDF形式のテンプレート

パソコンなどが苦手だなーという方はノートを、デジタル関係の方が便利な方はそれぞれのテンプレートを利用するなど目的に応じて、また、あなたのスタイルに最も適したフォーマットを選びましょう。

あなたとご家族にとって重要な項目をリストアップしましょう

葬儀の希望、財産の詳細、ご家族へのメッセージなど、含めたい項目をリストアップします。全てを一度に書き上げる必要はなく、最初は大枠から始めて徐々に詳細を追加していく方法がおすすめです。

定期的に更新して思い出と共に成長するノートに

人生は変化しますし、それに伴ってあなたの希望や状況も変わるかもしれません。エンディングノートは定期的に見直しを行い、最新の情報に更新することが重要です。

ご家族と共有して絆を深める時間に

エンディングノートは個人的なものですが、内容をご家族と共有することで、あなたの意志が正しく伝わりやすくなります。適切なタイミングでご家族にノートの存在とその内容を伝えましょう。

エンディングノートを作ることは、あなたの人生を整理し、未来を計画する助けとなるでしょう。また、ご家族にとっては、あなたの最終的な意志を理解しやすくする貴重な資料となるでしょう。

あなたにピッタリのエンディングノートの選び方

エンディングノートを選ぶ際は、個々の目的やニーズに応じて最適なものを選ぶことが大切です。以下のポイントを参考に、自分に合ったエンディングノートを選びましょう。

目的に合わせたノート選び

思い出を振り返るためのノート
人生の振り返りには自分史が書けるものを選びましょう。詳細な自分史を記録できるノートは、人生を振り返りたい方に最適です。
ご家族と共有するための詳細項目
ご家族との共有重視なら葬儀・相続の項目が充実したものを選びましょう。ご家族に情報をしっかり伝えたい場合、葬儀や相続に関する詳細が記入できるノートが有効です。
心からのメッセージを残すためのノート
大切な人への思いを残すならメッセージ項目が充実したものを選びましょう。感謝や愛情のメッセージを残したい場合には、そのためのスペースが多いノートが適しています。
大事な情報を整理するためのノート
備忘録として使用するなら銀行口座や保険の項目が充実したものを選びましょう。経済的な詳細を管理したい場合、関連情報を整理できるノートが役立ちます。

実用性を重視して選ぶ

エンディングノートは使いやすさも重要です。ページがしっかりとした製本であること、書き込みやすいレイアウトであることなど、実際に使い勝手の良いデザインを選びましょう。

ガイドやコラム付きで選ぶ

特に初めてエンディングノートを使う場合、ガイドやコラムが付属していると、どのように記入すれば良いかの参考になります。実用的なアドバイスが含まれているノートは、初めて記入する際にどのように書いていけばよいかわかりやすいです。

このように適切なエンディングノートを選ぶことで、書きたい内容や目的に合った形で最終的な意志を伝える準備が整います。自分にとって最適なノートを選び、大切な記録として活用しましょう。

どこでエンディングノートを買えるの?

エンディングノートは実は身近なところに売っています。こちらは一例ですが、

書店

多くの大型書店や地域の書店では、エンディングノートが販売されています。書店では実物を手に取り、ページの質やデザインを確認することができるので、具体的なイメージを持って選ぶことができます。

オンラインショップ

Amazonや楽天市場などの大手オンラインショッピングサイトでもエンディングノートを購入できます。オンラインショップの利点は、多種多様な商品から選べることと、ユーザーレビューを参考にできることです。

専門店

終活に特化した専門店や、高齢者向けの商品を扱う店舗でもエンディングノートを取り扱っています。専門店では、スタッフからの具体的なアドバイスや情報を得ることができるため、購入時のサポートが充実しています。

終活セミナーやイベント

終活に関連するセミナーやイベントでは、エンディングノートを取り扱っていることがあります。こうした場では、エンディングノートの使い方についての講演やワークショップが同時に行われることもあるため、実用的な知識を得ながら購入することが可能です。

