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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから Vol.28

2021 4/22
メールマガジン
2002年5月16日2021年4月22日

梅雨入りした宮古の天気は、のーしーがらやー(どうでしょうか)ぞーぞー、降りうんびゃーやー(いい具合に降ってくれているだろうか)空梅雨にならないことを願っています。

さぁ、vol.28?ぱじみっとー(始めますよ)

目次

『伊良部トーガニ ドゥカッテイ解説』

マツカニ

くまから・かまから ゆう 見ーゆう あざたぁ あんがたぁ うとぅがま ぬきゃあ のおしいりゃあー ぞうかりゅうんな
(くまから・かまから読者の兄さん、姉さん、弟妹たち、いかがお過ごしですか?)

民謡ドゥカッテイ(自分勝手)解説、今回は、二百年近く前に伊良部島で作られたという宮古島恋唄の名曲中の名曲「伊良部トーガニ」を紹介します。この唄は、恋人の男性が平良、女性が伊良部に住んでいて、男性が女性の元にサバニ(くり舟)に乗って会いにいく様子を唄った唄です。今は、フェリーで30分くらいで行ける伊良部島ですが、その当時サバニで行くとなると大変なことだったのでしょう。でも愛は海を越えるのです。

1.サーヨーイー
伊良部とぅがまあん ばいがまんなよ
ぱなりゆとぅが ばしがまんなよい
ばたす゜じいぬまあん
ゆくす゜ゆじいぬ あてあなむぬよ

(平良と伊良部との間に、離れ島との間に、渡るための休むための岩があったら良かったのに)

4.サーヨーイ
ゆうどぅりがまんな いらよ かなしゃよ
やどぅばすがまや うとくだかかりゃよい
ならんやどくゆまあん
むしるやどぅゆ さぎまちうりよ

(風もなく静かな夜は、ねぇ恋人よ 板戸を開けると 大きな音がするから 音がしないようムシロを入り口に掛けて 待っていておくれ)

この唄は9番までありますが、よく唄われている1番と4番にしました。海に隔てられても、恋こがれ胸こがして会わずにいられない二人の想いが唄いこまれています。スローな曲なので三線はそう難しくはありませんが、息継ぎや間の取り方など、なかなか難曲です。自分の恋焦がれた頃の純な心に戻って、ぜひ唄ってみてください。

『宮古のことわざ』

〔 固木ぬどぅ 折りやすかぁ 〕

クパギィヌドゥ
ブリヤスカァ

固い木はそれ相当の力を加えるとポキッと折れるが柔らかい木ほど折れにくい。自我ばかり通そうとすると失敗する。

『んきゃーんじゅく』 佐渡山政子/編 より

『ミャークフツ講座 “ん”で始まる言葉編』

松谷初美

  • んみゃーち(いらっしゃい)
  • んきゃーん(昔)
  • んぞーさ(残念)
  • んーぶ(おへそ)
  • んびゃーいん(耐えられない)
  • んなす(片付ける)
  • んーんー(よく似ている)
  • んなだ(まだ)
  • んなぴ(もっと)
  • んにゃ(本当に、全く)
  • んざ(どこ)
  • んぎゃます(うるさい)
  • んば(嫌)
  • んきぎさまち(お召し上がりください)
  • んき゜(神酒)
  • んー(芋)
  • んたぶ(いじる)

『ツトゥ(お土産)物語 第2話』

アモイ

「あがいたんでぃ、みたまりゃ、たますっさぴんぎでぃす」
(うわー、な、なんだこりゃー、ぶったまげた!!)

と言ってオジーは、ちびんかいびらきかずたー(後ろにひっくりかえった)何かにょろっとしたものが顔をめがけて飛び跳ねてきたのだ。オジーは突然の顔面襲撃を受け動転した。

そうです、サンニン葉の包みの中には、オジーの大っ嫌いなカーフナタ(ヒキガエル)が2匹ほど包みこんであり、包みを開けると同時にカエルが顔めがけて飛び跳ねたのだった。T坊はオジーがびっくりしてひっくる返るのを確認すると、「あかぞーむぬ」(しめたー、してやったり)と言って、オジーを懲らしめた喜びに歓声をあげながら逃げかえった。

オジーは、部落内でも知られた大のカエル嫌いだったのだ。苦手なカーフナタを顔面で受け、あまりのショックに口をぱくぱくさせながら「フ、フ、フナタぬツトゥぬがふぁーいぬが」(カ、カ、カエルの土産が食えるか!)と言ったとか言わないとか。

そしてT坊はこの後、この戦法を多くの人に仕掛けて殆ど成功していた。実は、私もこのT坊のいたずらにしてやられた一人なのだ。T坊は私の一つ先輩で隣の部落だった。

ある日、近所のフサカスドゥス(草刈仲間)と草刈りにいく途中でT坊にばったり会った。

「あば、はーい丁度さいが、うわたがおとうがどぅばんたがやーんきし、あんちーかんちーどう」
(おっ丁度よかった。実はおまえの親父がうちへ来ていてこれこれしかじか・・・・)

と言われツトゥをもらった。

「ぴるますむぬぅ、ういたが家ーとー、うつーうつ、うらんむぬー、のーてぃが ういたが、わーやきすん、ばんたがおとーがうーがら?」
(おかしーな、なんであいつんちとは親しくないのに豚焼きにうちの親父が?)

とドゥスと話しながらツトゥを受け取った。

「あつかーばーやーぴらっちゃー、ツトゥばー家―んかいいきってぃからあきふぁいてぃさや」
(それじゃー俺は帰るから、ツトゥは家にいってから開けるようにと言われたからな)

との言葉が添えられたが、食べざかりの子供に家に帰るまで我慢できる訳がないのだ。草刈の途中、ドゥスと二人で、

「やーすかーば、いぴったがまふぁいみーやー」
(腹減ったから少しだけ食べようよ)

と、紐をほどいてあけた瞬間

「オエー!あがいたんでぃ ふすぅふさり」
(なんてことだーうんち臭せー)

なんと中味は取れたての牛の糞だった。鼻に近づけて嗅いだ匂いは、いばかってーっすきゃーふさむぬやーたー(吐き気がするほど強烈だった)かぬがきすさぁ、ぴすとぅばたふさらし(なんだよあんちきしょう、腹たつなー)と言いつつ、してやられた悔しさを通り越して、あてぃばかすかーば、ばたぶにぬそしぃってぃーっすきやーあまいゆーたーだら(あまりのおかしさに笑い転げたのだった)

―おわり―

『編集後記』

松谷初美

沖縄が本土復帰をして、30年が経った。1972年私は、11歳だった。その日の朝、学校の先生は「みんなこの日を忘れないように」と言って記念のコインを配った。社会の時間に習った国会議事堂が近くになったような気がした。 私達の子ども時代は、アメリカの統治下にありながらも平和で、のんびりとした牧歌的な生活であった。しかし、大人たちはアメリカと日本に対して戦っていた。「沖縄を返せ」のあの歌は、私にも深く刻まれている。あの当時、子どもだった私達が今や、中堅の世代だ。私達は次世代に何を残せるのだろう。「負」の財産だけは残したくない。しかし、30年経った今も、基地は当然のような顔をしてそこにいる。怒りを握りしめ、振り上げた拳は、何回空回りをしたらいいのだろうか。

次回は、6月6日の予定です。お楽しみに!

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