みなさん、こんにちは〜。台風や のーしがあたーがらー(どうだったでしょうか)被害が少ないことを祈っています。くま・かまvol.54、ぱずみっとうー(始めますよー)
豆が花 どうかってぃ(自分勝手)解説
マツカニ
民謡どうかってぃ解説、今回は「豆が花(まみがぱな)」です。
この唄は歌詞が2通りあり、おそらく元唄であろう「豆が花」の歌詞は「豊年のあやぐ」と同じく豊作を願った内容です。今回はもう1つの「豆が花」を紹介します。
豆が花 1.すとぅむてぃぬ まみがぱなよ(サーサー) あきしゃるぬ つゆが花よ(イラヨシ)イラヨスマ〜ヌ つゆがぱなよ 2.まみがぱな ぴとぅぱなよ(サーサー) つゆがぱな かたときすよ(イラヨシ)イラヨスマーヌ かたとぅきすよ 3.はいゆはい まいざとぅ うやす゜さ゜よ(サーサー) うわがっふぁゆ ばぬんふぃーるよ(イラヨシ)イラヨスマーヌ ばぬんふぃるよ 4.ばんがっふぁぬ マカドゥやよ みざすしゅうとぅ たきゃあらんよ(イラヨシ)イラヨスマーヌ たきゃあらしよ 5.たきなしば たきどぅなす゜よ(サーサー) ぷがなしば ぷがどぅなす゜よ(イラヨシ)イラヨスマーヌ ぷあどぅなす゜よ 6.とぅすゆみば とぅうななつよ(サーサー) ぱだみいりば なまやらびよ(イラヨシ)イラヨスマーヌ なまやらびよ
[解説]
宮古島が人頭税で苦しめられていた時代の一端がかいま見えるような唄です。
目差主(役人)が娘をよこせとせまっているが父親がそれをなんとか断っている様子が唄われています。
1、2番は、「早朝の豆の花に朝露が輝いていますが、豆の花はほんの一時朝露の輝きも、はかないもので片時です」と唄っています。そして豆の花の美しさと娘さんの美しさをかけて次のように唄っています。
3番以降は問答になっています。
(目差主): おいおい前里の親父さんお前の娘を俺にくれ
(父) : 私の娘マカマドゥは、目差主とは身分が違いつり合いません
(目差主): 一緒になればつり合うようにする
(父) : 年もまだ数えて17、容姿もまだ子供でございます
6番以降は、「言うことを聞かないと難しい織物を織らすぞ」と目差主が脅すのですが、「まだそういう難しいことはできません」と父が断り、娘を守る内容となっています。あの時代役人に逆らうのは大変だったと思いますが、宮古の父親の気骨が表れている気がします。
それにしても昔の宮古の人が、こんな美しいメロディーをどこから仕入れたのでしょう。どこかもの悲しい感じも同居する名曲です。唄、三線ともやや難しく中級向きだと思います。皆さん今一度ゆっくり口ずさんでみて下さい。
「あば まあんてぃ ずみぎ あーぐさいが」(ああ、本当に良い唄だねー)と思えるはずですよ。それではまた次回まで・・・。
お店紹介6《 JANG JANG(ジャング ジャング)
松谷初美
JANG JANG は、平良市下里にあるライヴ・バーだ。夜な夜な音楽好きの人たちで賑わっている。
ジャングジャングという言葉は、宮古でいうところの、ギターや三線をかきならす音のことだ。いかにも「音楽と密接した店」というイメージの名前ではないか。私がその音から連想するものは、生きとし生ける人々の喜びと悲しみの響き。ジャグ、ジャング、ジャング・・・。
今から5年前の1998年、東京からやってきた山口七重さんは、縁あってこのお店のオーナーとなる。七重さんは中学生の頃、沖縄のフォーク界の先駆者「のひなひろし」とその歌に出合い、そして沖縄に出合い、いつか絶対に住みたいと思ったそうだ。
「のひなひろし」のライヴは、水曜日〜日曜日(変更することもあり)の22時30分〜24時くらいまで、楽しめる。また、第2土曜日は、「下地康三」がギターでサポートに入る他、自らも歌っている(ただし7月は、のひなひろし島外ライヴのため、お休み)。その他にも、JANG JANG では、「よなははるき」「砂川悟」「Yamako-山川貴代美」「アコーステックM」「ジョニー宜野湾」「コウチャンバンド&かつ吉」など、これまでたくさんのミュージシャンのライヴを開き大好評を得てきた。
