こんにちは〜。
台風26号、だいばん(大きな)台風でしたね。進路にあたった方、大丈夫でしたかー?被害の大きさにはびっくり。お見舞い申し上げます。
今回もいろいろな話題をお届けです。お楽しみくださいね〜。
宮古島の奇談:マーザガピー
宜野湾ぬ清(平良・西里出身)
私がずっと以前に母から聞いた不思議な話です。
大正5年生まれの母は、幼いころに不思議な マーザガピー(光球)体験を何度かしています。
幼少のころ、母は小雨降る夕暮れ時に、友達数人と一緒になって、とある十字路に立ち、当時墓の多かったカママンミの森に向かって一斉に「マーザガピー」と叫ぶと、それに呼応するかのように黄色いピトゥダマ(人魂)がもの凄いスピードで母たちに向かって飛んできたとのことです。
その光球は母たちに対して、特に危害を加えることはなく、母たちは怖いけれどもワクワク・ドキドキしながら聞き入る幽霊話のような感覚で、マーザガピーの出現にスリルを感じ、その接触を楽しんでいたようです。
母たちはマーザガピーとの遊びに飽きると「コーヌウマツ」(線香の炎)と叫び、その光球を森に帰したとのことです。
今日の宮古島ではこのようなミステリアスな体験談を耳にすることはなくなりましたが、現代文明の浸透によって、宮古の人々は祖先のいる霊界とのコンタクト能力を喪失したということでしょうか。
「マーザガピー」について、沖縄タイムス(2009年8月11日)の「茶のみ話」欄に浦添市に住む当時68歳の仲間さんという方の投稿が載っていました。
「幼少のころ、夜遅く、叔父の言いつけで4キロほど離れた隣村に酒を買いに行った。その帰り、前方、500メートルほど先の丘陵の斜面を青白い光球が猛スピードで流れるのを見た。ー中略ー よく見るとそれはバレーボールほどの大きさで、青白く透き通っていた。中に人間と同じ顔があり、全体から青白い炎を湯気のように放っていた」
まるでSF映画の不気味なエイリアンって感じがしますが、最近、同居している母に確認すると、母たちが遊んだ「マーザガピー」には顔はなかったとのことでした。
私は「マーザ」の意味が知りたくて『宮古方言散歩道』で調べてみると、「オーバコ:まーざがぱ」(p.212)とあり、平山輝男『琉球宮古諸島基礎語彙の総合的研究』には「マージャガハー (名)おおばこ。ユムヌヌジューフサ(ねずみの菜草)ともいう」(p. 524)とありました。
どうやら「マーザ」は「おおばこ」を指すようですね。
また、『宮古群島語辞典』には「ma:za ga pa: まじやの葉、オオバコの葉、化物の屁のような臭いのする葉」との説明があり、「ma:za ga pi:(まじやが屁)魔物の屁」と定義しています。『宮古方言散歩道』には「鬼火:まーざがぴー will-O’-the-wisp」(p. 187)ともあり、平山さんの本には「マジャガプシュ(名)家畜の骨を捨てたところなどから、雨の降った後など、たくさんの燐火が燃えたつもの」(p. 431)とあり「魔物の星」を指すものと思われ、「鬼火」、「狐火」、「火玉」と同義であることを知りました。『宮古スマフツ辞典』には「マージャガピスス:燐光。黄麟・青麟・紫麟を発光する不思議な光。燐光をだして空中をゆらゆら舞う不審火」とありました。
その結果、「マーザガピー」を超常現象的なものと位置付けて一件落着にしようかと思いましたが、しかし、動物や人間の骨のほぼ約40%を構成している有機成分は大体500度以上で燃焼し、およそ60%を占めている無機成分のうち85%を占めているといわれるリン酸カルシュームの融点は1670度で、この温度以下では燃焼しないない(ですから、火葬後に残る白色の骨のほとんどはリン酸カルシュームが占めている)ということですので、「マーザガピー」は私の母や仲間さんの言う超常現象的な意味になるのでしょうか???
