くまから・かまから vol.409

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 こんにちは〜。
 梅雨入りしたはずが、ぞうーわーつく(良い天気)が続いている宮古です。がんずぅかり うらまずなー?(お元気ですかー)?
 vol.409お届けです。ぬかーぬかゆみふぃーさまち〜(ごゆっくりお読みくださいませ)

宮古方言のアクセントと同音異義語

クイチャーマン(下地・与那覇出身)

 高校の放送部のころ、初めて日本語の話しことばのアクセントについて学んだ。そのとき「橋の端を、箸を持って渡る」というような文章で、同じ「はし」でも橋と端と箸はアクセントが三つともそれぞれ違うことを知り、何度も練習した。同音異義語の場合、アクセントの型(かた)が違っていたり、同じであったりする。
 
 標準語で「ご出身はどちらですか?」と聞かれて「宮古です」と答える機会が多い。この場合の「みやこ」は、アクセントはどのようになるのだろうか。私のふるさと下地の友人の間では、与那覇出身者は「みやこです」とみやこをアクセントを付けずに、いわゆる平板型(へいばんがた)で発音する人が多い。しかし、隣接する上地出身者はみやこの「み」を高く上げ、「頭高」(あたまだか)で発音する人が多い。宮古島出身者の場合、「みやこ」に関してはこの二つに分類され、「や」や「こ」にアクセントを置いて話す人はまずいないと思う。

 同じことを ゆなぱふつ(与那覇方言)では次のように言う。

 うう”ぁ しゅっしんな んざ やりゃー(あなた、出身はどこですか)ほとんど抑揚がない。少し強くいうのは「やりゃー」である。ういずふつ(上地方言)では、「しゅっしんな んざ や」までが高くなる。

 ちなみに、与那覇の方言のアクセントは、英語と同じように「強弱(きょうじゃく)」型で、上地の方言のアクセントは日本語の標準語に似て「高低(こうてい)」型に属するようにも思う。宮古の各地の方言をこの二つの型に分類してみるのも面白いのではないだろうか。

 さて、日本語の場合、例えば「こうてい」が高低、工程、校庭、工程、皇帝などのように同音異義語が多い。「しんちょう」も身長、慎重、新調、深長などである。これらは漢語のなかで多くみられる現象だという。では、宮古の方言のなかにも発音が同じで、意味が異なる同音異義語があるのだろうか、と興味がわく。一つだけ、小学生のころ、学校の砂場で遊んでいるときに私が見た印象深い光景を記憶している。
 
 砂場で遊んでいた男の子のランドセルから下敷きがこぼれ落ちた。いっしょに遊んでいた男の子がそれを拾ったのを見て、ランドセルの持ち主の子が「うう”ぁが いジる」(あなた、入れて)とランドセルに戻すよう促した。しかし、拾った子は(あなたがもらいなさい)と受けとったようで、返そうとはしなかった。その後の顛末はよく覚えていないが、そのとき、私は「ことば=このときは方言=の使い方の不思議」に触れたような気がした。

 ゆなぱふつ(与那覇方言)では、同じ「いジる」でもアクセントを「い」におくと「もらえ」という意味になり「ジる」におくと「いれろ」を意味する。発音は同じでもアクセントの置き方で意味が異なる例である。用例を示すと「うう”ぁが くぬ じんぬばー いジる いらー」(あなたがこの金はもらいなさいね)「かりんけー ひょうゆばー いジる いらー」(あの人に票は入れなさいね)※「もらいなさい」と言う意味を「懐(ふところ)に入れなさい」と表現しているとも言えなくもないが・・・。

 数はそう多くはないかもしれないが、ほかにもみゃーくふつの同音異義語が発見できそうである。

 ちー、まーつき とぅみが いきみゅー
(さあ、いっしょにさがしに行ってみよう)

◇あの話をもう一度

 300号特集「うまかまの みゃーこふつ(あちこちの宮古方言)」vol. 300  2013.9.19

【方角編】

「西」

いす゜(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
いー (佐良浜)

「東」

あがす゜(平良、城辺、上野、下地)
あーす゜(伊良部)
あがい (佐良浜)

「北」

にす (平良、城辺、上野、下地、伊良部)
うい (島尻)
んす (佐良浜)

「南」

ぱい (平良、城辺、上野、下地、伊良部)
ぺー、ぱい(下地与那覇)
はい   (佐良浜)

※自分の家を中心に

「西の家」

いんにゃー (平良)
いーにゃー (上野、下地与那覇、佐良浜)
いす゜にゃー(城辺、下地)
いす゜にー (伊良部)

「東の家」

あがんにゃー (平良、城辺)
あがにゃー  (城辺、上野)
あがーにゃー (下地与那覇)
あがす゜にゃー(下地)
あーす゜にー (伊良部)
あがいにゃー (佐良浜)

「北の家」

ししばら  (平良、下地)
しっばら  (城辺、佐良浜)
っし、っしばら (下地与那覇、上野)
しっぱら  (伊良部)

「南の家」

まいばら (平良、城辺、上野、伊良部)
まいにゃー (上野、下地)
めー  (下地与那覇)
ぱいにゃー (下地)
はいばら  (佐良浜)

 (例文)西の家は風呂屋 東の家はお店

(1)いす゜にゃー や ゆーふるやー あがす゜にゃー や まっちゃ(下地)
(2)いーにゃーや ゆーふるやー あがーにゃーや まっちゃ (下地与那覇)
(3)いんにゃー や ゆーふるやー あがんにゃー や まっちゃ(平良)

