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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol.425

2021 6/02
メールマガジン
2019年1月17日2021年6月2日

こんにちは〜。この冬は雨の多い、宮古ですが、そちらは、いかがですかー? vol.425お届けです。
ぬかーぬか(ゆっくり)お楽しみくださいね〜。

目次

変わりゆくお正月の風景と風習と

ワタリマリ(上野・宮国出身)

あっという間にお正月も過ぎた。宮古はずーっと雨。御降(おさがり)とはいえ、よく降る。それも時雨のようなしとしとではなく、時折スコールのよう激しく。ぞう あみ さいが(よい雨だ)と思いながらも、どこかで宮古の初日の出が見たくて晴れてくれーと気をもんでいた私。ようやく拝めたのは、4日後の帰りの飛行機の窓からだった。

紅白が終わると宮古テレビのいく年、くる年が宮古神社から中継されていた。それは昔のひっそりとした神社ではなく、赤い鳥居が立派でにぎやかに詣客をむかえていた。その風景は都市型の初詣と何ら変わりなく、あえて言えば、超ローカルで、話を訊いているひげもじゃ男は、ちゃきちゃきの ぴさらふつ(平良方言)でインタビューしている。しかもTシャツ姿。寒くはないか?あば?よく見るとそのインタビュアー、は??わが甥っ子ではないか?あはがあは〜、いひがいひ〜(アハハハ)と初笑いの笑門来福だ。

夜が明け、集落はひっそりと さうがつ(正月)を迎える。この集落には、んまたあ(ばあさん)は、ミガガマ御嶽に さうがつうがん(正月願い)に行く風習があったが、雨だからか、傘がないからか?その姿は見当たらない。ほかの御嶽はどうかとその先のスカプヤー御嶽にいって見るが道路から見た限りでは とうまい うらん。(誰もいない)。やはり宮古神社かな?

雨が上がったら とうがらーが くーじゃあんべー(誰かしらが来ないだろうか)。ねえねえに御嶽にはいかないのと聞くと、そうだねえ、いかないと・・・とは言ってはいるが、ぬかーぬか(ゆっくり)している間に正月は終わっているだろう。立派なリゾートホテルと対象的にひっそりと佇む御嶽に風習は消えたかと母につれられて米と塩と酒とで詣でした昔を懐かしく思った。

ところで、よく沖縄のおせちはどんな?と聞かれる時がある。とっさに答えようがなく、しばらく考えてからオードブル盛り合わせと答える。だって最近はこれが主流だそうだ。それにお寿司がつき、女性が台所に立つのを当たり前としている意識がまだまだあるのでこれで楽をしているさあとねえねえ。それでも、まうぬかん(守護神)ゆうぬかん(よろずの神)うかまがん(台所の神)に、いんぬむぬ(海のもの)パリぬむぬ(畑のもの)をお供えしていることに少し許しを得た気がした。

消えそうな風習ではあるが、ほっとしてすがすがしく新しい年を迎えるのには残ってほしい風習だと改めて思ったりもする。

今年は久しぶりの正月帰省だからお土産代わりに我が家の内地風おせちを作ることにした。義母から伝授されたおせちは毎年夫が作り、私は例年どおり黒豆と田作りをつくって添える。それを宮古でもやろうと張り切った。できる範囲でと。現地調達できない食材はこちらから運び、めんどくさいが時間をかけて作り、親戚にお年賀として配った。

だがしかし、ところ変わればである。ひっきりなしに年始回りのお客さんがいらっしゃる。家族のおせちはその客たちが一つまみ二つまみしている間に数時間で売れてしまった。えー?あんなに作ったのにいっ!もう終わり?横から姉がいう。結婚式場なみに作らないと たらーさるん(まにあわない)と。

そこで私は納得した。オードブルのすばらしさを。宮古のオードブルは立派な風習で食文化だ。ただひとつ、あがいーと思ったのは・・・奮発して買っていった数の子だ。おせちに欠かせないので丁寧に丁寧に下処理して持っていたのだが、わあおー!!おいよー何しているかー?数の子はお鍋の中で、こんなおせちもありね?と笑っていた。姉が勝手に自己流で煮てしまったのだ。いいよいいよ、正月だもの。ここでも笑福。
 