この件に関する話をもっと聞きたいと思いますので、心当たりのある方は是非ご投稿願います。
いつの間にか、50歳代後半
あば本舗(下地・上地出身)
いつの間にか、50歳代後半である。この頃、急に立ったり身体の向きを変えようとしたりすると、膝や腰に痛みを感じる事がある。物忘れも多い。人の名前を覚えるのが得意だったはずなのに、なかなか覚えられなくなったし、思い出すのも時間がかかる。
以前、職場で一緒に働いていたスタッフや看護学校の同級生との会話で、名前がスムーズに出てこない。「あぁ、ほら、あの人よ。あのひと元気にしているかなぁ。」などと、記憶を必死で引っ張りだそうとするが、すんなりいかない。
二階で読書をしている途中、のどが渇いたため飲み物を取りに下の階に降りていく時、窓から見える景色に気を取られる。すると、台所まで来る頃には、あば?ばや のーすか うまんかい き゜たーびゃーいら?(あれ?私はここに何しに来たんだっけ?)と、階下に下りてきた目的をすっかり忘れてしまう事がある。
そんな事が続くと、もどかしい思いを通り過ぎて、だんだん不安になってきた。ばや ぷりすきゃきどぅ うす゜びゃーいら?(私って、ちょっとボケが始まっているのだろうか?)
そこで、看護師仲間の同期の友人で続いているモアイで、こっそり聞いてみた。すると、相手は苦笑いしながら「あぁ、私も最近そういう事よくあるよ〜」「自分たちも人並みに年を取ったわけさー。アハハハ」と、答えケロッとしている。
そこで初めて、あがぃ ばが たうきゃーや あらんさいが(そうか、自分だけじゃないのか)同じ職業で長年苦労してきた同年代の仲間に、自分独りの変化じゃないという事実を確認して妙に安心した。
そして、心身が老化していくということは、今までどうりには生きられないという事なんだなぁと改めて思い知らされる。あんちーやあらん かんちーやあらん(ああでもないこうでもない)と、考えんでは肩こりと背中のコリに悩まされて、あがいーと、溜め息をつく。
あんすぅが!(だけど!)今までになかった新しい世界に飛び込んでいくと思えばそれもまた面白いさぁと、あす゜じゃーみーみーしている(言ってみちゃう)今日この頃である。
南米世界遺産紀行12日間の旅(前編)
宮国勉(城辺・西城出身)
今年の夏休みにサンフランシスコを経由して南米のペルー、ブラジル、アルゼンチンに12日間の旅をした。空路でサンフランシスコまで羽田空港から約9時間40分、翌日にペルー(リマ)まで9時間20分、更にブラジル(イグアス)まで4時間、更にブエノスアイレスへ約2時間と長い時間、宙に浮いていた。
出発前は仕事が忙しく旅行案内や注意書きをよく読まないで、行き当たりばったりの参加だった。地球儀の上では赤道に近く、しかも南米だから熱帯だろうと思い込んでいた。ペルーに着いてから冬支度に追われることになり、リマ空港でフード付きのジャンパーを買い備えて しわぬど ぴてぃーつ きゃーりたー(不安が一つ消えた)。
イグアスの滝はブラジルとアルゼンチンの国境沿いにあることから、出入国の手続きが必要である。ツアーのガイドさんが全員のパスポートを預かり代表して手続きしてくれるので、30分ほどバスの中で待たされている。
国境検問所の屋根の上には鳩が、どの国に所属しているか分からないが、自由に飛び回っている。その鳩達を眺めながら、検問がいらないから「平和のシンボル」となったかも・・・ とーがらーぬ ならーし ふぃーる(誰か教えて)。
イグアスの滝は延々と4km以上も続き、季節の水量で変化するそうで、150〜300ヶ所以上もの瀑布が出現するらしい。水量の多い現在は崖縁の至る処から水が噴き出し、呑み込まれそうで怖いぐらいである。見学したのは約半分ほどで1時間半ほど歩いて観たが、ズボンはズブ濡れの状態だった。なかでも水量の多い「悪魔の喉笛」と呼ばれる処は雨カッパを着ての見学で、アマツバメが飛び交う神秘なところであった。濡れても構わないカメラを出して撮ってきたが、水飛沫の斑点が目障りな画像にはがっかりである。
