みなさん、こんにちは〜。きゅうから4月やー。
いろいろな始まりがあると思いますが、くま・かまもおかげさまで4年目の始まりです。どうぞ、よろしくお願いします〜。
ばんたがやーぬつかふ(私達の家の近く)1
かい(伊良部町出身)
私の故郷は伊良部島の佐和田という所だ。島の中でも風光明媚といわれ「日本の渚百選」にも選ばれている佐和田の浜がある。海に向かって左側にはモク マオウの防風林。右側にはちょっとおしゃれな休憩所なども出来ている。大小 300個ほどのシイよばれる岩塊が点在し、大きなシイには一つずつ名前が付 いている。
大津波の時に打ち上げられた岩だという説もあるが、明和の大津波【177 1年】なのかどうかは定かではないらしい。私達が子どもの頃、泳ぎにいくの はこのシイの周りだった。佐和田の浜は遠浅で割と石がごろごろしていたが、 シイの周りだけは波でえぐられた砂地で深くなっている。それにシイは格好の 飛び込み台だったので、その上から何度も日が暮れるまで飛び込んで遊んだも のだ。
佐和田の浜の夕日はとっても美しい。流れるようにゆっくりと、大きな夕日 が水平線に吸い込まれていく。「ああ、今日もいい一日だったな」と心から思 わせてくれる。今では下地島空港の海に延びた誘導灯と水平線が重なって、遮 蔽するものの何もない夕日を見るのは難しい。飛行場と引き替えに無くしてし まったものがここにもある。
佐和田の浜を海沿いに下地島方向にしばらく行くと、マアスヤアだ。昭和の 28年頃まで入り浜式の塩田だったところだ。今ではその面影もなくブウズ(キ ビ)などが植えられているが、ここのブウズはやはり少ししょっぱい。
もっと進んで下地島に渡ると、さしばの里の方に曲がるT字路にでる。ここ は島の人なら誰でも知っているタイワンカブトムシの穴場だ。近くに飛行場の 滑走路から刈ってきた草を積んでおく場所がある。自然に堆肥化するのか、そ の中にタイワンカブトムシ が卵をうみつけるらしい。 孵化したタイワンカブ トムシは夜になると外灯に誘われて、アスファルトの上をゾロゾロ歩いている。 余りにもたくさんいるからか、島の子供たちはタイワンカブトムシには見向き もしないようだ。普通のカブトムシを採るように、朝早くクヌギやコナラの森 に行く難儀をしなくてもいい。夏休みに本土の子どもたちを対象に、「タイワ ンカブトムシのつかみ取りツアー 」なんて企画したら、絶対に流行るはずと 考えたりするのだが。でもカブトムシの生態系をおかしくしてしまう危険性も あるから、やはり止めておくべきかな。
今度は佐和田の浜を下地島と反対側に行こう。海岸沿いに数分行くと、黒浜 御嶽に着く。産子神といわれているから、子どもの欲しい人はお参りするとい いようだ。また航海安全の神ともいわれ、家族の中で旅に出ているものの平安 無事を願ったりする。母がよく「ッフハマニガウ」がどうのこうの言っていた が、きっと島を離れて生活している私達のために願いをしていてくれたんだろ う。
佐和田は何もないかと思ったが結構あるみたい。我が家から歩いて2、3分 の所には、泡盛の名酒豊年のヤドゥ【渡久山酒造所】もあるし、部落名は変わ ってしまうが、あのまるそうパン屋もある。今やまるそうのうずまきパンは、 県下でも有名になっていて伊良部の名を知らしめるのに一役かっている。うず まきパンは、ブウズナゥ(キビ倒し)でのナカユクゥ(休憩)も定番だったな。 伊良部に行く機会があったら、一回は食べてみるべき!
