こんにちは〜。6月になりましたね。
今回も個性あふれるぱなす(話)がいっぱいですよ。どうぞお楽しみください〜。vol.221スタート!
ゾウギパナス(雑木の話)
宮国勉(城辺・西城出身)
植物の名前にイヌとかヤブなどの付くものが多いことに何時からか気になっていた。調べてみると名付けられた経緯や意味合いなどが分かり、うむっし(面白い)かも知れないと思っていた。
書き留めていくとイヌ(犬)、ヤブ(藪)、ニセ(偽)、モドキ(擬き)などの他にオニが出てくると悪口の寄せ集めである。
イヌ、ヤブ、ニセ、モドキなどには似た植物が存在し、それに似ているが異種である意味で付けられたようである。
これらの付く植物は大概が本物ではなく、何処にでも有り、食べられないなど本来の種のように有用でなく役に立たないというような扱いを受けている。それにオニやクソとまで名付けられた植物は つんだらーさ(可哀相)としか言いようがない。
また外来種と思われる外国名の付くもの、離島などの特定の地域で見られる植物には地域名が付けられている。
ネズミやスズメなどが付いたものは、人間の食するものに似てはいるが大きさが小さいとか、食べられないなどの意味を込めて付いたと思われる。
これらの仲間で日陰者だったイヌの付くイヌマキ(きゃあぎぎー=宮古島の方言名)は沖縄ではシロアリに強い立派な建築用材として重宝されている。また、トックリヤシモドキなども公園でよく見かける美しい椰子である。
何れも人間の都合で勝手に付けられた名前であるから植物にとっては迷惑なことである。名無し草(ななしぐさ)よりマシだと囁く声もある。
1)イヌ(犬)にはイヌマキ、イヌツゲ、イヌグス、イヌアカシア、イヌビワ(んーぶぎー=宮古島の方言名)などかなりの数が存在するが、代表として列挙した。
マキ(槙)とはイヌマキ、ラカンマキ、コウヤマキなどの総称である。マキとは元来スギの古名で、建築材料の最上級の意で使われた。コウヤマキはホンマキと呼ばれイヌマキは偽である。
イヌツゲ(犬黄楊)はツゲに似るが別種で、庭木や盆栽用として植えるが材質がツゲより劣ることから付いた名前である。ツゲは印鑑の材料や櫛など高級材として使われる。
タブノキ(こーぎー=宮古島の方言名)は建材としてクスノキと比べると材質が落ちるためイヌグス(犬樟)とも呼ばれる。枝葉には粘液が多く、乾かして粉にするとタブ粉が得られ、それは線香や蚊取線香の材料の1つ(粘結材)になる。また、樹皮や葉は染料に用いられる。
イヌザンショウ(犬山椒)はサンショウと比べられて、利用価値がないことからこのような名前がつき、似ているが葉はやや長く香も異なる。
2)ヤブ(藪)にはヤブニッケイ(つっつぁぎー=宮古島の方言名)など似ているが代用にならないから付いたものもある。
ニッケイは香辛料や生薬に使われ貴重である、葉の形などの似たヤブニッケイは、さほど香りもなく区別する意味でヤブが付いている。ヤブツバキ(藪椿)、はツバキの原種を指す言葉。
3)ニセ(偽)にはニセアカシア(偽アカシア)、ニセコバンソウ(偽小判草)などがある。
ニセ(偽)が付いたこのニセアカシアは、明治頃に輸入され、アカシアと呼ばれていたが、本来のアカシアが後に輸入されたことでニセが付いてニセアカシアと呼ばれることになった。
別名をハリエンジュ(針槐)と呼ぶが、本家のエンジュは薬効があり、枝には刺もなく花は上向きで咲くなど建材としても上級材である。ハリエンジュ(針槐)は春先に白い花を咲かせ、ぶら下がるように付いて咲き、結構強い香りを放っている。
4)モドキ(擬き)にはウメモドキ、タチバナモドキ、シャクナゲモドキ、クロウメモドキ、サフランモドキ、ツルウメモドキ、ワシントンヤシモドキ、トックリヤシモドキなどがある。モドキ(擬き)とはまがいものを指している。
ウメモドキとはモチノキ科の植物で赤い実が美しく、名の由来は葉がウメの葉に似ていることからついた名前である。
タチバナモドキ(ピラカンサ)は、果実がミカンの仲間であるタチバナに似ているとの意味である。
5)見た目や臭いなどその植物の特徴からオニ(鬼)はオニウコギ(鬼五加)、オニオオバコ(鬼大葉子)、オニグルミ(鬼胡桃)、オニキリマル(鬼切丸)などがある。
