葬儀での生花の順番には決め方がある!基本を理解しておこう

一般的な葬儀について
葬儀での生花の順番

仏教において、花を活けるということは厳しい修行に対する誓いの証とされています。そのため、 生花は葬儀には欠かせないものの1つです。 葬儀に参列すると、ご遺族が用意した生花や関係者から届いた生花が数多く飾られていることがありますが、生花の並び方に順番などはあるのでしょうか。

今回は生花を飾る順番について解説します。併せて生花の種類や贈るときのマナーについてもご紹介するので、葬儀に関する知識としてお役立てください。

生花を飾る順番とは?

生花を飾る順番とは

葬儀に参列すると、生花が並ぶ光景を目にしたことがあると思います。この生花の順番に決まりがあるのでしょうか。ここでは、「供花」や「花輪」の順番についてご紹介します。

一般的な葬儀の場合

祭壇を中央に置き、両側を挟むように供花を飾る場合の順番については以下の通りです。

1番祭壇の右内側( 最上段 )喪主(施主)
2番 祭壇の左内側( 最上段 ) 施主(喪主)
3番1番の右側
家族・親族・親戚などの準
4番2番の左側 同上
5番中段や下段の祭壇右の内側・左の内側の順番で喪主の会社関係

基本的に祭壇に向かって右側、または祭壇に近い側が高順位になります。喪主はもちろん故人との関係が深い方、社会的な地位が高い方からの花輪や供花・供物は高順位の位置に置かれます。

社葬の場合

社葬においても、花輪や供花・供物の順番はほぼ同じで、故人から見て関係の近い順に並べます。しかし、会社関係者が多く訪れる場合は、順番が決めにくかったり、花輪や供花が届く順番によっては入れ替えが必要になることもあります。

そのため、会社関係者が多く出席する一般葬や社葬などは、生花の名前を一覧にして掲示すると「芳名板」を設置することが多いです。「芳名版」は名前順で掲示されるため、生花の到着が前後しても供花の位置を変えることなく対応することが可能です。

飾るタイミングはいつ?

通夜や葬儀が始まる前に、葬儀社と設置を行います。供花などの設置は主に葬儀スタッフが行ってくれますが、葬儀社は故人と贈り主の関係性までは分かりません。そのため、ご遺族と相談しながら花輪や供花の飾り付けを行います。

「生花」にはどのような種類がある?

そもそも、葬儀の際に見られる「生花」にはどのような種類があるのでしょうか。「供花」「花輪」「花祭壇」などについてご紹介します。

供花

故人に供えたり、ご遺族を慰める意味を持つ花を、「供花」(きょうか、又はくげ)といいます。主に祭壇や祭壇近くなどに飾られることが多いです。供花は「1基」と数えられ、同じタイプのものを2つ贈ると「1対」となります。以前は祭壇の両側に飾るため、1対で贈るのがマナーでしたが近年は1基ずつ贈る方も増えています。

供花の価格帯は15,000円~20,000程度が多く、1対になるとその倍の金額になります。仏式では菊が中心となり、黄色や紫の花でまとめられます。ただし、キリスト教の供花は白色のみでまとめます。

仏式や無宗教式の葬儀の供花菊を中心に白や黄色、紫など
キリスト教の供花白のみ

花輪

花輪は供花と同じ意味合いで、故人やご遺族のためにお通夜や葬儀の際に飾られます。 供花と花輪の違いは、 供花は個人から贈られることが多いのに対し、花輪は親戚や会社など数人まとまって贈ることが多い点です。

また、供花とは違い造花で作られている花輪もあります。地域や宗教によって異なりますが、 価格帯は15,000円前後になります。 ご遺族に余計な気遣いをさせないためには相場に合ったものを贈りましょう。

花祭壇

近年は一般的な「白木祭壇」ではなく、「花祭壇」を注文する方も増えてきました。自由葬や家族葬で執り行う場合、宗教的なこだわりも持たず好きな色の生花を使用した祭壇を用意するご遺族もいます。

  • 故人が生前、花が好きだった
  • 故人が好んでいた色がある

上記のような場合は「バラ」「カーネーション」などの淡い色の生花が使用されることが多く、祭壇を故人らしさで表します。一般的な大きさの祭壇の場合は価格帯は20万前後が多いです。花祭壇を希望する場合は、葬儀屋プランやオプションから選ぶので、葬儀屋を決める際に花祭壇が可能かどうか聞いてみましょう。

地域によって供花は異なる

西日本では、供花ではなく「樒」と呼ばれる植物を使うことがあります。樒は供花の代わりとして贈られたり、花輪のように式場入口に飾る役割を持つことがあります。また、近年は葬儀の簡略化が進み、紙でできた「紙樒」を本物代わりとして使用する場合があります。現在は生花の供花の割合も増えていますので、どのような供花を贈ればよいか心配ならご遺族や葬儀社に相談してみましょう。

その他の地域の供花の特徴は以下にまとめていますので、参考にしてみてください。

北海道や東北の一部地域花輪の中央に果物の缶詰やゼリーなどが飾られる「フルーツ花輪」
青森県の一部地域ポスターでできた「ポスター花輪」(その代わり花輪分も香典に含む)

生花や供物を贈るマナー

生花や供物を送るマナー

ここでは、供花を贈る際のマナーをご紹介します。突然、葬儀に参列する側の立場になっても慌てないように、あらかじめ確認しておきましょう。

遺族に確認して大きさを決める

近年は、少子化などの影響で葬儀の縮小化や簡略化が目立ちます。少人数で家族葬を執り行う場合は、式場のスペースが狭いことも考えられます。そのため、供花などを贈る際はご遺族に「どのくらいの大きさがよいのか」などを確認しておくことが必要です。

正確に手配する

供花を注文する場合は、個人名などに誤りがないように確認します。電話などでは聞き間違いが起こることも考えられるため、ホームページやFAXなどを利用して確実に伝わるようにしましょう。特に社葬の場合は、会社名や代表者の名前などに注意が必要です。

また、家族葬や火葬式など少人数で葬儀を執り行う場合、ご遺族から「供花・供物は辞退する」と知らされる場合もあります。その際は、ご遺族のご意向に従いましょう。

葬儀屋を通じて注文するのか、花屋から注文するのか

葬儀屋の直営式場を利用する際は、運営元の葬儀屋を通じての注文が推奨されることがあります。手配する前に、供花の注文先が指定されているかなどを葬儀屋やご遺族に確認しておくのがおすすめです。ご遺族の立場の場合も同様です。

注文する際は、名前や住所以外に「葬儀が行われる日時」「喪主名」など聞かれることがありますので、あらかじめ確認しておきましょう。花屋から注文する場合は、必ず「葬儀用」と伝えて作ってもらいます。大きさによっては式場に持参できることもありますが、花屋から配送してもらうと手間が省けるでしょう。

まとめ

今回は葬儀の際の生花の並ぶ順番、生花の種類、贈るときのマナーについて解説しました。祭壇を中心に、故人やご遺族の関係性の深さを考慮して飾られることが多いです。並べるときは失礼のないように、葬儀屋のスタッフなどと相談しておきましょう。また、贈る側としては、式場のスペースをあらかじめ確認してから贈る必要があります。ご遺族などに相談して最適な大きさの供花などを用意しましょう。