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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol.430

2021 6/02
メールマガジン
2019年4月4日2021年6月2日

全国的に、気温が下がっているようですね。 宮古もここ数日、ぴしーぴし(寒い)です。
くま・かまは、この4月より19年目に入ります。 今後ともよろしくお願いします。

目次

宮古馬について学びたい

宮国優子(平良・下里出身)

数ヶ月前、ネット上に上がった宮古馬の記事を見て、驚いた。いろいろ考えたあげく、「宮古島と宮古馬を学ぼう&何が出来るかミーティング」を梅崎晴光さんと4月7日(土) 17:00から始めることにした。 

「つながるゼミナール」の(5)という風に考えているけれど、まずは「何?そのつながるゼミナール?」ではないかと思います。友人らと話していて、始めることにした勉強会というか読書会というか、エンターテイメントというか、そういうものだ。つるまずに、好きにみんなでやってこう!というのが趣旨だ。

そのなかで「宮古島と宮古馬を学ぼう&何が出来るかミーティング」というのを立ち上げた。4月7日(土)より月1日を予定している。参加者と相談して、次の日時を決めようと思っています。場所は、事務所兼店の大岡山のTandy ga tandhi( タンディガタンディ)。山手線の目黒駅から10分ほどの大岡山駅から歩いて2分です。

さて、梅崎さんといえば、スポーツニッポン新聞社東京本社・専門委員で、消えた琉球競馬 幻の名馬ヒコーキを追いかけて」(12年、ボーダーインク発行)の著者。沖縄タイムス出版文化賞正賞、JRA賞馬事文化賞を受賞という輝かしい経歴なのだけど、気さくで やぱーやぱな(優しい)人として、梅崎さんが大好きだ。宮古馬の記事が上がってすぐにやりとりを始めた。そして、その間、そのセンセーショナルな雑誌の記者さんにも会った。いろいろ思うことはあったけど、いらだちよりも焦りのほうが大きい。

しばらくは情報が錯綜して、なんだか複雑だなと感じるようになった。宮古と連携を取るには距離の問題もある。ならば、東京組は自分たちで考えてもいいんじゃないかということになった。これから先、どうなるかはわからないけど、とりあえずすべてにおいて、現在進行系にしておきたい。複数の仕組みづくりが必要だと思う。

私は、責める人、責められる人が出てくるのは、問題の解決にはならないと思っている。宮古の人に対する風当たりが強すぎる。情報をあらゆる角度から見ることが大事だと思っている。一過性のニュースにしてはいけない。

時間がたてばたつほど、なぜこういうことが起こったのか、そして、わたしたちはどう考えるべきか、さらに深い課題が見えてきた気がした。宮古の歴史やメンタリティがわかってくれば、争うことより、ともに力を合わせる方法も自ずと答えが出て、行動に繋げられるのではないかとも思う。

まずは、その方法を見つけ出すためにも、ともに学び、話し、出来る人が出来ることを ぴっちゃなー(少しずつ)始めてみようと思う。

「馬は時代を映す鏡」と梅崎さんはいう。私はわかっているようで、わかっていない。だから、まずは歴史から勉強しようと思うのです。詳細は以下です。

場 所大岡山 Tandy ga tandhi タンディガタンディ
(東京都大田区北千束1-52-6-2F./ 大岡山駅から徒歩2分)
日 時2019年4月7日(土) 17:00
4月7日(土)より月1日予定。参加者と相談します。
参加費参加費1000円懇親会1000円参加費は宮古馬の保全団体に寄付、または活動費。
懇親会は、運営費としてプールします。また、情報開示を積極的に行っていきます。

◇あの話をもう一度

あすなろ(平良・東仲出身)

「宮古島今昔物語(うりがー【降り井戸】編)」vol. 324 2014/9/18

んなまやー(今は)んきゃーん(昔)

きたしょうぬ、ぴっちゃがま、あがす゜んかい、いきばど、うぬ、うりがーやー、あす゜たす゜だら(北小学校の一寸、東にその「降り井戸」はあった)

うぬ、うりがーぬ、なーやー、「いさ゜がー」てど、あす゜たす゜(この降り井戸の名は「いさ゜がー」といった)