一般には、植物名に「オニ」という名前をつける場合には、同じような植物の種類でも大型の場合につけることが多いようで、オニバス(鬼蓮)などがある。また、オニは棘があるとか、毛深くて素手で触るには躊躇するので付いたようである。
オニグルミの名前の由来は、オニグルミの果実の中核は表面が、でこぼこがあって、醜いので、鬼の面にたとえて、この名前がついたと言われている。
オニイタヤ(鬼板屋)は葉が大きなイタヤカエデのことから付いた名前で、葉縁に鋸歯がなく葉裏全体に短い立毛があるのが特徴です。
オニキリマル(鬼切丸)はアロエの仲間で、強烈なトゲが特徴のアロエである。
臭いからヘクソカズラ(ぴーぴーがっさ=宮古島の方言名)やクソニンジン (糞人参)などは臭いが好まれないので付けられたと思われる。
6)チョウセン、アメリカ、タイワンなどの外国の名が付くのは外来種と思われる。しかし、和名のチョウセンは単に海外から入ってきたものの意味とされる。
チョウセンニンジン(朝鮮人参)は、強壮薬のある植物で知られている。またチョウセンアサガオ(朝鮮朝顔)はエンジェルストランペットまたの名をキダチチョウセンアサガオと呼ばれ毒草である。
アメリカハナズオウ(亜米利加花蘇芳)、アメリカチシャノキ、アメリカ・デイコ(亜米利加梯姑)、ベイスギ(米杉=レッドシダー)、アメリカネムノキ(亜米利加合歓木)。
タイワンバナナ(台湾バナナ)、タイワンアカシア(台湾アカシア)=ソウシジュ(相思樹)、タイワンレンギョウ(台湾連翹)、タイワンオモト(台湾万年青)。
7)地域名のリュウキュウ、オガサワラ、ハチジョウ、オオシマ、サツマ、エゾ、などの地域の名が付くものもある。
リュウキュウ、オガサワラ、ハチジョウ、オオシマ、キリシマ、サツマ、サクラジマ、エゾなど地域の名前が付くものは、その地域でしか見られない植物である。
リュウキュウマツ、オガサワラビロウ、ハチジョウススキ(ぶーぎぃぎすきぃ=宮古島の方言名)、ハチジョウモクセイ、大島と名のつく植物でも、オオシマザクラを始めとしてオオシマツツジ、オオシマハイネズ、オオシマヤブマオなどがある。サツマサンキライはサンキライの仲間で鹿児島に見かけるものという意味である。サクラジマダイコン(桜島大根)、エゾマツ。
8)生物名が付くものにはネズミモチ、イヌノフグリ、スズメノエンドウ、ヘビイチゴなどがある。
ネズミモチは実がネズミの糞に似ているのでこの名前があるらしい。意外に馬肥やし(ウマゴヤシ) などは、とてもよい飼料になるからという立派な名前が付けられている。
9)その他の珍名
子の尻拭(ままこのしりぬぐい)は茎に痛そうなトゲあり、このトゲで継子(ままこ)のお尻をふいた、という意味で名づけられたそうである。 イヌノフグリ(犬の陰嚢)は例外でゴマノハグサ科の二年草で本州以南の路傍や畑のわきなどに生え、春に淡紅紫色の小さな花が咲き、実がへこんだ偏球形をしており、イヌの陰嚢に似ていることから付いたらしい。
「偽=false」⇔「真=true」>
★イヌ(犬):
イヌマキ⇔マキ、イヌツゲ⇔ツゲ、イヌグス⇔クスノキ、イヌアカシア⇔アカシア、イヌビワ⇔ビワ、イヌザンショウ⇔サンショウ
★ヤブ(藪):ヤブツバキ⇔ツバキ、ヤブニッケイ⇔ニッケイ
★ニセ(偽):
ニセアカシア⇔アカシア、ニセコバンソウ⇔コバンソウ、ニセランセマム⇔ランセマム
★モドキ(擬き):
ウメモドキ⇔ウメ、タチバナモドキ⇔タチバナ、シャクナゲモドキ⇔シャクナゲ、クロウメモドキ⇔ウメ、サフランモドキ⇔サフラン、ツルウメモドキ⇔ウメ、ワシントンヤシモドキ⇔ヤシ、トックリヤシモドキ⇔ヤシ
★オニ(鬼):
オニウコギ⇔ウコギ、オニグルミ⇔クルミ、オニアザミ⇔アザミ、オニバス⇔ハス、オニノゲシ⇔ノゲシ(ふくなー=宮古島の方言名)
<参考文献>
『木の名・草の名−その名の由来−』近藤浩文著
『植物和漢異名辞林』杉本唯三著
兄を想って書いた詩(15)
ワタリマリ(上野・宮国出身)
この詩は、脳性マヒの あざ(兄)を想って書いたものです。
