くまから・かまから vol.407

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 こんにちは〜。
 白い百合、あかーあかぬ(赤い)グラジオラス、薄いピンクの月見草など初夏を感じさせる花が咲き始めた宮古です。
 ぱだーぱだ うらまずなー(お元気ですか)?
 vol.407をお届けします。 ぬかーぬか(ゆっくり)お楽しみくださいね〜。

宮古のお祝い

與那覇 淳(平良・鏡原出身)

 赤ちゃんの なーふぃー(命名)、小学校の入学、高校合格、卒業、成人祝い、子どもの成長の節目ごとにお祝いが行われます。古今東西見られる本土の人生儀礼、祝い事と宮古のそれは少し趣が違います。

 私の やらびぱだ(子どもの頃)は身内だけでその節目を祝っていましたが、いつの頃からか親戚や両親の友人、知人らが集い盛大なお祝いが行われるようになりました。
 
 なーふぃー祝いは出産して2、3か月経過して母子ともに落ち着いたころに、それぞれ個々の日程で行われますが、入学、合格、成人祝いは島中で同じ日にお祝いが持たれます。
 
 しばーしばぬ(狭い)社会なので友人や、知人、模合仲間の子の情報はすぐに耳に入りますので招待がなくてもお祝いに駆け付けます。それを見越してお祝いのある家庭では、オードブル、お刺身、しーむぬ(吸い物)、酢の物、デザートなどが大量に準備されます。親戚の数、職場の規模、付き合いが多いか少ないかによっても違いますが、一軒に100人ほどが押しかけてうぷよーい(大宴会)となります。

 お客さんを迎える方も大変だが、訪ねる方も一晩に何軒も廻らなければならないので強行軍です。10数軒もある人は夫婦で振り分けたりして、なんとかこなしていきます。祝い座にあがると節目を迎えた子にお祝儀を差し上げて、子どもの両親や祖父母にあいさつをして座卓を囲むと、手際よく料理が運ばれてきます。

 しーむぬ(吸い物)をいただき、お刺身に手を付け始めたころにはオトーリ(回し飲み)の口上が誰からともなく始まり、泡盛の入ったグラスが口上主から順繰り手渡されていきます。運転手を伴っているかタクシーで廻るのであれば、祝い酒も飲めるがそうでなければ早々に切り上げて、つぎのお祝いのお宅へ向かわなければなりません。

 あんちーぬ(このような)祝い座でやまとぅの人(移住者)を見かけることもしばしば。先日、初めて島のお祝いに招待されたという、やまとぅの方と同席しましたが、その方は多くの人たちが集う盛大な祝宴にびっくりしていました。祝い座で男性と女性の座る場所が別々になるのも、特徴のひとつのようです。

 お祝儀のお返しに商品券かお米券が渡されますが、小学校の入学祝いであればそのお返しを来客に渡すのは入学した子どもが担います。封筒には入学したばかりの子が自分の名前とお祝いに来てくれた方へのお礼の言葉などが書き入れてあり、祝い客の気持ちをやわらげます。

 お祝いのお返しも時代とともに変わってきました。つい最近までケース入りのお米が主流でしたが、ホールのケーキが流行っていた頃もありました。ふぉーきさいん(食べきれない)ほどのケーキの山を見て妻とどうしたものかと思案したこともありました。

 お土産のお返しの封筒の束がポケットを膨らませ、祝い座の余韻が夜更けの家路になびき長い一日が終わります。こうしたお祝いをしてもらった記憶はないが、高校受験に合格したときに母方の祖母が4キロほどの道のりを歩いて訪ねてくれました。15の春を乗り切った私の顔を見るなり踊ってくれたのが懐かしく思い出されます。母は祖母の踊りを見たのは初めてだと話していました。50年ほど前の思い出です。

◇あの話をもう一度

 300号特集「うまかまの みゃーこふつ(あちこちの宮古方言)」vol. 300  2013.9.19

【一人称、二人称、三人称 編】

・「わたし」→吾(わ)→ばん(平良、城辺、上野、下地、佐良浜)

「わたし」の後ろに付く助詞などによって変化

吾(わ)

→ば (平良、城辺、上野、下地、佐良浜)
→ばー(下地与那覇、佐良浜)
→べー(多良間)

・「わたし」→吾(あ)→あ (伊良部)
           →あん(多良間)

 「わたし」の後ろに付く助詞などによって変化

吾(あ)

→あ (多良間)
→あー(伊良部、多良間)
→あん(伊良部)

 (例文)私のもの

(1)ば が もの(平良、城辺、上野、下地、佐良浜)
(2)あ ー もの(伊良部)
(3)あ が もの(多良間)