昨年は、インディーズレーベル(JANG Label)を立ち上げ、待望の「のひなひろし1stアルバム」、そしてJANG JANGでライブを繰り広げてきたアーティストたちが集結した「JANG JANG OMNIBUS」の2枚を制作した。七重さんの頭の中では、すでに次のCD制作の企画もできあがっているそうだ。今度はどんな音楽を発信してくれるのか、楽しみである。
七重さんは、いまやすっかり肌も宮古色(!?)言葉のはしばしには、みゃーくふつが交じり、三線を弾いて宮古民謡まで歌う。東京の人とは思えんさいがよ。そんな七重さんの人柄と、素敵な仲間たちが織りなすJANG の夜は、一度行くと、ばっしらいん(忘れられない)よー。
さて、来月には、「のひなひろし」「よなははるき」「砂川悟」の東京ー沖縄・CD発売記念ライブツアーを開催する。お近くの皆さん、ぜひおでかけください。また、ライヴツアーのため、JANG JANGの営業時間の変更、臨時休業があるとのこと。ご注意ください。
[宮古]
行ってきますLIVE「のひなひろし、砂川悟」
7月6日(日)チョコレートホール
(平良市)0980-72-4665
前売り 1000円
[東京]
・7月9日(水)だちびん
(高円寺)03-3337-1352
チャージ 1500円
・7月10日(木)ランタン
(神泉) 03-3476-0438
前売り 2200円
・7月12日(土)セブンスフロア
(渋谷) 03-3462-4466
前売り 2200円
[沖縄]
・7月14日(月)GECKO
(普天間)098-892-6945
前売り 1800円
・7月15日(火)モッズ
(コザ) 098-933-9373
前売り 2000円
・7月16日(水)G7
(那覇) 098-867-8222
前売り 2200円
(16日は、「YaMaKo」と「下地勇」も参加)
ライヴでは、上記のCDの販売や、今大人気!のひなひろしさんが描いた「MAKUGAN Tシャツ」の販売も行われるそうだ。
※7月6日 チョコレートホールライヴ終了し次第 JANG JANG オープン 臨時休業 7月8日(火)〜17日(木)
《 JANG JANG(ジャングジャング)》
平良市下里575(105)電話:0980-73-8668
メールアドレス : jang@mco.ne.jp (7月にホームページ開設予定)
1998年7月開店 営業時間:20時30分〜2時 定休日:第2、4、5火曜日
店主:山口七重さん
ミャークフツ講座 オトーリ口上編
なー坊
[すらぶうつ(棟上)で]
きゅうや、ばんたが あぐ ぬ 神童ぬ やーぬ すらぶうつ んかい まいばら っしばら あがにゃー いずにゃーぬ おじさん、おばさんたぁがまーつき よーずやしー うらまいてぃ まーんてぃ ぷからすぬむ きゅうや 神童ぬ くぬ かぎやーぬ やーんまり やーば やまかさ よーす゜ゆすうやー あつかー ばんから うとぅーす゜ゆ まーさっとう
(きょうは、私達の友人、神童の家の棟上に、前の家、後ろの家、東の家、西の家のおじさん、おばさんたちが一緒になってお祝いをして、大変うれしいです。きょうは神童の家が生まれる日だから、たくさんお祝いをしましょう。では、私から オトーリを回します)
[入学よーず(祝い)で]
きゅうや ひろ坊ぬ長男 昭ぬ 入学よーす゜ てぃ んーなしぃ またうぷよーす゜や しぅてぃ 昭が あぐぬぱな どぅすぬぱな てぃ 勉強んかいまい スポーツんかいまい さーてぃ がんばずよーん よーす゜ゆ すぅーらー
(きょうは、ひろ坊の長男、昭の入学祝いということなので、また皆で大きなお祝いをして、昭が 同級生の花、友達の花として勉強にもスポーツにも一生懸命頑張るように お祝いをしましょう)
[ささぎ よーす゜(結婚披露宴)にて]
きゅうや コウちゃんとぅ ミキちゃんが ささぎよーす゜やーば んーなしー ふたーずが よーす゜やしー さーてぃ また っふぉうまい なしーよーす゜ゆちゃーんぬ きないやしー うずよーん にがいうてぃ ばんから バフてぃ 地域搬入 うとぅーず ゆ まっさっちぃば
(きょうは、コウちゃんとミキちゃんの結婚式なので みなさんで 二人を祝いをしましょう。早く子どもも産み、お祝いの多い家庭でありますように願って、私から、勢いよくオトーリを回します。<地域搬入とは、テーブル近くの人 5〜6人で回すこと>)
[ゆさらぶず よーず(夜の祝い)にて]