よだれ 赤ちゃんのよだれはかわいらしい ボクのよだれはきたならしい ながれるな ボクのくちのなからボクのよだれは もうすぐこぼれおちようとしている 妹がボクのシャツの前ボタンをしめてくれている 妹の手をボクはみる 小さな手がボタンホールをはさみ 向こうから来るボタンを一所懸命くぐらせている よだれがくるぞ早く手をひっこめろ こぼれだしたボクのよだれ 妹の手にかからないようにボクは顔を右に傾ける よかったあシャツの裾におちたぞ だがまたすぐによだれは ながれだした ボクにはよだれがとめられない いっぽんのほそーいぬるいみずあめのようなよだれが 妹の手の甲真上からたれてくる 早くボタンンをかけてそこをはなれろ ぼくにはよだれがとめられない そのほそくぬるいみずあめのようなよだれを 妹の手の甲はしっかりとうけとめた 妹はてをとめて その手をボクのシャツになすりつけ 「いれれーい」(きたなーい) 妹の口はとんがっている とんがったまま向こうのほうからタオルをもってきて ボクのくちをふく だれだって自分以外のよだれがふいにかかったら 「うえっ」となる 家族であろうがなかろうがそれはいっしょ ちがうのは「いれれーい」と家族は言葉でいうが 他人は心のなかでおもっているかもしれない ボクに悪いと思っているのさ 遠慮がないのがボクの妹であり家族だ 今日は妹の手の甲に見事に落ちたけれども ボクのよだれはあちこちにおちる ボクは動く あっちへいく こっちへくる ぐにゃあとした水あめのかたまりようなよだれは 時にはボクの妹への仕返しにもいい きたきた妹がお友達をつれてきた かまんかいぴり(あっちいってて)だそうだ わかっている向こうへいくよ ボクは透きとおったよだれをたらしながら移動する 床にはいくつかのよだれのかたまり あとはそれを踏んだ時の妹の悔しそうな顔を見るだけ あいじゃ いれれーい 妹はつま先歩きで雑巾をとりにいく んばんにゃ(もういや) ぶつぶついいながらあっちの床もこっちの床もふく そりゃそうだお友達にはふんでほしくないもんね おかげで拭き掃除ができかあちゃんは大助かり よだれ拭きされた床はぴかぴかに光っている
お袋との会話から
アモイ(平良・宮原出身)
1、庭に駐車してある車のドアをロックしてなかったので、夕方ロックするためにキーを持って外へ出てこうとしている時の会話。
お袋「んざんかいりゃー?」(どこへいくの?)
僕 「車んかいてぃ」(車まで)
お袋「来間んかいてぃー んなまからなー?」(来間までよーと、今からなー?)
2、僕が家で掃除機を掛けていて、靴下を吸い込んでしまった。 靴下が詰まって、掃除機がうなっているのを見ていて一言。
「そうじきゃー くつしたーふぁいどぅ ばたんちうーさいが」
(掃除機は 靴下を食べて、はらいっぱいになっているさいが)
3、スナック菓子を買ってきて、袋ごとテーブルに置いて一緒に食べてい た。袋に「スナック菓子」と書いてあるのを見て一言。
「いいまた、スナックんな あんちぬむぬーどぅ ふぃーさいがやー」
(あーなるほど、スナックではこんな物を食べさせるんだね)
4、耳が遠いせいもあって、テレビ番組ではゲームとかのように、目で見てすぐわかる番組が好きなお袋は、毎週、「東京フレンドパーク」を見ているのに、番組名を知らないので教えてあげた。
「うぬ ばんぐみゅーばー『東京フレンドパーク』てどぅあーさーい」
(この番組は東京フレンドパークというさー)
「『農協フレンドパーク』ていー?」
農協が身近な存在なのである。
5、お袋は指を使いすぎると、ときどき指がけいれんしてしまう事がある。その時は中指が前に突きでて、指の間を広げるような格好をしている。ある日テレビをみていると、
♪私のお墓のまーえで泣かないでください〜そこに私はいません・・
いよいよさびの部分♪千のかーぜーにー千のかーぜになってー・・
秋山雅史が腕を広げて、感情移入しながら、高らかに歌い上げる。手を上げ気味にして指にも力がはいって、指の間を広げるようなしぐさをしている。指の広げ方が、自分が痙攣したときの格好に似ているのを見て一言。
「ういまい けいれんなしーなーどぅ うーべ? 」
(この人も けいれんしたり しているのかなー?)
