こんにちは〜。
秋の気配が、ぴっちゃがま漂ってきた東京です。そちらは、いかがですかー?
vol.202、いろいろな話、満載でお送りします。どうぞ、お楽しみください。
お父と戦争
ワタリマリ(上野宮国出身)
お父と戦争 だんまりのお父 戦争のセンの字でも言おうもんなら 目ん玉をぎょろめかせ のうちい! うわたあんな 戦争やすっさるん (なんだって!お前たちには戦争はどんなもの かわからないだろう) と 怖い目つきと硬い表情を さらに強くする 語らないお父 秘めた思いはいつ言葉にして わたしに伝えてくれるのか 戦争に行って 帰ってきたお父のこと 知りたい 戦争に行って どんな戦いをしたのかお父 聞かせて 頭を刈った後に見える 戦争の傷跡 長さ15センチの傷跡をお父が触る 耳のすぐ上 深いため息 ポツリと言葉 「うばいが うばい」 (信じられない) 弾が頭をかすっていったのが うばいが うばい 気を失いかけ もう駄目だと思ってのに 幸い?死なずにすんだのが うばいが うばい あばっ? 空が青い こんなに青かったのか うばいが うばい ため息 海の彼方を見つめる目 南方での日々 消せるに消せない記憶 語るに語れない辛さ 威張るしかないお父 班長だった たった数十人の班でも班長は偉い キサマ〜!!と 怒鳴った 蹴った 銃を突きつけた そして本気で願った 死ぬな 死ぬんじゃない 首を振る 言葉が止まる うっすら涙 また だんまり 少しの語りにも お父の気持ちは揺れる 強気と裏腹の無念 口癖だった うわたあんな戦争やすさっるん 秘めた自分の思いは 決して出さない いいとも 悪いともいわない 戦争 ただ こう言った 戦争ちぬ むぬう ばかんすうな (戦争を軽く見てはいけない) うばいが うばい にんぎんぬばあ にんぎんちい あつかあだから ならん (人間は 人間として 扱わなければいけない) お父の様子をうかがいながら おそるおそる伝える わたしのおもい ばやあ戦争ゆばあ しっしゃあならんちどぅ うむいっゆう (私は戦争はしてはいけないと思っている) お父は顔をこわばらせ 険しくぎょろりと睨みつけ なんだと?きさま!!逆らえるか? と怒る立派な標準語で 誇り高き兵士だったお父 戦争で日本語を学んだ 難しい読み書きも教えてもらった 多くの戦友との出会いもあった 殺しあうという戦いさえなければ そこはお父のとっては 青春のヒトコマだった だんまりお父を 否定はしない 語気を強めるお父を そのまま受け入れた だって私は戦争がどんなものか知らないから だって私はお父がいたから 今の平和を知ったから お父が死んで 母ちゃんが今度は語ってくれるから
奇跡のパキラ
あば本舗(下地上地出身)
植物は人間の気持ちや言葉が分る・・・。
時々そういう言葉を耳にすることがある。今まで私は、それはただの偶然か育てている人間の思い込みにすぎないのではないか?と思っていた。
ところが あんすぅが まーんていぬ くとぅがらまい っさるんぱず(だけど、本当の事かもしれない)と、考えを変えるような出来事があった。
三ヶ月前のある土曜日。自宅近くにある大手スーパーへ買い物に行った帰り、本屋で『奇跡のりんご』という本を見つけた。内容は素晴しく感動的だった。実は果実を無農薬で作るのはかなり難しいらしい。それを10年の歳月をかけて可能にしたのが青森県の木村秋則さんである。
彼は、奥様が農薬に弱かったことなどから無農薬でリンゴを作ることに挑戦。最初は変人扱いをされ生活費にも困ったが、成功の秘訣は農薬や肥料の変わりに、りんごの木に愛情を注ぐこと。
農薬の替わりに数百倍に薄めた食酢を噴霧器散布し、りんごの木1本1本に愛情をこめ木肌をなでながら「枯れないでくれ」と話しかけた。木村さんはこうも書いてあった。「私は700本のりんごの木1本1本に必ず声をかけます。『ことしも頑張っていこう』『病害虫に負けないようにしよう』病気の木には『何をしたらいい?』収穫時には『ありがとう』12月には『ごくろうさん。1年間よう頑張ってくれた』」
あとで調べたところ、NHKのテレビ「プロフェッショナル仕事の流儀」に2006年12月7日の放送で「リンゴの木と語り合う男」として取上げてられていた事を知って、ますます感激した。
だが、私にとっての奇跡はこれからだったのである。
やーんかいてぃ むどぅりき゜すっかー のーてぃにゃーん やいーぬきーがまぬ みーらいたー(家へと戻ってきたら、何故か痩せた木が目にはいった)