最近では20代・30代といった若い人向けに、備忘録として使えるエンディングノートも販売されています。 本屋や文房具売り場のほかにも、ダイソーなどの100均や通販サイトなどでも購入できるので、ぜひチェックしてみてくださいね。

エンディングノートを購入する際は、自分のニーズに合った場所を選ぶことが重要です。どのような形式や内容のノートを求めているかを事前に考えておくと、選択がスムーズになります。

エンディングノートに記入する、大切な10の項目

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エンディングノートに記入する内容は多岐にわたりますが、特に重要な10項目を以下に挙げます。これらの項目を含めることで、あなたの意志が明確に伝えられ、ご家族にとっても何をすればよいかが明確になります。

基本情報から始めましょう
氏名、生年月日、住所など、身元確認に必要な基本的な情報を記録します。
財産や資産の詳細について
不動産、銀行口座、株式など、持っている財産の詳細とその管理に関する情報を記入します。
身の回りや日常の大事なこと
日常生活で使用している重要な物品や、特定の取り扱いが必要なアイテムの情報をリストアップします。
ご家族や親族・友人への感謝の気持ちを伝える
生前に伝えたい感謝のメッセージを記録し、大切な人々への感謝の気持ちを形に残します。
望む医療や介護に関する希望
病状悪化時の治療方針や、望む介護のスタイルについての希望を記入します。
自分の葬儀やお墓の希望
自分の葬式や埋葬に関する具体的な希望、例えば葬式のスタイルやお墓の場所などを記録します。
相続や遺言の準備
法的な効力はないものの、自分の財産に関する希望を記録しておくことで、相続の指針となります。
ご家族へのメッセージ
ご家族に向けて残したい言葉や、個々のご家族メンバーへのメッセージを記録します。
親しい友人の連絡先
連絡を取り合うべき友人や知人の情報を列挙し、重要な連絡がスムーズに行われるようにします。
パソコンやスマホなどのIDやパスワードの整理
オンラインアカウントのログイン情報や重要なパスワードを管理し、これらのデジタル情報が安全に扱われるようにします。

これらの項目をエンディングノートに記入することで、自分の意志を確実に伝えるとともに、ご家族の負担を軽減することができます。

エンディングノートを使う時の3つの大事なポイント

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エンディングノートを作成して使用する際には、以下の3つの点に注意しましょう。これらを怠ってしまうとエンディングノートを作った意味が無くなってしまうかもしれません。

ノートの保管場所をしっかり伝えよう

エンディングノートの保管場所をご家族に知らせておきましょう。エンディングノートは、その内容が適切なタイミングでご家族の手に渡ることが重要です。そのため、ノートの保管場所をご家族に明確に伝えておく必要があります。安全かついつでも見つけやすい場所に保管し、関係者が必要な時にすぐに取り出せるようにしておきましょう。

暗証番号などの情報は安全に管理

銀行口座などの暗証番号は絶対に書かないこと。セキュリティの観点から、銀行口座の暗証番号やパスワードなど、高度なセキュリティが必要な情報はエンディングノートに記載してはいけません。これらの情報は別途、安全な方法で信頼できる人物にのみ伝えるようにしましょう。

遺言書とは違い法的な効力のないことを理解すること

エンディングノートは法的な効力を持たないため、法的文書としての遺言書とは異なります。そのため、法的な問題に関しては遺言書を別途作成することが推奨されます。エンディングノートは、むしろ個人の意向をご家族に伝える手段として利用されることが一般的です。

これらの注意点を踏まえ、エンディングノートの作成と使用を行うことが、その意図を適切に実現する鍵となります。

エンディングノートの書き方心得とコツ

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エンディングノートを書く際に役立つコツを4つ紹介します。これらを活用することで、エンディングノートの作成がスムーズになり、より意味のある内容を形成することができるでしょう。

書きやすい部分から手を付けよう

エンディングノートを書き始める際は、書きやすい項目から手を付けることがおすすめです。例えば、基本情報や財産の詳細など、すでに明確になっている情報から記入を始めると良いでしょう。

