事故後に起きる問題は、毎回ほとんど同じです。「最初に誰へ電話すればよかったか分からなかった」「現場で写真を撮り忘れた」「警察を呼ばなかったせいで、保険請求が通らなかった」。どれも、順番さえ知っていれば避けられたものです。
逆に言えば、電話する順番さえ頭に入っていれば、最初の10分を落ち着いて乗り切れます。
ケガ人がいれば、何をおいても救急(119)。次に警察。警察への届出がないと、保険請求に必要な交通事故証明書が出ません。レンタカー会社への連絡は、そのあとで間に合います。パニックのなかでも、この順番だけは崩さないでください。NOC(ノンオペレーションチャージ)の費用、保険請求の書類、代車の条件は、順序さえ守れば落ち着いて確認できます。
自己負担が生じやすいのは、NOC、タイヤ、窓ガラス、キーの閉じ込みだ。どれも「早めに申告しなかった」ことで話がこじれやすい。焦らず、順序通りに動け。
事故直後の流れ、安全確保・救護→警察→レンタカー会社
①ケガ人がいたら、まず救急車(119)
当たり前に聞こえますが、パニックになると判断が遅れます。相手のケガ、同乗者のケガ、自分のケガ。どれか一つでもあれば、ほかは全部後回しで119が最優先です。保険の話も連絡先の確認も、それからで間に合います。
②次に警察
「物損だから警察はいらない」と判断してしまうケースがあります。けれど軽微な当て逃げでも、警察が入らないと後で保険会社が動けないことがあります。交通事故証明書は警察への届出をもとに自動車安全運転センターが発行する書類で、保険請求の土台になるものです。多少手間でも、現場から警察へ連絡を入れます(道交法第72条第1項)。
サトウキビ畑沿いの細い農道で当て逃げされた、すれ違いがやっとの集落道で接触した。そんな場面でも、対応の基本は変わりません。事故の場所と時刻を先に記録してから連絡すると、その後のやりとりが早く進みます。
③レンタカー会社に電話
警察を呼んだら、次はレンタカー会社です。契約書に緊急連絡先が書いてあります。借りたその場で、その番号をスマホに登録しておきます。登録していない人は多く、グローブボックスの奥に契約書をしまったまま、いざというとき探せないことがあります。受け取り時の数十秒で済む作業です。
④保険会社(クレジットカード付帯保険を使う場合は発行会社も)
加入している保険、またはクレジットカードの付帯保険を使う予定があるなら、ここにも連絡します。ただし、慌てて電話する必要はありません。現場での安全確保と警察への連絡を終えてから、レンタカー会社のスタッフと状況をすり合わせつつかければ十分です。
警察への届出がないと交通事故証明書が出ない。証明書がないと、保険が使えないことがある。橋の上でも農道でも、まず警察。そこさえ守れば、あとは落ち着いて動ける。
現場で撮っておく写真と書き留める情報
事故現場には、必ず記録を残します。スマホのカメラで、まずは次を撮影します。
- 相手の車のナンバープレート(全体と近接の2枚)
- 相手の運転免許証(撮影許可を取ってから)
- 相手の車の損傷箇所
- 自分が借りたレンタカーの損傷箇所
- 事故現場の全体図(道路状況・信号の位置・標識)
- 事故後の車の停車位置
あわせて、次を書き留めます。
- 相手の氏名・住所・電話番号
- 相手の保険会社名と証券番号
- 事故の日時・場所(できれば住所まで)
- 目撃者がいれば、その人の連絡先
「後で思い出せばいい」は、事故対応では通用しません。記憶を頼りにすると、後の手続きでつまずきます。その場で記録した事実だけが、保険会社や警察に出せる証拠になるからです。
当て逃げをされたときは、相手のナンバーだけでも記録します。走り去る前の一瞬で構いません。写真が間に合わなければ、その場ですぐメモを取ります。
レッカー手配は、まずレンタカー会社に頼む
自走できない状態になったときは、レッカーが必要です。手配の段取りや費用の内訳はそちらに詳しく書いていますが、事故・故障の現場で押さえておくのは次の二つです。
大手チェーンは自社のレッカーサービスか、ロードサービスとの提携を持っています。状況を伝えれば、会社側で手配が進むため、自分で業者を探す必要はありません。地元系の小規模店は自社ロードサービスを持たない場合があり、そのときはJAFか保険会社のロードサービスを使います。宮古島でもJAFへ救援を依頼できますが、対応可否や到着時間は場所・時間・提携事業者の状況で変わります。どちらに連絡すべきかの判断は、故障したら、まずレンタカー会社。JAFは”人にかかるサービス”だで詳しく扱っています。