それは、数年前に友人からもらったパキラ。多くても5〜6枚くらいしか葉をつけたことがなく観葉植物としての役目をはたしていない?木だったのである。そんなパキラを見つめながら私はふと思った。
うぬきーまい りんごぬ きーんしー ばが むぬす゜ゆ き゜きふでぃびゃーいら?(この木もりんごの木のように、私のいう事をきいてくれるかしら?)まずがーてぃ あす゜い゜みゅーでぃびゃ〜いら(ちょっと、声をかけてみようかな〜)
その日から、私は『奇跡のりんご』の木村秋則さんを真似てパキラに話しかけることにした。「いつも部屋を守ってくれて有難う。」「緑の葉っぱを見ると心が安らぐよ。」「スタイルが良くて、あぱらぎむぬど〜(綺麗だよ)」てな具合である。最初は恥ずかしいし照れくさかった。
けれど、毎日言葉をかけているうちに、不思議なものでこれまで何の関心も寄せず、長年放っておいた事を気の毒に思うようになった。今までちゃんと見てあげなくてごめんなさいねーなんて思いつつ、まるで家族にでも話しかけるように自然に声をかけるようになったのである。
そして、一ヶ月ほどたったある日。何気なくパキラを見てハッ!とした。何と、そこにはたくさんの葉をつけた木が静かに立っていた。
今まで、こんなに青々と繁ったことなど一度もなかったのに、まるで奇跡のよう・・・。物言わぬ植物だって人間と同じように言葉や愛情が通じる事を実感した出来事であった。
下地勇さん、7thアルバム『民衆の躍動』発売!
松谷初美(下地町高千穂出身)
下地勇さんの7枚目のアルバム『民衆の躍動』が9月2日(水)に全国発売されます!
『民衆の躍動』(価格:2500円)
1.民衆の躍動
2.ピサラ・デ・サンバ
3.運命の釘
4.偉大なるアメリカ石鹸
5.未開の地へ
6.反骨の島 〜アララガマ〜
7.ラスト ワルツ
8.朝の散歩路
9.ミ・ウ・トゥ
10. 帰る場所
12. アキシャル〜夜明け〜
13. We Decide 〜決断のとき〜
発売を前に、勇さんに話を伺いました。
今回のアルバムは、どんな感じなのでしょうか?
このアルバムは、躍動感あふれる内容にしたい!最初からそう決めていました。『楽しく明るく前向きに!』というのがコンセプトになっています。そうは言ってもちょっと切ないのもありますが、でもそれもきっと伝わる内容だと信じています。そして、もうひとつ言うなら、生きる人間の土臭さみたいなものを全面に出したいと思って取り組みました。結構宮古にこだわってますから、自ずと土臭くなっているはずです(笑)
わくわくしますね。宮古にこだわって『民衆の躍動』と聞くと、クイチャーが頭に浮かぶのですが。
『民衆の躍動』という一曲目の歌は、自分らしいテーマソングを作りたいななぁと、前から思っていました。それが叶った楽曲になったと思います。まさにクイチャーをイメージしています。アフリカの種族とクイチャーのミックスみたいな楽曲です。土臭いです。モリを持っている感じです(笑)
ホントに、土ぼこりまでしてきそうでいいですね。 その他にも「ピサラ・デ・サンバ」や「反骨の島〜アララガマ〜」「アキシャル〜夜明け〜」など、みやこふつがタイトルになっているのもあって、宮古のかざがいっぱいですね。レコーディングの際の何かエピソードなどありましたら。
今回のアルバムは、レコーディングに入ってもまったく詞を書きませんでした。へへっ。全曲自分のイメージから湧いてくるメロディーだけを信じて、オケを完成させたんです。こんな試みは初めてです。バンドのメンバーには、「フランス調」とか「アイルランド調」とか「イスラエル調」とか、譜面にそうやって書き込んで、一応歌詞の内容は漠然としたイメージだけ(こんな詞にしようと思っているぐらいの)を伝えてレコーディングに取り掛かりました。全部ラララ〜で仮歌を歌っておいて、オケが完成してから詞を書き始めました。あとでもっと詞を書き足したい!なーんて思ってももう取り返しがつかないというリスクを背負ってやったんですけど、結果オウライだと思います。イメージ通りのアルバムができたと思っています。
今回は、曲が優先だったんですね。そして、やはり、いろいろな音楽が まんちゃー(ミックス)されている。魂が乗っている感じを受けます。最後に、アルバムに込めた思いを聞かせてください。
今、時代が混沌とし過ぎて、閉塞感も漂って、いろんな人たちが行き場を失っているようにも見えます。このアルバムを聴いた人が、少しでも元気になってくれたら本当に嬉しいです。これまで応援して下さったすべての皆さんへの恩返しアルバムです!!
