くまから・かまから vol. 219

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 こんにちは〜。
 ゴールデンウィーク終わりましたねー。いかがお過ごしでしたかー?
 くま・かまも充電ばっちり。vol.219 お届けでーす。

統計から見た宮古

宮国優子(平良・下里出身)

 宮古を統計から見てみました。
 
 最近、宮古にゆっくり帰っていない。でも私のまわりは、だいず宮古に通っている。なんでかよ、とつっこみたくなりますが。
 
 してからに(それから)テレビでの露出も夏に向かってどんどん増えて行きます。島田紳介さんの番組でも結構取り上げられていますね。どうなるかヒヤヒヤしながら見てますが。だいず全国区になってきたさいが、とテレビの前でつぶやく私です。昔は宮古島というと「どこ?」ってかんじでしたが、今や「行った事あるよ!」と言ってくれる人も多いのです。結構うれしいものです。ぐっと親近感をお互い持ちやすいし。
 
 「テレビなんか来てほしくない!観光客も来てほしくない!」と言う声もちらほら聞くのですが、私は実は案外いいのではないかと思っている派です。宮古の人はおもしろいので、どんどん宮古らしさを感染?させてもいいかもと思うからです。
 
 私も宮古にいる頃は、内地という大きいくくりでしか見てなかったけど、日本全国、いろんな地方に行けば、その地方のしきたりや習わしやお祭りやいろいろあることに訪れてみて気付きました。そしてどれも面白いなぁと思うからです。特に興味深く感じるのは、地元のらしさで熱く語ってくれる人がいるところ。結局、人なんですよね、人。
 
 例えば、うちの夫はザ・都会人(注・別にかっこいいわけではない)なので、宮古に行くと必ず衝撃をうけて帰ります。タバコの自動販売機でマルボロ押してもマイルドセブンが出て来てもいいではないか、買ったビールが沈殿しててもいいじゃないか、一方的に方言でまくしたてられてもいいじゃないか、と私は思うのです。それがうむっしさいが、と思うんです。
 
 勝手に島の人だからのんびりしていると思うな、おおらかと思ったら大きな間違いだ、と伝えてあります。外国でもないのにコミュニケーション能力を試されてしまうのが宮古島なのだ。マルボロに替えてもらうにはそれなりの覚悟が必要ってば。
 
 旅行でスケジュールをガチガチに決める人もいますが、友達が一人出来れば宮古を知る事ができます。一緒に行動すればすべて予定外行動のオンパレードに驚く事でしょう。島には島の時間があって、別にのんびりじゃなかったりもする。案外、宮古の人はせっかちだしなー(私見)。
 
 テレビを見て、旅行に来て、日本でもこういうところがあるんだとか、今までの自分の定規では計れない何かを感じさせてくれるのも良い経験じゃないかと思うのです。日本のなかでもかなりの異文化理解なはずよ。
 
 で、じゃぁ、本土と比べて何が違うのかなぁと思ったら「やっぱり統計で見るのがいいんでは?」と思い、いろいろ調べました。出典は生活ガイド行政情報です。宮古の島民性が如実に表れているのは、これかと思ったんですが
 
 結婚⇒1ヶ月に26.1組 285位(806市区中)
 離婚⇒1ヶ月に11.7組 42位(806市区中)
 
 この離婚率。ラテンな香りが満載です。お隣の石垣市と比べてみると、婚姻率は宮古より全然高いですが、離婚率は同等でした。ふふふ、おもしろい。http://www.seikatsu-guide.com/area/compare_cities/1958/1951ちなみにダントツ一位は浦添市でした。
 
 浦添市は宮古人や二世三世がかなり多いと言われています。県内きっての宮古色豊かな地域。浦添市議の方々も宮古出身者や二世が多いそうです。うむむ、これも関係あるんだろうか、などと考えてしまいます。
 
