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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol.432

2021 6/02
メールマガジン
2019年5月2日2021年6月2日

こんにちは!
昨日、元号が平成から令和になりましたね〜。
令和も穏やかで良い時代になりますように。 令和もくま・かまのことよろしくお願いします。
vol.432お届けです。 ぬか〜ぬか ゆみふぃーさまちよー。(ゆっくりお読みくださいね)

目次
  1. 何かと古語や熟語にこじつけてしまう島言葉
  2. ◇あの話をもう一度
  3. とーとぅい(尊い)
  4. 編集後記

何かと古語や熟語にこじつけてしまう島言葉

ワタリマリ(上野・宮国出身)

書物や新聞などを読んでいて、あば(あれ)?方言かも?というのを見つけた時、一人勝手にこじつけをする事が楽しみの一つです。令和になリ万葉集が注目されていますが、古の言葉が残っていると言われて久しい宮古の方言もこれまた不思議で面白い言葉だなぁと愛してやみません。

ほんの少しですが、ここで どうかって(自分勝手)にこじつけます。

★「ブランコ」
古語では「ゆさわり」「ふらここ」 むかーしの宮古の方言では「ゆーさ」

母が歌ってました

ばんた ゆーさやあ(うちらのブランコは)
 いす よりあ(石でよってある)
 カニ よりあ(カネでよってある)
 あぐたが ゆーさあ(あんたらのブランコは)
 んむゆう どぅる どぅる(芋粥ドロドロ)
 きしうちる(切れてしまえ)
 きしうちる(切れてしまえ)   

これでいう「ゆーさ」は公園にあるようなブランコとは違っていたようです。細長く、例えば丸太棒をガジュマルの木に引っ掛けて何人かで乗り前後ではなく左右に揺らしてあそんだようです。でも切れてしまえとは。遊びながら何かを競ったのですね。

こんな歌もあります。

しつんな ゆーさ (春の節句にはブランコ)
 さにつんな あーさ (潮干狩りにはあおさ)
 あぱらぎ あんががどぅ うう(美しいお姉さんたちがいる)
 ぬんぬ うんちい ういば(布を織っているからね)
 あしばよーい うおーばー ゆみんすうじ
 (だからよ〜。あなたをお嫁さんにしようか)
 あだんみぬ ぼうがやーぬ ゆみやーいやーむぬ
 (あだ峰のお兄さんの家のお嫁さんになるらしい)

こうして乙女たちの遊びとして競い合いながら節句のころに遊んだようです。

同じように中国や韓国でも競い合うブランコ遊びがあったみたいですね。このゆーさ、「ゆさわり」が何だか ゆ〜さゆ〜さと音を変えながら宮古に届いたのではと一つ目のこじつけでした。 

ぷからすきなりー ゆーさうくぎゅう んきゃーんぬ あんがたー が あまいぐいぬ き゜かい きすっさ(楽しそうにブランコを漕いでいる昔のお姉さんたち笑い声がきこえてくる)

★可借身命
あたらしんみょうと読むんですね。このままではもったいない、体や命を大切にとの意味があります。方言では 大切にしたいものや人を「あたらっさ」とか「あたらすーぬ がー」と言いますね。愛おしいとの意味合いで使われますが「あたらす んぬつ」となれば「大切な命」となり、これもこの「あたらしんみょう」から来たんだと二つ目のこじつけです。

★映える
古語では「映ゆ」。平安女流文学などには「映え映えし」との表現がたくさん出てくるそうです。(実際には読んだことないが)映えの程度が著しい様子を表しているようです。今でいうインスタ映えですね。この「はえはえ」宮古の「ぱいーぱい」となんだか似ていませんか?宮古では「似合う」の意味で「ぱいーぬ」と言いますが、より似合っているときには「ぱいーぱい」ですよね。映え映えはよく映る(うつる)意味でもあるのでこれもこじつけます。

例えば「くいんな のーぬが ぱいがらいー(これにはなにが似合うかなー)」と思案しているときは「映え」を気にしていることになるので「ぱいーぬ」は「映える」となる。んー?ちょっと ぱいゆんべー(映えないかな?)

