みなさん、こんにちは〜。
8月も中旬を過ぎ、ぴーっちゃがま(少〜し)暑さも和らいできましたかねー。がんずぅかりうらまずな(お元気ですか)
vol.178、どうぞお楽しみくださいね。
まゆがま(猫ちゃん)日記 パート6 『ふなーりまゆがま(迷い猫ちゃん)』の巻
あば本舗(下地出身)
今年の夏は、うかーすきなり(ものすごく)暑い。日中の日差しはギラギラ。夜になると、家の中はコンクリートの放射熱でむんむん。だいっず過ごしにくい。
そんな暑苦しい日々が続く7月のはじめ。我が家の縁側に みーやみゅーん まゆぬっふぁがま(見かけない仔猫ちゃん)が出没するようになった。
薄汚れた灰色の毛。身体はやせこけ泣き声は小さすぎて聞こえない。生まれて2ヶ月目くらいだけど親とはぐれたのか?それとも捨てられたのだろうか。私は、可哀相だけど家にはハナがいるからもう一匹は飼えないなぁーと内心考えていた。
しかし、あんな(母)は、どうしても放っておけないらしく、縁側に餌を置いたり水飲み場を作ったりして甲斐甲斐しく世話をやき始めた。それが後にトラブルの元になるとも知らずに・・・。
あがぃー ゆむぬぬぷいやしってぃ う”わ ぬーしゃー たうきゃーまーりゅうりゃー?つんだらーっす(あぁ、ネズミほどの大きさなのにお前は何故ひとりでいるの?)
ふなーりどぅ まーりうす゜びゃーいら。すてぃらいたーびゃーいら。
(可哀相に、はぐれちゃったのかい。捨てられちゃったのかい。)
などと、もの言わぬ まゆがま(猫ちゃん)に話しかける。
夜など仔猫がどうしているのか気になるらしく家の周囲をそっと見回っていた。そして、私に はーぃ ちびぬ ブロックぬ ういんどぅ にっびぃうす゜どー(ねぇ、後ろのブロックの上に眠っているよ)と報告したりするのだった。
そんなこんなで、餌を食べるとサッと逃げていた まゆぬっふぁがま(仔猫ちゃん)もだんだん慣れてきた。最初は、家の中まで入ってくる事はなかったのに、いつの間にか、そろりそろりと侵入するようになってしまったのである。
そして、ハナはそれを遠くからじ〜っと みーつきて(見つめて)いた。決して仔猫に近づこうとはせず、あくまで無視しつつなにげに様子を観察している風だ。
わーみじゃか(怖がり屋)で、プライドが高いハナは内心気が気じゃないはずである?三日、四日と経つうちに、いみむぬがま(小さい方)は、どんどん慣れてきて家の中を我が物顔で歩きまわる。しかも、いつでも あんな(母)にまとわりついている。
当然のことながら、二匹の間に不穏な空気が漂い始めたが私にはどうする事も出来なかった。
今まで我が家の主役だったハナ。急に現われた いみまゆがま(小さな猫)に、その座を明け渡さなければならないのか?
あがぃんにゃ、のーがすぅでぃ!ハナ(ああもう、どうしようか!ハナ)
ジャジャジャジャ〜ン!