きゅうや ばんたが あぐぬ 神童とぅどぅ とぅびゃーい にゃーんすぅが あんしゅうきゃー あぐぬきゃぬ やまかさ あつまりうーさー ゆさらび よーずゆ でぃかさやー コップぬ うわーびやー 上野線、コップぬすたーらー 下地線、それ以上 いじつかー 池間線。ばが き゜むぁー コップぬ すくんどぅ あーば んーな ぬまだかー ばが き゜もー つうじんどー はい うとぅずぅ まーさっとう
(きょうは、私達の同級生の神童と道でばったり会ったんだ そうこうしているうちに(他の)同級生たちもたくさん集まってきたから 夜のお祝いを盛大にしよう。コップの上まで入れたら上野線。下の方は下地線。それ以上入れたら池間線(いけません)。私の気持ちはコップの底にあるから、全部飲まないと私の気持ちは通じませんよ。では、オトーリを回します)
最近は、無理にオトーリを飲ませるというのは、少なくなった。少ししか飲めない人は、「とう(そこまで)」てぃ あっじよー(と言ってね)。また、「連帯」というのもあって飲めない人の為に他の人が連帯責任をとって飲んでくれる制度(?)もある。オトーリは楽しく飲みましょう。
こうさぬ やどぅゆん(貧しさ故の大喧嘩)
ワタリ マリ
ばんたがやーんな のーまい にゃーったんあーむぬち あっか お父が うぷやどぅゆん 母ちゃんが うぷぐいういちゃーんな んざーんやーんまい まくったんさぁ
(私の家には何もなかった あると言えば父の大暴れ 母の怒声 これだけは、どこの家にも負けなかった)
飯台ゆ 裏返しい うまぁ んーな すきゃあましいのーんかいが ばたふさり がらいむぬまい あすらるん うぷやどぅゆん お父
(飯台をひっくり返し そこらじゅう散らかして 何に対して腹が立つのか声もかけられない 父よ)
うばいがうばい ばたふさりかーつかぁ あんちどぅなすとうがが うまおばぁ かたづきがまたあがい! まさがーにゃーん ぴとぅうどぅ 夫んかい っしにゃーんぴぃとぅまい ぱずかすふどぅあー うぷぐい母ちゃん
(あきれます 腹立たしかったらそういうことをするの?誰が片付けるの?もう!何て人を夫にしてしまっただろう 聞くのも恥ずかしい 母の怒声)
やがまっさちぃ 母ちゃんな やーゆいでぃぴいお父や ふかーぬ いき゜がまうっしい さきぬんあっすが うさいまい にゃあんにば さきまい んまっふぁにゃあんえげえーい! ゆぬなかゆ あきらみちぃ ふとぅんぬまい すかだなしい にゆどぅます
(もう知らない!と母は家を飛び出していき 父は溜め息混じりに酒を飲む だけど 酒の肴もないので酒も美味しくない やけくそだー 世の中あきらめた!布団も敷かずに ふてくされて寝る)
やっとぅ やーぬしずまり しいかたからあっしぃ 母ちゃんなむどぅりきし なだがまぅ ながす ゆうさぬ やどぅゆん
(やっと家が静まり、裏の方から母が戻る 涙がポロリ 貧乏大喧嘩)
あんちいあらばん がんずうさどぅ たからあつぁ ぷからすくぅとぅぬ あーがらまいすさるん いら お父
(そうであっても健康は宝 明日は嬉しいことがあるかもしれない ねえ 父さん)
ばんたがやーんな のーまいにゃーったんあーむぬちい あっかあ お父とぅ 母ちゃんが やどぅゆん劇あしば テレビゆ みいゆきゃまい ういがどぅ うむっしいぷとぅぷとぅ いひがいひ なきゃあ あまいあまい ゆうさぬやどぅゆん
(私の家には何もなかった あるものといえば 父と母の大喧嘩劇 だからテレビを見るよりも それが面白かった ドキドキ アッハハー 泣き笑いの貧乏大喧嘩)
※「やどぅゆん」とは、大声をだして家の中の物を投げたり、暴れたりすること。ここでは、「大暴れ」や「大喧嘩」と訳してあります。
桂林のぶじゃがま 中国旅行記その3
あば本舗さん
モンゴルでのオトーリの感動を胸に、次なる地桂林へ。現金なもので既に気持ちは、あの幽玄なる山水画の世界へ飛んじまっている。それにしても中国の旅客機って、ま〜よく揺れるさいがよ。突如45度に揺れたかと思うと、ガク〜ンと降下する!あてぃうとぅるすかりば のーがらいきゃがら っさるったんどー。(あんまり怖すぎて何がなんだか、わっかんなかった。)
やっとこさで桂林へ到着。