あと、宮古島を離れて住んでいる宮古出身者の方にも是非聴いて頂きたいですね。10曲目に収められている「帰る場所」という歌は、島を離れて頑張って生きている方たちへの僕からの応援歌みたいな曲です。切ないバラードですが、きっと伝わってくれると信じています。
「帰る場所」。CDを聴く前から、なだ(涙)が出そうです。発売を楽しみにしています。ぱんたーぱんたの(お忙しい)中、ありがとうございました。
皆さん、お近くのレコード店でぜひ、手に入れてくださいね。レコ発ライブも予定されているとのこと。オフィシャルサイト要チェックですよ〜。
命の主どー 〜母から聞いた昔話2〜
アモイ(平良宮原出身)
ある むらんどぅ、とすぬ ぱなりぬ、ねーねー(「あんが」てぃあびす)と、うととぅ(「うとぅがま」てぃあびす)ぬ うーたーざ。
(ある村に年の離れた姉(「あんが」と呼ぶ)と弟(「うとぅがま」と呼ぶ)が住んでいたそうです。)
おとーとぅ かーちゃんな、ぺーべーてぃ すんたーてぃしばどぅ、いみーったぬ うとぅがまー あんがん すぅだてぃらい、やがてぃ しーにん ならでぃーてぃぬ ずぶんなしーうーたーっざ。
(父と母は早く亡くなったそうで、幼い弟は姉に育てられ、そろそろ青年になろういう時分になっていた。)
ある ゆなかん、にうふぃ うーたー うとぅがまー やどぅぬ がらがらてぃー あきす うとぅしー みすぅりにゃーん、ゆかーろー みーるばどぅ となす゜んなー にうふぃぬ あんがが うらんにゅば、べんじょんかいさいがやーてぃ うむい また にうすぅーてぃ うりばどぅ、もどぅり きしってぃ ゆかーらん にうたー あんがが、ざまーにゃーん おーふさーふさ うーてぃんだら。
(ある夜の事、寝ていた弟は入り口の戸があく音で目が覚めた。横をみると、いつもとなりに寝ている姉がいないので、トイレでもいったのだろうとおもいながら、二度寝をしようとしていると、戻って来て寝た姉が、すごい血なまぐさい臭いがするのだった。)
ぴるますむぬ のーてぃ のーぬばーがらやー てぃうむい にうごーごー うーたーだら。うぬくとぅぬ ありってぃから、ゆなかん にうふす゜がまーし みーゆー つかー、あんがー ぷだ みす゜ーかん いっかい ばかーす゜まいとぅ んーだかに あらーんかい いでいきってぃ、おーふさー ふさーしぃ むどぅりきしゅーてぃんだら。
(不思議だな?どういうことなんだろう?と思いながら、なかなか寝付けずに朝をむかえたのだった。その晩以来、夜中に姉が出かけるのが気になり、寝たふりしては様子を伺うと、ほぼ3日に一度くらいは、以前と同じ深夜に出かけて、同じように血生臭い臭いをさせて戻ってくるのだった。)
うとぅがまー、あんがー んざんかいが いきってぃ きしゅーがらーてぃー うむい、ある ゆさらびん、っさいんよーんしー ちびょーいいきみーたっざ。
(弟は、姉がどこへ行ってくるのか気になり、ある晩、気づかれないように後をつけていった。)
あんつかー うっすぅ つかないゆー とぅかなんかいしー ぴりば、あがーたがまん かふぃがまーしー みーゆーりばどぅ、うすぬ ぬぶいや なぎうたしってぃ あかっざ だだーてぃぬ うすぬにくう がうがう ふっちゃ ふっちゃてぃー ふぁいゆーてぃんだら、
(牛を飼っている野原の方にいくので、遠めで隠れながらみていると、1頭の牛の首をなぎ落として、その首を血のついたまま むしゃむしゃ くちゃくちゃと食べているのだった。)
「あがんにゃ ばが あんがー まずぅむぬ のーかん、うとぅるすむぬ」てぃー あわてぃ やーんかいきし あらんふーすふす にうふす゜がまーしーうーつかー あんがー むどりきし のーまい あらったんぎなり、にうたーてぃんだら。
(「うわーっ うちの姉は 化け物らしい、恐ろしい」あわてて家に戻り寝たふりをしていると、姉はいつものように戻ってきて何食わぬていで寝たのだった。)
