こんにちは〜。
少しずつ秋らしくなってきましたね〜。がんずぅかりうらまずなー(お元気ですか)?
今回のくま・かまは、ニューフェイス登場!そして、海外からのぱなす(話)がふたーつ!
お楽しみください!
すぐりむぬが生まれるよ
幸地郁乃(平良・久貝出身)
嫁ぎ先のシヅおばあが亡くなって、1年が過ぎた。
おばあは、私の夫の祖母にあたる。おばあと初めて会ったのは、彼女として夫の実家に招かれたときだから、もうだいぶ前のこと。ご両親にあいさつをして座っているところに、同じニャーツの、つかふがま(近所)に住むおばあがひょっこり顔を出したのだ。
そのとき、おばあは私を見るや、ぱっと腕を広げた。「おばあはとっても嬉しいよ。チューしてもいいかねぇ?」それはもうやんちゃな、最高の笑顔で迎えてくれたのだ。笑顔の光線を体中に浴びながら、これからお義母さんになる人がつくってくれたイカ墨汁をすすった。じんわりと胃に沁みこんでゆく味だった。
入籍をして1年余り過ぎた頃、長男が生まれた。おばあにはひ孫達もすでにたくさんいたが、ほとんどは沖縄本島などに住んでいたので、「子や孫が同じ島にいることは親孝行だよ」と、とりわけ可愛がってくれた。
なかでも懐かしく思い出すのが「すぐりむぬ(優れ者)が生まれるよ〜」という口ぐせだ。おばあの問いかけに、幼い息子がカタコトで何か答えを返すと、おばあはよく「この子はすごいよ!はいー、もう、すぐりむぬが生まれるよー!」という風に、ほめちぎってくれた。
きっと、どこの子もこんな調子で、祖父母から同じようなことを言われているのだろうけれど、この言葉をきくと、よぉし頑張って育てるぞ、と前向きな気持ちになれるのだ。
私が、いたずらが過ぎた子供たちを叱っていると、「おばあはね、子供には一度も手を上げたことはないよー」と、やぱーやぱ(やんわり)とクギをさされた。
この子はもっともっと良くなる―と相手にも自分にも言い聞かせることで、ほんとうに期待したようになっていく“ピグマリオン効果”というのがあるらしいが、おばあの言葉は意図せずしてそれと同じだなあ、と思う。おばあはそうして、自分の子供や孫や、ひ孫を見つめてきたのだろう。
下地勇さんが名曲「おばあ」などを引っさげて初のマティダ市民劇場ライブをしたときには、夫が、シヅおばあにもぜひ聴かせたいと一緒に連れて行った。帰り際に目をきらきらさせて「きれいな声の人だったねぇー」と感想を語るおばあを見て私たちも嬉しくなった。
三年ほど前、おばあは体調を崩して入退院を繰り返すようになった。それでも、見舞いに行くと「あんた(私の長男)は、歯がきれーいだねー。いつまでも大事にしなさいよぉ」と、いつものように声を掛けてくれた。だんだん体力が衰えていくおばあを見ているのは切なかったが、子供たちの顔を見せるのがせめてもの“おばあ孝行”だった。
おばあは、昨年の旧盆行事が終わった翌朝に亡くなった。何事もきっちりしたおばあらしい。七日七日(ナンカナンカ)の法要を無事終え、夫の実家には新しい仏壇が備えられた。
ある日、長男が仏壇に向かって、イー、という顔をしている。何しているのと夫が聞いたら「おばあに歯を見せている」と長男。おばあもきっと笑っていたことだろう。
子らが「すぐりむぬ」になるかどうかは、まったく周囲の大人しだいなのかもしれない。おばあの言葉を思い出しながら、温かい目で若い世代を見守っていければいいなと、不惑を迎えたこの頃、よく思う。
月餅の話
アモイ(平良・宮原出身)
現在、知り会いの すぐとぅぬ かしー(仕事の手伝い)で中国の大連にいます。
中国では旧暦の8月15日の中秋節(日本では中秋の名月)の日は国家の休日で、その日は月餅を食べる習慣があります。一家団欒で月をみながら月餅を食べるというのが一般的な過ごしかたのようで、月餅が まーくまーく(丸いの)なのは円満な家庭を表しているそうです。
日本では月には兎とかぐや姫が居ると言われ、中国では、嫦娥(チャンアー)という仙女が兎を抱いて月に住んでいると言われているそうです。両国で人工衛星にも「かぐや」や「チャンアー」等の名前が見られるなど、月にまつわる話は類似点が多いようです。嫦娥の話の由来はネットでも検索できますので割愛させていただき月餅の話を続けます。
現在では各会社間でも主要な客先に月餅を届けるのが恒例となり、日本のお歳暮と似たような感じです。社員の日ごろの勤労に対し感謝するという意味も込めて、全員に月餅をプレゼントする会社もかなり増えているようです。一人に一箱(6〜9個入位)単位であげないと喜ばれません。ばらして2個や3個などと上げようものなら逆に小気!(ケチ)とか言われ、かなりのひんしゅくを買う羽目になります。
私が知る限りは、会社間で目だって客先に届けたり従業員に送るというようになったのは90年代の終わりから2000年の初め頃だと思います。(但し、中国は広く全国的がどうかは定かではありません)中国の市場経済導入政策が進められ、中国の経済が良くなっていくのと平行して、月餅の箱も派手になり中味の餡子も色々な種類がでてきて、自分の口に合うのも選べるようになりました。
