こんにちは〜。
早々と梅雨が明け、夏本番の宮古です。 がんづぅかりうらまずなー(お元気ですかー)?
vol.342ぬかーぬか(ゆっくり)お楽しみください〜。
指笛の季節
クイチャーマン(下地・与那覇出身)
6月1日、私のケイタイに東京の民放テレビ局の関係者から連絡が入った。「『指笛の日』が近いということで、指笛の指導をお願いしたい。明日そちらに伺ってご説明したいと思いますが、ご都合はいかがでしょうか」定年退職後、自由な時間を楽しんでいる私は即刻OKした。翌日、ディレクターが飛行機とタクシーを乗り継いで待ち合わせ場所にやってきた。インターネットの指笛王国おきなわのブログなどで情報を収集したとのこと。情報にあふれるネットは便利なものだ。
「6月12日に沖縄ロケをしますので、ご協力を」ということで、番組制作の概要を聞き了解。○○○(有名人)に指笛を教えて、吹き鳴らせるようにしてほしいと言うのである。「この企画の詳細な内容などは放送終了まで内密にしないといけませんのでよろしく」とも言うので指笛王国のブログにも詳細は載せないことにした。分かりにくいと思うが、そういう理由で名前も場所なども伏せておく。
「指笛の日」は7月10日である。指笛を吹くときに人差し指を7の字の形に曲げて吹くこと、10本の指を使って吹き鳴らされるなどがその由来である。9年前に制定宣言し、県内版の手帳などに記され、私たちの記念行事も相まって徐々に定着している。
梅雨明けのころから9月末ごろまでを、私たちは指笛の季節と称している。その間には夏の甲子園大会の県大会が始まり、8月の全国大会、9月の県内各地のエイサー祭りなどにつながっていく。
東京に戻ったディレクターからは、8日にも電話があり、翌日、もう一人の助手も連れて来て打ち合わせ。その入念ぶりに感心する。本番には国王の私から指笛を習う有名人一人に、15人ほどのスタッフが「沖縄ロケ隊」として来るそうだ。
12日、金曜日。前日に平年よりかなり早く梅雨明けして、陽射しも強く、有名人が那覇空港に到着するお昼前には、気温も32度ほどになっていた。沖縄ロケの本番が始まる。有名人を国王と4人の臣下で出迎えて、場所を移動しながらロケが進む。大小のカメラ4,5台が追っかける。ロケ現場では、有名人が一般の人の目に触れないように、ロケ現場にも裏口から入るなどスタッフは細心の注意を払っている。
「あんしなーぬ 有名人べーいらみた」(そんなにも有名人なのかねぇ)と団塊の世代の私には思われる。19歳の孫に伝えたら「おじいちゃん、すごい〜」と舞い上がっていた。
ロケの締めくくりは、有名人が一日の取り組みで「これだけのことが出来るようになった」というお披露目の舞台である。とある海岸端の野外ステージで、限定されて動員された観客を前に「写真撮影、メールなどでの拡散は禁止です」との注意のあと、西の空を赤く染めて水平線に沈みそうな太陽を背に撮影。エイサーの演舞も入る。すべての日程が終わったのは午後7時過ぎであった。
指笛が全くできなかった有名人は、本人の努力と、国王と臣下の指導や「あきらめないで練習すれば必ず鳴りますから」との激励により、吹き鳴らせるようになった。沖縄ロケの目的を達成して、本人は歓声を上げ、ディレクターやスタッフと共に喜びを分かち合っている。
別れ際「国王のお蔭です」という彼に「いえ、○○さんの粘り強い努力の結果です」と称え、固い握手をかわしたが、車から身を乗り出した有名人は、臣下たちにも丁寧にお礼の声を掛けて立ち去った。
まずがーてぃー(試しに)、ネットでその有名人の情報を探ってみると、13日深夜配信の「有名人(ネット上は本名)司会『THE MUSIC DAY』出演者発表」というキーワードを発見。
それによると、7月4日(土)昼0時から、日本テレビ系にて11時間にわたり放送される大型音楽番組「THE MUSIC DAY 」に出演するアーティスト計66組が発表されたという。ことしで3回目のこの番組の今年のテーマは「音楽は太陽だ」で、世代を超えたアーティストたちが生番組で熱唱していくそうだ。有名人の沖縄ロケの様子は、この番組の中で10分ほどに編集して紹介されるらしい。なるほど、そのテーマなら指笛もマッチするはずだ。
