くまから・かまから vol. 215

  1. Home
  2. 未分類
  3. くまから・かまから vol. 215

 こんにちは〜。んにゃ3月やー。
 きょう3月4日は「三線の日」。ということで、民謡からぱずみっとー(始めますよー)。

『新里(あらだてぃ)のクイチャー』どぅかってぃ解説

マツカニ(上野・高田出身)

 宮古の民俗芸能の筆頭は、なんと言ってもクイチャーではないでしょうか。雨乞いや豊年祈願からはじまり、様々な歌詞がつけられて、現在残っているクイチャーは、島中に相当数あると思います。明治・大正の頃の一番華やかし頃から比べれば、大分寂しくなっているようです。
 
 戦後下火になって、だんだん踊る人も少なくなったと聞きましたが、最近クイチャーフェスティバルなどで盛り上がってきています。そんな中で、今回は上野の新里部落に伝わるクイチャーを紹介したいと思います。

新里(あらだてぃ)のクイチャー

1 あらだてぃ や すまがま どぅ やりばまい よ ヤイヤヌ
  (新里は 小さい島ではあるけれど)
   ヨーイマーヌユー やりばまい よ
    
 2 うやすぅだつ しゅうすぅだつ すまやりば よ ヤイヤヌ
  (親育つ 主育つ しまだから)
   ヨーイマーヌユー すぅまやりば よ
  
 3 うぷずまとぅ ゆんすぅいどぅ たきどぅ いき゜よ ヤイヤヌ
  (大きい島に 数えられるだけの 価値がある)
   ヨーイマーヌユー たきどぅいき゜よ
  
 4 うぷきだき   すまうすい しゅうがなす よ ヤイヤヌ
  (大木のように島を覆い見守ってください 主がなす)
   ヨーイマーヌユー しゅーがなす よ
  
 5 たかきだき むらうすぅい ずとぅぬしゅうよ ヤイヤヌ
  (高い木のように村を覆い 地頭の主様) 
   ヨーイマーヌユー ずとぅぬ しゅう よ
  
 6 うぷきーんな とぅらがまや ゆどぅさんてぃな よ ヤイヤヌ
  (大木には 虎は ゆっくりしないんだってよ)
   ヨーイマーヌユー  ゆどぅさんてぃな よ
  
 7 たかきーんな まちゃがまや とぅまらんていな よ ヤイヤヌ
  (高い木には すずめは 泊まらないんだってよ) 
   ヨーイマーヌーユー とぅまらんてぃな よ

 ※クイチャーの間には次のようなハヤシがはいります。

・ぶ どぅりゅうす゜きゃあぬ みやく    (踊っているうちの宮古)
・にせたが ぶどぅらばなー しゅうまんな すぅざ   (青年達が踊ったら 興奮しない?お兄さん)
・てぃしや まぬかしよう ぱぎ゜しや とぅぬげ   (手では 招いて 足では踏み鳴らせ)
・あんがたが どぅやうぬ かぎさ   (お姉さん達の 柔肌の 美しさ)
・うっつあ みいがまよう き゜むやん みいがま   (うずらは ちっちゃい目だよ 悩める ちっちゃい目)
・びきだつ にしゃいやよ ゆまたぬ ばんど    (独身の 若者はよ 四辻の 番だ)  等など
 
【解説】
 
 新里の年輩に聞くところによると、昔は綱引きだったり、棒踊りだったり、何か事あるたびにクイチャーを踊ったそうです。新里(あらだてぃ)のクイチャーも仕立てる人(はじめる人)によって唄の組み合わせがちがったようです。例えば、「新里の綱引きあーぐ」や「東川根盛加後(あがす゜がーにむす゜かぐす)」などとメドレーになったりします。
 
 男女が揃うと夜どおし即興で掛け合いの唄を作り、曲をかえながら歌い踊ったそうです。クイチャーの歌詞に「あやぐや かい いちゅにや かい ちゅうらさでぃよ(唄を替え、メロディーを替え 力強くするよ)」というのがありますが、まさに唄を替えメロディーを替えてだんだんと盛り上がっていったようです。
 
 踊りはタイミングのとりずらい手の振り方で足では強烈に地面を踏み鳴らして勇壮に踊り、女性は柔らかくしなやかに控えめに踊られます。
 
 #参考資料:『新里誌』新里誌編集委員会 1995年発行

ムズフス゜(諸作物)事情

アモイ(平良・宮原出身)