 (例文)私は宮古人

(1)ば やー みゃーこぴと(平良、城辺、上野、下地)
(2)ばー みゃーこぴと(下地与那覇)
(3)ばー みゃーこひと(佐良浜)
(4)あ ばー みゃーこぴと(伊良部)
(5)あん や めーくぴと(多良間)

 (例文)私たちの家

(1)ばん たが やー(平良、城辺、上野、下地)
(2)ぱん てぃが やー(伊良部)
(3)ばん てぃが やー(佐良浜)
(4)べー たが やー(私たちの家)(多良間)

・「あなた」→ おれ → うら → うう”ぁ 
 (平良、城辺、上野、下地、佐良浜、多良間)

→ い(汝)

→ い(伊良部)
→ やー(伊良部)

 「あなた」の後ろにつく言葉によって変化 : やー → やん(伊良部)

・「かれ」

→ かい(平良、城辺、上野、下地、佐良浜)
→ かり(下地与那覇、伊良部)

 (例文)あなたとわたしと彼の家に行こう (彼=あの人)

(1)うう”ぁ と ばんと かいが やーんかい いか(平良、城辺、上野、下地)
(2)うう”ぁ と ばんと かりが やーんけー いか(下地与那覇)
(3)やんと あんと かりが やーんかい いか (伊良部)
(4)うう”ぁ と ばんと かいが やーんかい いかでぃ(佐良浜)

<参加者>

平 良ビートルズ世代のサラリーマン(下里)
宮国優子(下里)
Motoca(下里)
神童(島尻)
城 辺宮国勉(西中)
大和の宮古人(長南)
上 野マツカニ(高田)
下 地クイチャーマン(与那覇)
松谷初美(高千穂)
伊良部菜の花(仲地)
佐良浜sarahama三女(池間添)
多良間糸州幸子

借景(しゃっけい)の美

松谷初美(下地・高千穂出身)

 先日、「かたあきの里」(昔ながらの赤瓦の家の宿泊施設)に行く機会があった。ぞうわーつき゜(良い天気)で青い空と赤瓦のコントラストがなんとも、かぎーかぎ(美しい)。

 咲き乱れるブーゲンビリアも美しく、写メをたくさん撮った。日差しが強くなってきたので赤瓦の家から離れ松の木の近くで休んでいた。そこでふと赤瓦の家の方向を見ると、家の っしかた(後ろ)に木々が連なり、森の中にある家のような景色が目に飛び込んできた。

 きれい・・・と思わずつぶやいた。宮古には大きな山がないので、家の後ろにある木々がたくさん映るというのはあまりない。家に近いと後ろは見えないので、これまで2回ほど来たことはあったが、この景色にまったく気がつかなかった。

 この木々は、施設の敷地内にあるものではなく、道を挟んだ北側の植物園の東(大野山林あたりになるのか)側に植わっているものだ。このあたりは、宮古で自然が多く残っている場所で生き物たちの楽園にもなっている。

 私が見たのは、その景色を取り込んだ借景の美というものか。(以前、NHKの番組「ブラタモリ」で嵐山の美を庭に取り込んだ「借景」の話があり、それを思い出した。この番組で借景のことを知った次第)

 先にも書いたが、宮古には山らしい山がなく、また緑も少ない。年々開発も進み、どうなっていくのだろうと時々思う。大人になればなるほど、自分がいかにこの宮古の自然から恩恵を心身ともに受けてきたかを実感する。だからか、木々の1本、1本、草花も本当に愛おしく、この先々は、もっと豊かな自然があふれるようにと願う。して、自分も何かしていかなくてはとも。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

 肌寒い日が続いていましたが、天気が良くなりだんだんと過ごしやすくなってきました。今度の日曜日(4月22日)は「第34回全日本トライアスロン宮古島大会」が開催されます。アスリートの皆さんも続々と宮古入りです。応援の幕の掲示や花などもたくさん植えられ、ムードも高まってきました。今年も友人の応援で宮古じゅう回る予定です。アスリートの皆さん、頑張ってくださいね。

 さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

 淳さんのお祝いの話、そうそう!と思いながら読みました。3月には、高校の合格祝いがあって、宮古はまさにそんな感じでしたね。最後のおばあさんが踊ってくれた話、ジーンときました。素敵な想いの表現ですね。

 あの話をもう一度は、300号特集からお届けしました。この回の特集は結構人気で、何回も読んでいますとか、今度宮古の人たちが集まるのでコピーして配ってもよいですか?などなど連絡がきます。分量が多いので少しずつ掲載していきたいと思っています。

 「かたあきの里」で見た景色は結構衝撃でした。大野山林あたりは、これからもそのままであってほしいですね。よろしければ、あなたのお気に入りの場所があればおしえてくださいね。

 貴方の感想もぜひ、お聞かせくださいね。
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 今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。
 
 次号は、5月3日(木)発行予定です。
 きょうも、佳い一日でありますように!
 あつかー、またいら〜。