しかし年々とその包装の豪華さが目立ち始め、中味の伴わない包装の過剰ぶりが問題となってきてました。2003年ごろだったか、当局から過剰包装自粛という通達がされたという話も聞きました。しかし、今年の中秋節前に行きつけのマッサージ店から月餅をプレゼントされ、喜んで持ち帰って箱を開けてみました。B4サイズ位の箱に中味こそ8個ありましたが、一口まんじゅう位の大きさにはガクッときました。でも思えば只だし、それなりに んまーんま やーたーば(美味しかったので)ありがたかったです。
当時、毎年中秋節に大量に作り、売れ残った月餅がどうなるか気になるマスコミ関係者がいたようで、ある有名な月餅メーカーに潜入し、前年に売れ残った大量の月餅の処理をどうするか追跡するうち、ついに前年の月餅の餡子を再利用し月餅を加工している現場をカメラでとらえ、その加工方法や管理の実態を暴露してしまいました。
中国国内で大きなニュースとなり、月餅好きな人々にショックを与える事件もありました。その後、その会社の月餅は売れなくなり倒産したという事です。
今年もスーパーでは中秋節が近づくと箱詰めの月餅が山積みになってました。その他、一個単位でビニール包みになったもの、包装なしで裸で並べられたものなどもあります。私は裸で並べられている月餅が美味しそうに見えたので、買おうと思い、手でつまんで袋に入れようとして、下の方をみたら欠けているので、元へ戻しました。近くにいた従業員が文句を言ってきました。「素手で触ったものを戻したら不衛生でしょう」と怒られたようです。それもそうだ、と思いながら、後の人をみると、ビニール袋を裏返して手袋代わりにしてつまんで吟味しているのだった。「そんな味噌売り場じゃないんだから はさむやつ(トング)でもおいててくれればいいのに」と日本語でつぶやいていました。
今の会社では従業員に月餅を贈った事がないそうですが、中秋節の前日に朝礼をした最後に「何かありますか?」と聞いたら、「隣の会社では月餅を配ったそうですが、うちの会社は無いの?」と質問され、全員の気持ちを代弁したような質問にみんなの期待する顔が見えて、「そうねー、私も心が痛いですね。ちょっと検討させてください」と応えて、急いで日本の社長に電話連絡し掛け合うとあっさりOKしてくれたので、帰りの時間までに間に合うように手配し、9個入りの月餅をみなさんに喜んで持って帰ってもらう事ができました。
中秋節の後、しばらくはもらい物の月餅が事務所のおやつとなっていました。さすがにあれから3週間近く経ちますので月餅もなくなりました。空になったきれいな箱が何個か残りましたが、そのうちの一つは検査室で硝子部品を並べる部品サンプルの陳列用にと鮮やかに変身していました。
そんな折、中秋節前から帰省して休んでいる従業員が出勤する予定の日を過ぎたのに連絡ないまま休んでいるので、事務員に、「しょうがない、辞めてもらうから連絡して」と電話をしてもらい、その趣旨を伝えて話しが終わり、電話を切ったとたんに、「やったー」とそばで聞いていたもう一人の事務員が うぷぐい(大声)で喜んでいるのです。
みんなで「何??」と怪訝な顔で彼女を見ていると、「これでまた月餅が食べられる」と言うではないか、「えっ?えっ?」理解するまでちょっと間が空きました。休んでいたその子の分の月餅がまだ配られずに事務所に一箱残っていて、それを密かに狙っていたと言う訳だそうです。
くぬ すだむっさ(この食いしん坊)とあきれながらも事務所内が大爆笑になりました。休憩になると早速その月餅の箱が開けられ、ぷからすきなり(幸せそうに)頬張る事務員をみながら、食い気はその人の体型に現れるんだなー!」とつぶやいていました。
ショパン(CHOPIN)とポーランド (投稿)
山雀タヌキ(下地・上地出身)
すぐと(仕事)でポーランドに来ています。
ポーランド人で、日本でよく知られている人物と言えば、年代順に地動説を唱えたコペルニクス、ピアノのショパン, ノーベル物理学・化学賞を受賞したキューリー夫人、共産政権から連帯を引き連れて現在のポーランド初第大統領となったワレサ委員長、そして前代のローマカトリック法王のヨハネ・パウロ2世かと思います。
今年は、ショパン生誕200年祭で日本でもショパンピアノコンサートで盛り上がっているかと思います。
当然、ここポーランド・ワルシャワはショパン一色です。10月に入り、5年ごとに開催される第16回ショパン・ピアノコンクールがワルシャワ・フィルハモニアで行われています。
日本人ピアニストも10名以上参加しており、ワルシャワの街は日本人ツアー客を やまかさ(多く)見かけるようになりました。
このコンクールはポーランド国営テレビで生放送され、ポーランドの方々は、総批評家になって優勝者を予想するのだそうです。10月23日ころに、ショパンコンクールの優勝者による演奏会で幕を閉じることになります。
