くまから・かまから vol. 261

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 こんにちは〜。
 全国的にぴしーぴしの(寒い)日が続いていますががんずぅかりうらまずなー(お元気ですかー)?
 vol.261お楽しみくださいね〜。

『宮古の自然と文化 第3集』

かい(伊良部・佐和田出身)

 去年の12月、ついに第3集が出ました。
 
 「宮古の自然と文化を考える会」(1995年発足)では、年に3回講演会を催しており、それをまとめたものです。
 
 副題は「躍動する宮古の島々」です。来間島にかかる来間大橋を下地側から撮った写真や宮古の代名詞ともいえるてっぽうゆり満開の東平安名崎の写真と並び、躍動するイメージが本の副題にぴったりという伊良部のフナウサギバナタ展望台の写真が大きく表紙を飾っています。
 
 フナウサギバナタは対岸に池間島を見る伊良部島の北側に位置する断崖です。今では宮古から旅に出る人は飛行機で余情も無く瞬く間に飛び立っていきますが、船旅のころは平良港から出た船は必ずこの池間島と伊良部島の間を通って沖縄本島へ向かっていきました。別れを最後の最後まで惜しんだ人は、このフナウサギバナタから船影が見えなくなるまで手を振り続けたそうです。
 
 前置きが長くなりました。
 
 第3集は、自然が(1)洞穴が語る宮古の自然(大城逸朗)(2)宮古のサンゴ礁(梶原健次 松本尚)(3)宮古群島の植物と自然(横田昌嗣)(4)ヤギの神秘(砂川勝徳)(5)マクガンあんちーかんちー(藤田善久)(6)宮古諸島の野鳥たち(久貝勝盛)(7)宮古よもやま話―自然と人々のいとなみー(中西康博)という7編からなっています。
 
 文化が次の7編です。(1)ツバメの方言名とその由来、及び各地におけるツバメ観(渡久山章)(2)「宮古人」を考える(下地和宏)(3)太平山小考(糸数兼治)(4)近世先島の土地制度(平良勝保)(5)宮古島平良字西里方言の音韻(島尻澤一)(6)宮古島西原の年中行事をめぐって(上原孝三)(7)宮古の御嶽と神々(本永清)
 
 講演会は年に3回、3月7月11月に那覇市の新しい公民館「ほしぞら公民館」にて行っています。基本的にはその月の第2土曜日ですが、公民館の都合でその前後にずれることもあります。
 
 くまかまの読者で沖縄本島にお住まいの方、新聞でも案内はしていますので、一度足をお運びになってみませんか。そして是非講演会後の懇親会に参加してください。一番の面白みはこの懇親会にあります。
 
 例えば、宮古の洞穴調査での裏話。ある縦穴の洞穴が発見されて調査の為降りることになりました。調査員たちは皆この調査に興奮して、我先にと垂らしたロープを降りていきました。
 
 だいたいの確認が終わり、さあ地上に戻ろうという時になって大変な問題に気がついたのです。誰も地上に残っていなかった!持っている携帯で助けを呼ぼうにも電波が届かない!さあどうしよう。メンバーたちは肩を寄せ合って話し合い、この中で一番運動をしていて体力がありそうなSを選び彼に運命を託したのです。Sは泣く泣く命がけでロープをよじ登り何とかこの使命を見事に果たしたのでした。
 
 この洞穴の発見は宮古の新聞で大々的に発表するはずでしたが、事の顛末を伏せたい調査員たちは裏工作をしてちょびっとした記事にしてもらったそうです。笑えますね。
 
 サシバの研究で第1人者のK先生は、教員時代にはアカハラダカやサシバが飛来すると、朝早くから双眼鏡を持って調査。そんな地道な活動も論文ではたった2行で終わる泣きたい話。
 
 ある時はサシバについての発見があり記者会見する会場も手配していたのに、土壇場でヤンバルクイナが現れ記者たちの関心がヤンバルクイナにさらわれてしまった悔しい話など、本には決して書かれない裏話が懇親会では聞くことが出来ますので楽しいのです。
 
