くまから・かまから Vol.29

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皆さん、お久しぶりです。くま・かま、三週間ぶりの発行です。今、宮古では葉タバコ収穫の最盛期ですね。去年がだいず(すごく)不作の年だったので、今年は豊作になりますよう願って、オトーリを回します!間違い!くま・かま始めます!

『学校がない 忍者ごっこ』

神童

今号のタイトルは、びきやらび(男の子)なら、その昔誰もが経験した遊びであるな!当時は、学校の行事があるたびに全校生徒で校内を清掃するのだがびきやらびは、鎌、ヘラ、のこぎり等を持参して、屋外の清掃をした。

清掃のあった日の下校時は、たいていのびきやらびは、鎌を持っていて、逆手に握って、忍者ごっこの始まりである。ぶーき゜(さとうきび)は、子どもが切るにはちょっと力が不足気味で、何より、キビ畑は足場が悪かった。できれば、ばそーぎー(バナナの木)があれば、格好なエモノなのだが、ばそーぎーはそれほど多いものではなかった。代わりにまんじゅうぎー(パパイアの木)をターゲットにするのだが、それも限られていた。

そこに現れたのが葉タバコの畑である。背の低い小学生向けの高さであるし、連続して切ってもマンガのようにバサバサ切れる。足場も良い。

喜々として収穫前の葉タバコを忍者よろしくバッサバッサと切り落としていく。なかなか気持ちの良いものである。畑の半分ほどの葉タバコをあぐ(同級生)と上級生と切り、きょうはこのくらいにしておこう等と言いながら帰宅したのであった。しかし・・・。

次の日登校したら、朝礼は無い日のはずなのに、何故か朝礼を行うため校庭へ集合しろとのアナウンスである。集合・整列するまで気が付かなかったが、式台の横には、切られた葉タバコがうず高く積み上げられていた。

校長先生曰く、これをやったものは正直に申し出なさい!結局、誰も申し出なかった。迷宮入りであった。

『宮古のことわざ』

〔人間ぬ肝ぁ 松ぬ 葉んどぅ 包まいす〕

ニンギンヌキィムァ
マツヌパァンドゥツツマイス

人間の心は、あの細長い松の葉に包まれるという。それだけちょっとした親切が相手の心を揺り動かすことがある。真心は相手に通ずるということだろう

『んきゃーんじゅく』 佐渡山政子/編 より

『一行詩』

菜の花

☆ っふぁぷどぅい たうきー やーんな ぱす゜とぅむぬゆん
(子や巣立ち 独居生活 蝿と語らん)

☆ つむいでぃーな ぴとぅぬやぱさー うむてぃから
(短気すな 人の良さは 顔(面)に有り)

☆ てぃだしずまば みなはーごーらぬ ぱなぬかざ
(陽や沈み 庭にゴーヤの 花香る)

『カマドおばあ』

菜の花

ふつぬやんむよーてぃー(口が痛いよーと)カマドおばあや むぬまいゆまいん。(おしゃべりもできない)だいずなういぴとぅてぃ(かなりの年寄りなので)若い看護婦は「要介助」と 看護計画をしたさー。

転ぶと危ない=トイレへの付き添い。薬の確実投与=一回手渡し内服確認。食事の配下膳。お茶のセッティングなど等。若い看護婦は、カマドおばあの介助に燃えていた。少しずつ回復するごとに、おばあの自尊心がみーぷらきぃ(目を開いて)「なんねーもう!ワジワジ(いらいら)するー」と叫び声。

あれは、うつなーふつ(沖縄方言)じゃない?おばあの部屋に行くと、おばあのみー(目)と私のみーがガッチリスクラム、、ムム?おばあが一言。「あったまきたからさー、うち もう帰るさー」理由はおばあに薬を飲むように言ったら拒否したので、更に勧めたら苛立ったらしい。

おばあの背中をなでぃーなでぃ(撫で撫で)して「でぇじやっさ(大変だよ)おばあ、薬を飲まんと治らんよー」と那覇のおばさんのうちなーぐちを真似て言ったら、おばあは「飲むさー」と薬をパクリ。若い看護婦は「何ですか今の?スーパーミラクルでしたよ。今まで絶対飲んでくれなかったのにぃ」おばあは、すまして「して、うちらは沖縄同士だのによ」と満面の笑顔。

カマドおばあは、だいずながーずー(そうとう頑固)で、そのたんびに私が呼ばれ「えー、おばあよー」とむぬゆんしに行くと「あんたねー」とまいふが(優しい)おばあに変身する。ういぴとぅ(年寄り)の同郷の者への優しさがおばあからいっぱい溢れているのだ。「うちは薬は好かんさー」と言いながらパクリと口に放り込むカマドおばあ。いつたーきまいがんずうしーぶりよー(いつまでも元気でいてね)

『編集後記』

松谷初美

皆さんに残念なお知らせをしなくてはなりません。

くま・かまのライターをしていた、のりぼーが先月、20日に亡くなりました。41歳。白血病でした。一年半前に発病し、一時は元気になったのですが、残念な結果となりました。最後の原稿は?vol.21(2002年2/7発行)「たこを取るカニ」でした。その他に vol.7(2001年7/5)「ミャークフツ講座 動物編」?vol.8(2001年7/19発行)小話「みーどぅ」などがあります。

「たこを取るカニ」では、変わっていく宮古を悲しみ、大切な人や物もやがてはなくなってしまう、無常感を書いています。

彼は私の高校生時代からの友人でした。口数の多い人ではありませんでしたが、いつもボソッとウムッシ(面白い)ことを言ったり、どぅす(友達)のためなら何でもするさーという人でした。奥さんと男の子ふたりを持つ、よき家庭人でもありました。

いつもどっしりと存在感のあった彼は、私達の記憶の中から消えるという事はないでしょう。のりぼー、いろいろありがとう。

ご冥福をお祈りします。

次回は、6月20日の予定です。