葬式なのに仕事を休めない?慶弔休暇の一般的な考え方とは?

一般的な葬儀について
葬式なのに休めない,慶弔休暇とは

身内が亡くなったときに、遺族は故人を見送る準備をしたり、さまざまな手続きを行います。そのため、会社や学校では「慶弔休暇」または「忌引」とよばれる休暇期間が設けられています。 今回は、慶弔休暇の中でも、身内に不幸があった場合について解説します。どのくらいの期間の休暇が認められているのか、また、慶弔休暇を申請する上での注意点などについてご紹介します。

慶弔休暇とは?

慶弔休暇とは

「慶弔休暇(けいちょうきゅうか)」とは、 お祝い事やお悔やみ事があったときに取得できる休暇のことです。学生なら校則、会社員なら各社の規定内で慶弔の休暇期間が定められています。休暇期間は故人との関係に応じて異なり、両親の場合の慶弔期間は一般的に5日前後となっていることが多いです。

お葬式なのに仕事が休めない…そんなときは?

葬式なのに仕事を休めない

繁忙期など仕事が忙しい時期に、訃報があった場合どのように対処すべきなのでしょうか。身内との突然の別れに動揺しつつも、「会社は休めない」と考えてしまう人も多いでしょう。しかし、仕事を優先させ、身内との最後のお別れを行わずにいると後悔することもあります。ここでは、仕事と葬式で悩む方はどのような行動を取ればいいのかご紹介します。

会社や周囲に相談

やはり、忌引き休暇して葬儀に駆けつけたい場合は、周囲に事情を伝え理解を得ることが1番大切です。この時に大切なのは、悩まずに少しでも早く周りに伝えることです。葬儀までの限られた時間の中で、可能な限りの打ち合わせや引き継ぎなどをお願いしましょう。意外と周囲は協力的だったりします。自分1人で抱え込まず、まずは相談をしましょう。

会社の規定を確認する

「慶弔休暇」は法律上で定められているものではありません。そのため、企業などによって導入の有無や休暇日数などが異なります。もしもの時のために、「慶弔休暇が導入されているか」、「休暇日数は何日か」など会社の規定が書いてある書類などを確認しておきましょう。

慶弔休暇を導入している企業は多い

独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成30年に行った「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」(※1)によると、企業が導入している施策の中で、「慶弔休暇制度」を取り入れている企業は全体の90.7%でした。その中で、非正規従業員にも「慶弔休暇制度」を適している企業はおよそ半数にあたる 44.3%という割合でした。ほとんどの企業が慶弔休暇を導入し、さらにその中の半分近い企業が、非正規従業員にも「慶弔休暇制度」を適していることが分かります。

また、慶弔に関する施策は他にも「慶弔見舞金」の制度があり、86.5%の企業が導入しています。ほとんどの企業が葬式の休みを認めていて、なおかつ 「慶弔見舞金」も用意してくれる企業もあります。「仕事が忙しく休めないかも…」と思っていても、慶弔休暇の制度を利用する体制は整っています。企業側が、社員やパート・バイトなどで働く人のために用意している制度なので、可能な限り利用しましょう。

※1:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生施策の実態に関する調査」

慶弔休暇の日数

慶弔休暇を取得する場合、何日間休むことが認められているのでしょうか。前述の通り、慶弔休暇は法律で決められているものではありません。企業によって取得できる日数に違いが見られることがあります。ここでは、平均的な慶弔休暇の日数をご紹介します。

亡くなったのが父母の場合

自分の父や母は「1親等」にあたる血族です。万が一亡くなった場合、慶弔休暇の期間は平均して5日前後が多いです。たとえば、土日が休日となる会社の場合、月曜日に取得すれば土日あわせて7日間の休みが認められることになります。

亡くなったのが配偶者の場合

配偶者に不幸があった場合、自分の両親と同じ「1親等」と同等の扱いになります。慶弔休暇も両親と同様、「5日間」と定められていることが多いです。

亡くなったのが兄弟の場合

兄弟の場合は、2日間が慶弔休暇の目安になります。両親や配偶者と比べ慶弔日課の日数が少なく感じるかもしれませんが、1親等と2親等の関係の違いによるものです。

国家公務員・地方公務員の慶弔休暇制度

国家公務員や地方公務員は、慶弔に関する事柄は規則で決められています。「一般職の国家公務員の休暇制度」(※2)の中で、忌引きに対する休暇は以下のように記載されていますので以下でご紹介します。

忌引親族が死亡親族に応じて連続する日数の範囲内の期間の休暇

また、「さいたま市職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例施行規則」(※3)を参考にすると、地方公務員も以下のように決められていることが分かります。

  • 配偶者等                            10日
  • 1親等の直系尊属(父母)   血族:7日、姻族:3日
  • 1親等の直系尊属(子)    血族5日、姻族1日
  • 2親等の直系尊属(祖父母)  血族3日、姻族1日
  • 2親等の傍系者(兄弟姉妹)     血族3日、姻族1日

企業だけではなく、国家公務員や地方公務員であっても慶弔に関する休暇制度は導入されていますので、万が一のときは利用することが可能です。

(※2):一般職の国家公務員の休暇制度(概要)

(※3):さいたま市職員の勤務時間、休日及び休暇に関する条例施行規則

慶弔休暇に必要な手続き

実際に慶弔休暇を申請する際、どのような手続きが必要なのでしょうか。会社によって異なりますが、一般的には上司に訃報の報告を行った後で、「弔事報告書」などを作成し、総務部など担当部署に申請します。その後、生花や電報・香典の手配、参列者の確認を行います。会社側としても手続きが発生するため、訃報が分かり次第早めに申請を行いましょう。

葬儀が終了してから

お葬式が終わり出社した際は、上司を始め関係各所に挨拶をするのが社会人としてのマナーです。香典や供花などを個人でいただいた場合は、お礼の挨拶と共に香典返しなどを渡しましょう。

訃報なので仕方ないのですが、やはり突然の休暇ともなれば周囲に少なからず迷惑をかけたことになります。余裕があれば菓子折りなどを用意しておくのもよいでしょう。

まとめ

今回は慶弔休暇の特徴や会社を休めないときの対処方法について解説しました。会社員として仕事に責任がありますが、やはり身内に不幸があった場合は一刻も早く駆けつけ、故人の旅立ちを見送る準備をしたいところです。企業などでは「慶弔休暇」に関する制度が整っていますが、周囲の理解も必要なので、相談をしながら慶弔休暇を取得する準備を進めましょう。