 宮古の事は知っているつもりで知らないことがまだまだたくさんありますし、全く関係無いはずのところで、ある瞬間に回路が繋がり「ああそうだったのか!」と閃くこともあります。
 
 この本は皆さんのそういう手助けになる1冊かもしれませんので、是非手に取ってみてください。(ただ残念なことに、年内という目標にせかされて校正が不十分なまま世に出してしまったことが悔やまれます。その点はご了承くださいませ)

『宮古の自然と文化』新星出版 2000円(税込み)
県内の書店で購入可能です。

「宮古の自然と文化を考える会」の講演についての問合せは
 かい(長堂芳子)yoshikon@southernx.ne.jp まで。

『四島ぬ主』どーかってぃ解説

マツカニ(上野・高田出身)

 宮古の民謡は偉大な英雄が数多く唄われ、沖縄や八重山地方ではほとんど見られない宮古民謡の特徴だといわれています。「新城目差親」、「池間の主」、「ウーニぬ主」、「古見の主」、「根間ぬ主」などなど有名所も数多いですが、今回はその中から「四島ぬ主」を取り上げたいと思います。
 
 四島ぬ主(ゆすまぬしゅう)は童名を百佐盛(ムムサムイ)といい、文才に秀でていたため、仲宗根豊見親により若くして四島ぬ主に任命された。四島とは、狩俣、島尻、池間、大神の四つの地方のことで、四島ぬ主は仁政を施し、多くの人々から人望を集めていたということです。それでは「四島の主」です。

1 かずまたぬ まやぬ やーぬ ゆすまぬしゅう
  (狩俣の マヤの 家の 四島の 主)
 2 ゆすまぬ しゅうが あらぱなぬ うやなずやよ
  (四島の主が 初めて 親(主)になったのは)
 3 うやなりゃが、まぱずみてぃぬ うやなずやよ  
  (親になる者が 初めての 親になったのは) 
 4 なうからが いきゃからが うやなたよ
  (何から どんなことから 親になったのだろう)
 5 うやきしぬ たーらゆしぬ うやなたよ
  (お金持ち故か 俵を貢いで 親になったのか)
 6 うやきしん  たーらゆしん うやなたよ
  (お金持ちではなく 俵の数ではなく 親になったよ)
 7 すんからど ふでぃからど    うやなたよ
  (墨から  筆から 親に なったんだよ)
 8 うやんであん しゅうんであん なずたりゃよ
  (親にさえ  主にさえ なったんだもの)

【解説】
 その昔宮古を納めていた支配者というと、荒くれ者で腕力にものを言わせ、戦にあけくれているイメージがありましたが、民のために尽くし尊敬された人物もいたことを教えてくれる唄です。学問で親になった知将だったようですが、もしかしたら文武両方備わっていたのかも知れませんね。ゆっくりゆったりとした曲調は味わい深くこの先もずっと残っていくだろうし、残したい1曲でもあります。
 
 四島の主は古見ぬ主と同一人物です。平良から狩俣へ向かう県道沿いの四島を望む丘陵に墓があります。
 
 参考文献:『宮古の史跡をたずねて』

まゆがま日記パート8 すんっかーならんどー(死んじゃいけないよ)の巻

あば本舗(下地・上地出身)

 久々のまゆがま日記である。
 
 2008年10月2日発行のvol.181「まゆがま日記パート7 ハナVSチーターの巻」から3年余り。その間に、もう一匹の まゆがま(猫ちゃん)チーターは交通事故であの世へ行ってしまった。
 
 私自身も慌ただしい病院勤めを退職。地域の施設に再就職し、高齢の母は施設へ入所した。あんしーかんしーやしー(そんなこんなで)身辺の環境が大きく変化する中、ずっと傍にいてくれたハナはもう12歳になった。
 
 そんなハナに、大事件が起こった。
 
 それは去年9月初めの事。夕方、帰宅してハナ〜と呼ぶといつものように2階から降りてくる。ドンッ ドンッ けれど、いつもと音が違う。あば?ぴんなぎむぬゆ(あれ?変だな)様子を見に行って、あっと声をあげた。
 
