宮古島の伝統踊りを楽しむ一日

毎年宮古島で開催される「クイチャーフェスティバル」は、島の伝統文化を存分に味わえる一大イベントです。このフェスティバルでは、宮古島の伝統舞踊「クイチャー」を中心に、地元の人々と観光客が一緒になって踊り、楽しむことができます。クイチャーは、地域の絆を深める踊りとして古くから親しまれてきました。現代においても、その精神は色あせることなく、島全体で大切に守られています。このイベントは、踊りを通じて宮古島の文化に触れる絶好の機会となっています。

クイチャーフェスティバルは、島内外から多くの観光客が訪れるため、地域の活性化にもつながっています。観光客にとって、普段体験できない伝統的な踊りに触れ、島の文化をより深く知ることができるのは大きな魅力です。地元の人々と一緒に踊りながら、自然と笑顔がこぼれるこのフェスティバルは、宮古島ならではの温かい雰囲気を味わうことができる特別な日です。

クイチャーとは?宮古島の伝統舞踊の歴史と魅力

クイチャーとは、宮古島に古くから伝わる伝統舞踊です。起源は定かではありませんが、14世紀末に与那覇勢頭豊見親が沖縄本島に朝貢した際、従者の高真佐利屋が毎夜、故郷の宮古島を偲んで歌ったことに始まると伝えられています。17世紀中頃には、宮古の最高神職が首里城で国王の前でクイチャーを踊る慣習があったことから、当時クイチャーは宮古を代表する舞踊として知られていたようです。

現代のクイチャーは、三線や鉦鼓の伴奏が加わり、衣装も華やかになっていますが、これは太平洋戦争後に変化したものです。以前は男女ともに普段着や作業着で、無伴奏で歌い踊っていました。三線の楽譜「工工四」の発展や、ラジオやテレビの影響を受けて、現在のクイチャーの形に進化したのです。

クイチャーの踊りは、円になって手をつなぎ、リズムに合わせて足を踏み鳴らしながら前進したり後退したりするシンプルな動きが特徴です。しかし、その動きの中には島の風土や人々の思いが詰まっており、踊る人も見る人も心が一つになる感覚を味わうことができます。

クイチャーは単なる踊りではなく、地域の絆を強めるための重要な文化的要素でもあります。かつては、村同士の結びつきを強めたり、収穫を祝い、自然の恵みに感謝するために踊られてきました。現代でも、クイチャーは地域のイベントやお祭りで披露されることが多く、島の人々にとっては欠かせない存在です。

宮古島各地区のクイチャーの特徴

もともとクイチャーは一つの形に統一されたものではなく、各村ごとに異なるスタイルが存在していたと言われています。その中から、やがて全体としてまとまりを持つ「漲水のクイチャー」が生まれたようです。

ここからは、各地区のクイチャー団体と特徴を紹介します!

平良地区

荷川取クイチャー保存会

昭和49年に結成されたこの組織は、県内外の数多くのイベントに出演し、はやし言葉や手拍子に合わせた力強い踊りが高く評価されています。

池間クイチャー保存会

池間の伝統的なクイチャーは、旧暦9月のミャークヅツで島民によって踊られてきた歴史ある踊りです。三つの様式があり、まずは司ンマが「神ナーギ」と呼ばれる静かな踊りで始まり、その後ムトゥウヤ(男たち)と女たちによる力強いクイチャーが続きます。手を空に向けて足を踏み鳴らし「ズナラードゥ、ズナラーユ」と大地を蹴りながら踊るのが特徴です。最後にアニガマヤーが、男女共に小さな足取りで円になって踊り、クイチャーを賑やかに締めくくります。静から動へと変化し、場を盛り上げる池間の個性豊かな伝統芸能です。

久松青年会

久松はクイチャー発祥の地とされ、部落行事や運動会で欠かせない存在となっています。

西原クイチャー保存会

平成14年10月に結成された保存会によって伝承されている西原のクイチャーは、池間島からの分村当時、厳しい税に苦しみながらも、夜には若者たちが集まって掛け唄を歌い、踊って疲れを癒したことが起源とされています。このクイチャーは男女の掛け合いの恋歌が特徴で、現代では珍しい面白さと味わい深い歌詞で踊られています。また、池間や佐良浜の女踊りとは異なり、西原の女踊りは扇子を持ち、しっとりと踊るのが特徴です。

漲水クイチャー保存会

宮古島の農民たちは、人頭税の苦しみから解放されることを願い、漲水港に寄せる砂が粟や米、糸や「カシ」となって生活が楽になるよう祈りながら歌い踊っていました。現在も保存会によって漲水御嶽で奉納舞踊として伝承されています。

下地地区

下地クイチャー保存会

2006年8月に結成された保存会による「下地原のクイチャー」は、伝統的な曲に新たな詞を加え、島の繁栄と平和を願っています。

上野地区

うるかクイチャー愛好会

踊りは巻踊りとクイチャーで構成され、近年は三線や鉦、太鼓を使って賑やかに演じられるようになりました。うるかクイチャー愛好会は1970年2月に結成され、同年8月の日本万博博覧会に出演以降、県内外のイベントや宮古島内の様々な催しに参加しています。1990年には城辺町から伝統芸能として無形文化財に指定され、現在は宮古島市に引き継がれています。

宮国民俗芸能保存会

宮国のクイチャーは、男女が交互に謡い、踊る独特の円陣舞踊で、男性の力強い動きと女性のしなやかな踊りが調和し、リズミカルな動きの中に精神的な雰囲気を醸し出しています。また、クイチャーは楽器を使わず、昔ながらの伝統を継承している点が特徴です。