★だんごたばり
京都の精華町というところのある集落の秋の行事では、子供たちが家々を回り「だんごたばらしいてえな〜」とお供えの団子をひとつもらっていく行事があるそうだが、この「たばりる」は、方言の「たばりる」とどこかでこじつけられないでしょうか?「たばりる」は「たまはる」 賜る(いただく)が転じたことばで方言のたばりるはくっつくの意味。はてさてどこでこじつけようか?団子たばりたよ〜と団子とくっついて喜んでいただくというのはどでしょうか?

★大山祇神社
最後に極めつけ。大山祇神社です。愛媛県今治市にある神社、おおやまずみじんじゃと読みます。山祇(山の神)祇 zumi さいが。きっと ずみな(立派な)神社だろうなあ。

などなど、厚かましくもこじつけましたが、結び付けられそうな古語や和歌などを見つけると、これって・・・とついついにやけてしまうのです。でも「令和」が出たきた万葉集歌集と宮古方言はとてもとてもこじつけられそうにもありません。

◇あの話をもう一度

カニ(平良・西里出身)

「んなま(今)の宮古 〜初夏はサルカの実がつく〜」vol.315  2014/5/1

カニどー

宮古島の初夏にはサルカの橙色の実がつきます。昨日(4月26日)夕方、犬の散歩で今年もサルカの実をみたくなり、はやる心を抑えられず近くの公園にいってきました。

2年ぶりの小さな森はかなり変化していました。この森は私の定点観察の場所でもあり、数か所にサルカの木があるのを知っています。

つる植物が多く伸びてきて一見戸惑います。(宮古方言では戸惑うことを「どぅまーびる」「みまぎる」とか言います)そんな中で探すこと10分ぐらいで「サルカケミカン」そう「サルカ」の橙色の実を見つけました。
 
昨年は宮国と入江の途中の南岸海岸沿いで見つけたことを思い出しました。こうして1年に一度は実がなる時期に「サルカの実」を確認できることは私には最高の楽しみです。
 
私は43歳の時に(今から14年程前)、伊良部島にこのサルカの実を探しに行きました。確か5月の連休の時です。涼しい南風に吹かれて伊良部島を自転車で一周しました。なかなか見つかりませんでしたが、最後に白鳥岬からフナウサギバンタに向かい、そしてバンタを過ぎた地点で道路の脇にこのサルカの実を見つけたのです。この時は感激しました。なにしろ写真でしかみたことがなかったからです。この写真は「伊良部の自然 植物編」という書に載っておりで、とても綺麗な実でしたので何としてもみたいものだ・・・と追っかけていたのです。

認識というのは不思議なもので一回わかると次から次へと見えてくるものです。宮古島のどこそこに自生しているのが今や手に取るようにわかるのです。そして12月には小さな白い花を咲かせ、いち早く春を知らせる使者でもあることに気づきました。そんな思い出深いサルカの木の実なのです。

昨年の今頃、連休で宮古島にあるすべての白浜を歩き終えました。大学1年の時から始めたプロジェクトが完成したのです。37年かかったことになります。私の頭の中には宮古島の殆どの浜の姿がたたみこまれたのです。 一つ一つの浜の姿はそれぞれ特徴があり味わいがあります。

この連休にもそのうちの一つの浜を選び渚を歩き回ってみたいものです。今回からは再確認の歩きになります。

初夏を迎え昨日(4月26日)はサンコウチョウの鳴き声も聴けました。おそらく大野山林ではアカショウビンの声も始まっていることでしょう。オキナワテイカカズラの花も咲きだしました。可憐な黄色い花をつかせるソウシジュの花もそろそろです。それからこの時期にはモクモウの花も咲いております。

こうして初夏を迎えた宮古島は梅雨へと移行し、植物は天からの贈り物(雨)を貰い、森の緑色は濃く深まっていきます。

とーとぅい(尊い)