 ハナがよろめきながら横歩きしている。しかも眼球がグルグル回っている!うりゃ だいずなくとぅんどぅなりうす゜のーがすぅでぃ・・・(これは大変なことになっている。どうしよう・・・)胸がドキドキしてきた。あがぃ、動揺している場合じゃないさいがと我に返り、長年見てもらっている動物病院へと連れていく。
 
 診察後、ドクターは眉間に皺をよせてこう告げた。「CTやMRIの詳しい検査は出来ませんが、症状から脳出血を起こしていると考えられます。今回は厳しいかもしれませんね。」入院治療はストレスがかかり逆に悪化の恐れがあるというドクター判断で、通院で経過を見ることになった。治療には、ステロイドを加えた強い薬が用いられ、症状を見ながら徐々に減量していく事に決った。
 
 数年前から一日一回、腎臓の薬を飲ませるたびに大暴れしていたハナ。今度ばかりは抵抗する気力もなく、家の中でヨタヨタしている姿が痛々しい。
 
 思えば今まで私は、まゆがま(猫ちゃん)にどれだけ元気づけられ癒されてきたことだろう。ピンポーン!と来客があると真っ先に玄関まで飛び出していく。また、私が外出する時はちゃんと送り迎えしてくれる。遅く帰ると、駐車場まで現われ車のフロントでミャーミャー泣く。動物とは思えないくらい?だいず まいふか(とってもお利口さん)なのだ。今まで、ハナがしてくれていた数々の出来事を思い返しつつ、すんっかーならんどー(死んじゃいけないよ)と、つい涙ぐむ私。
 
 しかし、本当の闘いはこれからだった。一日4回の内服薬投与は、ネコキック、ネコパンチを浴び噛みつかれながら(両腕や顔は傷だらけ)暮れの12月末まで続く。そして、薬物の効果で症状は緩和され、ハナは活気を取り戻していった。毎週土曜の診察日、我が事のように心配し共に喜んでくれたドクターやスタッフ達。この4ヶ月間を支えてくれた優しさが有り難かった。
 
 そうして、格闘技のような日々は過ぎ去り、わがままで寂しがり屋の元気な まゆがま(猫ちゃん)に戻ったのだった。
 
 いやはや生傷の絶えない壮絶な日々だったが、ハナとの絆が深まった気がする今日この頃。ふぅ〜

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

 今年秋からのNHK朝ドラ「純と愛」のニュースはびっくりでしたね!何しろヒロインが宮古島出身設定というのは初めてのこと。掲示板でも喜びの書き込みが やまかさありました。宮古の新聞でも だいばんに(大きく)取り上げられていましたね。どんな物語になるのか、宮古はどういう風に描かれるのか、だいず楽しみです!
 
 さて、今回のくまかまぁ のーしが やたーがらやー?
 
 『宮古の自然と文化 第3集』、濃い内容で興味深いですね。宮古についてそれぞれの専門家の話がひとつになっている本はそうありません。手にしてくださいね。裏話からざっくばらんな会の雰囲気も伝わってきました。本島にお住まいの方で興味のある方は、ぜひ!
 
 「四島ぬ主」というタイトルは聞いたことがあっても、民謡は聞いたことない方、多いかも!?実は ばんまい(私も)。四島ぬ主の人物像についても初めて知りました。素晴らしい主だったんですね。マツカニさんは「地味な唄だけれど、みなさんにぜひ知ってほしくて」と話していました。
 
 あば本舗さんの「まゆがま日記」癒されますね〜。ハナちゃんに対する深い愛情、それをちゃんと知っているハナちゃん。回復して良かったですね。ますます絆の深まる、あば本舗さんとハナちゃん。今後の「まゆがま日記」もお楽しみに〜。
 
 あなたの感想を聞かし ふぃーさまちよー(聞かせてくださいね)
 
 良かったら、下記のほうで評価と感想をよろしくお願します!
 
 今回も、しみゃーがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふ〜。
 (今回も 最後まで お読みくださり ありがとうございました〜)
 
 次号は2月16日(木)発行予定です。
 明日は、節分。少しでもこの寒波が去っていきますように!あつかー、またいら!