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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol.441

2021 6/02
メールマガジン
2019年9月19日2021年6月2日

こんにちは〜。
秋風が ぴっちゃ(少し)吹くようになってきました。 がんづぅかり うらまずなー(お元気ですか)?
今回は、初登場のライターからスタートですよ。 お楽しみください〜。

目次

映画館の熱い男

友利志麻子(城辺・福里出身)

5年半前に、宮古島にUターンしてきて、コンビニに映画館への募金箱が置いてあるのに驚いた。デジタル化への移行で資金を集めていて、映画館は休館状態だったようだ。あっがんにゃ!(ええー!)大好きな映画館がないわけーと寂しくなった。

私が子どもの頃、宮古島には国映館と琉映館の2軒の映画館があったと記憶している。最近知った話しだと、もっと昔には宮古島には5軒の映画館があったそうで、私の地元、城辺にも映画館が存在していたという事を知って驚いた。それ位、映画館は身近な存在だったということだ。

そんな中、色んな方々の協力のもと、無事に「よしもと南の島パニパニシネマ」として再開することができたそうだ。その映画館の館長は誰もが知る熱い男、下地昌伸さんである。アララガマ根性を発揮したのか、なんともありがたい。たんでぃがーたんでぃ。ぷからすむぬ!(うれしい限り)

私は時々、本業の後に映画館のお手伝いをさせて頂いているが、出勤すると「おっ!!友利さん、来てくれたの?嬉しいなぁ。じゃ帰ろうかな」と言いながら、上映中の映画が終わるまで長い時では約1時間近く映画について熱い話しが展開される。その熱量に圧倒されながらも、聞いていると面白いのでついこちらも聞き入ってしまい、見終わったお客様の姿が視界に入ってから上映時間が終わっている事に気付くことが度々ある。

そんな中、見終わったお客様は下地館長に感想を話したり、観たい作品をリクエストしたりと交流を図っている。時には、ラジオで下地館長が話した内容について感想を館長さながら熱く語り褒めまくるお客様もいらっしゃって、嬉しそうに話し込んでいる姿も観られる。この映画館ではこんな光景をよく見かける。それは、シネコンでは絶対に観られない光景だし宮古島の人達の気質のようにも思う。私自身は、なるべくなら静かに観て、その余韻に浸りながら静かに帰りたいタイプなので、その光景にもまた驚かされたが、映画館とお客様との距離が近くて心地よく感じるようになったのと、一人で切り盛りしている館長へのエールにも感じるようになった。

そんな下地館長、映画監督の舞台挨拶や写真家達のスライドショーなどイベントの企画なども精力的に力を入れるが、福島からの保養プロジェクトにも積極的に活動している。一体どこにそんなパワーがあるのか。うばいがーうばい(驚くやら関心するやら)。

今では、県庁所在地でも映画館がなくなっている時代。そんな時代に、人口6万人もいないこの離島で映画館を存続されていく大変さは想像しきれない。そんなことをみじんも感じさせない下地館長は、お客様にいかに楽しんでもらえるか、必要とされているものを提供できるかと日々奮闘している。本当に頭が下がる。

9月末から映画館はリニューアルオープンに向けて休館になる。宮古島の文化の発信の場所ともなる大切な映画館。一体どんな風に新たな風をふかせてくれるのか楽しみである。

◇あの話をもう一度

與那覇 淳(平良・鏡原出身)

「運動会とサシバ」vol.349 2015/10/1

私の記憶の中で運動会の ばんず(時季)は寒露の頃と重なる。寒露といえば渡り鳥のサシバが島に飛来する季節。日が傾き涼しくなる夕刻、誰とはなしに空を指差し「タカ、タカ」と叫ぶ。空には数えきれないほどのタカ(サシバ)が舞う。懐かしい光景がよみがえる。

学校の運動会で思い出すのは、空いっぱいに舞うサシバと、もう一つは運動靴のこと。私が小学生の頃、ふだんは学校でもサバ(ゴム草履)を履いていた。運動会の ばんずになると神戸に住んでいる父方の叔父が運動靴を送ってくれた。真新しい運動靴を履いて、まつかにぬ(待ちに待った)運動会に臨むもののすぐに靴ぱぎ(靴づれ)ができて、はだしになった。