 実は、子どもの頃から統計が大好きでした。妄想はきっとその頃からだったんだと思います。
 
 で、話変わりますが、仕事場をいっしょに借りてる山本貴代さんが本を出しました。統計資料満載です。山本さんはH報堂という会社で生活者研究をずっとされていたそうです。私も彼女の書いている本の統計資料を日々楽しんでいました。『女子と出産』という本です。

※もちろん、書店やアマゾンでも買えます
 
 で、私も何故か少し出ています。出産率の高い島の人ってことで、勝手な持論を喋ってます。世の中、婚活とかいろいろ忙しそうですが、この本は来るべき産活についても書いております。それだけ産みにくい世の中になっているってことかな。
 
 でも、私のまわりは、どんどん産んでいます。特に宮古系友人。私もあと一人と言われますが、本気で「何歳だと思っているんだよ」と突っ込みをいれたくなりますが、案外昔は40代でも産んでたんだよなと思うと、宮古の人には何も言えません。
 
 しかーし、私が思う宮古レベルで普通に育てようと思ったら、いくらかかるとおもってんねん!(何故か関西弁)と叫んでしまいます。保育園とかいろいろと問題山積みです。まず第一に体力がありません。ふと、宮古は案外子育てに最適な島だと思うのです。じいちゃんばあちゃんもいるし。うるさいとは思いますけど、子どもには至極いいと思う。
 
 その山本さんの統計資料で驚いたのですが、出産率は宮古島市は4位です。でも、もっと驚くのがその分母の数。いわゆる産める人の数ですね。他の上位とは桁違いだったのです。他は数百単位だけど、万単位でした。すげー、と声に出してしまいました。(本にも載ってますので、良かったらどうぞ。おもしろいです)
 
 個人的には別に産んでも産まなくても良いんじゃないかと思うのです。友達にもチャンスがあればいいんじゃないか的な発言をしております。

 20代も半ばの頃、島に帰ると、やれ結婚だの子どもだの言われてうんざりした記憶もあるので。「じゃー相手を探してこい!」とタンカをきったところで、宮古のおばさんは本当に探してきそうで怖い。探された人を若干名知っています。結婚したい皆さん、宮古のおばさん10人に相談したら、数年で結婚できると思います。その後は保証できませんが。
 
 で、山本さんをはじめ「宮古の人はなんで産むの?」と聞かれると「素直だから!」と答えています。あとは「今を生きているから」と。いかがでしょうか。いつもの妄想ですけど・・・。
 
 ちなみに平成21年度の宮古島市の統計が出ました。うむむ、おもしろいです。http://www2.city.miyakojima.lg.jp/toukei_m_2010/

ミヤコワスレ

松谷初美(下地・高千穂出身)

 ばんたがやー(我家)の いみっちゃがまの(小さな)庭に、ミヤコワスレの紫色の花が んなばど ばんず(今が盛り)と咲いている。
 
 このミヤコワスレは今から15年前、Sさんから譲り受けたものだ。
 
 Sさんは息子の幼稚園の友達Hちゃんのお母さんで、いわゆるママ友だ。子どもが幼稚園のころは、親子ともどもで遊ぶことも多く、Sさんの家におじゃましたり、我家にも遊びにきたり仲良くしていた。
 
 幼稚園卒園の時にはクラスのママ友たち数名で、「桃太郎」の寸劇(なぜか最後は、当時大ブームのセーラームーンが登場して鬼をやっつけるというストーリー)をやり、拍手喝采、だいず受けた。おとなしいSさんもまーつき(一緒に)やり、練習も一生懸命だった。
 
 子どもが小学生になると学校が別々になり、会うこともなくなってきた。そんな折、共通の友人から、Sさんがガンで入院していることを知らされる。びっくりして、お見舞いにいくと思ったより元気そうで安心した。
 
 「松谷さん、花好きでしょう?今、うちにミヤコワスレの花があるんだけど、うちの人たち(家族は男の子二人とお父さん)は手入れしないから、良かったらもらってくれない?」
 