イグアス空港でのこと。荷物を預けて、さてこの待ち時間をどう過ごそうかと考えていたとき、カウンターの方から呼び出しが掛かった。んにゃさいが よーい(よわったなあ〜)何事が起こったかと不安を抱えながら、現地ガイドの方と共に野外のコンテナを積みこむ処に通された。スーツケースを開けるように言われたが鍵を持っていないことに気づき、妻がトイレから出てくるのを待たなければならないなど、てんやわんや。スーツケースを開けて整列したコーヒーを見た途端にOKが出た。
ブラジルではコーヒーの土産は、四角い真空パック詰めなので くぱーくぱしてぃ まんくまんく てぃーぬむぬ(硬くてコロコロしている)。硬い物をスーツケースの中央に入れると押さえつけられず容量が半減するので、縁に並べて詰めるグッドアイデアが閃いたのである。しかしそれが徒となり、麻薬などの不審物に見えたらしいのだ。整理整頓が災いを引き起こすとは、まことに面喰うばかりである。
今度はイグアス空港からブエノスアイレス(アルゼンチン)に向かい午後1時30分ごろ到着した。バスの中で幕の内弁当が配られ、遅めの昼食をバスの中で済ませた。ブエノスアイレスのコロン劇場・レコレーター墓地・メトロポリターナ大聖堂・タンゴの発祥の地であるボカ地区などを市内観光した。レコレーター墓地にはアルゼンチンの英霊が奉られているらしい。それにしても大理石造りの立派な墓群で墓の やーばし(路地)から歩いて見学した。
今度はブエノスアイレス空港から一気にリマへ約5時間かけて戻る、寝る間もなく3時間で出発する一番きついスケジュールであった。しかし、明日はナスカの地上絵の見学である。
バスで250kmを3時間30分かけてピスコ空港へ向かうが砂漠が延々と続く。ピスコ空港へ着き、座席を決めるために体重を測られて、15分ほど出発を待つ。
軽飛行機は12人乗りなので2グループに分かれ、こちらは後方であったので、先行のグループを見送ってから乗り込んだ。すると先行のグループが間もなく引き返してきて、仲間の誰かが窓から腕でバツの合図を送っている。しかし、それを横目に、我らの飛行機は飛び立った。
軽飛行機は約30分かけてその場所に到着すると、右へ左へと機体を傾けて乗客に地上絵がよく見えるようにサービスする。それが乗り物酔いを引き起こすのだが、初めのうちは平気でキョロキョロと反対側の窓も見ていた。だが、終わり頃には ういがくとぅ かんがいんよーんしっ やっとぅがま やーたー(気を紛らわすのが精一杯で)、地上絵どころじゃなくなった。
空港に帰り着いて、あの合図の意味を現地ガイドの諸見里さんに聞かされる。管制塔のストライキで飛ばなかったということで、いまだに待合室で待っているようである。経緯は分からないが、12時頃には飛ぶことになり、午後2時ごろには戻ってきた。
本日のスケジュールは昼食とバスで250kmをホテルに帰還するのみとなった。私は、その待ち時間にハチドリがやって来て、大変ラッキーな思いをしてしまった。何が起こるか解らない不思議がいっぱいの国、ペルー共和国である。
ペルーの建築様式は建築材料を有意義に利用していて、エコの観点から大いに学ぶところがある。やたらにコンクリートを使わないこと、軽くて丈夫な木材を壁に架け渡して床梁とし、床を組む方式である。コンクリートスラブにしないことで増改築の計画性にも自由度がある。いつでも上層階に増築を考えて、屋上からは柱筋が伸びて、資金が出来ると上層部に増築するように準備されている。強度と火災のことを考慮すれば云うこと無しである。
つづく。
おしらせ
松谷初美(下地・高千穂出身)
ばんたが(私たちの)マツカニ(棚原芳和)さん率いる琉球民謡伝統協会神奈川支部(棚原民謡研究会)の発表会が宮古で行われます!くま・かまメンバーでは、マツカニさんはもちろんのこと、菜の花、大和の宮古人さんも出演。松谷は司会をします。
琉球民謡伝統協会(会長:新崎松秀)の本部のみなさんやうりずん娘も参加して、ジャンボ三線のパフォーマンスを披露。琉球舞踊もありますよ〜。宮古・沖縄の芸能を楽しんでいただけると思いますので、お時間のある方、ぜひお越しくださいね〜。お待ちしています!