つづく。
お店紹介 『宮城かまぼこ屋』
松谷初美(下地町高千穂出身)
かまぼこと言えば、私にとって、長方形で波模様の線のついた薄く平べったいかまぼこ(平揚げかまぼこ)のこと。
宮古そばには必ずといっていいほどこのかまぼこの切ったのが添えてあるし、また、しーむぬ(宮古風お吸いもの)の中身として、とっても身近なものだ。
やらびぱだ(子どものころ)公設市場に行くと、このかまぼこが袋にも入れられず積まれていて、何枚ちょうだいと言って新聞紙にくるんでもらっていたっけ。
内地に来て、このかまぼこがないことに驚いた。宮古独特のものだったとは。
以前はたくさんあった、宮古のかまぼこやー(屋)も今では二軒のみとなったそうだ。そのうちの一軒「宮城かまぼこ屋」さんにおじゃました。
お店にいたのは、二代目宮城英和さん(60歳)の娘さん、可奈子さん(29歳)。色白で あぱらぎ(美人の)可奈子さんは、4年前まで東京新宿で働いていたが、子どもの頃から跡を継ぐことを考えていたそうで、現在は、ご主人の粟國博久さん(29歳)も一緒にかまぼこ屋の仕事に精を出している。
「宮城かまぼこ屋」は、先代の宮城英次郎さん(13年前に他界)が奥さんのキヨさん(90歳)と昭和35年に始めた。もうすぐ創業50年になる。英次郎さんは、若い頃は船に乗って魚を捕っていたそうで、その捕ってきた魚(グルクン(たかさご)など)をさばいてかまぼこにしていたとのこと。
現在は、グルクンもあまりとれなくなり、それだけでは足りないので、北海道産の「すけそうだら」や「いとよりだい」なども使っているそうである。(北海道産の魚で作られているとはびっくりだったが、それを宮古のやり方で作ると宮古の味になるから、ぴるますむぬ(不思議だ)。昆布と ゆぬぐー(同じ)だね)
「平揚げのかまぼこには、なぜ波模様の線が入っているんですか?」の質問に、「おばぁに聞いてみましょうね」と言って、可奈子さんは、現在も現役で仕事をしているというキヨさんを呼んでくれた。
キヨさんは90歳とはとても思えない。小柄ながら、かくしゃくとされている。「なんで線を入れたかねー、こんなにーと(中指三本で引く、しぐさをして)と指でやっていたさね。して、他のお店よりも大きく見せるために、角を盛り上げていたよ。今は機械で切るから、それはしないけどね」と懐かしそうに話してくれた。
そう、平揚げの波模様の線は、指で引いたものだったのだ。そして、こ線の数は「宮城かまぼこ屋」は3本で、お店によって違うそうだ。
「宮城かまぼこ屋」では、平揚げのほかに、紅白のかまぼこや、棒状のもの、やさいの入った「つまみあげ」、玄米や雑穀、ごぼうなどの入ったおにぎりをかまぼこでくるんだ丸い「ヘルシーかまぼこ」(違うバージョンで「いかすみ入り」も)などを作っている。
この「ヘルシーかまぼこ」は、今から20数年前に、二代目英和さんの奥さん、はるみさん(61歳)が、忙しいときに、一口で栄養が取れておいしいものができないかと考案したそうである。知る人ぞ知る商品だったらしいが、そのおいしさとヘルシーさが口コミで広がり、今や大人気商品である。一個で、お腹いっぱいになるほど中身がぎっしり詰まっていて、食べると病みつきになること請け合いだ。
宮古のお正月、じゅうるくにつ(十六日祭)、お盆には、かまぼこが欠かせない。その三大行事のひとつ、お盆が先週あった。宮城家では、早朝から家族総出で大忙し。平揚げ8千枚、白のかまぼこは千本も出たそうである。
可奈子さんは、小さい頃から家の手伝いをしていたが、今、本格的にやってみていろいろなことを思うようだ。
「おじいやおばあ、両親の苦労が分かるようになりました。魚離れが言われていますが、宮古の伝統的なかまぼこを守りつつ、新しい商品にも力を入れて、たくさんの人にかまぼこを食べてほしいです。若い人たちにも食べてもらうために、さたぱんびんの生地に魚のすり身を混ぜて、ドーナツのようなものを作ったりしているんですよ」と意欲的だ。
こちらの質問に一生懸命答える可奈子さんからは「宮城かまぼこ屋」で生まれ育った、誇りが伝わってきた。
今、かまぼこは、真空パックになっておみやげ屋さんでも買えるようになった。帰郷した人や、観光客にも人気である。
ぜひ ふぁいみーるよー(食べてみてね)
「宮城かまぼこ屋」
〒906-0013 沖縄県宮古島市平良字下里15番地
電話&FAX 0980−72−2837
代表 宮城英和
兄を想って書いた詩(12)
ワタリマリ(上野村出身)
この詩は、脳性マヒの あざ(兄)を想って書いたものです。
