お葬式の靴のマナー
お葬式に参列することになった場合、多くの人が困るのは「靴」なのではないでしょうか。手持ちの靴を出して、「これはお葬式に履いてもいいのか」と悩む人も多いでしょう。お葬式における身だしなみは「黒色」で揃えるのが基本ですが、黒色以外にも気を付けるポイントがあります。
たとえば、「金具が付いている靴」「エナメル素材の靴」はお葬式ではマナー違反になります。今回は、弔事ではどのような靴がNGなのか、その特徴について細かくご紹介します。最後までお読みいただき葬儀マナーとしてお役立てください。
男女別 お葬式の靴のポイント
お葬式に履いていく靴は「黒色なら何でも良い」というわけではなく、形や素材なども気を付ける必要があります。お葬式用として新しく買いそろえる予定の方は、どのような靴がお葬式用として最適なのか確認しておきましょう。
男性は「黒色」「羽根」「直線状の模様」
男性用のフォーマルシューズのポイントは、「黒色」「羽根」「直線状の模様」です。それぞれについて、以下でご紹介します。
1.黒色のシューズ
お葬式に参列する際の身だしなみは、黒を基調とした地味な装いを意識します。喪服はもちろん、靴も黒色のものを選びましょう。落ち着いた色合いであっても茶色や紺色などは、お悔やみの場で浮いてしまうことがあります。手元に黒い靴がない場合は、万が一に備え1足用意しておいても良いかもしれません。
2.「内羽根」と「外羽根」
羽根とは、靴の紐とその周りの部分のことを指し、喪服に合わせる場合はこの羽根の部分が内側に繋がっているタイプを選びます。反対に「外羽根」は、靴の紐の部分が外側に開いているタイプです。一般的にビジネスシューズとして販売されている靴は、ほとんどが外羽根の形となっています。
3.直線状の模様「ストレートチップ」
お葬式の靴は、内羽根以外にも特徴があります。それは、靴先と甲の間の縫い目が直線状になっているストレートチップという模様です。ストレートチップのビジネスシューズは、主に冠婚葬祭の場で使用することが多いです。
磨きすぎに注意
お葬式に参列する前に、靴の状態を確認しておきましょう。長い間保管していると、靴の表面が傷んでいることが多くあります。必要なら靴クリームで補修したりホコリを拭き取ったりしましょう。そのときに気を付けたいのが、ピカピカに磨き上げてしまうことです。ツヤの出やすい素材を必要以上に磨くと、光沢が出てしまいます。お葬式では、光るものを身に着けるのはNGなので気を付けましょう。
派手なデザインの中敷きも注意
意外と忘れがちなのが、中敷きの存在です。セレモニーホールなどは、椅子に着席することが多いですが、寺院斎場の場合は和室の部屋で葬儀が執り行われることが多くあります。
スポーツタイプで少し派手なデザインの中敷きなどを入れている場合は、脱いだときに悪目立ちしてしまうので、履く前に確認しておきましょう。中敷きが必要な場合は、一時的に黒いタイプもものを用意しておくのがおすすめです。
女性は「ヒールの高さ」と「トゥのデザイン」に注目
女性は黒いパンプスが基本です。ポイントとして「黒色」「ヒール」「トゥのデザイン」がありますので、以下で詳しく解説します。
1.ヒールの高さは5cm前後
ヒールは3~7cmくらいの高さがあるのが望ましいです。高いヒールや歩くとコツコツと音が大きくなるヒールは避けましょう。また、ヒールが全くないシューズはカジュアルな雰囲気が出ることもありますが、高すぎるヒールに比べると許容範囲といえるでしょう。
2.トゥのデザインは「ラウンドトゥ」がベスト
パンプスのつま先(トゥ)には5種類ほどの形があります。以下でトゥの形と特徴を表にまとめたので参考にしてください。
トウの形 | 特徴 |
スクエアトゥ | つま先が四角い形 |
ラウンドトゥ | つま先のデザインは丸みがある |
