くまから・かまから vol.442

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 こんにちは〜。
 朝晩の空気の匂いが秋めいてきた宮古です。 がんづぅかり うらまずなー(お元気ですか)?
 今回も、新人さん登場ですよ〜。 vol.442、お楽しみください!

宮古島の季節

下地 茜(城辺・保良出身)

 宮古島には季節がないといわれることがあります。そのたびに心の中で首を横に振るのですが、ではどんな季節があるのか説明するとなると、少し難しい。
 
 畑仕事をする人は、季節のめぐりに呼応して、大地が変わっていくのを肌感覚で知っているはず。家の前の小さな畑に種を蒔くのは、冬に入る頃です。宮古島の夏は干ばつの季節でもあるので、植物たちが力をためるには、台風の時期もすぎた冬の頃が適しているのです。
 
 冬の間、しとしと降り続く雨を受けて、土の中で力をたくわえた植物は、春から初夏の頃にたくさんの実をつけます。夏になると雨の降らない時期が長く続きます。夏に入るまえ小満芒種の雨の量によって、宮古島の地下にある自然の水瓶に、どれだけ水が蓄えられるかが決まってきます。
 
 風からも季節の移り変わりを知ることができます。一軒家に住んでいると、季節によって風の入り込んでくる方角が、一年を通して変わっていくのです。

 曇り空の冬が終わると、風向きがおちつかない「二月の風廻り(二月かじまーい)」の時季。東から風がふきはじめると季節は春です。夏には梅雨明けの心地よい夏至南風(パイカジ)が吹く。風向きが時計回りにまわって、新北風(にすかじ)の秋。海原に囲まれた小さな島だからこそ、一年をめぐって循環する大気の流れを色濃く感じることができます。
 
 私は写真を撮るのが好きなので、年中空の表情をうかがっています。雨ばかりの冬、天候が不安定な春、そして梅雨。長い雨があけると、すっと空が高くなって、晴れの季節に入ります。それまでなんとなく濁ってすっきりしない夕暮れの空が、この頃から鮮やかな色に焼けるようになります。

 10月頃は、さらに高く澄んで、うっすら筋雲の伸びる秋の空。夕焼けの格別に美しい季節です。

 一年を通して、空や土、あるいは海やヤギなど家畜たちと、さまざまに向き合う中でゆっくりと見えてくる季節の表情があります。

 “みゃーくんな 季節や にゃーんちどぅ あすすさりが、二月ぬ かじまーい、シュウマンボウシュまい。んーなし、みゃーくぬ季節どぅや”(宮古には季節がないというけれど、二月の風廻り、小満芒種など、全部宮古の季節なんだよ)

 少し心を落ち着けて、この風はどこから吹いてきた風かな? この空の色は、島はどの季節にいるんだろう? そんなふうに島の季節を感じるのも、宮古ぐらしの醍醐味です。

秋の風物詩

松谷初美(下地・高千穂出身)

 宮古にはたくさんの渡り鳥がやってくるが、白露の頃に宮古にやってくるのは、アカハラダカ。サシバより小柄なタカだ。宮古野鳥の会によると今年は230羽、観測されたとのこと。いつまいゆすか いきゃらふとぅあーどうり(例年より少ないそうだ)。

 そして、寒露の頃にやってくるのが、サシバ(タカ)だ。宮古では、渡り鳥の中で、一番身近な鳥といえるかもしれない。

 ばんたが やーぬ つかふん(うちの家の近くに)松林がある。近くには、似たような松林が何か所かあったが、今は2か所だけである。

 私が子どもの頃、この松林には、やまかさ(たくさん)サシバが舞い降りた。最近知ったことだが、久松からカザンミ辺りは、サシバがよく飛来する場所として知られていたらしい。あんちーやらばど(どおりで)我が家には、捕獲したサシバがたくさんいたわけだ。(世界保護鳥のサシバは、現在、捕獲が禁止されている)

 んきゃーん(昔)から、サシバと深いかかわりを持ってきた宮古には、
サシバにまつわる歌や言い伝えが残っている。

◎くがつん まいふう タカがまどんま すっつあ しっしど とぅび まい ふう
 (旧暦9月に飛来するサシバは毎年季節を知って飛んでくる)

◎くがつん まいふう タカがまどんま すまぬばん むらぬ ばんちど ぬくいあむぬ どうたいまい すまぬ ばんちど  ぬくらじてぃ
 (旧暦9月に飛来するサシバは、島や村を守るために居残る自分たちも島や村を守るために頑張ろう)

◎すつぬ といがまどんま むどっち みいらいすが どうぬ ふっふぁんみゃ のーちが みいらいんが
 (その季節になるとサシバは必ずみられるが 死んだ我が子はどうしてもどってこないのか)
 *『いらぶの自然』動物編 「サシバと伊良部」(久貝勝盛著)より