 「自信ないけど、いいよー、やってみるね」
 
 病院からのその足でSさんちに行った。誰もいなかったけれど、庭に回ると花の終ったミヤコワスレの鉢植えが所在なげにポツンとある。花に詳しい友人が、株わけをして植えるといいよと教えてくれ、庭に地植えした。
 
 それから一年後、Sさんは闘病のかいなく、まだ小さい子どもたち(小学二年生と四年生)を残して、天国に旅立った。Sさんはどんなに心残りだったことだろう。
 
 お葬式のとき、二年生のHちゃんはお母さんが亡くなったことがまだよく理解できず、友達がたくさん来ていることにうれしそうにしていた。それが余計に悲しみをさそった。
 
 中学になり息子とHちゃんはまた同じ学校になった。ときおり遊びにくるHちゃんは小さいころの面影はそのままに、大きくなっていた。あの頃は何も知らなくても、長じるにしたがって感じることはたくさんあっただろうことを思うと、胸がいっぱいになった。
 
 我家に根付いたミヤコワスレは、毎年きれいな花をさかせた。(私にしては大成功。きっとSさんが密かに見守っていたんだはず)花が咲くたび、Hちゃんは、お父さん、お兄さんと仲良く元気に過ごしていること、高校に合格したこと、高校を卒業して、就職が決まったことなどを報告した。
 
 ミヤコワスレのことをHちゃんに話そうと思いつつ、逆につらい気持ちになったらどうしようとこれまでなかなか言えずにいた。あれから15年。ちっちゃかったHちゃんも今では立派な社会人。今度遊びに来たら、ミヤコワスレとお母さんのこと、話してみようと思っている。

沖縄の新聞

ビートルズ世代のサラリーマン(平良・下里出身)

 職場の つかふ(近く)に図書館があるので、昼休みには ゆくい(休憩)がてらよく利用する。新聞コーナーでは、全国の主だった地方紙が揃っていて、2〜3日遅れだが沖縄の新聞も見ることが出来る。
 
 んなま(今)の時代、ネット上でいくらでも沖縄の新聞を読むことは出来るが、刷り上がった新聞には、沖縄の生活のいろんな情報が載っていて、ネットでは味わえないようなものを発見する。
 
 紙面を ぴすぎると(広げると)、はるばる海を渡って届いたからだろうか、こころなしか沖縄の かざ(匂い)がしてくるようだ。
 
 そして、3面記事に行くほど、小さい囲み記事に行くほど、沖縄のかざが濃厚になってくる。大和に生活していて、沖縄のスーパーのお買い得商品や沖縄の格安不動産情報等は、もちろん必要ないのだが、つい、記事を離れ生活感溢れるデパートの広告や不動産広告等に目が移ったりする。
 
 そんな中で、一際、沖縄を感じさせるのが死亡広告欄である。沖縄の新聞には、かなりの紙面を割いて死亡広告が載る。他の地方紙も覗いてみたが、沖縄のように大々的なものは見られなかった。沖縄の死亡広告は、その内容、規模からして明らかに群を抜いているのだ。
 
 いかにも沖縄的だなーと思うのは、故人の名前の下に屋号や俗称というか愛称というかが附されているものがある。○○ヤー、○○小(ぐゎー)等だ。沖縄では、本名ではなく愛称のほうが通りがいい場合がある。三線○○というのも見える。生前、三線が上手な人だったんだろうなと、故人の様子が偲ばれたりして、なんとも微笑ましい。
 
 しかし、なんといっても凄いのは、亡くなった本人の名前の後にずらっと続く身内や親戚縁者の数の多さだろう。故人が親の場合、子供はもちろんのこと、孫や曾孫の家族の名前が並ぶのも珍しくない。
 