「うりがー」とは、階下へ降りて水を汲む井戸のこと。平良の北小学校区内には、4つの「うりがー」がある。

1つ目が、やまとがー(大和井)

1720年に掘られたと『雍正旧記』にあると言う。国の史跡に指定されているので、つとに有名。大和井から50メートル北西に、ぷとらがー(ぷとら井)がある。次に有名なのが むす゜かがー(盛加井)現在のNTTの西側に位置し、14世紀後半に勢力を揮った与那覇原一党がこの辺りを本拠地としたと稲村賢敷は説く。

最後に、我が高阿良集落にある「いさ゜がー」北小学校の北壁と東壁がクロスする十字路を東に昇り、ほどなくすると道の右側に現れる。しかし、人々は気が付かずに通り過ぎてしまう。目印は何の関係もない健康モデル地区のモニュメント。106段を降りないと貯水池まで辿り着けない。水面から地表まで16メートル。

この「いさ゜がー」には面白い話が残っている。古老から聞いた話として、湧き水の岩の上に時々、裸の河童が座っていると言う。この話を『遠野物語』で有名な柳田国男が聞いたなら、必ずや特急で宮古島まで馳せ参じた事だろう。

この噂が本当になったから、さあ大変。時は大正時代。河童ならぬ赤鬼が現れた。「目が赤く飛び出していたヨー」ヒロ坊のアンガ(姉さん)が、わなわな震えている。青い眼光を放ち「歯の隙間から真赤な火をふいていたヨー」キー坊の母ちゃんは、泣きながら訴える。「髪を振り乱して近づいて来た時は殺されると思ったサー」と、シュン坊の母ちゃんの顔も真っ青。

昔から、水汲みは、女子や子供の仕事だった。赤鬼の出現により、水汲みを怖がり、誰一人として「いさ゜がー」に近寄らない。しかし、水が無いと食事も作れない。屈強な男達が赤鬼退治に選抜された。

或る晩の事、赤鬼が現れ、大立ち回りが演じられる。と思いきや意外にもあっさりと退治された。なんと、赤鬼は少年Aであった。

彼は卵の殻を赤く染めて目玉を作り、その眼球の中に青光りする蛍を4〜5匹入れ、赤い線香の火を口にくわえ、歯の隙間から火を噴いた。赤鬼の正体は、赤尾川のユヌス。赤尾川とは彼の家号でユヌスは童名。これだけ世間を騒がせた以上、弥縫策では追いつかない。彼は母から一週間の断食を命じられる。この話は、『洞くつの中の赤鬼』と言う垣花鷹志氏のエッセイで、彼の父親のボーチラ(ガキ大将)振りを著した実話です。本人の了解のもと、私が若干話をふくらませました。お許しあれ。

「いさ゜がー」にまつわる話をもう一つ。

近所の先輩、実少年は、以前から「いさ゜がー」の水汲み場の右隣にある直径3メートル程の洞窟が気になっていました。彼は仲間達と休みを利用して、懐中電灯を照らしながら、この洞窟が何処に繋がってがっているかを確かめることにします。どの位進んだろうか、何やら明るい光が前方に見えてきました。女性達の会話が聞こえてきます。なんと、辿り着いたのは むす゜かがー(盛加川)だったと言うのです。直線にして200メートル。

昨年の飲み会でこの話が披露された。「うすだらか(嘘だ)」と勲兄さんは取り合わない。「あすなろも居たよなー」と私に同意を求める「ばーやー うらん(私は同行しなかった)」50余年振りに再会した彼等は、71歳の好々爺(失礼)になっていて、「いさ゜がー」の話になると少年に戻っていた。

『雍正旧記』によると、宮古島には59ヶ所の井戸が記録されていると言う。水道が完備され、今では見向きもされない彼等。

「いさ゜がー」に感謝の意思表示をしようと、ここの水で産湯を使った当時の少年少女達が「我等の青春、我等の原点」と「いさ゜がー会」を組織し、2008年に第1回を沖縄本島で開催、約60人の会員を擁していると言う。