松谷初美(下地・高千穂出身)

宮古方言のメルマガを始めて、丸18年。方言についてまだ分からないことだらけだが、平成から令和になり、時代が変わっても残ってほしいと思うみゃーくふっつぁ のーがらやー(宮古方言は何だろう)と考えてみた。

そしたら、「とーとぅい(尊い)」という言葉が、おばぁの顔とともに真っ先に浮かんだ。

これまでも何度か書いているが、明治生まれのおばぁは、お茶を飲む時やオトーリでお酒が回ってきた時、必ず、お茶碗やコップを持ち上げて「とーとぃい(尊い)」と言ってから口にしていた。3時のお茶であれ、食事の時のお茶であれ、いつもそうだった。

昔はお茶やお酒は、大変貴重なものだった。それに感謝をして飲んでいたのだろうと思う。

宮古方言研究会の新里博(あらざとひろし)先生は「乾杯」にあたる、宮古方言は「たうと(尊)」であるとしている。まさにと思う。

宮古では、行事の中で神様(仏壇にいる仏様、ご先祖様のことを宮古では神様という)に手を合わせることが多い。例えばお盆で、紙のお金を焼いた後に、主から皆に「はい、手を合わせてください」という合図がある。すると、皆仏壇に向かい とーとぅい(尊い)と手を合わせる。いみっちゃぬ やらび(小さい子)には、「とーとぅい しなさい」と促す。3歳くらいの子でも「とーとぅい」の意味は知らなくても、手を合わせることだとは知っていてちゃんとやるから、かわいいがま。

感謝の気持ちや祈りの言葉「とーとぅい(尊い)」、年を取れば取るほど、いい言葉だなーと実感をする。いつまでも、残っていってほしいと思う。

令和の時代には、国の文化、地域の文化がより大切にされ、見直され、良い時代になりますように。とーとぅい(尊い)!

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

くま・かまは、平成13年(2001年)の4月にスタートしました。見出しのところには西暦しか入れていないので、元号もいれておけば良かったなぁーと んなまぐーりゃ(今頃)思っています。元号で結びつける出来事がありますよね。

昭和から平成に変わる時は、昭和生まれということもあってか、淋しさがありましたが、令和へ変わることは、淋しさというよりも新しい時代に自分もいるという喜びのほうが大きいような気がします。

前号からの2週間もいろいろなことがありました。

4月21日は「第5回とうがにあやぐ大会」がJA宮古地区のホールで開催されました。例年ですと、歌碑のあるカママミネ公園で行われますが、雨の予報があり屋内での開催。予選を通過した20名が観客が見守る中、一生懸命歌いあげました。今年の優勝は亀川貴敏さん。4度目の挑戦で優勝を獲得しました。素晴らしい歌声でした。亀川さんはこの後、いろいろなところでその歌声を披露することでしょう。

27日は、宮古島市文化協会の総会でした。無事に終わり、うむやすーうむやす(安心)しています。

さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

ワタリマリの宮古方言と古語を結びつける話、うむっし(面白い)ですね。古い言葉が宮古方言に残っていることを知った時の驚きやうれしさは、何ともいえませんね。お母さんたちが歌っていたというゆうさの歌も上等〜。記録しておけますね。

カニさんの話は、ちょうど5年前の今頃の掲載でした。宮古の自然を満喫するカニさんの喜びが伝わってきます。んきゃーんな(昔は)たくさんあったサルカの実も最近は、見かけなくなりました。連休の間、自然の中に身をおくのもいいですね。

令和に残したい、宮古方言。「とーとぅい(尊い)」について書きましたが、貴方はどんな言葉を残したいですか?ぜひ、教えてください。いいろな言葉を共有できたらと思います。

貴方の感想もぜひお寄せくださいね。まちうんどー(待っていますよ〜)

今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。
(今回も最後までお読みくださりありがとうございました)

次号は、5月16日(木)の発行予定です。
皆様にとって令和の時代が、佳き日々でありますように!
あつかー、またいら〜。

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