 宮古の方言で農作物の事を「ムズフス゜」と言う。
 
 宮古民謡の「とうがにあやぐ」の4番(お正月編)の歌詞には、「かぎ正月ぬ んみゃたーりゃーど うぷゆや人ぱい 諸作物万作(ムズフス゜マンサク)みるくゆがふよ 年さ重びうて 八十八(やすつやーつ)まうわりさまちよ」と歌われている。
 
 平良重信著『解説付(改定版)宮古民謡集』によると(おめでたい正月が 参られたので 大世とともに人も栄え 諸作物は豊年満作弥勒世果報だよ 年を重ねて 八十八歳までも 健康で長生きされて)という日本語訳がついている。
 
 正月の唄の中にも「諸作物万作 みるくゆがふよ」と出て来る位、農家にとって農作物の豊作こそがその年の幸せをもたらしてくれる大事な事であった事がわかります。
 
 昔の宮古島での ムズフス゜の種類はそれほど多くなかったでしょうか。市場に出すものとしては、米、粟、サトウキビ、タバコ、サツマイモ、大豆等があったと思いますが、最近の市場向け ムズフス゜は色々と種類が増えておりますね。マンゴウ、ドラゴンフルーツ、ハーブ、オクラ、パパイヤ、トウガン、ニガウリ、南瓜等、果物や野菜の種類はかなり多そうです。何軒かの農家がグループを組んで新作物を生産を開始するケースもあるようです。ムズフス゜の種類はいったいどれくらいあるのか、詳しいデーターがあれば見てみたいですね。
 
 そんな ムズフス゜の代表格でもある、砂糖きびは今年の出来は大きな台風も無く豊作と言う事で、砂糖きび農家は豊年満作で収穫に嬉しい悲鳴を上げているようです。
 
 ところが、ムズフス゜の種類によっては、やっと熟して、いざ収穫、と言う段階で盗まれてしまい、本当の悲鳴をあげている人もいるようですよ。
 
 そうです、最近宮古島では ムズフス゜が盗まれる事が多いのだそうです。道路に面していている畑に植えてある ムズフス゜はよく被害にあうのだそうですが、パパイヤ等は標的にされやすいようです。
 
 知人の生産者は畑を借りてパパイヤを生産していたのに、あまり盗まれるので、その畑での生産を諦め、地主に返したそうです。またある人はそろそろ収穫時だと思って収穫にいったら、ごっそり無くなっており、頭にきて、人に盗られるくらいならと何本かのパパイヤの木をなぎ倒してしまったそうです。
 
 子供達が腹ごしらえに果物やスイカやトマト等をちょこっと盗んで食べたりする事とはちょっと違う話だと思いますね。また戦時中の食料難の時のように、食べ物が無くて、命をつなぐ為にやむなく人様の物を盗んで食べた、と言うような状況とでは全く次元が違いますね。
 
 戦時中といえば、宮古島では ムズフス゜が足りず食料難の為、やむなく毒のある蘇鉄の実を食べて亡くなられた方もいたと聞きました。今年の1月半ば頃に裏山に蘇鉄の実が熟しているので、子供の頃お袋が料理してくれた事を思い出して、「蘇鉄の実を食べてみたいね、作り方を教えて」と頼んで、作りかたを教えてもらいました。
 
 毒抜きの為に、割ったり乾燥させたりと言うちょっと面倒な工程があり、一週間位はかかるようです。そのあと石臼で挽いて細かくする、と言うことです。
 
 その石臼ですが、そういえば、以前に両親が長く留守にしている間に盗まれてしまったそうで、「誰かが博物館にでも売り飛ばしたのかも知れないね」という笑い話がありました。石臼が無いというところで、蘇鉄の実の料理を諦めてしまいました。石臼も近年は殆ど使われなくなりましたが、だからと言って、黙って持っていくのは泥棒ですよ、と言いたいですね。
 
 ムズフス゜の盗難が増えた事について私なりに考えてみると、ムズフス゜の種類が多くなった事、インターネットの普及等で容易く売れる事、農家の方では老人が多い上、昔のキビ倒しのようなユイマールがなくなり、それぞれ各農家毎に収穫をしており、隣近所の結びつきも弱まり、監視の目が減った事等で、盗み易い、盗まれ易い環境ができてしまった事などが上げられるとおもいます。
 
 しかし、一番大きな原因は、ムズフス゜を平気で盗む人がいるということでしょう。いったいどんな人が、生産者が手塩に掛けて育てあげた ムズフス゜を盗んでいるのでしょうか?やめて欲しいですね。
 