ポーランド人にとって、ショパンは愛国心の象徴であると聞きました。厳しい共産政権時代はポーランド人の き゜む(心)のよりどころであったと顧客先の幹部の方がしみじみと話しておりました。ほとんどの街に“ショパンの名を冠した通り”があります。
ワルシャワ旧市街地にショパンの心臓を埋め込んだ碑のある教会、やらび(子供)時代を過ごした家や、オルガン奏者をした教会などが、ワルシャワ大学近辺に点在し、ショパン財団により関連設備が運営され、世界中から音楽好きはもちろんのこと、その他大勢の観光客でにぎやかです。
ショパン博物館は入場制限されて、チケットは予約が必要なほどです。ワルシャワ・オペラハウスでもショパンの名を冠したモダンバーレーが上演されていますし、ワルシャワ大学音楽教室では、ショパンが描いた絵の展示会が開かれています。ショパンは絵の才能のあったことは初めて知りました。
ワルシャワ市内からやく50Kmほど離れた、ショパンの生家は広大な公園として整備され、日本ショパン教会からも桂の木が送られ生家のコンサート広場で かぎーっちゃぬ(きれいな)黄葉を見せてくれています。
4月から10月の初旬までは、ワルシャワ市内の公園などで屋外の無料ショパンコンサートが開かれ、観光客のみならずワルシャワ市民もたくさんつめかけて盛況です。
ポーランドの顧客先の方と初対面の場合、仕事の話が終われば日本人はとくにショパンのピアノ曲が好きで、もちろん私もポロネーズやマズルカが大好きですと話すと、目を輝かせて喜んでもらえます。
ポーランの方々は、ショパンコンクールに多数参加する日本人には大変好意を寄せてくれますし、多数の大学で日本語学学科が設けられております。2004年にEUに加盟し、若い人の多いポーランドがますます発展すること祈ってポーランド便りを終わります。
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
寒露を過ぎ、宮古では、サシバ(鷹)の飛ぶ姿が観測されたようですね。宮古の秋の風物詩です。サシバと聞くと んなままい(今でも)心わくわくーとします。
vol.228のおしらせコーナーで紹介した、ばんたがマツカニ(棚原芳和)さんが神奈川支部長を務める、琉球民謡伝統協会 神奈川支部 第3回芸能発表会が先日(10月10日)、杜のホールはしもとで行われました〜。
当日は300名余りの来場があり、神奈川支部のみなさん、応援にかけつけた沖縄本部のみなさんによる歌、三線、踊りが披露され、素晴らしいステージに会場からは拍手喝采でした。それから、サプライズゲストに砂川恵理歌さんが登場し、花を添えましたよ〜。
司会をしながら、私も舞台を堪能しました。神奈川支部が発足してから4年で堂々の大舞台。さすがマツカニ師匠〜。みなさんのこの舞台にかける想い、民謡を愛する気持ち、ひとりひとりが光っていて感動でした。菜の花も楽しそうに舞台に出ていましたよ。会場には内地の方が多くいらしていましたが、沖縄芸能に魅了された様子でした。まーんてぃ上等、発表会でした!
さて、vol.230 のーしが やたーがらやー?
今号より、くま・かまライターになってくださった幸地郁乃さんからのスタートでした。息子さんとおばあさんの心温まる素敵なお話しでしたね。郁乃さんは、1970年(昭和45年)生まれ、平良久貝出身。(結婚されて本名は根間さん)。現在宮古島市在住です。『読めば宮古』や『書けば宮古』でご存知の方も多いことでしょう。郁乃さんのこれからの活躍にご期待くださいね。よろしくお願いします!
今回は、海外からのお話しがふたーつ。ワールドワイドなくまかまです。
アモイさんの中国の月餅事情、へぇーと思いながら読みました。月餅、私も大好きです。中国の慣わしや変化の様子など、リアルに伝わってきましたね。アモイさんの中国での様子は、アモイさんの「うむやす掲示板」で見ることができますよ〜。お、CDも制作したようです。ぜひアクセスしみーるよ〜。
山雀タヌキさんは久しぶりの登場でした。これまで、メキシコやサウジアラビアでの話しがありましたが、今回はポーランドから。(この時季ポーランドは最低気温、零下2度。最高気温も寒いと5度くらいだそうです)あがーたの(遠い)国なので知らないことが多く、興味深く読みました。山雀さんがポーランドの方たちに だいず親しみを持っていることも伝わってきましたね。山雀さん、投稿たんでぃがーたんでぃでした。
あなたの感想もぜひ、お聞かせくださいね〜。
投稿まい、いつでも受付中!
んにゃ、そろそろ しまいっとー。
しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。
次回は、11月4日(木)発行予定です。
きょうも、かぎぴかず(よき日)でありますように!あつかー、またや〜。