◆「タカ(サシバ)とカエル」
 昔、タカとカエルは大の仲良しでした。ある日、ふとしたきっかけでタカとカエルは狩俣の西平安名崎までかけっこをする事になりました。この勝負には、酒一升と魚一匹がかかっていました。カエルはそのままではタカに負けるにきまっています。そこで宮古中のカエルたちを呼び集め、協力をお願いしました。カエルの作戦というのは、出発点から決勝ゴールまでの間に何メートルかおきに仲間のカエルたちを配置して勝負にいどもうというものでした。結局、カエルの知恵でタカは負けてしまいました。ところが、タカは酒代がなかったので、3ヶ月間まってくれるようたのみました。しかし、3ヶ月たっても酒代がつくれませんでした。そのうちに秋も終わり、タカは自分の生まれ故郷に帰ってしまいました。それで、宮古島のカエルたちは酒代をいつもってクルカークルカーとないている、といいます。
 *『サシバを追う』久貝勝盛著より

■サシバについて書かれている本など
・『宮古の自然と文化』宮古の自然と文化を考える会発行「宮古諸島におけるサシバの秋の渡り」久貝勝盛
・『サシバ日和』謝花勝一
・『宮古野鳥の会 40周年記念誌』 宮古野鳥の会
・『サシバ舞う空』石垣幸代・秋野和子/文 秋野亥左牟/絵
・『宮古島市総合博物館紀要』第19号
 「国内・国外におけるサシバの秋の渡りルートについて」久貝勝盛
                       
 もうすぐ寒露(10月8日)。今年もサシバの飛来を楽しみにしている。

◇あの話をもう一度

ひさぼう(平良・西仲出身)

「ミャークフツ講座 助詞編2」 vol.85 2004/10/7

 助詞「が」と「の(ぬ)」の使い方

 ミャークフツの場合、「が」は、GA と発音されて、共通語と同じであるが、「の」は、NO の O が U となって、NU「ぬ」と発音される。したがって、共通語の「の」はミャークフツでは、「ぬ」となる。

 さて、ミャークフツの場合、所属・所有関係を表わす「が」と「ぬ」は、その前に来る名詞・代名詞によって、どちらを使うか決まってくる。 例えば、「わたしの子供」は、「ば が っふぁ」とは言っても「ば ぬ っふぁ」とは言はない。逆に「天の星」は「てぃん ぬ ぷす」とは言っても「てぃん が ぷす」とは言はない。 さらに、この区別は、「が」と「ぬ」が、主語を表わす場合も出て来る。
 これを、グループに分けると、次のようになる。

1.「が」と言う、グループ。※( )の中は、ミャークフツのローマ字表記

 ◆一人称、二人称、三人称、不定称 
 (例)
  私の(BAGA)本、君の(UVAGA)本、彼の(KAIGA)本、誰の(TO-GA)本
  ※ 共通語の例 わが母校、君が代、鬼が島など文語的表現
 ◆人名
 (例)
  太郎の(TARO-GA)本、花子の(HANAKOGA)本
 ◆兄、姉、父母、祖父母など
 (例)
  兄の(AZAGA)本、姉の(ANNGAGA、NE-NE-GA)本、父の(UYAGA、OTO-GA)
  本
 ◆これ(KUI)、それ(UI)、あれ(KAI)
 (例)
  これの(KUIGA)主(NUSU)、それの(UIGA)主、あれの(KAIGA)主

2.「ぬ」と言う、グループ。
  大ざっぱに言うと、上の例以外は、全部「ぬ」と言う。

 ◆身体、自然、動物、植物、
 (例)
  目のくそ(MI-NU FUSU)、山の上(YAMANU UA-BI)、馬の糞(NU-MANU 
  FUSU)
 ◆神(KANM)、魔物(MAZUMUNU)、
 (例)
  神の助け(KANM NU TASUKI)、魔物の住みか(MAZUMUNU NU YA-)
 ◆人名以外の固有名詞
 (例)
  日本の旗(にほんNU PATA)、トヨタの車(トヨタNU くるま)、秋田の
  米(あきたNU MAZZ)
 ◆子供、弟、従兄弟、親戚など
 (例)
  子供の家(FFANU YA-)、従兄弟の家(ITUFUNU YA-)、親戚の家(UTU
  ZANU YA-)
 ◆この、その、あの、どの  ここの、そこの、あそこの、どこの
 (例)
  この(KUNU)、その(UNU)、あの(KANU)、どの(NNJINU)、ここの(K  UMANU)、そこの(UMANU)、あそこの(KAMANU)、どこの(NNZANU)

3.ミャークフツは、「が」と「の(ぬ)」を、上のように使い分けている。
  これからすると、「豆の花」は、MAMI NU PANA となるはずである。と
  ころが、宮古民謡「豆が花」では、はっきり MAMI GA PANAと歌ってい  る。これは、どういうことか。