 時折、カタカナの名字が混じったりする。カニメガ、メガ、カメ、ウシはもちろん人間である。それ以外にもカタカナがあるのは外国の縁者である。
 
 沖縄は南米やハワイに移民された方が多いのと、米軍基地がある関係で米国人と結婚して遠く海外で暮らしているも多いからである。在アメリカとか在ハワイと書いてある。
 
 死亡広告を見て、ほうーあそこの孫はアメリカ嫁になったのかとか、あそこの長男はまだ結婚をしていないのかとか、あらためて、個人情報を収集したりするのである。
 
 そういえば、私の両親なども毎朝、朝刊の死亡広告欄に目を通すのが日課だった。「あがい ○○さんが亡くなっているよー」、「長男はヤマト嫁を探して、東京にいるってよー」とか「次男は しゅくぱぎっつぁー(働いていないってさ)」と朝の食卓は、ひとしきり故人では無く故人の周辺の話題でかしましい。はっきりいって、うるさい。
 
 内地では、最近、老人の孤独死が話題になる。身内に看取られることなく、一人暮らしの老人がひっそりと息をひきとり、何週間も発見されなかったという悲しいニュースがテレビで報道される度に、あの頃の朝の食卓の光景が思い出される。
 
 わいわい、がやがやと皆の話題にのぼりながらあの世に旅だって行く沖縄のお年寄り達は、幸せではないだろうかと思う。たとえそれが、口さが無い人々の朝の食卓の話題にされたとしても、都会の片隅で誰にも看取られることも無く死んでいく孤独死よりはましだ。
 
 本土復帰後、那覇の街も大和の地方都市と大して違わない風景になってきた。そして、また、沖縄らしさも徐々に失われつつある。沖縄の社会も大家族制が崩れ、人と人の繋がりも希薄になり始めているのであろうか。
 
 今のところ、図書館で手にする沖縄の新聞には、いつものようにかなりの紙面を使って死亡広告が載っている。沖縄にこのような土壌がある限り沖縄の未来は明るいと思う。これからも、ずーっと無くならないでいてもらいたいものである。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

 関東は ぴしーぴしの日が多かった春から一気に夏が来たように気温が上がったゴールデンウィークでした。そちらはいかがでしたかー?

 宮古ではあまり天気が良くなかったようですが、3日は天気に恵まれ、うえのドイツ村での「こいのぼりフェスタ」には、やまかさの人で賑わったようですね。
 
 私は3日、東京八王子にある高尾山に登って、新緑を満喫してきました。それにしても だいずな人出でびっくりでした。
 
 そんなゴールデンウィーク中の4日、くま・かま読者のんみゃーちおじさんの訃報が届きました。んみゃーちおじさんは、掲示板でもおなじみなのでご存知の方が多いと思いますが、宮古が大好きで、くま・かまのことも やまかさ(たくさん)の人に宣伝してくださったり、東京でのオフ会に名古屋から参加してくださったりと、とてもくま・かまのことを応援してくださいました。感謝の気持ちでいっぱいです。掲示板には、おじさんの逝去を悼む書き込みがたくさん寄せられました。おじさんの人柄が分かりますね。心よりご冥福をお祈りします。
 
 三週間ぶりのくま・かま、vol.219は のーしが やたーがらやー?
 
 優子さんの「統計から見た宮古」、面白かったですね。島田紳介さんの宮古を思う気持ちも ぷからすむぬですよね〜。観光では分からない島の魅力をどんどん紹介してほしいと思います。山本貴代さんの『女子と出産』今の時代の産むということの大変さがいろいろな角度から書かれています。ばんたが優子さんとの対談も必読。ぜひ!
 
 B.サラ(ビートルズ世代のサラリーマン)さんの死亡広告の話、内地の人はびっくりしたかもしれないですねー。うちの母ちゃんも、他の記事は読まなくても、そこだけは毎日確認すると言います。死ぬということも大切なこととして扱われている気がしますね。
 
 あなたの感想もぜひお寄せくださいね。
 きゅうまい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふ〜。
 (きょうも最後までお読みいただき ありがとうございました)
 
 次回は、5月20日(木)発行予定です。どうぞお楽しみに〜。そして、きゅうまい(きょうも)かぎぴかず(佳き日)でありますように!
 あつかー、またや〜。