完璧を求めずに書き進めるましょう

空欄があっても気にせずに書いていきましょう。すべての項目を一度に完璧に書き上げる必要はありません。空欄がある部分は後で戻って記入することができます。最初はできる範囲から書き進め、徐々に内容を充実させていくのが効果的です。

今の気持ちを大切に記録

エンディングノートはあなたの現在の気持ちや考えを反映したものです。特にご家族へのメッセージや感謝の言葉は、その時その時の気持ちを素直に書くことが重要です。時間が経つにつれて感情は変わるかもしれませんが、今の気持ちを書くことで、その変化もエンディングノートに記録することが価値を加えます。

ご家族と一緒に書く時間を楽しもう

ちょっと驚かれるかもしれませんが、可能であれば、エンディングノートの作成をご家族との共有の時間として利用するのも一つの方法です。ご家族があなたの考えや希望を理解する良い機会となり、またご家族と共有しながら書くことで、さらに内容を充実させることができます。

これらのコツを活用して、エンディングノートを一つの大切な記録として完成させましょう。

エンディングノートを完成させた後のステップ

エンディングノートを書き終えた後、それをどのように活用し、管理するかが重要になります。以下は、エンディングノートを効果的に使用するためのステップです。

ご家族や信頼できる大切な人と内容を共有しましょう

エンディングノートの存在とその内容を、ご家族や信頼できる方に知らせてください。このノートを読めば、あなたの意志が適切に伝わり、必要な時にスムーズに対応できるようになります。できればエンディングノートに記載された重要な情報について、具体的な説明を行うことができればなお良いですね。

あなたの思い出を守れる安全な場所に保管してください

エンディングノートは、水濡れや火災から守られ、ご家族が手に取りやすい場所に保管することが望ましいです。保管場所をご家族に知らせておくことで、いざという時にノートを見ることができます。

時間と共に成長するエンディングノート、見直しは定期的に

人生、今の状況や思いが変わることがありますから、エンディングノートもそれに合わせて定期的に更新することを心がけましょう。年に一度は内容を見直し、新しい情報を追加することで、ノートを常に最新の状態に保っておくことができます。

遺言書とともに、法的な準備も忘れずに

エンディングノートが法的効力を持たないことを踏まえ、財産の分配など法的な問題については、遺言書を別途作成し、エンディングノートと併用しましょう。これにより、あなたの意志が法的にも保護され、適切に実行されるようになります。

エンディングノートを書き終えた後にこれらのステップを適切に実行することで、エンディングノートの価値を最大限に活かすことができます。

自分・ご家族どちらのためにもエンディングノートを活用しよう

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エンディングノートは、自分自身とご家族の両方にとって有益なツールです。その理由として、以下のポイントが挙げられます。

あなたの声を形にする自己表現の大切な手段として

エンディングノートは、自分の思いや希望、価値観を表現する手段となります。これにより、自分自身の意志が死後も正確に伝えられ、自分の人生を自分の言葉で語ることができます。

ご家族や互いの心に寄り添うための配慮として

ご家族に対しては、エンディングノートが指針となります。特に、緊急時や亡くなった後の処理に際して、あなたが望むことは何なのかを明確に示すことができます。これにより、ご家族は決断を迫られる状況での不安や迷いを減らすことができ、残されるご家族の精神的な負担を軽減します。

深い感謝と愛情を伝える橋渡しとして

生前になかなか言葉にできない感謝や愛情も、エンディングノートを通じて形にすることができます。これは、ご家族にとって非常に価値のある遺産となるでしょう。

あなたとご家族のために、エンディングノートを最大限に活用しよう

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エンディングノートをご家族が読み、理解する過程で、ご家族間の絆が強化されることも期待できます。共有された価値観や記憶は、ご家族が一丸となって困難に立ち向かう力となります。

エンディングノートを活用することで、自分自身の意志をしっかりと残すとともに、ご家族に対して最大限の配慮を行うことができます。これは、あなたの生きた証として、また愛する人への最後の贈り物として、大きな意味を持つでしょう。