妹と夏休み (宿題編) 夏休みの宿題をてんこ盛りにして妹は学校から帰ってきた 今年の妹はすこし弾んだ「ただいま」だ 成績が上がっていること間違いなし ボクに通信簿を見せて じきいぬだら(あったまいいでしょう)と 得意そうにしている 図画以外はねとボクはチラッと妹を見る さあ夏休みが始まった ボクは一人でいる時間にうんざりだったので 妹の夏休みを待ち待っていた ボクには通信簿も宿題も何にもない でも夏休みっていいもんだ 妹の苦手な宿題は図画だ ボクが見ても決して上手とはいえない絵 毎度おなじみの赤ガ−ラヤー(赤がわらの家)の両脇に 大きなふく木を添えている 太陽は必ず右上 ボクは実際にはこの風景を見たことはないが 妹はどこどこの家と説明してくれる 多分そういう家があるのだろう ブロック塀にお決まりのコンクリート色をぬったら いよいよ完成 妹は完成した絵をボクに見せて じょうずか?と聞く んん(うん)とボクは笑って答える たとえ下手な絵でも ボクにとってはこれ以上ない立派な絵なんだ 妹はにいにいには宿題はないけれど これを一緒に仕上げようねと 画用紙とクレヨンをもってきてボクの側に座る きっとボクのアドバイスしたいけれどそれが出来ない思い きっとボクの描きたくてもそれが出来ない思いを感じている だからボクから見たら上手下手なんかじゃない 立派な絵が仕上がった 完成までの時間がボクにとってどれだけ楽しい時間か 幸いボクには時間だけはたっぷりある 妹の宿題にじっくり付き合ってあげられるのがボクの宿題だ 図画の宿題は共同作業なのだ 下手なもんか 母ちゃんはボクにそっと打ち明ける あちどぅ才能ぬにゃあん(とてもとても才能がないわ) 現実的だけれど妹には絶対にいえない 毎学年夏休み図画コンクールでの賞とは まったく無縁の妹だった (こわいよ〜編) 本島にいる親戚の子たちが夏休みには遊びに来る そのたびにボクはまた自分が子供たちからどう映っているのか 思い知らされる まだ幼いいとこたち その年もまだやっぱりボクは化け物だった タクシーから降りたそのいとこは 着いたところがボクの家だと分かると 自分の母親にしがみつき顔を伏せている だいじょうぶ大丈夫となだめつつ 何とか家に入れようとする母親 だが今度は門の塀に隠れてちっとも顔を出さない こわいよう 幼いいとこはしまいには泣き出す なんでねえ にいにいだよ こわくないさ 母親はどう説明したらよいのか戸惑っている ボクも必死でボクは化け物ではない おいでと笑い声を上げるのだが 幼いいとこの顔は引きつったままなのだ まあいいさ 生まれたときから一緒だったボクの妹たちには どんなことがあってもボクは人間にうつる だがたとえいとこであれよその子は違う ボクは本物のぱーんとぅに見える 本物の妖怪に見える こんな姿で生まれてきたぼくは化け物であり まずむるであり どうしても人間ではないんだ で このうちはお化けやしきになるわけだ どこの幼い子も最初のころはそのようにボクを見る あんちいやらばん にんぎんさあ ち うぬふっふぁぬきゃあぬ うむうよんないむぬまい うわたがならあすんどぅ かかりゅうさあ (それでも人間なんだよと その子たちが思うようになるのも あなたたちの教えに係わってくるんだよ) 母ちゃんは自分の弟にすこしイライラした感じで それでもって悲しそうに伝えていた お父は んなぴっちゃ うぷううぷなすばどぅ うむくとぁ いじ (もう少し大きくなれば知恵が出るさ)と穏やかだ 母ちゃんにはボクが化け物扱いされるのが耐えられないのさ たとえ弟の子供でもネ お父はわかっているのさ これはボクが通らなければならない道だってことを 大丈夫 ボクの存在は子供たちをやさしい人間に育てているんだと だから怖がっても毎年ボクに会いにおいでと すこし落ち着いた幼い子の頭を撫でながら言っている ほら ごらんのとおり あれだけ泣いて怖がっていた子が ある年の夏休みから真っ先にボクに会いに来るようになったんだ 大きくなってからはボクの大好きな魚のてんぷらを 土産に持ってくるなんて 本当にやさしいではないか さて次はどこの子がボクを見て泣くのかな
おしらせ
■『第2回 ポストカードアート展 ぴん座 -PINZA- 2008』
PINZA PRO
去年に引き続き、今年もポストカードアート展を開きます!現代(いま)は携帯電話や電子メールがあり、とても便利になりましたが、ポストカードの持つゆとりや楽しさ、良さを見直してみませんか?写真、イラストをはじめ、手書き作品、毛筆、漉き紙など、各アーティストがポストカードをキャンバスに、ほとばしる才能を表現しています。(総展示数:100葉以上を予定)。ぜひ、足をお運びください。
日 程 | 2008年9月6日(土)〜15日(月・祝) ※9/10・11は休展日となります。 |
開催時間 | 11:00〜19:00 ※最終日は18:00まで |
会 場 | ギャラリー うえすやー |
入 場 | 無料 |
主催運営 | PINZA PRO http://pinza.ti-da.net/ ※さらに詳しい内容は公式Blog ぴん座2008 [開催概要] http://pinza.ti-da.net/e2202853.htmlをご参考下さい。 |
今回は、併設特別展として『若山羊展』というものも開催します。宮古の高校生を対象として、ポストカードサイズで参加してもらうというもの。尚、学生分は展示のみで販売はありません。
さらに、島外向け企画として、『オゴヱ!葉書』という一般参加の補展も同時開催しますので、あなたの街から旅先から、「オゴヱ!」と云いたくなるような、おもしろいポストカードを「ぴん座2008」あてに送って下さい!