■「琉球民謡伝統協会神奈川支部 第4回芸能発表会in宮古島」〜未来へつなぐ いにしえの唄心〜
日 時 | 2013年11月24日(日) 開場 午後4時半 開演 午後5時 |
会 場 | マティダ市民劇場 |
チケット | 前売券 1500円 当日券 1800円 (小学生以下無料) |
チケット販売 | ◎TSUTAYA宮古島店 ◎音楽の店 E-wave |
問合せ | 琉球民謡伝統協会神奈川支部 棚原民謡研究会 042−733−5437 |
賛助出演 | うりずん娘&ジャンボ三線 琉球民謡伝統協会本部会長 新崎松秀他 琉球民謡伝統協会宮古支部 宮古民謡研究会 譜久村悦子琉舞研究所 池間美代子琉舞研究所 宮平好枝琉舞研究所 |
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
早くも10月も中旬ですねー。宮古では今、サシバ(タカ)が やまかさ(たくさん)飛来しているそうです。宮古の風物詩ですね。
宮古毎日新聞 http://www.miyakomainichi.com/2013/10/55557/ (10月16日付)によると、宮古野鳥の会では、13日、伊良部において2万1千羽を確認したとのこと。「1日の確認数で見ても宮古では何十年ぶり」だそう。すごいですね〜。たくさん飛来してくるとやはり、うれしいですね。
私たちの やらびぱだ(子どものころ)1960年〜70年代には、下地でもそんな数だったと思います。タカ柱すごかったですよね。大人も子どももこの時季は、そわそわして、サシバの話題が中心でした。あの頃は、うちの近所にもサシバが止まる山林がたくさんあって、やー(家)の中には、いろいろな目の色のサシバがいっぱいぶらさがっていました。
久しく見ていないタカ柱、見てみたいです。
さて、今回のくま・かまぁ のーしがやたーがらやー?
宜野湾ぬ清さんは、くま・かま掲示板でもおなじみですね〜。「宮古島の奇談:マーザガピー」も掲示板に書き込みしてくださったものを、メルマガでもとお願いをしました。宜野湾ぬ清さん、快諾たんでぃがーたんでぃでした!私はマーザガピーについて初めて知ったのでびっくりでした。同じような経験をされた方、また他の情報でも結構ですので、何かありましたらぜひおしらせくださいね。
あば本舗さんの気持ち、すごくよく分かります!(力を込めて!)あの、ほら、この、その、あれ、それ・・・一日に何回言っていることやら。冷蔵庫を開けても何を出そうとしたか、忘れるのも日常茶飯事でありまして。でも仲間も ゆぬぐー(同じ)だと安心しますね〜。私も憂えるより、面白がっていこうと思います!
宮国勉さんの だいず濃厚な12日間の海外旅行記。2回に分けてお送りしますね。遠い遠い異国への旅。いろいろなハプニングがありながらも楽しまれた様子が伝わってきましたね〜。鳩や建築に目が行ったり、ハチドリに喜んだり、宮国さんならではの視点がいっぱい。後編は、マチュピチュへの旅へと続きます。どうぞ、おたのしみに!
棚原民謡研究会の芸能発表会もいよいよ一ヶ月あまりとなりました。今みんなで一生懸命練習に励んでいるところです。楽しんでいただける発表会となるよう頑張ります。お時間のある方、ぜひいらしてくださいね〜。まちうんどー(お待ちしています)!
貴方の感想もぜひ、お寄せくださいね。どうぞ、よろしくお願いします。
今回も しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(今回も 最後まで お読みくださり ありがとうございました!)
次号は、三週間後11月7日(木)発行予定です。
うぬ ときゃがみ がんずぅやしーうらあちよー(その時までお元気で)あつかー、またや〜。