ミャークフツ講座 繰り返す言葉2 食べる編
マツカニ(上野出身)
・すぴにーすぴに = 噛み切れない感じ
・くぱーくぱ = すごく固い
・やーらーやーら = すごく柔らかい
・ぐずぐず = ゴクゴクと飲む感じ
・あぱーあぱ = 味が薄い感じ
・すぅすぅ = すごく酸っぱい
・からーから = すごく辛い
・んぎゃーんぎゃ = すごく苦い
・あうわーあうわ = すごく油っこい
・すぅからーすぅから = すごく しょっぱい
・あずまーあずま = すごく甘い
・ふくーふく = ホクホクした感じ、
→例えば「ふくーふくとした芋だねー」など。
かんがいみーつかー(考えてみたら)繰り返す言葉は、みゃーくふつにはや まかさ(たくさん)あります。うわまい とぅみみーるよー(あなたも探して みてくださいねー)。
兄を想って書いた詩
ワタリマリ(上野村出身)
この詩は、脳性マヒの あざ(兄)を想って書いたものです。
「母ちゃんを待つこと」 そろそろお昼時 母ちゃんは畑から帰ってくる ボクは台所でちゃんと座って母ちゃんを待つ お腹が空いたからじっと座って母ちゃんを待つ どんなにおなかが空いていてもじっと座って母ちゃんを待つ なぜって ボクは自分でうまく口へ運べないから あるときボクはあまりにもお腹が空いたので自分で水屋を開け 中からテンプラを手でつかみとり ちっ ちっ ちっからいっぱい握って口に入れた おいしかった だけどすぐに後悔した ボクはてんぷらをのどに詰まらせ苦しんだ 水 水が飲みたい だがボクには水はつかめないしコップに入れることもできない だから一人で飲むかとができない 苦しかったが何とかてんぷらはおりていった でもこんなに食べ散らかしたらまた母ちゃんにしかられるに 決まっている「待ってなさい」と 今日はたくさんうんこが出た ボクのうんこはくさい 皆といっしょだ どんなにたくさんうんこをしても ボクは母ちゃんを待つしかない どんなに気持ち悪くても待つんだ なぜってボクは自分でうまくうんこをぬぐえない あるときボクはあまりにもくさくて気持ち悪いので自分でオムツをはずし ちっ ちっ ちっからいっぱい手をお尻に持っていった とれた とれた オムツがとれた 気持ちよかった ボクは オムツはづしの名人だ だけどやっぱり後悔した とても臭かった 一人ではお尻はふけなかった 待てばよかった それにかんなにウンチをあちこちに落としては かあちゃんにしかられるにきまっている 「待ってなさい」と あのころボクはいつも母ちゃんを待っていた
お便りコーナー
平良市在住 みゃーくぴとぅさんより
<そう、これが島の資源なんですよ!>
久々に「くまかま」にお邪魔しましたら表紙の写真に来間島と池間島の「道」 が掲載され吸い込まれるように見入っていました。
写真の中を歩いてみました。道を歩いていくと自分の足が地面の微妙なでこ ぼこから遠い記憶を呼び覚ましてくれました。道の両側の雑草越しに・・ヤー (屋号)のトマト畑があって、もう少し歩くとオバーヤーの芋畑、畑と畑の間 にはモクモーギー(モクマオウ)のこんもりした林。その林では、小学生の男 の子数人が近くのマッチャ(お店)のおばさんからもらってきたダンボール箱 で「秘密基地」をこしらえ、なにやらワイワイガヤガヤする声が木霊していま す。その隣には、ネコの額程の小さな畑。そこにはニンジンや葉野菜が植えら れていてオバーが雑草をンープリャで取る作業しています。
シマの各所には、こんな風景がたくさんありました。しかし現在の宮古は 「儲かる農業」という一つの信仰(振興)によってたくさんあったその風景を 無くしました。畑は圃場整備事業でどこもかしこも一直線で大平原を思わせる ような畑にサトウキビと葉たばこが植えられています。それで儲かっている方 もいて宮古農業の発展につながったのはいいことでしょう。しかしそれは逆に 多くの何かを無くした事にもなります。(難しいですが・・)
写真にも紹介されていた池間島は、数年前「県立公園」の計画が持ち上がり ました。私はこれを形を変えた「圃場整備事業」と思いました。シマの住民は 行政のこの計画に一致団結して反旗をひるがえし結局「県立公園計画」は頓挫 しました。
シマの人達は先祖から代々引き継いできたこの風景を守ったのでした。
宮古は昨年36万人の観光客が来たと喜んでいます。住んでいる人がホッと する空間は外からやってきた方にもしっかりの受け入れられるものと確信して います。こんな風景が本当のシマの資源だと思います。宮古に住む多くの人に このようなメッセージを伝えられるのも宮古を離れているからでしょう。