地元系の店でJAFを使うとき、会員番号を手元に持っていない人が意外と多い。アプリか会員証の写真をスマホに入れておくと、現場で慌てずに済む。
レッカー費用は、レンタカー会社経由で動いた分なら会社が持つことが多いです。ただし契約の補償内容によっては自己負担が出ます。ワイド補償やロードサービス込みのプランに入っているかどうかは、借りた時点で目を通しておきます。
代車はいつ、どんな条件で出るか
事故で借りていた車が修理に入ったとき、代車を出してもらえるかどうかはレンタカー会社の方針しだいです。
大手チェーンは代車を手配してくれることが多いものの、空き車両があるかはその時点の状況によります。繁忙期(GW・夏)は車両が足りないこともあります。地元系の小規模店では、代車の用意が難しい場合があります。旅程が残っているなら、近隣の別のレンタカー会社に空き車両を問い合わせることになります。
代車が出ても、元の契約との差額精算が生じる可能性があります。保険や補償が新しい車の契約へそのまま引き継がれるかどうかも、確認しておきたいところです。
事故のあとの精算が早く終わるのは、現場から第一報が早く入ったケースです。レンタカー会社と保険会社の両方に状況が早く届いていれば、見積もりと精算の順番がズレません。返車してから「実は……」と申告すると、必要な書類や手続きの確認からやり直すことになります。旅の最終日に精算が終わらない、というのがいちばん避けたい展開です。
NOCは事故や故障の状況・契約条件で発生する
車が損傷すると、修理費の自己負担(免責金額)とは別に、NOC(ノンオペレーションチャージ)がかかります。修理で車を貸し出せない間の、レンタカー会社側の損失を補う費用です。事故や故障の状況、契約条件により発生することがあります。
金額は会社とプランで変わります。大手4社(トヨタレンタカー・ニッポンレンタカー・オリックスレンタカー・スカイレンタカー)は、自走できるかどうかの2段階が目安です。料金の考え方や各社の最新額は宮古島のレンタカーの保険、ぜんぶ正直に話すにまとめてあります。
| 損傷の状況 | NOCの目安(トヨタ・ニッポン・オリックス・スカイレンタカー 4社共通) |
|---|---|
| 自走可能な損傷(擦り傷・バンパー凹みなど) | 20,000円 |
| 自走不可能(レッカーが必要な状態) | 50,000円 |
タイムズはクラス別の段階制で、小型クラス20,000円/50,000円、中間クラス30,000円/70,000円、大型クラス50,000円/100,000円という刻みになっています。
CDW(免責補償)に入っていれば修理費の自己負担は下がりますが、NOCは別枠で発生します。ワイド補償(安心パック)まで付けてあれば、NOCも免除になるプランがほとんどです。契約書の補償欄に一度目を通しておくと、もしものときの自己負担がだいたい読めます。
整備チェックで損傷が見つかると、後から申告した扱いになります。申告が早いほど、そのあとの対応の選択肢は広くなります。
保険請求はどう進める?流れと必要書類
保険で修理費・損害をカバーするときは、4つのステップで進みます。
1. 警察の交通事故証明書を取得する
保険請求には、交通事故証明書が必要になることが多いです。警察への届出をもとに自動車安全運転センターが発行する書類で、事故の翌日以降に同センターの窓口・ゆうちょ銀行・郵便局・インターネットから申請できます(人身事故は5年・物損事故は3年を過ぎると原則交付されず、交付手数料は1通1,000円)。現場で警察を呼ばなかった場合は発行されません。だからこそ、現場で必ず呼んでおきます。
2. レンタカー会社から請求書・修理費明細を受け取る
返車後、修理に入った車について修理費明細が発行されます。CDWの対象となる金額と、NOCの金額が別々に記載されているはずです。
3. 保険会社・クレジットカード会社に書類を提出
自分の自動車保険の他車運転特約(他人名義の車を運転していて起こした事故もカバーする特約)、またはクレジットカードの付帯保険を使うなら、事故証明書・修理費明細・その他必要書類を提出します。事故証明書は前述の通り自動車安全運転センターから、修理費明細はレンタカー会社経由で受け取れます。提出書類の種類と期限は、契約する保険会社の事故受付窓口(連絡先と営業時間は保険証券に記載)で確認しておくと安心です。
4. 相手方がいる事故の場合
対人・対物の事故は、レンタカーに標準で付いている保険が対応します。ただし過失割合の認定には時間がかかることがあり、保険会社同士の交渉が要る場合もあります。慌てて示談に応じず、保険会社に任せます。