(おまけの話)
 宮古では「東西南北」とは言わず「西東北南」という順番で言います。
 今の標準語とは逆の言い方が宮古には多いんですね。(んきゃーん(昔)は、西東北南と言っていてそれが宮古にはまだ残っていると考えたほうがいいかもしれません)他にも、男女 は 女男(みどん びきどん)あちこち は こちらあちら(くまかま)などがあります。

【形容詞編】

「大きい」

うぽーうぽ (平良、城辺、下地)
うぽぉーぅぷ(城辺、上野)
おぽーおぽ (伊良部)
うぽーぬ (下地与那覇)
ふぃ (佐良浜)

「小さい」

いみーいみ(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
いみーぬ (下地与那覇)
いみ (佐良浜)

「愛おしい」

かなすーかなす(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
かなす(むぬ)(下地与那覇)
かなす (佐良浜)

「美しい」

かぎーかぎ(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
かぎ(さ)、かぎ(むぬ)(佐良浜、下地与那覇)

「苦しい」

こおーこお(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
かーぬ、 かー(むぬ)  (下地与那覇)
くー(さ)、くー(むぬ)(佐良浜)

「軽い」

かずーかず(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
かす゜ーぬ(下地与那覇)
がる(さ)、がる(むぬ)(佐良浜)

「重い」

いう”ーいう”(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
ゆう”ーぬ、 ゆう”(むぬ)(下地与那覇)
いう”(さ)、いう”(むぬ)(佐良浜)

「親しい」 うつーうつ(平良、城辺、上野、下地、伊良部)

<参加者>

平 良ビートルズ世代のサラリーマン(下里)
宮国優子(下里)
Motoca(下里)
神童(島尻)
城 辺宮国勉(西中)
大和の宮古人(長南)
上 野マツカニ(高田)
下 地クイチャーマン(与那覇)
松谷初美(高千穂)
伊良部菜の花(仲地)
佐良浜sarahama三女(池間添)
多良間糸州幸子

かーぬ(井戸の)ぱなす(話)

松谷初美(下地・高千穂出身)

 先月27日から4日間、伊良部南地区で断水があった。観光客の増加等で使う量が増えたことが原因とされていたが、注水量を調整する部品に破損が見つかったことからそれも一因かもしれないという。今更ながら、水は蛇口をひねれば必ず出てくるものではないことを実感する。

 うちの地域に水道が引かれたのは、1950年代後半だったと思う。私が物心ついた頃には水道があったが、時々断水することがあり、給水車が来ていたのをうっすらと覚えている。

 水道ができる前は、家にタンクを作りそれにためたり(コンクリートの四角のものから丸いものまであった)、かー(井戸)に汲みに行ったりした。

 私が生まれ育った地域は高千穂のカザンミという小さな集落だが、カザンミに井戸が出来たのは、昭和2年のことだそうだ。(それまで、隣の集落(マクズゥク)の井戸を使っていた)地盛(集落名)の人が手堀りで掘ったという。22尋の深さだったというから約40メートルということになる。井戸が完成したお祝いに、ぬーがま(集落の中心の広場)で村芝居をしたと父が話していた。盛大な よーず(お祝い)だったことを想像するとその喜びが伝わってくる。

 やらびぱだ(子どもの頃)、その井戸の周りでよく遊んだ。井戸は丸い形のコンクリートで地上からの高さは1メートルもなかったように思う。井戸の丸い淵には、水をくみ上げる際のロープを引いた後が うまかま(あちらこちら)にあった。それは先人たちが一生懸命生きた証のようでもあり、今も脳裏に焼き付いている。

 おばあや母ちゃん、近所の人たちは皆、井戸を使わなくなっても御嶽とともによくお参りをし、線香をあげていた。井戸への感謝の気持ちがずっとあったのだと思う。

 今、井戸には蓋がされ、訪れる人もほとんどいないが、ひっそりとカザンミの歴史を物語っている。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

 前号で、今年の宮古は暑くなるのが遅い気がすると書きましたが、やっとがま(?)暑くなってきました。吹く風はさわやかで、梅雨の二文字は、んざがらーんかい(どこかへ)行ったよう。

 5月13日は母の日でしたね。ひっさしぶりに三線を出してきて母と民謡を歌いました。工工四(くんくんしーと読みます。三線の楽譜)を見ながら弾くのですが、指はなかなか思うように動かず、でも母は、私が間違えようがマイペースで歌い(笑)しかも弾ける曲は、4曲くらいなので、何度も同じ歌を。(笑)だいず楽しい時間でした。

 さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

 クイチャーマンさんのアクセントと同音異義語の話、うむっしでしたね。(面白かったですね)。同音異義語で思い出しのは、んーなぐー や んーなぐー(砂は、みんな同じ)。定番すぎましたね。(笑)上地では、アクセントの高低差が感じられるというのには驚きました。高千穂は強弱だけのような気がします。

 あの話をもう一度は、今回も300号からの掲載でした。【方角編】【形容詞編】少しでもお役にたてたら、うれしい限りです。

 先月の伊良部の断水にはびっくりしました。観光客が急激に増えているので想定外のことが他にもいろいろ起こったりするのかも知れませんね。水の大切さを改めて思い、地元の かー(井戸)について書きました。

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 今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。
 
 次号は、三週間後の6月7日(木)発行予定です。
 うぬときゃがみ(それまで)、どうぞお元気で!
 あつかー、またいら〜。