四十九日法要の喪主挨拶とは
故人を弔う葬儀を無事終えた後も、喪主の仕事はまだ終わりではありません。初七日法要は比較的少数派になってきてはいますが、満中陰法要や忌明けとも呼ばれる四十九日法要に関しては執り行う方も多いのではないでしょうか。
一方、そこで悩んでしまうのが1日の間に最低4度は必要となる喪主挨拶でしょう。もちろん押さえておくべき要点等があるため、当日焦ってしまわぬように今回は各場面に応じた挨拶例を解説していきます。
四十九日法要の流れ
まずは四十九日法要当日の流れを把握しておきましょう。
- 檀家となっている僧侶と参列者のお出迎え
- 法要前のご挨拶*1
- 法要開始(読経、お焼香等)
- 僧侶による法話
- 法要後のご挨拶*2
- お墓へ移動して読経と焼香
- 会食会場への移動
- お食事前のご挨拶*3
- お食事後のご挨拶*4
- 引き出物の受け渡し
- 解散
ほとんどの場合は法要前後と会食開始時に挨拶を述べる形ですが、食事が終わったタイミングの締めを行った方が好ましいケースもあります。
僧侶をもてなし、参列者が心地よく過ごせるよう、最大限の礼節を持って臨むようにしましょう。
四十九日法要の挨拶例4つ
ここからは、各場面に応じた挨拶の例を解説していきます。
ここで注意しておきたいのはスムーズに慣れた様子を意識するのではなく、故人を尊ぶ気持ちと参列者に対する感謝を丁寧に伝えることです。
多少詰まってしまったり言葉を忘れて沈黙の間ができても問題はありませんので、誠心誠意挨拶を述べるようにしましょう。
法要開始の挨拶
まずは四十九日法要開始の挨拶例から解説していきます。
始まりを告げる意味合いもあることから、最も緊張してしまいがちなタイミングでもありますが、以下を参考にすれば問題ないでしょう。
「本日はお忙しい中、【喪主との関係性(父、又は母等)】の【故人のお名前】の四十九日法要にお集り下さいまして、誠に有難うございます。
葬儀の際には皆様の並々ならぬお世話を賜り、この場を借りてあらためてお礼申し上げます。
ただいまより、【故人のお名前】の四十九日法要を執り行いたいと思います。ご住職(僧侶のお名前でも可)による読経が始まった際は、どうぞ順番にご焼香をお願い致します。
多くの方にご列席頂き、【故人のお名前】も大変喜んでいることと思います。
それでは、これより【故人のお名前】の四十九日法要を執り行いたいと存じます。ご住職(僧侶のお名前でも可)、よろしくお願い致します。」
基本的には①参列者に対する感謝②葬儀のお礼③法要の開始を告げる言葉が盛り込まれていれば最低限のマナーは守れているため、あとはできる限り丁寧に伝えて下さい。
四十九日法要の終わりの挨拶
僧侶の法話が終わった後は、法要の終わりを告げる締めの挨拶を行いましょう。具体的な例文は以下の通りです。
「皆様、本日は【故人のお名前】の四十九日法要にお集まり下さいまして、誠にありがとうございます。
皆様のお陰で無事に法要を終えることができました。この後、ささやかではございますがお食事を用意させて頂いております。
お時間の許す限りごゆっくりなさっていただければと思います。本日は誠にありがとうございました。」
一般的に中締めとされるこの挨拶は、法要から会食へ参列者を誘導する意味合いも持っています。そのため、①法要の終了②参列者へのお礼③お食事の用意といった内容を押さえておきましょう。
会食時のご挨拶
経験のない方はイメージしずらいかもしれませんが、法要は檀家となっているお寺やお墓で執り行い、その後一斉に会食場へ移動する流れが基本です。
したがって、必ず全員が揃っているかどうかを確認し、お腹が空いてくるお昼時ということを考慮してなるべく手短に述べるようにしましょう。
「皆様、本日は誠に有難うございました。ささやかではございますが、お食事を用意させて頂きましたので、【故人のお名前】の思い出話でもしながらお召し上がり頂ければと思います。どうぞお召し上がりください。」
ここで気をつけたいのが挨拶の中で「お食事をご用意」という敬語が重なってしまうことです。大きな問題ではありませんが、正しい日本語ではないことから、念のため注意して下さい。
会食後の挨拶(締めの挨拶)