あんすぅがどぅ、沖縄んな、うぬ 放送ゆばー すぅんぎむぬ。(しかしながら、沖縄では、その放送は しないらしい)日本テレビ系列の放送局が沖縄にはないのがネックになっている。沖縄ロケの放送時間帯などが分かれば、くま・かまの掲示板でお知らせしたい。視聴可能地域の皆様には、ご覧いただけると嬉しい。
6月20日の夏の甲子園県大会開幕・宮古勢への応援、7月5日の建国10周年記念「第11回楽しい指笛の世界〜東日本大震災復興支援コンサートVol.6〜」、10日の「指笛の日記念」昼休み指笛コンサート(那覇市役所ロビー)などと続く。指笛の季節は、ぱんたむぬ(多忙)だ。元気印の指笛を、んざがみめー(どこまでも)届けたい。
◇あの話をもう一度
マツカニ(上野・高田出身)
今回は、「かにくばた」という唄を紹介したいと思います。
琉球王朝の時代に「島分き」という強制移住が行われた。その悲哀を唄った民謡が、宮古、八重山にありますが、その一つが、この「かにくばた」です。
かにくばた 1.かにくばたよ だきみーぶす ぶなりゃがま (かにくばたよ 抱いてみたい 女の子) (ハヤシ)ユイサースゥーリーヌ ブナリャガマ サーハラユイサークラユイサーサ ウッショーッショウヌ ニングルマトゥ マトゥヨ 2.あらすぬ むぎぃ゜だきよ むとぅいかぎ ぶなりゃがま (新地の 麦のように 生まれつき美しい 女の子) 3.ぬばりずーぬ まみだきよ やつかふぬ さやぬにゃーん (野原の土地の豆のように 八束穂のように 莢のごとく) 4.あとぅゆかす゜よ すぅらゆかす゜ ばんたがむてぃ (後の幸せよ 先々の豊かさは 私達のものよ) 5.ぶなりゃうわぅばよ かぐんなぬうし うぷらんかい (女の子は 籠に乗せて 大浦に) 6.びきりゃうわぅばよ たてぃんまんぬうし かす゜またんかい (男の子は 素晴らしい馬に乗せて 狩俣へ) 7.ゆなびすぅいばがんまよ ゆつみすぅいなしゃるうや (夜通し一緒の私の母よ 一晩中見守るお父さん)
私の好きな唄の一つに、八重山の「つぃんだら節」がありますが、この唄は「島分け」により、幼馴染との別れが、物悲しいメロディーに乗せて唄われています。反面この「かにくばた」は、新しい土地に希望を持った内容になっていて、軽快な早弾きのリズムでうたわれます。唄の部分よりハヤシの方が長いのも「かにくばた」の特徴になっています。所変われば品変わるではありませんが、この対極にある2曲おもしろいと思いませんか?
因みに西表の有名な民謡「デンサ節」は荒れ野に移住させられた人々が、貧しさに負け悪行を行い義理人情を忘れそうになった為、戒めの唄として誕生したそうです。またまた因みに沖縄民謡の「ハリクヤマク」と「かにくばた」は似たような曲調です。どっちが先にできたかわかりません。悪しからず。ではでは。
※参考資料『平良市史第七巻 資料編』
ご一緒に『んきゃーんじゅく』(5)
さどやませいこ(城辺・新城出身)
今日は うん(鬼)の話をします。民話や童話には多くの鬼が出現します。実際に鬼という生き物はいないはずなのに、どうして?と ぴるます(不思議)でなりません。鬼にはそれぞれのイメージがあります。恐いものであったり、おどけものであったり、時にはかわいい鬼も出てきます。
今回は、池間島で採れた「うんたらぬ主 ぬ ゆがたい」を紹介します。日本昔話の「桃太郎」バージョンです。
んきゃーん どぅ(昔ね)、島に うんたらぬ主という力持ちで、正義感のある頭の良い男がいました。
ところで、村のはずれには昔から鬼が住んでいて、村人たちを苦しめていました。そこで、うんたらぬ主はある日「よし、ぼくがその鬼とやらをやっつけてやろう」と思い立ち、出発することにしました。
そこへ小鳥が飛んできて「ピーも一緒に連れていってくれー」と鳴いたそうだから「ああ、いいだろう」と言って歩き出しました。木刀片手に歩いていると、今度は蜂が現れ、「ブンもお供させてくれー」と鳴くもんだから「いいだろう」と言ってまた歩き出すと、今度はムカデが出てきて「いいなぁ、おれも あぐ(友)にしてくれんかー」と頼むものだから、心の広い うんたらぬ主は「みーんな、まとめて付いて来い」と言うとジャッカ、ジャッカ歩き出しました。それを見たアコウ木と臼も「おもしろそうだから、付いて行こう」と言って行列の中に入りました。
そうしているうちに鬼の家に着きました。ちょうど良いことに鬼は昼寝の真っ最中。「しめしめ」、うんたらぬ主はみんなを集めて作戦をねりました。「ヒソヒソ、ボソボソ・・・よし、決まった」。さっそく、作戦開始!