 正月にはその年の豊作を祈願して唄にまで歌われた大切な ムズフス゜、育てあげるまでは、種蒔きから水やり、肥料やり、草取り等日々の大変な労力が掛かっています。横取りされるとそんな苦労も水の泡です。
 
 盗まれないようにする具体的な対策はあるのでしょうか?私の思いつきでちょっと責任の無い発言ですが、まず第一は犯人を捕まえる事だとおもいます。
 
 しかし犯人も用心しながらでなかなか捕まらないでしょうから、本土の痴漢防止抑止用の看板に「痴漢行為は犯罪です」がありますが、これに似せて「ぱりからムズフス゜とす゜つかー犯罪どー」(畑から農作物を取るのは犯罪だよ)と建て看板には方言から日本語、英語も入れて警告し、警察もこの取締りにも力を入れ、新聞なども取り上げ地域社会の監視の目を厳しくし、不審者を通報するシステムなどがあれば、盗難も減るのではないでしょうか?
 
 もちろん生産者の方は職業は「農業」であると同時に「自衛業」でもあると言う意識も盗難防止に必要だとは思います。

大豆がだいず!

Motoca(平良・下里出身)

 だいず。それは、宮古ふつの表現には欠かせない、便利な言葉。
 
 「大変な」「とても」「凄く」などなど、物事を強調する時に多く使われている。健康診断でコレステロール値が高いと言われたり、二日酔いで頭がガンガンしたり、イライラしがちなときなど、叫んでいるはず。
 
 「だいず!」(大変だー!)
 
 大豆。それは、日本人の食卓には欠かせない、貴重な食材。
 
 なんでも「良質なたんぱく質」「大豆イソフラボン」「ビタミン」などなど、素晴らしい栄養成分がたくさん含まれているとか。コレステロール値を下げたり、ガンを抑制したり、更年期障害を緩和するなど、魔法みたいです。うりゃー、だいず(これは凄いことだ)。
 
 そういうわけで今注目の食材、「大豆」です。
 
 もちろん、我々日本人が昔から、本当にいろいろな形で食してきた身近な食べ物でもあります。茹でたり炒ったり。あるいは加工食品として豆腐や味噌や納豆や醤油へと姿を変えて。また、暗所で芽を出させればモヤシだし、実の青いうちに食べれば枝豆。
 
 最近はさらに、大豆を使用した栄養食品や栄養菓子、ドリンクなども続々登場していますよね。ご存じですか。
 
 職場の近くにあるコンビニの片隅に、大豆の栄養を売りにしたスティック菓子が置かれています。そこ貼られたポップには、素敵なキャッチコピーが書かれています。
 
 「ダイズな毎日、はじめましょ。」
 
 もう、これを見たとたんいつも「だいずよぉ!(そうだよね!)」、と相づちを打ってしまう。だってカタカナで書かれると方言ぎー(方言みたい)だのに。
 
 そして私の脳内で、妄想スイッチがオンになる。「ダイズな毎日」といわれると、とにかく「人並み外れた生活をしてる人」というものが思い浮かびます。桁違いの出費で豪遊している大富豪とか、神業的なやりくり術で生活難をひょいと乗り越える低所得者とか。わーい。楽しいゆー。(そして私は、その商品を買ってしまうのさー)
 
 そこでひとつ提案。大豆の健康食品を作っているメーカーさぁん! こんど商品のCMを作る際は、ぜひ宮古島に んみゃーちよ〜(いらっしゃいませ〜)。きっと宮古の人みんな、心を込めて力いっぱい「ダイズ!」と叫んでくれるでしょう。あば(ねぇ)、これ、だいず良い考えじゃない?
 
 「だいず」の話で、もうひとつ思い出した。
 
 去年の誕生日、つきあいの長い親友が送ってくれたメールに「お互い、いい感じに年を重ねて濃い口しょうゆになりましょうね〜」と書かれていた。「なんで、しょうゆなわけ?」と聞いてみたら、「だいずがぁ〜だいず、生まれたときからダイズだったさ〜」という答えが返ってきた。
 
 ・・・生まれたときから、だいずだった(凄かった)?!いやー、それほどでも。違うか。あはー(そうか)、なるほど。我ら、仕込みまでは既に終わっているんですね。これから発酵とか(!)、熟成とかの工程へ進んでゆくわけですね。あがい、ますますちゃんと生きていかないと、あぱーあぱ(薄味)になってしまう。だいずが〜だいず(あらま、大変)。三十路突入にふさわしい名言でした。
 
 あっ、そうだ。しょうゆメーカーさんもぜひ宮古島で広告をつくりませんかー。濃い 口しょうゆどころじゃない、あずーあず(味わい深い)おじぃ・おばぁが だう(いっぱい) いますよ〜。ぜひぜひ、んみゃーち〜。これも、だーいず、良い考えじゃない?
 
