四十九日は前倒しできる
故人が亡くなってから49日目にあたる「四十九日」は、閻魔大王の審判を経て仏様の下へ向かう大切な日とされています。また、法要を執り行い仮のご位牌から魂を移す必要もあることから、もちろん遺族にとっても重要といえるでしょう。
一方、仕事の都合などで日程通りに進められないケースもありますが、結論として四十九日の前倒しはできます。ただし、いくつかの注意点を押さえておかなければ、故人に対して失礼となってしまう可能性もあるため、本記事で詳しく確認しておきましょう。
法要日程の数え方
前倒しの注意点を解説する前に、四十九日の数え方を確認していきます。その後の一周忌や三回忌についても触れるため、きちんと押さえておきましょう。
四十九日法要
日程の数え方といえば特定の出来事が発生した日を0とし、翌日から1日ずつカウントしていくのが一般的でしょう。しかし、四十九日においては命日を1日目として数えなければなりません。
あらかじめ知っておかなければ、本来の四十九日の翌日に法要を行ってしまう可能性もあるため、今後の教養としても把握しておいた方が良いでしょう。
一周忌以降の法要
四十九日法要を無事に執り行った後は、一周忌や三回忌といった年忌法要を実施することになります。ただし、年数の数え方が少々独特となっているため、あわせて覚えておくのがおすすめです。
まず一周忌に関しては故人の命日から満1年であることから、比較的分かりやすいかもしれません。しかし、三回忌は満2年、七回忌は満6年と定義されており、名称のまま認識していると全てがズレてしまうでしょう。
覚え方のコツとしては、三回忌以降は法要の名称から「1を引く」のがおすすめです。もし不安な場合は葬儀社や檀家となっているお寺の住職へ聞いてみてください。
四十九日を前倒しする時の注意点とは
ここからはさっそく、四十九日を前倒しする際の注意点を解説していきます。
いずれも故人を天界へ送り出すには大切なマナーであるため、ぜひ参考にしてください。
基本的に五七日法要の後に行う
五七日法要とは、故人が亡くなってから35日目に執り行う儀式であり、7日ごとに行われる閻魔大王の裁きが少しでも良い結果となるよう、遺族が祈りを捧げるものです。
そして、前倒しの日程は五七日法要と四十九日の間に設定する方が好ましいことから、実質的には2週間内に四十九日法要のスケジュールを組まなければなりません。
ただし、地域によっては葬儀と同じ日に繰り上げるケースもあるため、どうしても遺族や参列者の予定が合わない時はさらに早い日程でもマナー違反という認識はされないでしょう。
後ろ倒しは避ける
前倒しはスケジュール自体を変更する意図があるため、マナーを知らなければ後ろ倒しにしてしまうかもしれません。しかし、先ほど触れた通り四十九日は故人が天界に旅立つ日であることから、仏となった後に法要を行うのはNGとされています。
そのため、どうしても予定が合わない場合は必ず四十九日前の日程に調整するように注意してください。
三月またぎは気にしなくても良い
四十九日は月の13日を過ぎてから故人が亡くなると三ヶ月をまたぐことになり、人によっては縁起が悪いとして前倒しを希望するケースもあります。その理由としては「始終苦(四十九)労が身(三)に付く」という語呂合わせが由来となっており、故人の安寧を邪魔してしまうイメージがあるからです。
ただし、仏教の教えによって定義されているわけではなく、そもそも故人の命日ばかりはコントロールしようがありません。さらに、マナーというよりゲン担ぎの意味合いが強いことから、前倒ししなくても特に問題はないでしょう。
そのため、たとえ三月またぎになるとしても、本来必要のないリスケジュールを行うほどの必要性はありません。
曜日は気にする必要がない
四十九日法要の日程に関して、曜日に関するマナーは存在しません。そのため、参列者や遺族が集まりやすい日程を選ぶと良いでしょう。
ただし、セレモニーホール等は土日に予約が埋まってしまうケースが多いため、そういった点に注意しつつ検討する必要はあります。
六曜は考慮しない
古来中国から伝承した風習として、大安や仏滅、赤口といった六曜は今でも重要視されています。たとえば、友引は「友を引き込む」という意味を持っていることから、結婚式には好ましく、葬儀においてはNGです。
ただし、四十九日は故人の旅立ちを祈り、参列者同士で思い出を語り合う場でもあるため、基本的に六曜を考慮する必要はありません。したがって、こちらも曜日と同様集まりやすい日を優先して選ぶと良いでしょう。
初七日の前倒しとは
四十九日と比較すれば執り行うケースは減少してきていますが、初七日の前倒しについても解説していきます。正式には繰上法要と呼ばれているため、マナーの一環として覚えておきましょう。
式中初七日
式中初七日は、別名「繰込み初七日」とも呼ばれており、葬儀の一環として法要を執り行う形となります。宗派や葬儀社によっては受け付けてもらえないケースもありますが、あらためて会場を確保する必要がなくなるでしょう。
一方、参列者にとっては通常の流れよりも長く拘束されてしまうことになるため、その点も考慮しながらセッティングしてください。
参考までに、基本的なタイミングは葬儀と出棺の間とされています。
戻り初七日
葬儀の日に執り行いたい一方、あまり参列者の負担を増やしたくないという場合は、戻り初七日の方が適しています。別名繰上初七日とも呼ばれており、火葬の後にご遺骨を迎えてから、故人の親族のみが同じ葬儀場へ戻って実施する流れです。
一方、こちらも葬儀社等によっては断られる可能性がある点には注意してください。
まとめ
本記事では四十九日法要の数え方と前倒しの際に注意するべきポイント等を解説してきました。故人が仏の下へ旅立つ日でもある四十九日は、日程の数え方や五七日法要との兼ね合いも考慮しながら日程をコントロールしなければなりません。
また、葬儀社やセレモニーホールによっては、初七日に関しても葬儀と同日に前倒しできるケースがあるため、故人をきちんと弔えるよう、できる限り遺族や参列者が集まることのできる日程を選びましょう。