※既成葉書(無料配布されているものなどでも可)を使って、遊びませんか?町の名物や有名なもの、自慢の風景など、単純なものでも可。文面もあっても無くてもいいです。
※宮古島に集合する葉書は会期後に、WEBにてすべて公開をします。
あて先 | 〒906-0013 宮古島市平良字下里574 ギャラリーうえすやー方 「オゴヱ!葉書」 係 |
締 切 | 2008年9月9日(火) 必着 |
詳 細 | 詳しくは↓こちらまで http://pinza.ti-da.net/e2204545.html |
編集後記
松谷初美(下地町高千穂出身)
お盆で8月10日〜18日まで宮古に帰省していました。
35度近くあった東京から32度くらいの宮古へ。ぱいかじ(南風)がさやさや〜と吹いて、宮古は東京より涼しかった〜。
天気は、晴れたり、曇ったり、突然雨が降ったりと、夏特有?の天気が多かったです。14日の夜中には、かんとぅゆん(雷)が鳴り響き、うかーす うぷあみ(すごい大雨)が降り、びっくりでした。
あすが(でも)、なぎゃーふ(長らく)雨が降らなかったようなので、農家にとっては恵みの雨となり、ぶーぎ(キビ)の夏植えをしている姿が、くまかまん(あちこちに)見られましたよ。
ばんたがやーや(我家は)、今年はおばぁの新盆。おばぁが帰ってきていると思ったら、ぱんびん(天ぷら)を揚げるのも しーむぬ(宮古風お吸い物)を作るのにも力が入ったさ。ちょうど、浦添商業高校の甲子園での試合もあったりして、菜箸片手に応援。高校野球の大ファンだったおばぁも浦商の活躍は、ぷからすむぬだったはず。
親戚の家を訪ねたり、お盆で帰省していた幼馴染みや宮古在の友人、知人と会ったり、読者の方やくま・かまライターのメンバーとミニオフ会をしたり、取材でいろいろな方に会ったりと今回も忙し、喜しの宮古でした。
宮古にいるとテンションがあがるらしく、東京に住んでいる友人からの電話に出たら、声が違う!と言われてしまった。やっぱりなー。自分でも、思うもん。宮古から元気をもらって心がたくさん開いているーと。帰るところがあるというのは、まーんてぃ上等やー。みなさん、たんでぃがーたんでぃでした。
さて、vol.178は、のーしが やたーがらやー?
すっかりお馴染みになった「ハナちゃんシリーズ」。今回は、ハナちゃんにライバル出現!むむむ、猫の世界も厳しいよのお。果たして二匹の関係はどうなっていくのでしょう。気になりますねー。次回お楽しみに〜。
「宮城かまぼこ屋」さんの取材は、何年か前からやりたいと思っていたのですが、なかなか機会がなく、やっと今回訪れることができました。突然の取材依頼にも関わらず、快く応じてくださいました。可奈子さん始めキヨさん、皆さん、ありがとうございました。
子どものころの夏休みの過ごし方は、人によっていろいろなことがあったと思いますが、ワタリマリのお兄さんの夏休みの話は、胸に響きますね。今回も、それぞれの想いに なだぬ(涙が)・・・。
あなたは、どんな感想を持ちましたか?ぜひ、お便りをお寄せ下さいね。そして、あなたの投稿もお待ちしています!
さて、次号は9月4日の発行予定です。
しまいがみ ゆみふぃーさまい、たんでぃがーたんでぃでした。
次号もどうぞお楽しみに!あつかー、またいら〜。