 「だいず」のひと言で妄想だらけです。いっそ宮古を大豆の生産地にできませんか。昔はつくっていたと言いますし。そして大豆の関連商品をいろいろと作るの。商品名「だいずな大豆」とか。大豆で宮古の経済活性化計画。どうでしょう?
 
 ういがど、だいず くとぅやあらん?
 (これこそ、凄いことじゃない?)
 
 #参考URL:
 大豆のホームページ(農林水産省)
 http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/daizu/

 大豆を学ぶ(大塚製薬 SOYJOY)

【宮古方言の「だいず」について】
 「大事」がなまったものです。といっても、現在の共通語みたいに「大切」に近いような意味では使いません。「これは一大事だ」とか、訓読みして「おおごと」というほうが近いのかも。いい意味にも悪い意味にも強調して使います。副詞的に「凄く○○だ」という意味で「だいず○○」と言うのは、比較的新しい使われ方のようです。うちの親(1940年代生まれ)や、それより上の世代は使いません。沖縄本島方言では「デージ」と発音されます。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

 3月1日はジュウルクニツ(十六日祭)でしたねー。(ジュウロクニツはあの世のお正月。ご先祖様と一緒に正月を祝います。)今年は、天気もよく、ぬふーぬふだったようで、あちこちのお墓は賑やかだったはずね〜。
 
 さて、くま・かまの掲示板でも話題になりましたが、ライターのカニさん(医師、宮古在)が、このたび住友生命社会福祉事業団主催の地域医療貢献奨励賞を受賞しました!パチパチパチ〜。まーんてぃやぐみことやー(本当にすごいことですね)。これまでいろいろな離島で仕事をされてききたことが評価されたとのこと。ぷからすニュースにみんな大喜びしました。
 
 去った27日には東京で授賞式がありました。その日は、関東在のくま・かま仲間で、うがなーり(集まって)、ようず(お祝い)をしましたよ。カニさんの娘さんや大学時代のお友達もいらっしゃいました。マツカニさんは三線を持ってきて「豊年のあやぐ」「池間の主」など唄い花を添えましたよ。カニさんは「カニスマ」や「あだんやーのあず」を唄って、大盛り上がりでした。
 
 3月1日付けの宮古毎日新聞に宮国(菊地)優子さんが取材した記事が掲載されています。宮古毎日新聞のHPでも読むことができますので、ぜひ、アクセスしてくださいね。

「宮古毎日新聞」
http://www.miyakomainichi.co.jp/modules/bulletin/article.php?storyid=68

 さてさて、vol.215は、のーしが やたーがらやー?
 
 おなじみ、マツカニさんの民謡解説。クイチャーは各地にいろいろありますが、新里のクイチャーもまたいいですね。自分たちのシマ(新里)を誇りに思っている様子が伝わってきます。マツカニさんは地元上野のクイチャーだけに、伝えたい思いがいっぱいだったようで、書ききれないのもやまかさ(たくさん)あるよーと話していました。

 アモイさんの「ムズフス゜(諸作物)事情」には、びっくりでしたね。内地でもキャベツが盗まれたと昨日のニュースでやっていましたが・・・。うちの実家でも、もうすぐ収穫できると思っていた島バナナを盗られたことがあり、何とも残念な気持ちになったことがあります。アモイさんが書いているように、皆の目で見るというのが効果あるかもしれないですね。
 
 Motocaさんの だいずの話、うむっしでしたね〜。宮古方言が商品名になっていると、見逃せませんよねー。(宮古方言ってわけじゃないか。)Motocaさんの「宮古を大豆の生産地に」に賛成!宮古産大豆で作る、豆腐、豆乳ドリンク、クッキー等々、だいず、上等と思う〜。して、売れると思うど!メーカーさん、ぜひご検討を!
 
 あなたの感想もぜひ、お聞かせくださいね。
 投稿作品も、いつでも受付中〜。
 
 きゅうまい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふ〜。
 (きょうも最後までお読みいただき ありがとうございました)
 
 次回は、3月18日(木)発行予定です!
 どんな話が登場しますやら。どうぞお楽しみに〜。あつかー、またや〜。