6、懐メロの番組で昔の歌い手がでてきて唄を歌っているのを楽しそうにみていた。美空ひばりが登場して、♪あーあー 川の流れのようにーと高らかに歌っているのを見ていて一言。
「かしゅぬきゃーまい やっかいやー すにってぃからまい あーぐーあーかに」(歌手の人達もたいへんだねー 死んでからも 唄を必死にうたって)
7、宮古テレビの懐かしの宮古祭りのビデオに親父がインタビューされている場面があり、ビデオテープでそれをみせた。9年前に亡くなった親父がインタビューに答えている姿をみて一言。
「あがいー うりゃーうまんどぅ あんちー まーりゅーさいがやー」
(あがいー この人(父)は そこで あんなふーに 居るんだねー)
8、お袋は家の周り畑でほんの少しバジルを栽培し、週に一回程度仲買人を通して本土へ出荷している。そのバジルを刈り取って揃えて束ねていると、バジルにまぎれてカマキリがでてきた。それを見て一言。
「ならまいどぅ ないちんかい いかってぃー うむいゆーさいが」
(カマキリも、本土にいこうと 思っているはずさー)
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
宮古では先月29日に「第17回鳴りとゅゆん みゃ〜く方言大会」(宮古島市文化協会主催)が行われたそうです。会場のまてぃだ市民劇場は今回も やまかさ(たくさん)の観客で賑わったようですね。うぷあまい(大笑い)をしている観客の姿が宮古毎日新聞(5月30日付け)に載っていました。
出場者7名の中から、最優秀賞には与那覇冴子さん(宮古テレビの「冴子おばあのよもやま話」で有名ですね。くま・かまでもvol.181で紹介)が選ばれたそうです〜。パチパチパチ〜。7名のみなさんは、のーしぬぱなっす すたーがらやー(どういう話をしたんでしょうね)。きき゜ぶすむぬやー(聞いてみたいですね)
今年も宮古島市文化協会(0980-76-6708)から方言大会のDVDが近いうち発売されるそうですよ。興味のある方はぜひ!
話は飛びますが、iPadが発売になりましたね。手にした人も多いでしょうか。本が読めるというのが私の一番の興味ですが、図書館に勤める者としては、これから紙の本はどうなる?活版印刷を発明したグーテンベルク以来のビッグな出来事!?となんだか落ち着かない気持ちにもなります。本の形や肌触り、紙の匂い、そんなものがなくなるというのはどういうことなんだろう。iPad欲しいなと思っていますが、わくわくとする気持ちとこれまでのものが崩れていくような不安となんだか複雑な思いがしています。うーん、どうなるべき!?
さて、vol.221は、のーしが やたーがらやー?
宮国勉さんの、名前ごとに分けられた植物の話に、へぇーと思ったり、なるほどーと思ったり。ストレートな名前のつけ方に、笑ってしまったり。やらびぱだ(子どもの頃)から植物に興味のあった宮国さんは、内地に住む今も植物に注ぐまなざしは変わることがなく、つきない興味の深さが表れていましたね。
ワタリマリのお兄さんの詩は15回目。日常の中のひとコマに家族としてのいろいろな思いが入っていますね。よだれは時に「仕返しにもいい」と思うお兄さんもいいな。風通しのいい家族関係が見える気がします。「15回。そんなに書いているんだね。まだまだ思いは尽きないさー」と本人。今後もお楽しみに。
アモイさんとお母さんとの会話、だいずうむっしでしたね。あまいぶりした人多いはずね〜。ナイスなお母さんですね!中国で仕事をしていたアモイさんが宮古に帰って、お母さんとゆったりした時間を過ごしている姿も目に浮かぶようでした。読後感もほんわか〜。
あなたの感想も きかしふぃーさまちよー(ぜひ聞かせてくださいね)
きゅうまい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(きょうも最後までお読みいただき、ありがとうございました!)
次回は、6月17日(木)発行予定です。どうぞお楽しみに〜。
毎日が、あまいとばらい(笑いいっぱい)の日々でありますように!あつかー、またや〜。