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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから Vol.48

2021 4/22
メールマガジン
2003年3月20日2021年4月22日

こんちには。よーやくがま ぬふーぬふ(ようやく暖かく)なってきましたね。みなさん がんずぅやしー うらまずなー(皆さんお元気ですかー)くま・かまvol.48お届けします。

目次

「学校がない 宮島小学校編」

神童

全校生徒135名による校内緑化は順調に進む。

生徒によって学校に持ち込まれたふっふぁい(堆肥)は、花壇に入れられ、ダリア、アスター、パンジー、百日草などの栄養源になるのだった。

突然ですが、宮古ふつ講座?!

ふっふぁいの発音のアドバイス。気合いをいれるため甲子園球児がかけ声をかける要領で「宮高ファイ」のふぁいのまえに小さい「っ」と「ふ」を混ぜたふを付けて「っふっふぁい」です。ポイントは、いかにも肥溜めのほのかな臭いが漂って来そうな嫌そうな顔をするといいです。

緑化の話しだったな。緑化は花壇のみならず 広場(芝)及び学校の裏山に渡って行われた。裏山はモクマオウがうっそうと茂り昼なお暗い深山の趣である。こんなところに木を植えてどうする。森林組合かお前は。選び抜かれた木は、なんと銀杏と楓(タイワンフウという)だ。宮古の気候に合うのか、まず。

教職員組合の迷走はまだまだ続く。どのバカ(シンシー(先生)だけど)の発案か知らないんだけど、校庭に石を置こうと言うのだ。「あのね、ここは学校でヤー(家)のミナカ(庭)じゃないんだよ」その石も賽の河原で亡者が積み上げているケルンのようなものでない。容積にして1立方メートル、重量2tという代物だ。でかいぞ。石を通り越している。最早、岩だ。

で、それは何処にあるわけ。以下次回。

「宮古のことわざ」

〔 後頭ぬ とんまーいす とぅん自分が事うばぁ 知さん 〕

ウッスヌ トンマーイス トゥン
ドウガクトウバァ スサン

「とんまーいす」とは振り返るの意味。自分の後頭部を振り返って見る事ができないように、自分のことは、わかっているようでまるでわかっていない。

『んきゃーんじゅく』 佐渡山政子/編 より

「ミャークフツ講座 五感編」

ひさぼう

目
みいみいる … 見てごらん
みぷとうーみぷとう … 眩しいよ??
みいいつきうり … じっとみていて?

耳
きすきみいる … 聞いてごらん
んぎゃます … うるさい
やがます … やかましい?

鼻
かびみいる … かいでごらん
ぱなぴしゃ … クシャミをよくする人
かばすーかばす … いいかおり!
ふさあーふさ … くさい!

舌
あっつあしいみいる … 味見してごらん
ふぁいみいる … 食べてごらん
んまーんま … おいしい?
んぎゃあーんぎゃ … 苦い
すからーすから … しょっぱい
すうーすう … すっぱい

皮膚
さわりみいる … さわってごらん
なでいみいる … なでてごらん
びごーびご … くすぐったい
ぱすこーぱすこ … むずがゆい
こおーこお … かゆい
あが! … いてえ!

「まつぎー(松ノ木)」

松谷初美

ばんたがやー(うちの家)の近くには、まつぎー(松ノ木)の林がある。こんもりと緑が茂っていて、遠くからでもよく分かる。そこは集落の南側にあり、いわば玄関だ。小学校、中学校に通うにもいつもその傍を通って行った。その頃は、まつぎーに対して何も感じなかったが、今は まつぎー を見ると何故かホッとする。

思い起こせば、やらびぱだんな(子どもの頃は)その まつぎー林の中によく行った。「まつぬみん」(松茸)を採りに行ったこともある。今内地で見る松茸とは違い、どちらかというと「シイタケ」に近かったような気がする。今ではもうぜんぜん見かけなくなった。それから「さるか」と言って、トゲがいっぱい付いている木になる実があって、うちのおじいはよくそれを泡盛に漬けて飲んでいたので採りに行かされた。トゲに かかっつあり(ひっかかれ)ながら赤い実を集めたものだ。それからそこでは、よく牛や馬などを屠殺していたようで、骨もゴロゴロあった。うとぅるすー(怖いー)と言いながらもよく行っていた。