フラツキながらタラップを降りるとそこは・・・!!!おごえ〜!まーんてぃどぅ かんしーぬ とぅかまや ありどぅうたーなぁ。(うへえ〜!ホントに こんな所ってあったんだねー。)見渡す限り、奇峰がそびえたち薄い雲がかかって、まさに幽玄の世界そのもの。バスの中から右を見てはきゃ〜!左を見てはうわぁ〜!と大騒ぎしながらホテルへ。
さてさて、近くの川辺や公園では早朝、地元の人々が集まり太極拳をすると聞きつけた!早速、翌朝6時前にはホテルを抜け出してひとりで近くの公園へ。
お〜いるいる。そこここに老若男女、色々なグループがあるようだ。その中のひとつに近づいてみた。歌謡曲のような音楽に合わせて太極拳もどき?のダンス体操をしている。
興味しんしんで見つめていると見覚えのある顔を見つけた。宮古にいるはずの叔父さん(母の兄)にそっくりの人物がいる。背格好も顔立ちも立ち居振舞いも・・。あば?ぴるます。(あれ?不思議だな)ぬーしゃー ぶじゃがまぬが うまんうりゃあ?(なんで、叔父さんがここにいるの?)キツネにつままれた気分に襲われるワタシ。
視線に気がついたのか「ぶじゃがま」も、私のほうを見た。そしてにこっと笑いかけてくれた。その照れたような笑顔もやっぱり、ぶじゃがまにそっくり。で、翌朝もまたホテルを抜け出して公園へ。今度は「ぶじゃがま」のほうが先に私を見つけ、手招きしてくれた。ずうずうしくも地元の方々と一緒に、太極拳もどきのダンスを踊る私。(この踊り、結婚式の余興にウケルかも?と、ばかすき(変な)事を考えながら・・)
踊りが終わってみんなが私の所に集まってきた。外国人は珍しいらしい。幼稚な英語を駆使して話し掛けたけど、サッパリ通じない。うむむ。。。「ぶじゃがま」もチャウシェン?(朝鮮の事かな?)、タイワン?とか聞いている。どうやら、お前はどこの国から来たのか?ときいてるらしい。手帳を取り出して、日本ー沖縄と書き「オキナワ、オキナワ」と連呼したが、日本は分っても沖縄は知らないらしい。ならば、と地面にアジアの地図を描きここだと指差すと、オ〜リュウチュウ!リュウチュウ!と「ぶじゃがま」が叫んだ。へ?リュウチュウってまさか琉球って意味なの?頭の中が錯綜し何がなんだか分らない。笑顔でリュウチュウ?と尋ねる「ぶじゃがま」や皆に、私は無責任にもイエース、リュウチュウ。と答え握手してホテルに戻ったのだった。
あれっきりの出会いだったけど、広い中国大陸で宮古の親戚そっくりの「ぶじゃがま」に遭遇したことは衝撃だった。以来、宮古のルーツが気になってしかたがない。
※あば本舗さんいつも、うむっし(面白い)話をたんでぃがーたんでぃ。もしかしたら、カマドやカニあざ(兄)もいるかもね!?
編集後記
松谷初美
先日(6/16)、東京の朝日新聞夕刊に沖縄県のレッドデータで危急種に指定されているという「ムラサキサギ」が池間島の湿原で見つかったと写真入りで出ていた。すごいねー。東京の新聞等で「宮古」の文字を見つけると、ただそれだけで、ぷからすー(うれしい)気持ちになる。
宮古民謡「豆が花」は、私も大好きな唄だ。この唄にでてくる歌詞「すぅとぅむてぃ(つとめて=朝)」や「あきしゃる(明けさる)」という言葉は、枕草子や万葉集にもでてくる、古語である。そんな昔の言葉が今も残っていると思うと、感動するし、伝えていきたいと思う。
なんで、うぬすく んきゃーんぬ お父たちは、やどぅゆんをしたのかねーまず。(どうしてそんなに昔の父親たちは、大喧嘩をしたのかな、ホントに)だれーに聞いても、私の年代(40代)の親たちは、やどぅゆんしているよー。
人頭税の頃から「苦しみ、貧しさ」故のやどぅゆんがあって、もしかしたら、それが面々と繋がっているのかと思ったりする。
中学や高校を卒業して、しばらくぶりに同級生の男子に会うと、挨拶が上手になっていて驚くことがある。あんなに、照れ屋だったのによ。なんでかよと思っていたら、飲み会のオトーリの口上を聞いて納得した。そっか、これで鍛えられるんだね。
しまいがみ(最後まで)読んでいただき、たんでぃがーたんでぃ。うう”ぁが、感想ゆ まちうんどー(あなたの感想を待っています)
次回は、7月3日の予定です。あつかー またやー。
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