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くまから・かまから Vol.27

2021 4/22
メールマガジン
2002年5月2日2021年4月22日

風薫る5月となりました。みなさん、のーしーりゃー?連休は、みなさん、どんな風に過ごすのでしょうか。楽しんでくださいね。では、vol.27の 始まり、始まり。

目次
  1. 『ツトゥ(お土産)物語 第1話』
  2. 『宮古のことわざ』
    1. 〔 出だしからぬ言葉ぁ 取りゃ含むまぃん 〕
  3. 『ミャークフツ 一行詩(うた)』
  4. 『ゆみみーる(読んでみて)』
    1. 『はまうり』石垣幸代・秋野和子/文 秋野亥左牟/絵 福音館書店
  5. 『編集後記』

『ツトゥ(お土産)物語 第1話』

アモイ

“ツトゥ”(お土産)といったら貴方は何を連想しますか?宮古島で食べ物の少ない時代に育った私らは“ツトゥ”と言えば食べ物を連想する。そしてツトゥをもらうのは、ほんとに嬉しい事であった。

ヨース(祝い事)に行けばツトゥは、つきものだ。その他、葬式やミーニツ(命日)のような不祝儀の時にもある。それ以外でも色々あった。たとえば飼っている家畜を家で焼いて食べる時は、ブイ(手伝い)をした人達にも小さな包みのツトゥが配られた(この場合のツトゥは“手土産”の方がぴったり来る)ピンザ(ヤギ)焼きす、ウス(牛)焼きす、ワー(豚)焼きす、など、何かがあればツトゥを持たせる事が定着していた。そして家族の誰かがツトゥをもって帰ってくると、みんなツトゥを早く食べたくて落ち着かなかった。その思いは、ピャーカリ開キンニャー(早く開けてよ)と言ってはしゃぐ子供も冷静に見えた大人でも同じであったでしょう。

さて、この話は、このツトゥに細工をして悪さをした、ボーチラヤラビ(悪がき)“以下T坊と呼ぶ”の子供の頃の悪戯作戦の話である。

我々子供の頃は、悪い事をすれば、自分の親とかよその親とかに関係なく怒られたものだった。T坊は大のボーチラ。そして罠を仕掛けられたオジーは大のヤゥワオジー(頑固で怖いオジー)だった。T坊は悪さをしてはそのオジーに何度となく怒鳴られたことがあった。T坊は何度も怒られているそのオジーに何とか一泡吹かせてやりたいと考えていた。そして作戦を練ったのだ。

「・・・そうだ、オジーに面白いツトゥを届けよう」

そして、T坊のオジイ懲らしめ作戦は実行にうつされた。以下、作戦開始、

T坊「んもーい、オジーやうらますな?」
(ゴメンください、おじいはいますか?)

オジイ「とうりゃー」
(だれですか?)

T坊「オジー、ばん、まいにゃーぬT坊」
(オジー、おれだよ前隣のT坊だ)

オジイ「のうりゃー」
(何の用事だね)

T坊「きゅうや、ばんたがやーんどぅ、わーやきすてぃーうわたがおとーまい酒ゃーぬみびっしゅうーてぃ、つとうむちぴりてぃたぬまいむちきしば」
(今日はうちの家で豚焼き祝いをやっていて、オジーんちの父さんも今酒を飲んでいるんだ、ツトゥを先に届けてくれとたのまれてもってきたんだ)

ツトゥはサンニン葉(月桃)何枚かで包み込んであり、上の方は紐で縛ってある。オジーは、

「いいあんちーりゃーな」
(ええそうだったの?)

といってちょっと嬉しそうにツトゥを受け取った。そして、居間へ戻って座り、飯台の上で食べるべく紐をほどいてサンニン葉の中身を見ようとしたその瞬間、絶叫した。

「あがいたんでぃ!みたまりゃー!」
(なんだこりゃー!)

―つづくー

『宮古のことわざ』

〔 出だしからぬ言葉ぁ 取りゃ含むまぃん 〕

イダシカラヌフツァ
トゥリフクマィン

一度はいたことばは、二度と口へは戻せない。ことばは慎重に。

『んきゃーんじゅく』 佐渡山政子/編 より

『ミャークフツ 一行詩(うた)』

菜の花

☆つぐすぅ なでぃ おじいが てぃーや んたぬかざ
( 膝さする 祖父の手皺 土 香る )

☆かぎみどぅん まいかーみいちか あが びきぃどぅん
( 麗人や 前に回れば あれ 紳士 )

☆ぷぅりむぬ てぃ いざばん あー ふっふぁ かなすふっふぁ
( バカモノ と 叱咤すれども 愛し 吾子 )

※皆さんからの「一行詩」の投稿もお待ちしています。

『ゆみみーる(読んでみて)』

松谷初美

5日は、「子どもの日」ですねー。最近は、いつーまい(いつも)「子どもの日」のような気がするんだけど、気のせいかねー。

それはさておき、きょうは、絵本の紹介をしようと思います。絵本は、子どもだけではなく、大人が読んでもうむっし(面白い)ものです。大人まい、まーつき(一緒に)楽しんでね。

宮古では、旧暦の3月3日(今年は4月15日でした)は、サニツと言って浜に下りて、あすぷ(遊ぶ)習慣があります。そんな「はまうり」の話を書いた絵本を紹介しましょう。

『はまうり』石垣幸代・秋野和子/文 秋野亥左牟/絵 福音館書店

この本は、最初に、雑誌「こどものとも」1989年3月号に掲載されました。その後、1999年に絵本としてハードカバーで出版されています。

内容は、マヤという女の子が、サニツの日にあおい大きな魚に出会って、不思議な体験をします。果たしてそのあおい魚の正体は!?いん(海)の素晴らしさと、んぬつ(命)の尊さを教えてくれる本です。みゃーくふつもあちこちに出てきますよ。

文章を書いた石垣幸代(いしがきさちよ)さんは、宮古の久松出身だそうです。『はまうり』の他にも『サシバ舞う空』という絵本もあります。合わせて読んでみてくださいね。書店や、沖縄の図書館などでは、どこでも置いていると思います。

子どもの日に、「親子で読書」は、のーしーがらやー。(どうでしょうね)

『編集後記』

松谷初美

先日、天気予報がはずれて、雨となった。あいにく傘を持っていなかったので、濡れながら帰った。沖縄の中、高生が、雨に濡れながら歩くというのは、有名(?)な話であるが私も中学生の頃、やっていた。濡れても平気だったんだよねー。しかも私の場合、学校まで4キロの道のりだよ。うー、自分でもなぜそうしていたのか、まったく分からない。んなまぎー(今でも)謎だ。○十年前から変わらない光景だとしたら、これは遺伝子がなせるワザかー!?

ツトゥ(お土産)も昔は、楽しみだったけどねー。今は、ふぁいふくりて(食べ慣れて)手を付けないことが多いねー。だから冷蔵庫には同じ折り詰めがだう(たくさん)あったりする。では、この残った折り詰めは、どうするのか。中身によって異なるとは思うが、てんぷらやかまぼこの場合は、これを一緒にして砂糖・醤油で煮る(炒める)。味がしみ込んでこれまた、んまむぬ(おいしい)やったことない方、お試しあれ。

皆さんのご意見、ご感想をお待ちしています。もちろん投稿も!

次回は、5月16日の予定です。お楽しみに。楽しい連休をお過ごしください。

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