友利郷土芸能保存会

友利クイチャーは、旧暦8月の豊年祭で必ず踊られる伝統的な踊りで、その起源は不明ながら約400~500年の歴史があると考えられています。楽器は使わず、歌と手拍子のみで踊り、最初に右回りでマーキャブドゥスを三回、続いてクイチャーは左回りで踊ります。宮古のクイチャーの中でも、原形を残している貴重なものです。

新里民俗芸能保存会

新里のクイチャーは、綱引きや豊年祭、御嶽の祭りなどで盛んに踊られてきました。かつては、若者たちが野辺に集まり踊ったとも言われています。

城辺地区

福里クイチャー保存会

老若男女が楽器を使わず、元気なかけ声で踊り、前団と後団に分かれて踊るのが特徴です。

保良クイチャー保存会

2010年に保存会が結成され、部落内の行事や地域のイベント、トライアスロン大会の応援などでクイチャーが踊られ、地域を盛り上げています。現在では、欠かせない伝統芸能として地域にしっかりと受け継がれています。

比嘉民俗芸能保存会

平成9年に地域の若者を中心に民俗芸能保存会が結成され、宮古島のイベントや敬老会に積極的に参加し、比嘉自治会の伝統芸能の継承と発展に貢献しています。比嘉のクイチャーは、男性の力強い跳躍と女性の優雅な手振りが特徴で、特に男性の跳躍は64回にも及び、非常に見応えがあります。

新城クイチャー保存会

新城集落に伝わる無形の伝統クイチャーで、長い間歌い踊られてきましたが、一時途絶えていたものの、昭和59年に復活しました。男性は力強く、女性は優雅に踊り、それぞれ異なる動きをしますが、手を合わせるタイミングは一致しています。

伊良部地区

佐良浜ミャークヅツクイチャー保存会

昔ながらの伝統的なクイチャーは謡だけで踊られます。力強い男性の踊りと、静かで感情のこもった女性の踊りが特徴で、クイチャーの魅力を堪能できます。

多良間地区

多良間村文化協会

多良間村文化協会は、昭和62年に結成され、地域文化の向上と活性化に努める奉仕団体です。多良間の雨乞いクイチャーは、干ばつの際に天に祈るために踊るもので、楽しさよりも深刻な祈りの意味が込められています。華やかさはありませんが、神への祈りが伝わるような歌詞と踊りが特徴です。

フェスティバルの見どころ:華やかな踊りと音楽の饗宴

クイチャーフェスティバルでは、さまざまな団体がクイチャーの踊りを披露します。それぞれの団体が持つ独自のスタイルやアレンジが加わるため、一つひとつのパフォーマンスが異なる魅力を放っています。伝統芸能の部・唄三線といった伝統的なクイチャーだけでなく、創作芸能の部では現代風にアレンジされたものや、若者たちが新たな解釈で挑戦するパフォーマンスもあり、観客を飽きさせません。

音楽もこのフェスティバルの大きな見どころの一つです。三線や太鼓といった伝統楽器の音色が、踊りのリズムを引き立て、会場全体を包み込みます。その音楽に合わせて踊るクイチャーは、まさに音楽と踊りが一体となった感動的な瞬間を生み出します。観客はその場の雰囲気に引き込まれ、自然と体が動いてしまうほどのエネルギーを感じることができるでしょう。

スペシャルゲストの出演にも目が離せません!2023年は元「THE BOOM」の宮沢和史さんらが出演し歌を披露しています。

クイチャーフェスティバルを支える地元の人々の情熱

クイチャーフェスティバルが毎年成功を収めている背景には、地元の人々の情熱があります。島全体が一体となってこのイベントを支えており、準備から運営まで多くのボランティアが関わっています。特に、地元の踊り手たちは長い時間をかけて練習を重ね、最高のパフォーマンスを披露するために努力を惜しみません。

また、地元のダンススクールやその他の団体も積極的に参加しており、子どもたちがクイチャーを通じて伝統文化を学ぶ機会も設けられています。こうした取り組みにより、クイチャーの文化は次世代にも受け継がれていきます。島民一人ひとりがクイチャーを大切にし、このフェスティバルを成功させようとする姿勢が、訪れる観光客にも伝わり、フェスティバル全体の温かい雰囲気を作り上げています。

参加者の声:クイチャーフェスティバルで体験する宮古島の文化

クイチャーフェスティバルに参加した観光客は、宮古島の文化を肌で感じ、心温まる体験をしたと話をします。「初めてクイチャーを見たとき、そのリズムと踊りに自然と引き込まれました。踊り手たちが楽しんでいる姿を見ると、私たち観客も一緒に楽しみたくなる気持ちになります」という声が多く聞かれます。

また、フェスティバルでは実際にクイチャーの踊りに参加できる時間も設けられており、観光客も踊りの輪に加わることができます。これに参加した人たちは、「地元の人たちと一緒に踊ることで、宮古島の文化に触れることができました」と、その魅力を語ります。踊りを通じて島の伝統に触れ、地元の人々との交流を楽しむことができる点が、このフェスティバルの魅力です!

クイチャーフェスティバルの日程・アクセス情報

クイチャーフェスティバルは、毎年秋に開催されることが多く、宮古島の涼しい気候の中で楽しむことができます。会場は市街地からアクセスしやすい場所にあり、地元のバスやレンタカーを利用して簡単に訪れることができます。

伝統舞踊と文化を体験できる一日

クイチャーフェスティバルは、宮古島の伝統文化を体験できる素晴らしいイベントです。地元の人々と観光客が一体となって踊り、笑顔があふれる一日を過ごすことができます。クイチャーのリズムに乗って、宮古島の風土や歴史に触れ、心温まる体験をしてみませんか?

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