2011年(平成23年)10月4日の「宮古毎日」に彼等の活動が紹介されている。私も小学生の頃、水汲みをした経験があり、元気なうちに合流したいと思っている。

さかでぃ(逆手)

松谷初美(下地・高千穂出身)

標準語で、逆手は(さかて)や(ぎゃくて)と読み、刀の反対の持ち方や「鉄棒などを、手のひらを手前に向けて下から握る握り方」だったり「逆にやり返すこと」などの意味がある。

私は、やらびぱだ(子どもの頃)母親によく「さかでぃ しー むぬーっすな(逆手で何かしてはいけません)」と言われた。ここでいう さかでぃ(逆手)とは、例えば、お茶を湯呑にそそぐ時、急須を右手に持って右側に注いだりと通常とは反対のやりかたをすることだ。確かにお行儀悪いやり方だとは思っていたが、その理由を最近見た映画「洗骨」の中で知った。(*洗骨とは、人が亡くなり土葬などした場合、亡くなって数年から10数年経った頃、墓から出し骨を洗いきれいにし、墓に戻すことを言う)

映画「洗骨」では、とてもリアルに骨を洗うシーンがでてくる。その中で骨に水をかけるシーンがあるのだが、その時、子ども二人が さかでぃで水を注いでいたのだ。最初は、あれ、さかでぃでやっている。誰も気づかなかったのかなと思っていた。そしたら、映画の中でちゃんと さかでぃでやることを話すではないか。なるほど、そうだったのか!

さかでぃでやるのはそういう時だけで、普段の生活でやってはいけないことだったのだ。

宮古でも、30年〜40年前まで「洗骨」を行っていた。うちの祖父が亡くなった時(1976年)も土葬だったので、墓を新しくした時に、洗骨をしたそうだ。(私はその頃、東京に住んでいたので見ていない)

そういう風習があったから、母は「さかでぃ しー むぬー っすな」と話していたのかと、んなまぐーりゃ(今ごろ)分かった次第である。

それにしても映画「洗骨」良かった!細部までとてもリアルに描かれていて、監督のこの映画への熱く強い想いが伝わってくるようだった。

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

2001年4月にスタートしたくま・かまは、おかげ様で満18年。19年目に入りました。まーんてぃ ぷからすむぬ たんでぃがーたんでぃ〜。どうぞ、これからもご愛顧のほど、よろしくお願いします。

新しい元号の発表がありましたね。「令和」。(お、パソコンの漢字変換ですぐ出てきた!)最初は、ら行で始まることに違和感がありましたが、何度も聞いているうちに慣れてきました。(笑)災害もなく、自然豊かで平和な時代であってほしいですね。

3月30日(土)に開かれた、ばんたがマツカニ(棚原芳和)さんが率いる棚原民謡研究会主催の「春の宮古島芸能祭り」大盛況でしたよ〜。宮古民謡から沖縄、八重山まで幅広い民謡の唄・三線。そして舞踊と盛りだくさんの内容でした。お客さんからは、ぜひ毎年やってほしいとの声があがっていました。

さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

宮古馬についての記事は、びっくりしましたが、優子さんが書いているように自分事として考えていくことが大切ですね。宮古を遠く離れていても何かできるのではと考える優子さんは本当に素晴らしい。梅崎晴光さんの話が聞けるのもいいですね!興味のある方はぜひ。

あの話をもう一度は、あすなろさんの「宮古島今昔物語(うりがー【降り井戸】編)」をお届けしました。昔は、うりがーはとても身近のものでした。うりがーは今でも残っていたりしますが、今の若い人たちは知らない人も多いことでしょう。残していきたいお話です。

母親や祖母から、幼い頃言われていたことをこの頃、よく思い出します。その背景までは知らなかったことが、今回のように映画を見て分かったりすると ぷからすむぬ(うれしいものですね)

貴方の感想もぜひお寄せくださいね。投稿もぜひお気軽に。まちうんどー
(待っていますよ〜)

今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。
(今回も最後までお読みくださりありがとうございました)

次号は、4月18日(木)発行予定です。
きょうも、上等な一日でありますように! あつかー、またいら〜。

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