第2章 – マイナスのクセと人間関係
第1節 マイナスのクセが生まれる理由
マイナスのクセを知ることから始める
完璧な人間は、どこにもいません。
誰にでも、考え方や行動にマイナスのクセがあります。
人と比べて落ち込んでしまう。
断られることを必要以上に怖がる。
失敗する前から「きっとうまくいかない」と考える。
大切なものを失うことが怖くて、行動できなくなる。
こうしたクセを持っていること自体が、悪いわけではありません。
大切なのは、自分にどのようなマイナスのクセがあるのかに気づき、それを手放そうとすることです。
マイナスのクセをそのままにするのか、向き合って変えていくのかによって、これからの未来は大きく変わります。
まずは、自分の中にあるクセを知ることから始めてみてください。
マイナスのクセは過去の傷から生まれる
マイナスのクセの多くは、過去に傷ついた経験が、解決されないまま残っていることから生まれます。
人は傷つくと痛みを感じます。
その痛みが心の中に残ると、やがてトラウマとなり、同じ苦しみを繰り返さないための考え方や行動が身についていきます。
それが、マイナスのクセです。
本当は自分を守るために身につけたものだったとしても、長い間抱え続けていると、今度はそのクセが自分の行動を制限するようになります。
傷つきたくないから、人と深く関わらない。
失いたくないから、新しいものを手に入れようとしない。
失敗したくないから、挑戦しない。
過去の自分を守るために生まれたクセが、未来へ進む自分を止めてしまうのです。
マイナスのクセを手放すには努力が必要
長い時間をかけて身についたクセを手放すには、努力が必要です。
自分の魂や心と向き合う作業は、決して楽なものではありません。
思い出したくなかった記憶がよみがえったり、見ないようにしてきた感情と向き合わなければならなかったりすることもあります。
苦しく、つらく、孤独に感じることもあるでしょう。
それでも私は、向き合った分だけ、人は幸せになれると考えています。
宇宙は、陰と陽のバランスによって成り立っています。
苦しい思いをしたからこそ、その経験を乗り越えた先で、今までとは違う幸せを受け取ることができるのです。
自分の魂と心に目を向け、傷ついた部分を癒してあげてください。
記憶を少しずつ掘り起こし、マイナスのクセがどこから生まれたのかを探してみましょう。
私を苦しめていた焦燥感と喪失感
私は、物心がついたころから、理由のわからない焦燥感と喪失感に悩まされてきました。
いつも何かに追われているような気持ちがする。
何かを失ってしまうのではないかと、不安になる。
十分に持っているはずなのに、足りないと感じる。
その感情が、いったいどこから生まれているのか。
私は何度も自分の魂に問いかけました。
すると、そのたびに「3歳」という年齢が浮かんできました。
けれども、3歳のころの記憶なんて、簡単に思い出せるものではありません。
何度問いかけても答えにたどり着けず、途中で諦めることを繰り返していました。
3歳の私に起きていたこと
何度も魂に問いかけているうちに、ある日、3歳のときに祖父が亡くなったことに気づきました。
そのことに気づいた瞬間、閉じ込められていた記憶が一気によみがえってきたのです。
祖父は、私のことをとてもかわいがってくれていました。
いつも愛情を注いでくれていた、大切な存在でした。
その祖父が、ある日突然いなくなったのです。
3歳だった私は、「死」というものを理解することができませんでした。
大好きな人がいなくなった理由も、もう会えないということも受け止められず、悲しみや不安の中に取り残されてしまったのだと思います。
そのとき、私の心だけではなく、魂も深く傷ついたのでしょう。
説明されなかった死
もしあのとき、
「おじいちゃんは、お星さまになったんだよ」
「いなくなったのではなく、お空へ帰ったんだよ」
と誰かが伝えてくれていたら、私は祖父の死を少し違った形で受け止められたかもしれません。
「そっか。おじいちゃんは、星になったんだ」
「お空に帰ったから、ここにはいないんだ」
幼いなりに納得できていれば、魂がそこまで傷つくこともなかったのではないかと思います。
けれども、おそらく祖父の死について、私はきちんと説明されないままになっていました。
祖父が亡くなった直後に、妹が生まれたからです。
母は生まれたばかりの妹の世話で忙しく、私の気持ちにまで目を向ける余裕がなかったのでしょう。
大人になった今なら、その状況を理解できます。
母も、決して私を傷つけようとしたわけではありません。
けれども、3歳の私には、そんな事情はわかりませんでした。
「失うことが怖い」というクセ
大好きだった祖父が突然いなくなった。
その直後、母は妹の世話にかかりきりになった。
幼い私は、
「大切な人は突然いなくなる」
「自分が愛されていても、その愛は失われる」
「自分より大切な人が現れたら、置いていかれる」
と感じたのかもしれません。
それ以来、私は何かを失うことを、とても怖がるようになりました。
これが、私のマイナスのクセの一つになっていたのです。
大切なものを持つことは、失う可能性を持つことでもあります。
だから私は、人や物、お金や仕事を失うことに対して、必要以上に強い不安を感じるようになりました。
人と深くつきあえない理由
私は、友だちをつくることも得意ではありません。
宮古島という小さな島で生まれ育ちましたが、小学校、中学校、高校の同級生で、今も付き合いが続いている友だちはほとんどいません。
人と深くつきあうことが、怖かったのだと思います。
親しくなればなるほど、その人を失ったときの悲しみも大きくなります。
嫌われるかもしれない。
離れていくかもしれない。
誘っても断られるかもしれない。
そう考えると、自分から人との距離を縮めることができませんでした。