ここでちょっと宣伝させてください。何かとスポーツが盛んな宮古。野球にボクシングにバレーボールにと宮古にゆかりのあるプロの活躍も喜ばしい限りです。あの選手は宮古ってさあ!と名前が上がるたびに素早く反応します。で、サッカーのFC琉球にも宮古出身の選手が今年入ったそうです。上里和正。FC琉球は今年はJ2昇格が決まり、ますます目が離せません。そして選手だけでなくFC琉球の新社長・三上さんの奥様は久松の出身。去年の就任のニュースが親戚中に届くとSNS(ライン)では大いに盛り上がったものです。

その三上さんにこの正月お会いする機会があり少しお話を伺いました。なぜ沖縄のクラブを選んだのかと質問してみると、やはり奥さんのふるさとというのは大きかったようです。また、離島の子供たちに夢を待たせたいし、宮古島の子供から大人までもっとサッカーを身近なスポーツとしてたのしんでもらいために今年はいろいろな企画を練っているとのことでした。素晴らしい宮古愛。応援に力が入ります。どうぞ皆さんもJ1に行けますよう応援ほどよろしくお願いします。

ふう、変わりゆく風景と風習を見て、年を重ねたものだとつくづく思う。そんな中、ここでもまた方言が消えてしまったのではないかと思うくらいに会話に方言は聞かれない。母が要介護になってしまってからはあの味のある口上も聞かれない。

いっそAIに記憶させてはどうかと思うところだが、人任せにせず、何ができるかを探っていきたい。そう思いながら飛行機に乗ろうとしたとき、あの宮古テレビのひげもじゃの甥っ子に男の子が誕生したとの朗報が届いた。

朗報続きだ。きっとよい年になる。

◇あの話をもう一度

なー坊(上野村出身),初美(下地出身)

「ミャークフツ講座 擬音・擬声・擬態語編2」vol.62 2003/10/16

  • バフバフ → 勢いが強い様子。バフっと風が吹く。
  • プルプル → 葉っぱなどがカラッカラに乾燥していること。
  • アフアフ → ふわふわしている様子。
  • パス゜パス ゜→ 漬物など食感のあるのを食べた時の音。特にピーチキナ(にんにくの漬物)を食べた時、こんな食感。
  • バラバラ → オートバイが走る音。
  • シャンー → 自転車の走る様。自転車をシャンーと走らせる。
  • シングマング → 例えば机の脚がそろわず、グラグラしている感じ。
  • ピキチューン → 突っ張っている様子。ゴムが突っ張っている様子や緊張している人の様子など。
  • ダッファ → ドサッと物を置く、あるいは落す音。ダッファ、ダッファと繰り返すと、ドタドタ歩く感じにもなる。

まゆがま日記 パート14 いみまゆがま(子猫)を見守る日々

あば本舗(下地・上地出身)

んまりかーりき゜たー いみまゆがま(生まれ変わってきた仔猫)は、今年3月我が家にやってきたかと思ったら、哺乳瓶の乳首を飲み込み生命の危機に直面していた。

「飲み込んだ物をうまく排泄できなければ、腸閉塞で死ぬ恐れがある。」ドクターの説明は厳しかった。動揺を抑えきれない私。昨年11月に亡くなったがば まゆがま(老猫)ハナの生まれ変わりとして再び私の元に来たのに、あたばかーす゜ん すんがらまい っさるん あんしぃうむぅっかー、あてぃ んじょうな かりば なだーだだだだ(あっという間に死ぬかもしれない そう思うとあまりにも残念で涙ポロポロ)

オロオロする私を尻目に、同居中の姪のマナミは冷静に質問していた。「これから、どういう事に注意すればいいですか?」ドクターからの注意点は2つあった。排便するたびに便の中に乳首がないかどうか、よく探すこと。また、吐く、食欲がなくなる、ぐったりして動かなくなる等々の症状があれば、すぐに病院に連れてくるようにーと。