会食後の挨拶は引き出物の受け渡し前に行う最後の締めくくりです。参列者が気持ちよく帰れるよう、きちんと執り行いましょう。
「皆様、本日はお忙しい中【故人のお名前】のためにご列席下さいまして、誠に有難うございます。
生前からお世話になっていた皆様にお集まりいただき、【故人のお名前】も大変喜んでいることと思います。大変名残惜しいところではございますが、本日はこれにてお開きとさせて頂きたく存じます。
心ばかりの品物をお席の後ろに用意させて頂いておりますので、どうぞお持ち帰り頂ければと思います。
どうかこれからも変わらぬご支援のほど、宜しくお願い致します。本日は誠に有難うございました。」
締めの挨拶に関しては①参列者への感謝②引き出物の案内③今後のご支援等を押さえておけば良いでしょう。歩行が難しいお年寄り向けに送迎車がある場合もこのタイミングで触れておきます。
四十九日法要のその他のご挨拶
次は四十九日法要で把握しておくべきその他の挨拶についても確認しておきましょう。
法要においては参列者だけではなく、ご協力下さる僧侶へも礼節を尽くさなければなりません。
故人とのお別れをつつがなく執り行うためにも、ぜひ参考にして下さい。
僧侶へのご挨拶
お経を読んで頂く僧侶に対して決まった挨拶はありませんが、法要開始前ならご足労頂いたことに対する感謝は必ず伝えましょう。また、終了時であれば法話の内容にも触れておいた方が、より気持ちが伝わりやすくなります。
そして、僧侶に対してはお布施を納める必要があるため、どちらかのタイミングで「些少ながら、お納め下さい」と一言添えましょう。
四十九日の挨拶状
四十九日は法要だけでなく、葬儀に参列して頂いた方に向けて挨拶状をしたためるケースもあります。
当然通常のフランクな手紙とは異なる注意点があるため、以下を参考に作成してみて下さい。
「拝啓
先般 故【故人のお名前】儀 葬儀に際しましてはご多忙中にもかかわらずご臨席賜り厚く御礼申し上げます。
お蔭をもちましてこの程 四十九日法要を滞りなく相営みました。
つきましては供養のしるしとしてささやかながら品物をお送りさせて頂きます。
本来ならば御礼申し上げるべきところ 失礼ながら書中を持ってご挨拶とさせて頂きます。
敬白」
①濃い墨を用いる②時候の挨拶はNG③句読点は使わない④弔事用葉書を使う等を押さえておけば問題ありません。
四十九日法要のマナー
次は四十九日法要のマナーについても確認しておきましょう。
喪主として執り行う予定のある方は、ぜひ参考にして下さい。
挨拶は長くなりすぎない
四十九日法要では参列者への感謝や故人への思いを伝えたいところですが、基本的には5分以内に収めるようにしましょう。
1日の中で4度の機会がある手前、それぞれであまりに時間を取ってしまうと聞く側の負担にもなりかねません。そのため、カンペを用意する等して想定以上のボリュームにならないようにするのもおすすめです。
ちなみに紙を読み上げる分には何ら問題ありません。
故人の印象を損ねる内容は避ける
挨拶の中で故人とのエピソードを話すこともあるかもしれませんが、その際は絶対にマイナスな印象を与えないように注意しましょう。
また、「浮かばれない」「迷う」といった言葉は霊体となった故人の良くない状態を連想されるためNGとされており、「切れる」「捨てる」「離れる」といった人同士の関係が途切れるイメージの言葉も避けるべきです。
乾杯と間違えない
意外と間違えやすいのが、会食時の献杯と乾杯です。献杯はある特定の人物に対して杯を捧げるという意味合いを持っていますが、乾杯は拍手をしながら高らかにグラスを掲げるような場面で用いられる言葉となっています。
基本的な作法である一方、似た響きであることから最大限注意するようにして下さい。
まとめ
本記事では四十九日法要の挨拶例を4つ解説してきました。四十九日法要は故人をしのび、参列者に対して感謝を伝えるために行うものです。そのため、1日に4度の喪主挨拶は大変重要であり、タイミング毎の相応しい内容を考えなければなりません。
また、僧侶への挨拶や挨拶状だけでなく、その他にも様々な注意点が存在するため、滞りなく進めるためにも事前に把握しておくと良いでしょう。