今後も何気ない「視覚メッセージ」を故郷の人へ届けてください。
※みゃーくぴとぅさん、うれしいお便りをたんでぃがーたんでぃ。 みゃーくぴとぅさんの書かれた風景が私にも見えます。宮古に帰るたびに 風景が変わっていくことは さぶすむぬ。こんな道、残ってほしいですね。
東京在住 秋田小町さんより
<質問です>
くまからの皆様 毎回楽しく読んでいます。 宮古弁はほんとに味があっていい言葉です。解説が無いと実はちんぷんかんぷ んですが。
いつも聞きたかったのですが、ほんとにほんとに宮古の方はこんな風にお話 になるのですか?家庭内ではお話かもしれませんが一歩外へ出たらお若い方は ほぼ標準語なのではないですか?私は秋田生まれですが、家庭外ではほぼ標準 語なので、宮古もそうなのではないかと思っています。そしたら宮古へ旅して も宮古弁は聞こえて来ないのかしら? 実情が知りたい。
※宮古でも残念ながら流暢にみゃーくふつをしゃべれる人は少なくなっています。特に若い人(20代以下)は、しゃべることはもちろん、聞くこともできない人が多いと思います。宮古にいらしたらぜひ年配の方たちのいる所に接近してみてください。聞えてくると思いますよー。試してみてくださいねー。お便りたんでぃがーたんでぃ でした。
編集後記
松谷初美(下地町出身)
デイゴの あかーあかぬぱな(真っ赤な花)が咲き出して、宮古は初夏の幕 開けやー。3/25〜3/30まで宮古に帰ってきました。百合がつぼみをつけていた り、さどやませいこさんが前号で書いていたタイワンミャーツキ(紫カタバミ) が見られたりと気持ちのよい季節でした。曇りや雨が多かったけど・・・。
お正月やお盆に帰るときはあまり訊かれないけど、今回帰ったときは、会う 人、会う人に第一声「なんで帰ってきたか?」と訊かれました。(笑)これは、 「今回はどういった理由で帰ってきたの?」というニュアンスですが、単刀直 入で宮古らしい。そして、その後はお決まりの「して、いつまでいるべき(つ もり)か?」でした。宮古の挨拶は まーんてぃ うむっし。
して、なんで帰ったかぁというと、受験の終った息子の春休みに合わせて、 でした。あれ、やっぱり「なんでかー?」と思っておった?
それから今回帰った時に、目に付いた看板で笑ってしまったのがあったさー。 それは、「50万円 パラーディナー? 飲酒運転」(50万円払うつもりなの? 飲酒運転)というもの。「パラーディ?(払う?)」だけでも意味は通じるが、 「ナー」がつくことがミソさいが。あるのとないのでは大違い、俄然、威力を 発揮するように思います。「飲酒運転のつみゃーん(せいで)50万円も払うつ もりなの?そんな馬鹿なことはしないでしょう?」と意味が深くなる。この看 板を読んだあと、思わず「んばゆ(嫌よ)、たんでぃ」とつぶやいた私でした。 ガフと はまった(ぴったりとはまった)みゃーくふつ看板、効果大ですねー。 この他にも、みゃーくふつで書かれた看板をいくつか みーたーすぅが(見ま したが)そのたびに心和んでおりました。
さて、今号の「くま・かま」は のーしがやたーがら(いかがでしたかー?) 新しく「ばんたがやーぬつかふ」も始まりました。これから毎回、それぞれの ライターの「ばんたがやーぬつかふ」を掲載していきます。ご期待ください。 ご意見、ご感想をお待ちしています。
「おしらせ」
まつかにうーたー(待ちかねていた)下地勇さんのセカンドアルバムが、い よいよきょう発売となりました。(4/1沖縄・宮古、全国発売は5/22)。タイ トルは「Nee」。(にー(根っこ)の意)自分の「根っこ」である宮古を大切 にする彼らしいタイトルですね。今回のアルバムは、子どもが生まれてくる喜 び歌や、生まれ育った場所を離れる旅立ちの歌、大切な人を亡くすつらさを歌 った悲しみの歌など、全13曲。「天」の発売から一年余り。ますます ぴす がりうー(広がっている)彼の世界。いぎゃん(驚き)です。みゃーくふつの 魅力をこんなにもいろいろな味に調理して届けてくれる彼は、言葉の調理師だ なーと思います。みゃーくふつの音の魅力もたっぷり味わえます。ぜひお手に してください。
そして、セカンドアルバム発売にともない「ぴっちゃがまツアー」と銘打っ たライブも行われます。那覇:4/17、宮古:4/18、東京:5/22、大阪:5/23。 詳しいことは、下地勇オフィシャルサイトをご覧くださいねー。さぁー 私も行くぞー。
下地勇オフィシャルサイトはこちら。 https://isamu.arize.jp/
次号は、4月15日(木)発行予定です。お楽しみに〜。あつかーまたやー。