バッテリー上がり・タイヤパンクなど単独故障の対処
事故ではなく単独の故障でも、最初の連絡先は同じです。まずレンタカー会社に連絡します。
バッテリー上がり
ライトの消し忘れ、エアコンの長時間使用による電力不足が主な原因です。JAFかロードサービスが来て、ジャンプスタートで対応するのが一般的です。宮古島は気温が高く、エアコンへの負荷が大きいぶん、バッテリー上がりは観光中にも意外とよく起きます。連絡すれば来てもらえますが、待ち時間が出ることもあります。
費用面では、バッテリー上がりはCDWの補償対象外になるケースが多いです。自己負担になり得ることは頭に入れておきます。対象になるかどうかは、契約書で確かめておきます。
タイヤパンク
宮古島はサンゴ礁由来の石が路肩に落ちていることがあります。砂利道の端を走ると、パンクのリスクが上がります。スペアタイヤが積んであるかどうかは、借りたときに目視で確かめておきます。積んでいない車もあるからです。
パンクもCDWの対象外になることが多く、タイヤ交換費用は自己負担になる場合があります。ロードサービスを呼べば交換作業自体は対応してもらえますが、費用は事前に確認しておくのが無難です。
サンゴ由来の石が路肩に出てるエリアがある。端に寄らず、なるべく道の真ん中寄りを走れ。スペアタイヤの場所は、借りたその場で確認しておけ。
伊良部島・来間島・池間島で事故ったときの注意点
橋で渡る離島(伊良部島・来間島・池間島)で事故や故障に遭うと、本島と比べてロードサービスの到着に時間がかかることがあります。
伊良部島・下地島エリア
伊良部大橋を渡った先のエリアです。橋の上で停車することになったら、レンタカー会社と警察にすぐ連絡します。橋上は追い越しが多く、二次被害のリスクが高い場所です。ロードサービスは本島から来るため、到着まで30分〜1時間ほどかかることもあります。待機中は道路の端へ寄せ、ハザードランプを点けたまま、車内か退避場所で待ちます。
来間島・池間島エリア
来間大橋、池間大橋を渡った先のエリアです。動けなくなったら、現在地を確認してレンタカー会社へ伝えます。ロードサービスの到着時間はレンタカー会社によって差が出ます。借りた時点で「離島でトラブルが起きたときの対応」を確認しておきます。
離島での対応可否は、JAFまたはレンタカー会社へ確認してください。
事故・故障・保険対応のよくある質問
Q. 警察を呼ばなかったのに、後で相手が怪我をしたと言ってきた場合は?
すぐにレンタカー会社と保険会社に連絡します。後から気づいた段階でも、早く動くほど選択肢が残ります。示談を急ぐ必要はありません。保険会社に状況をすべて話し、対応を任せます。
Q. 相手が外国人観光客で、話が通じない場合は?
警察に連絡すれば、通訳の手配などを含めて対応してもらえる場合があります。現場では写真・ナンバー・連絡先の記録を確保するのが先決です。レンタカー会社のスタッフに状況を伝えると、その後の対応を案内してもらえます。
Q. 夜間の事故で、ロードサービスに連絡がつかない場合は?
大手レンタカー会社は24時間対応の緊急連絡先を設けています。地元系の小規模店は夜間つながらないこともあるため、その場合はJAFのロードサービスに連絡して状況を伝えます。
Q. コンビニや駐車場での単独の擦り傷は、どう対応すればいいですか?
警察への届出が必要かどうか判断に迷うケースですが、レンタカーの損傷は原則すべてレンタカー会社に申告します。黙って返すと、返車後に整備士が見つけます。その場合の対応はかえって厳しくなります。早めに正直に申告しておくほうが、島では結局すんなり進みます。
Q. 同乗者が運転して事故を起こした場合、補償は適用されますか?
契約書に「追加ドライバー」として登録していれば対象になります。未登録の人が運転して事故を起こすと、補償が適用されないおそれがあります。同行者も運転する予定があるなら、借りた時点で全員を登録しておきます。
出発前に済ませておく準備
旅行に出る前にこれだけやっておくと、当日落ち着いて動けます。
- 契約書の緊急連絡先をスマホに登録する
- ワイド補償(NOCまでカバーするか確認済み)かどうかを確認する
- 自分の自動車保険・クレカ付帯保険の補償内容を確認する(特にNOCが対象か)
- JAFの連絡先を手元に置く(会員なら会員番号も)
- 運転する全員が追加ドライバーとして登録されているかを確認する
順序を覚えてしまえば、万一のときも落ち着いて動けます。