当時はほとんどの子がどうも靴下を履いてなかったようだ。その上、履きなれない靴ということもあってすぐに靴ぱぎになってしまう。その靴が運動会の後どうなったかはほとんど記憶がない。叔父にしてみれば失礼な話だ。

学校の運動会より色濃く記憶しているのは、しーにん(青年)の運動会だ。いまの学区陸上競技大会のこと。娯楽の いきゃらかー(少なかった)当時は他の学区からも見物に来るほど、会場となった小学校の運動場は大変な賑わいをみせた。

出店も立ち並び、まるでお祭りのよう。日頃は小遣いなどもらえない家庭でもこの日ばかりは親の財布の紐が緩み、小銭を握りしめた子どもたちが出店を囲んだ。出店にはピストルのおもちゃ、アイスボンボンなど子どもの目を引く品々が並べられ、少年少女の嬉々とした表情が賑わいに拍車をかけた。

競技そっちのけの子どもたちでも陸上の華ともいえる「イチマン(10K走)」には関心を示した。どこからともなく聞こえてくる「ラクゴ(落伍)」という言葉に、子どもの頃の私はこの競技に異様な過酷さを感じた。トップでゴールした選手はまさに英雄扱いで、子どもたちの間でも注目を集めていた。

母方の伯父たちは運動会見物の帰りに小学校のすぐ近くの我が家へ寄り、つとぅ(土産)には捕獲されたサシバを持ってきてくれた。サシバの鋭い爪を切り取ると足に紐を結わえ、紐の先に下駄をぶら下げて飛ばして遊んだ。数日遊んだ末にサシバは タカジューシー(サシバの混ぜご飯)にされ、かっこうの蛋白源となった。季節の変わり目のこの頃の風邪は「たかのぱなぴす」と呼ばれ、タカジューシーを食べると治るといわれた。

「サシバを見たか」。今年の初観察が巷で話題になる。秋の風物詩であるサシバの飛来は、今でも胸の高鳴りを伴い過ぎし日の記憶を呼び起こしてくれる。

校庭のガジュマル

Motoca(平良・下里出身)

のーし うぬすく(どうしてそんなに)、今月は やぐみ(ひどい)台風が続くのか。かまからまい くまからまい(あっちからもこっちからも)台風被害が聞えてきて、落ち着かない。

千葉県内は台風15号の被害が大きく、多くの地域で んなまがみまい(現在も)電気や水道が復旧していない。同じ千葉県でも、ばんたがやー(我が家)のあたりは、台風の進路から逸れた地域で、停電も断水も にゃーっだん(なかった)。連日ニュースで報じられる、各地の被害の様子にき゜もー やましど うぃ(心を痛めている)。少しでもはやく、元の生活に戻れますように、と願っている。

一方、宮古の台風13号による被害は、なんだかタイミングが悪く、こちらではほとんど報じられなかった。それでも実家との連絡やSNSを通して、大変な台風だったということは伝わってきた。暴風当日に弟からLINEで送られてきた動画や写真でも、私には覚えのないほどの風雨の強さだったり、意外な場所が冠水したりしていて、驚いた。

なかでも、いちばんショックだったのは、母校・平一小の校庭に立つガジュマルのうち一本が倒れ、撤去されることになったというニュースだ

ずっと昔から、校庭の真ん中に鎮座していた二本のガジュマルは、平一小のシンボルだった。二本一対で並ぶ姿は、まるでシーサーみたいで、大好きな風景だった。今回撤去されることになった木は、校舎側から向かって左側の木。4年前の台風(2015年台風6号)のときに大きく裂けてしまい、添え木をするなどしてどうにか残していたそうだが、今回の台風13号の強風で完全に倒れ、再生の見込みがなくなってしまったとのこと。