ただ、一人だけ、大人になってから再会し、今も仲良くしている小学校の同級生がいます。
私は、自分のマイナスのクセを手放すために、意識して自分から連絡を取るようにしています。
「断られるのが怖い」を乗り越える
自分のマイナスのクセに気づく前の私は、誰かを誘うことができませんでした。
断られるのが怖かったからです。
もし断られたら、
「やっぱり私は必要とされていない」
「やっぱり人は離れていく」
「やっぱり大切なものは失われる」
という焦燥感や喪失感が出てくるのではないかと思っていました。
その感情を味わいたくないために、最初から誘わないという選択をしていたのです。
けれども今は、自分が幸せになるために、少しずつ行動を変えています。
断られる可能性があっても、自分から声をかける。
返事がすぐに来なくても、不安になりすぎない。
人との関係を失うことばかり考えず、今あるつながりを大切にする。
小さな行動ですが、その積み重ねがマイナスのクセを手放すことにつながっていきます。
お金を失うことへの恐怖
私の焦燥感と喪失感は、人間関係だけではなく、お金にも強く表れていました。
貯蓄が少なくなると、不安で仕方がなくなるのです。
車の買い替えや子どもの進学などで、まとまったお金が必要になることがあります。
お金が出ていくたびに、私は大きな喪失感と焦燥感に襲われました。
仕事が減ったときにも、同じ感情が出てきます。
ずっと働き続け、貯蓄が増え続けていなければ、安心できませんでした。
けれども、どれだけ貯蓄が増えても、失うことへの恐怖はなくなりません。
なぜなら、問題はお金の額ではなく、私の中にあるマイナスのクセだったからです。
不安が現実に投影された
事業をしていたころ、私は実家への援助もしていました。
「この商売がうまくいかなくなったら、子どもも親も、みんな共倒れになる」
私はいつも、そのような不安を抱えていました。
毎日、焦燥感と喪失感に襲われながら、必死に働いていたのです。
そして最終的に、事業はうまくいかなくなり、私は多くの借金を抱えることになりました。
そのとき私は、
「ほらね。やっぱり、こうなった」
と思いました。
心のどこかでずっと思い描いていた、最悪の未来が現実になったように感じたのです。
私の中にあったマイナスのイメージが、現実に投影されたのだと思いました。
マイナスのクセが、その現実を引き寄せたと言っても、過言ではないでしょう。
宇宙にあるマイナスの星のかけらを、自分の不安によって引き寄せてしまったのです。
マイナスのクセは魂の働きを妨げる
マイナスのクセが強くなりすぎると、魂からのメッセージを受け取りにくくなることがあります。
魂が、
「こちらへ進んだほうがいい」
「もう少し休んだほうがいい」
「この人を信じても大丈夫」
「今こそ挑戦するときだよ」
と伝えていても、マイナスのクセがそれを否定してしまいます。
「どうせ失敗する」
「また裏切られる」
「きっと悪いことが起きる」
「動かないほうが安全だ」
こうした思い込みが強くなると、魂の声よりも、不安や恐怖の声のほうが大きく聞こえるようになります。
マイナスのクセが、魂の自由な働きを妨げてしまうのです。
人を責める感情も魂を傷つける
魂の働きを妨げるのは、考え方のクセだけではありません。
マイナスの感情や気持ちも、魂を傷つけます。
「私が不幸なのは、あの人のせいだ」
「自分が苦しいのは、環境が悪いからだ」
「生まれた家が悪い」
「結婚相手が悪い」
「職場が悪い」
「学校が悪い」
つらいことが起きたとき、誰かのせいにしたくなることがあります。
人を責め、憎み、恨むことで、自分を守ろうとすることもあるでしょう。
けれども、その感情を抱え続けると、最も深く傷つくのは自分の魂です。
誰かを憎んでいる間、心の中ではその人との関係が続いています。
恨みを手放せない限り、その人に自分の感情を支配され続けることになるのです。
魂は痛みを感じなくても傷つく
魂そのものには、人間のような痛みの感覚はありません。
けれども、魂はとても傷つきやすいものです。
前の章で、魂を小さなスワロフスキーの粒が集まった塊としてお話ししました。
マイナスのクセや感情が強くなると、その美しい塊に少しずつダメージが加わります。
スワロフスキーの粒が、一粒、また一粒と、ポロポロ剥がれ落ちていくようなイメージです。
もともとはきれいな球体だった魂が、少しずついびつな形になっていきます。
表面に黒い穴が開き、なめらかに転がることができなくなる。
本来自由に動けるはずの魂が、傷によって動きを妨げられてしまうのです。
魂はいつからでも修復できる
マイナスのクセは、できるだけ少ないほうが、魂は自由に働くことができます。
そのためには、自分の考え方や行動のクセを少しずつ変えていく必要があります。
すぐにすべてを変えようとしなくても構いません。
まずは、
「どうして私は、こんなに不安になるのだろう」
「この怖さは、いつから始まったのだろう」
「本当は、何を失うことを恐れているのだろう」
と、自分に問いかけてみてください。
原因に気づくだけでも、魂の修復は始まります。
どれほど深く傷ついていたとしても、手遅れになることはありません。
魂は、いつからでも修復できます。
「私が大事」
「私の魂が大事」
「これからは、自分を傷つける考え方を手放していこう」
そう自分に話しかけながら、小さな行動を始めてみてください。
マイナスのクセを手放すことは、過去を否定することではありません。
これまで自分を守ってくれたクセに感謝しながら、もう必要のないものを少しずつ手放していくことです。
その一歩が、魂の自由を取り戻し、これからの未来を変えていくのです。
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