(1)民謡「豆が花」の歌詞は、次のようになっている。
  朝ぬ豆が花よ サーサー
  明きしゃるぬ 露が花よ イラユシ 
  イラユシマーヌ 露が花よ
日常の、会話では、「豆の花」は、MAMI NU PANA であって、MAMI GA PANA ではない。なぜなら、例えば、豆と同じような次のことばを言い比べてみる。
  大根(UPUNI)の葉 ⇒ UPUNI NU PA―  × UPUNI GA PA―
  ざうかにの種 ⇒ ZAUKANI NU TANI   × ZAUKANI GA TANI
  大豆の花   ⇒ DAIZU NU PANA    × DAIZU GA PANA

(2)また、「が」と「ぬ」は、所属、所有関係を表わすほかに、次のような言い方 NU→ NUDU、GA→GADU で主語を表わす。
 「ぬ」のグループ
  大根の葉が枯れている ⇒ 大根 NU 葉 NUDU 枯りうズ
  ざうかにの種が落ちている⇒ ざうかに NU 種 NUDU 落ちうズ
  大豆の花が咲いている ⇒ 大豆 NU 花 NUDU 咲きうズ
 「が」のグループ
  太郎が本を読んでいる ⇒ 太郎 GADU 本ぬ読みうズ 
  母さんが笑っている ⇒ あんな GADU あまいうズ

(3)これらの例から、「豆が花」なら、「豆の花が咲いている」は、
 豆 GA 花 GADU 咲きうズ となるはずである。しかし、日常会話では、豆 NU 花 NUDU 咲きうズ と言う。

(4)以上のことから、「豆が花」という言い方は、歌詞のリズムとか、ことばの調子を整えるため、あるいは、後ろの「よ」という感動詞とのつながりで「が」になっていると思われる。

4.ミャークフツの「が」と「ぬ」の使い分けは、共通語にもあるのか、調べたところ、「古語辞典」(小学館 中田祝夫編)に次のように書いてある。「一般に、代名詞・固有名詞には「が」が付き、普通名詞には「の」が付く。多く官職名(普通名詞)を用いて人を表わしたから、本名など固有名詞を用いるのは、身内や目下の場合で、「が」に親愛または軽視が、感じられる・・」 また別の辞典では、この区別は、中世末期まであった、とある。これで見ると前に挙げた、自分を中心にした身内グループには「が」を、その外のグループには「ぬ」を、という使い分けと大体同じに思える。

 ばんたが宮古では、奈良・平安時代の「が」と「の(ぬ)」の使い分けを、未だにやっているわけである。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

 台風18号で八重山地方は大きな被害(キビなど)を受けたようですね。お見舞い申し上げます。それにしても先月は台風が多かった。んにゃ じょうぶん(もう十分)。もう来ませんように!

 第14回宮古島市民総合文化祭(展示の部他)が今月25日から始まります。その準備でバタバタしています。今年も児童・生徒の部と合同、中学校総合文化祭(展示の部)と同時開催します。詳細は次号でお知らせしますね。ぜひ、JTAドームんかい んみゃーちよー(お越しくださいね)

 一昨日、知ったことですが、このメルマガの発行元のmela!が来年1月をもってサービスを停止するということです。あがんにゃよーい!突然のことでこの後、どのようにしたら良いのか頭が まぐまーりて(混乱して)います。違う発行元を使っていければと思っています。決まり次第、お知らせしますね。

 さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

 前回の友利さんに続いて、ニューフェイスの下地茜さん登場です。パチパチパチ!宮古に帰ってきて2年半だそうです。宮古の自然を愛おしんでいるのがよく伝わってきました。宮古の季節の移ろいもまた味わい深いものがありますよね。茜さんは、昭和54年、城辺保良の出身です。くま・かまライターの郁乃さんが繋げてくれました。今後のお話もどうぞ、お楽しみに!よろしくお願いします

 季節の話題繋がりで、サシバの話を。自分が書いたのを調べてみたら、過去2回(もっとあるような気がするが)サシバについて書いていました。それだけ気になる存在なんでしょうね。久貝勝盛先生の資料に、だいずお世話になりました!たんでぃがーたんでぃ。

 あの話をもう一度は、ひさぼうさんの「ミャークフツ講座助詞編2」をお届けしました。「が」と「の(ぬ)」について無意識に使っていますが、ちゃんと法則があるということがよく分かりますね。何度でも読み返したいひさぼうさんの講座です。

 貴方の感想もぜひお寄せくださいね。まちうんどー(待っていますよ〜)
 投稿もお気軽にお寄せください。

 今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー。
 (今回も最後までお読みくださりありがとうございました)

 次号は、10月17日(木)の発行予定です。
 あまいとぅ ばらい の一日でありますように! あつかー、またいら〜。