そうして いみまゆがま(仔猫)の命を守る闘いが幕を開けた。

いみまゆがまが ふすぅ ます゜っかー 割りばししー ふすぅ かきゃーす(仔猫が便をすると割りばしでかきまわす)マスクと手袋をして便を格子状に探索するハードな作業である。いみまゆがま(仔猫)が下痢気味だったのとトイレをなかなか覚えず、家じゅうを汚されては掃除に明け暮れる日々。乳首の捜索は一層困難を極めた。

次の外来日まで苦行のような2週間が流れ、ふすぅ かきゃーす(便をかきまわす)日々は続いたがついに発見することはできなかった。受診の日、腹部のレントゲン写真には何も写っていない。「気づかないうちに排泄したのでしょう」というドクターの説明に、ようやく肩の荷がおりた。 

人間達の騒ぎをよそに、よく食べスクスク育っていく いみまゆがま(仔猫)。名前は3月に我が家に来たからーと、姪がモモと名付けた。

しかし、可愛い名前とは裏腹に野生のヒョウのように うかーす たやむぬがま(もの凄く強いヤツ)毎日大暴れして私達を振り回すようになったのである。   つづく

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

つかふ(近く)の沖縄製糖のえんとつから きゅうす(煙)が出ています。今年もキビ刈りの時季がやってきました。雨が多く、なかなかハーベスタが稼働できない状況にあるようですが、雨の中、手刈りをする姿が見えます。豊作でありますように。

去る1月12日、宮古島市中央公民館で開催されていた写真展「よみがえる宮古島の祭祀写真ー『神々の古層』比嘉康雄・『太古の系譜』上井幸子ー」を見てきました。比嘉さんの写真と上井さんの白黒の写真の数々は、宮古の人たちの生き生きとした姿を映していて、どれも興味深いものばかりでした。

会場には、やまかさ(たくさん)の人が訪れ、自分のおばあが映っているとか、これは隣のお姉さんだなど、いろいろな言葉が飛び交っていました。その日はシンポジウムも行われ(くま・かまライターのさどやませいこさんもパネラーのひとりでしたよ〜)実際に祭祀を見た頃の話や感じたことなどがパネリストから話されました。また、宮古の人でも秘祭と言われる祭祀に関わっている人は限られていて、地元でも祭祀の内容を知ることはなかなかないことです。それを中まで入り、まっすぐに祭祀を撮れたということは、よほど信用をされていたのでしょうとの話もありました。

シンポジウムが終わった後には、民謡唄者の與那城美和さんのアカペラで古謡「うかぱぎー(クロヨナ)」も披露されました。初めて聞く唄でしたが、とっても良かったです。美和さんは本当に素晴らしい。

今回の写真展は終了しましたが、今後どこかで開催されることがありましたら、ぜひお出かけください。

さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

ワタリマリは、久しぶりに宮古でお正月を過ごし、変わっていくお正月の様子を複雑な思いで感じていることがよく伝わってきました。そんな中でも「いんぬむぬ(海のもの)パリぬむぬ(畑のもの)をお供え」してというのはまだ残っていたりしていいですね。

あの話をもう一度は、くま・かま創刊当初にやっていミャークフツ講座からお届けしました。擬音、擬声、擬態語は、たーくさんありますが、その中でもユニークなものを取り上げた回でしたので再度。

あば本舗さんの、いみまゆがま、何事もなく良かったですね!実は我が家も昨年11月に迷子のいみまゆがまを飼うようになり、あば本舗さんの気持ちがよーく分かります。(笑)今後のモモちゃんの成長も楽しみですね〜。 

貴方の感想もぜひお寄せくださいね。投稿もぜひお気軽に。まちうんどー(待っていますよ〜)

今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。
(今回も最後までお読みくださりありがとうございました)

次号は、3週間後の2月7日(木)発行予定です。
がんづうかり うらあちよー(お元気でー) あつかー、またいら〜。

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