まつぎーは、んきゃーん(昔々)から宮古にあったものだと思っていたら、そうでもないらしい。稲村賢敷/著『宮古島庶民史』によると、1655年下地頭職白川氏恵根が上国した際、造船の材料とする為に数株持ち帰り植林したのが始まりだそうだ。宮古の気候や土に適してすぐ広がったため、次々と造林されていった。そして建築資材や薪としても重宝されていく。しかし多い時は島内70万余坪の松林も盗伐などにあい、荒廃する山が相次いだとのことだ。

ばんたがやーぬつかふぬ(うちの家の近くの)まつぎー林は、いつごろからあるのか分からないが(たぶん100年以上前)以前は今よりもっと面積も広く、本数も多かった。あすぅが(しかし)最近は次々と畑に変わっていっている。

生活にも密着していた まつぎーは、歌にも歌われている。うちのおばぁがよく歌ってくれていたのは、こんな歌だった。

まつぎー ぬ ぱー や すぅんざぎむぬよー
枯りうてぃきゃまい まうきゃー どぅりよー
ばんたーまいまーん いつがみまい
まうきゃー どぅりよー

<意味>
松ノ木の葉は うらやましいよ
枯れて落ちても くっついたままだよ
私達も いつまでも くっついたままでいたいよ

子どもながらに、情熱的な歌だなーと思って聞いていた。

元々自生していなかった まつぎーも私にとっては、ふるさとの風景として、ふかーふか(深く)刻まれている。そして帰省した時は、まつぎーを見て帰っ、てきたんだなーとホッとしている。

「アンナーイ」(投稿)

π里生さんより

前に読んだ「くまかま」でずーっと気になっていたことを書いてみます。

それは、vol.12(’01,9,20)の「空気入れ物語」後編にでてくる「んもーい!んもーい!」(ごめんください)との言葉です。作者の方には申し訳無いけれど、牛の鳴き声みたいでおもしろい表現だなーと思っていた。

最近になって、ふと子供のときのお使いで、お店にいって声をかけるのを思いだした。それは大きな声で「アンナーイ」と言っていたことだ。どうしてそんな言葉になったのか、まったく覚えていない。40年以上たった今、よく考えてみるにアンナ(お母さんを呼ぶときの言葉)と叫んでいたのだと気が付いた、判り易くいうと「おばさーん」と言っていることになるだろう。

vol.12の「んもーい」も、よく考えてみるとンマ(おばー又はお母さんのこと)が「んもーい」(おばさーん)になっているのではと、ドゥカッティ(自分勝手)に解釈したけど、どうでしょうか、お聞きしてみたい。

それもこれも、宮古の方言に「ごめんください」にあたる言葉がないため、工夫して使ったのだと思う。

例えば「ユヌスー」(父の幼名)と女性の声がすれば、親戚の○○おばさんが来たとわかり「カマドゥー ユヌスア ウズドゥス」(カマド(母の名前)ユヌスはいるか)と男の声がすれば母の幼なじみがオヤジと飲みたいために来たと分ったものです。来訪者は、ほとんどが「声が見える」関係だったため、改まった「ごめんください」という挨拶は、必要なかったのでは?

皆さんもヤラビ(こども)時代のお使いを思い起こして、お店に入るときの声を思い出してみてはいかがでしょうか。

※下地勇さんの歌では、「かーさまちー」(買わせてください)と出てきますよね。これも地域差があってうむっし(面白い)。

「編集後記」

松谷初美

おかげさまで「くま・かま」を発行するようになって丸二年が経ちました。まーんてぃ ぴゃーむぬ(本当に早いものです)。この間にお便りや投稿をやまかさ(たくさん)いただき、だいず励まされました。たんでぃがーたんでぃ。んなまからまい、たすきぃふぃーさまちよー(これからもご協力くださいね)よろしくお願いします。

二年間にわたり、佐渡山政子さんの『んきゃーんじゅく』に大変お世話になりました。おばぁや母ちゃんからよく聞いていた言葉がでてきたり、またまったく知らなかった諺がでてきたりと大変勉強になりました。政子さん、まーんてぃ たんでぃがーたんでぃ。政子さんには今後また別の形で登場していただく予定になっています。どうぞお楽しみに。

ご意見、ご感想、投稿は、いつーまい(いつでも)受付中です。お気軽にお寄せください。

次回は、4月3日の予定です。あつかー またやー。

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