まず初めに うんたらぬ主が鬼の寝ている床下へもぐって、床の隙間から木刀でゆーっくり、グッファ、グッファ突きました。すると、鬼はもぞもぞと動き出し、「今日はいやに ぬん(ノミ)が多いのぉ」と言いながら、台所へノミ退治に降りて行きました。
鬼はかまどで、火を点けようとすると、灰の中に隠れていた小鳥がパタパターと飛び出したからびっくり仰天、「アガイタンディー」目にも鼻にも灰が入ってしまいました。
鬼は慌てて眼を洗うために水ガメのところへ飛んでいき、ひしゃくを取ると、それにへばりついていたムカデが鬼の腕をチクリ!「ヒャーッ」慌てた鬼は庭へ飛び出しました。すると今度は、戸口の柱に止まっていた蜂が飛んできて体中チクリ、チクリ!
鬼は、「アガーアガー」と庭中をめちゃくちゃに走り回っているところへ、アコウ木が足をひっかけ倒しました。その上に臼がドスーン!ぐったりした鬼に うんたらぬ主がここぞとばかり、木刀で頭をメーン。鬼はとうとう死んでしまいました。
バンザーイ、バンザーイ。みんなは鬼の家の宝物をみんなもらって帰ってきました。そして、村も平和になったとサ。うすか(おしまい)。
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
すとむてぃ しゃーか(朝早く)から、なびがーす(クマゼミ)の大合唱。日中は33度近くまで上がり、真夏の宮古です。日差しの強さも半端なく痛いくらい。あすが(でも)、夜になると空には、満天の星が瞬いていて、何とも和みます。すだーす(涼しい)風にふかれながら飽きることなく空を あぱなきて(仰いで)見ています。
去った13日、14日は、宮国優子さんたちの「ATALASネットワーク」の講座がありました。今年度の第1回、第2回の講座で、建築家の伊志嶺敏子氏と鈴木香織氏のお二人がゲスト。市内にあるエコハウスや、大正時代に建てられたという赤瓦の家で、建物を見学しながらの楽しい講座でした。機会がないとなかなか中に入れない建物なので、とても貴重な経験となりました。くま・かま掲示板にその時の様子を書きましたので、よろしければご覧くださいね。
さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?
クイチャーマンさんのところには、いろいろな取材がくるんですね〜。さすが国王ですね。有名人・・・とーがらやー(誰かねー)?気になりますね。そして、指笛を鳴らせるようになったとは!日本テレビ系が映るところはぜひ、チェックしてくださいね〜。
「かにくばた」は、軽快で楽しい曲ですよね。「新しい土地に希望を持った・・・」という解説になるほどーと思いました。八重山との比較も面白いですね。気質が表れるのかもしれませんね。まだ聞いたことがない方は、CDなどでぜひ!
鬼は、民話や絵本によく登場してきますね〜。宮古にも「桃太郎」と似た話があったとは!でも、お伴が 宮古に馴染みのある鳥や虫、木に、臼とはユニークで、うむっしですね。その役割がまた痛快!物語の楽しさを味わいました。
貴方はどんな感想を持ちましたかー?ぜひ、お聞かせくださいね。
掲示板での書き込みもお待ちしていす。
今回まい、しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました!)
次号は7月2日(木)発行予定です。
ぱだーぱだ うらまちよー(お元気でいらしてくださいね) あつかー、またや〜。