くまから・かまから Vol.19

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2002年マイ ゾウ トゥスアキ トゥナリ プカラスムヌ。
(2002年も良い年明けとなり、うれしい限りです。)

クヌ プカラス トゥスパズミユ アーグ シー パズミットー。
(このうれしい年初めを唄で始めたいと思います。)

クトゥスマイ バンタガ メールマガジン ユ タカサ ッシー
(今年も私たちのメールマガジンを応援してくださるよう)

フィーサマチ タンディガータンディ。
(よろしくお願いいたします)

『豊年のあやぐ どぅかってぃ解説』

マツカニ

どぅかってぃ解説の三回目です。新年にふさわしく「豊年のあやぐ」をとりあげます。その昔、過酷な人頭税で苦しめられていた人々が、豊作、豊年を乞い、願い、唄い、踊ったであろうこの名曲は、宮古民謡の中でも、親しみやすく覚えやすい曲のひとつだと思います。

三線では、スローで味わい深い弾き方と、ジッとしているのがもどかしくなるようなテンポの早弾きがあり、三線の入門曲でもあります。

  1. クトゥスカラ パズミャーシーヨー サーサー
    ミルクユーヌ ナウラバ ユーヤナウレ サーサー
    *ヨーイティイバ ヨーイダーキヨー サーサー
    スゥルイドゥ カギサヌ ユーヤナウレー
  2. ンナマ マキ゜アワヌドゥヨー サーサー
    ジュウガツ マキ゜クミヌドゥ ユーヤナウレ サーサー
    *くりかえし
  3. スダマ スズ ナウラバヨ サーサー
    マダマ スズ ミヌラバ ユーヤナウレ サーサー
    *くりかえし
  4. ウミュグムツ ツキウサミヨ サーサー
    ティングムツ バリウサミ ユーヤナウレ サーサー
    *くりかえし
  5. ツキウサミヌ アマス゜ヤヨ サーサー
    バリウサミヌ ヌクス゜ヤ ユーヤナウレ サーサー
    *くりかえし

以下12番まであり。

解説

今年を始めとして、後の世が平和で豊かになるように、今、種まきをする粟、十月に蒔く米が玉のように美しくつぶぞろいで豊作になってほしい。収穫・脱穀して年貢を納めたら、この残り俵を山と積んで、それにもたれて、お酒を造りましょう。そして役人も親類も招いて、村中皆で昼と言わず、夜と言わず七日間飲んで、遊んで祝いましょう。

これまでの生活苦は、ご破算にして今年こそ、今年からだという願い意気込みが感じられ、宮古気質あふれるいい唄だと思いますが、いかがでしょうか。酒は、泡盛ではなくウタキで神事の時に作るンキ゜(神酒)と言う飲み物です。

『宮古のことわざ』

〔 昔人ぬ 教訓んな 余いすや 無ん 〕

ンキャンピトゥヌ トゥツキンナ
アマイシスャ ニャン

古人の教えに無駄はない。飾り気のないところに 言い尽くせぬ妙味があり、胸にせまってくるものばかりだ。

んきゃーんじゅく 佐渡山政子/編 より

『ミャークフツ講座 正月編』

Hatsumi.M

  • あらどぅす(新年)
  • じゅうばく(重箱)
  • むつ(餅)
  • き゜ん(着物)
  • すがす゜(おめかし)
  • ずぐーる(コマ)
  • うとぅざまーす゜(親戚回り)
  • さき(酒)
  • うとぅーず(オトーリ)
  • びゅーい(酔う)
  • ぶどぅす゜(踊り)

『正月の風景』

ワタリマリ

<初詣>

元旦午前8時、小雨の中、母ちゃんは、*ウタキ(御嶽)へと向かいます。お供えのサキ(酒)マース(塩)マズ(米)お茶と一番大切なお香を持って行きます。ウタキの中は少し冷たく、気が引き締まるほどの静けさの中で母ちゃんのウガン(御願)が始まります。

クトゥスイチネンマイ クマヌヤーンナ ノーグトゥマイニャーダナシィ
プカラスクトゥチャーン アラシフィール タンデガータンデ
(今年一年も、この家には何事もなく楽しいことばかりありますようお願いします)

<千客万来>

ウタキから帰ると早速、アガンニャ(東の家)のブザ(叔父)が一升瓶をかついでやって来ました。正月ばかりはさすがに作業着を脱いで、少しおめかしをしています。

ハイ、ウトゥガマ クトゥスマイ ケンコウイチバン ガンズウガンズウ
パタラキイラ キュウヤ ゾウショウガツ
(ねぇ、弟よ 今年も健康一番元気で働こうね。きょうはとてもよい正月だ)

そこへパイニャー(南の家)のカニおじさんと親戚の叔父さんたちが、どっと挨拶に来ました。東京からの里帰りのにぃにぃ(お兄さん)もいます。

ハーイ オトーリュマーラシラ アリイ ショウガツ ユ スウッチナ
トウキョウカラ キシュウ
(さぁ、オトーリを回してよ。おっ、正月をしに東京から来てるんだねー)

<凧揚げと毬つき>

正月の空に凧が高く高く舞っています。四角い形で両脇に羽をいっぱい付け賀正と書かれた立派な宮古凧。男の子たちは、皆、自分で凧を作り、誰の凧が一番立派か競うのでした。

クトスヌ ウワガ カビトゥイヤ ズミイリャ
(今年のおまえの凧は最高だ)

庭では、真新しい下駄を履いた女の子たちが「いちもんめのいーすけさん」と歌いながら毬つきです。

あんたの毬は大きいねー。何セント?これは、25セントの毬さぁ。

正月ばかりはちょっと気取って、方言は使いません。おかっぱ頭で「じゅうもんめのいいすけさん」まで競うのでした。

この正月の風景は、昭和40年代頃のものです。私の中の正月の原風景です。なんだかすべてが澄んでいたように思えます。

今年も、ガンズウサ イツバン(元気が一番)で過ごせますように。

*ウタキ(御嶽)とは、各集落にある神聖なる場所。

『編集後記』

Hatsumi.M

今年も宮古では、ヤーディ(家族)・ウトゥザ(親戚)が集まって、賑やかなお正月を迎えたことでしょうね。子供の時から比べると正月を迎える新鮮な気持ちは薄れているけれど、何事もなく迎えられることに感謝ができるトゥス(年)になってきました。

人頭税(にんとうぜい)が廃止されて約100年。「豊年のあやぐ」で歌われたンキャーン(昔)の宮古の人のウムイ(思い)は、忘れずにいたいと思います。

次号は、1月17日(木)の予定です。