平一小には、校内に立派なガジュマルがいくつもあり、ばんたが(私らの)小学生時代、休み時間や放課後にのぼって遊んだ木も多い。今回撤去されることになったそのガジュマルも、よく遊んだ木のひとつだ。幹が斜めに生えていて、足をかけて簡単にのぼることができたからだ。幹をのぼり切ると、生い茂る枝葉が陰をつくり、すだーす かじ(涼しい風)が吹き抜けていったその感触をよく覚えている。そこでただ むぬゆん(おしゃべり)することもあれば、横に広がる すぅら(枝)にぶら下がったり、そこから飛び降りたりもした。それから、鬼ごっこも。

平一小のガジュマルの木々は、私の小学生時代の思い出と切っても切り離せないものだ。そんな、やらびぱだ(子供時代)の思い出が詰まったあたらす(大事な)木が ぴてぃつ(ひとつ)、姿を消す。そこにある風景は、いつまでも同じようにあるものではないのだな、と改めて思う。やまかさ(たくさん)の楽しい思い出、たんでぃがーたんでぃ(ありがとうね)、バイバイ。

校庭に一本残るガジュマルが、これからも平一っ子たちを見守っていくのだろう。次に帰省するときには、平一小の校庭をのぞいてみようと思う。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

前回9月5日にくま・かまを発行した翌日、台風13号が宮古を直撃。最初は、大したことないだろうと思っていたら、あがいたんでー(ああ)最大瞬間風速61.2メートルが吹き、屋根が飛んだり、ドアが壊れたり、浸水があったりとあちこちで被害があった。そして、9割の家庭で停電。ばんたがやー(我が家)は被害はなかったが、3日間停電した。あすが(しかし)、ネット回線は不通。復旧したのは昨日の午後だった。島内では、ネットが繋がらないところはまだまだあるようだ。

13号が去ったかと思ったら、今度は15号による千葉県の甚大な被害。電気も水道もとは・・・。言葉になりませんね。一日も早く日常に戻れることを願っています。

14日は、本島で「第7回しまくとぅば県民大会」と「第25回しまくとぅば語やびら大会」があり行ってきました。宮古からは、今年の方言大会で最優秀賞を受賞した天久富雄さんが出場。堂々の発表でした。会場には、みゃーくふつの会の会長垣花譲二(クイチャーマン)さんをはじめ、たくさんの方が応援にかけつけてくれました。語やびら大会には、子どもたちも出場しますが、皆さん、たなずーたなずで(とても上手で)また、話の内容も素晴らしかったです。大会の後は、みゃーくふつの会の皆さんと交流。楽しい時間を過ごし、いろいろ刺激を受けて帰ってきました。皆さん、たんでぃがーたんでぃ。

さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

トップバッターはニューフェイスの友利志麻子さん。パチパチパチ!宮古で唯一の映画館館長下地さんのお話は下地さんの熱い想いと志麻子さんの映画館を応援する気持ちが やまかさ(たくさん)伝わってきました。リニューアル後も楽しみですね。友利さんは、昭和52年生まれ、城辺福里(福中)出身です。くま・かまライターの根間(幸地)郁乃さんが繋げてくれました。今後のお話にもご期待くださいね〜。どうぞよろしくお願いします。

あの話をもう一度は、與那覇淳さんの「運動会とサシバ」をお送りしました。昔はサシバの飛来する寒露の頃に運動会を開催する学校が多かったのですが、最近は9月にやる学校が多いですね。とても懐かしく読まれた方も多いと思います。秋の使者、サシバがもうすぐ宮古にやってきます。

Motocaさんは、台風15号の被害がなかったようで何よりです。
宮古のほとんどの学校にガジュマルがあるので学校のシンボルのようなものですよね。思い入れのある人は、多いと思います。ばんまい ゆぬぐー やりば(私も同じなので)ショックな気持ちよく分かります。まーんてぃ 変わらないものはないですね。

貴方の感想もぜひお寄せくださいね。まちうんどー(待っていますよ)
投稿もお気軽にお寄せください。

今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー。
(今回も最後までお読みくださりありがとうございました)

次号は、10月3日(木)の発行予定です。
きゅうまい ぞう(良い)一日でありますように!
あつかー、またいら〜。

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