ポインテッドトゥ | つま先が尖っている |
アーモンドトゥ | ポインテッドトゥとラウンドトゥの間のデザイン。靴先がアーモンドのように尖っている。 |
オープントゥ | つま先が開いている靴 |
お葬式用として選ぶのなら、ラウンドトゥが最適です。反対に、マナー違反となるのが、つま先が尖っている「ポインテッドトゥ」やつま先が開いている「オープントゥ」です。カジュアルな雰囲気が出る靴はNGとなります。
子どもは「清潔感」があればOK
小さなお子さんはフォーマルシューズを持っていないことが多いです。成長に伴い靴はすぐにサイズアウトしてしまうため、わざわざフォーマルシューズを買うのはもったいないと思うお母さんも多いでしょう。お子さんの場合は、大人と違って細かな決まりはありません。普段履いているスニーカーでも、汚れなどを拭き取っているのであれば履かせても問題ないでしょう。
ただし、歩くと音が鳴ったり、ピカピカと光タイプの靴は避けましょう。真っ赤な靴なども少し目立ってしまうため、可能であれば地味で落ち着いた色の靴を選びましょう。
お葬式にはNGとされる靴
ここからは、お葬式にはふさわしくないとされる靴をご紹介します。手持ちの靴を履いて行ってもよいか悩んだ場合は、参考にしてください。
茶色など黒以外の靴
黒以外のブラウンやネイビーの靴などはお葬式にはNGです。落ち着いた色味であってもお葬式には適さず、マナー違反となるので気を付けましょう。
金具がついた靴
ビジネスシューズで金具の付いたタイプがありますが、こちらもお葬式の靴としては適しません。光に反射するデザインの靴は、カジュアルさが出てしまうため、お悔やみの席では避けるのが無難でしょう。
リボンが付いた靴
黒以外のリボンが付いている靴は、お葬式には悪目立ちしてしまいます。しかし、黒地のリボンで、ワンポイント程度なら問題ありませんが、やはり無地で飾りのないシンプルな靴を選ぶようにしたいです。
エナメル素材の靴
黒いパンプスであっても、カジュアルな雰囲気になるエナメル素材のものは避けましょう。男性用の靴でも解説しましたが、磨きすぎて光沢を出すのも良くありません。
動物の素材でできた靴
殺生を連想させる動物素材の靴はお葬式ではNGです。具体的にどのような素材があるのか以下でご紹介しましょう。
- スェード…子羊・子牛の皮の裏面を加工したもの
- クロコダイル…ワニの皮
- ベビ柄…ヘビの皮を使用したもの
- シープスキン、ラムスキン…羊や豚の皮
- ハラコ…牛の胎児の皮
このような素材が使われている靴は、マナー違反となりますので注意しましょう。
ローファーやストラップはOK
男性はビジネスシューズ、女性はパンプスが最適ですが、学生の場合はローファーなどで参列しても問題ありません。また、パンプスにストラップが付いているタイプもシンプルならマナー違反になることはありません。
靴だけでなく靴下の丈やストッキングにも気を付ける
意外と見落としがちなのが、靴下やストッキングです。見えない部分にも気を配りましょう。女性の場合、ストッキングの色も葬儀マナーとしては大切です。
- 肌色のストッキング
- 膝上の丈のストッキング
- 分厚い黒いタイツ
などは避け、黒い薄手のストッキングを用意します。和室で執り行われることがあるため、靴下やストッキングに穴が開いていないかも確認しておくと安心です。いざという時のために、予備のストッキングを持ち歩いておくと心強いですね。
まとめ
今回はお葬式の靴マナーについてご紹介しました。黒い色なら何でも履いていいというわけではなく、さまざまなルールがあります。お葬式などの悲しみの場では、参列者の視線は下に行きがちです。喪服同様に靴やストッキングなどにも気を配り、マナーに合った正しい装いでお葬式に参列しましょう。