ういから あんがとぅ まーつきぃ うーむぬぬ うとぅるすふぅ なり、のーとぅかもーん、やーゆ いでぃだかーならん てぃーうむい、あらんふす゜ーふす゜しー あるくとぅ あんがんかい たぬみみーたー。
(それから、そんな姉といるのがだんだん怖くなり、とにかく家をでなきゃーと思い、悟られないように、姉にある頼み事をした。)
「あんがー ばぬー かんちー うぷふなすきゃー すぅだてぃふぃーたんでぃがーたんでぃ、ばんまい やがてぃ しーにんやーば、いちにんまいぬ びきどぅんなすたみん、ななたびす゜んかい いかでぃやーば、たびすんかいぬ、ます゜ぐーがもー ぴすき むたしふぃーじゃーんな」てぃ たぬみばばどぅ、あんちぬ ばーやーつかー ぷからすっさてぃさーい」てぃ ます゜ぐーや ぴすき よーいやしー、むたしふぃーるば、ぷからっさてい うりゃーむち、たびす゜んかい いでぃたーざ。
(「姉さん 僕をこんなに大きくなるまで育ててくれてほんとうにありがとう、俺ももうそろそろ青年になるので、一人前の男に成るために7旅(長い旅の事)に出たいのだが、旅用に米を引いて持たせてはくれまいか」すると、姉は「そうだったのか、それなら喜んで」と言って、早速米を引いてもたせてくれたので、うれしい思いで旅に出たそうな。)
やーゆ いでぃってぃ いふか いふつきす゜てぃ ゆなかまい にうわんたきゃーし あいきまーす゜たーっざ。ある ゆさらびがたぬ くとぅやーたー、みどぅんぬ にーっちぬ くいぬ っしゅーりば、き゜すかいゆーとぅかなんかいしー いきばどぅ、みす゜ーみす゜ぬ ぱかぬ ありうーてぃ うぬ ぱかぬ なかから くいぬ っしーうーてぃんだら。
(家をでて、何日も何ヶ月も眠るのも忘れて夜通しで歩いたのだった。そんな有る夕方のことだった。女の人のうめき声がきこえるではないか、声のする方に近づいていくと真新しいお墓が見えてきた。声は墓の中から聞こえるのだった。)
うとぅるすかりゃーまい、ぱかぬ ふつがみ いき、「のーがすたりゃー」てぃ あっしばどぅ、「ばーやー んなだ いきすでぃどぅうーばくまから いだしふぃーさまち」てぃー うーば、ぱかぬ ふっつぅ やぶりみーりばどぅ ばかーばかぬ みどぅんぬ にーっちぃうりば、あらーんかい ぴすきすいだしってぃ のーてぃぬ ばーがてぃー きすきばどぅ いき゜さ はーはーてぃ「っさーん きゃーどぅ くまんかい いしらいゆー ぷだ なぬかゆー なす゜でぃすぱず」てぃー うーば、ぱかん すぅないぬ ちゃばんかい ます゜ぐう がもー たりがまーしーぬましばどぅ いずぬ いでぃきすたーてぃんだら。
(怖いながらも入り口まで行き「どうしたのですか?」と聞くと、「私は生きています。ここから出してください」というので、墓の蓋をこじ開けると若い女の人が横たわっていた。外へ連れ出して事情をきくと、息絶え絶えに「気がついたら ここに入れられていて、もう1週間ほど経つと思います」というので、供えてあった茶碗に米を溶いて飲ませてあげると、元気をとりもどしてきたそうな。)
あしってぃ「どぅーたが やーんかい さーりいきふぃーる」てぃ うーば、ならーさいがーにゃーん さーりいきばどぅ やーや だいばん うやき やーやーたっざ。うまぬ うやんまー っふぁぬ いきすでゅーたー くとぅん うどぅるき、あてぃ ぷからぅさーしー せいだいん よーす゜ゆ っすたーっざ。
(そして「自分の家に連れていってくださいませんか」というので、導かれるままに連れていくと、家は大きな金持ちの家だった。両親は娘が生きて戻ってきたことに驚きながらも、あまりの嬉しさに盛大にお祝いをしたそうです。)
うやんまー「ばんたが っふぉーばー うわがどぅ たすき たーば、うわー『んぬつぬ しゅう』やーば、うわが ぞーかーつかー みどぅんかい なしふぃーる」てぃ うーてぃしば、あがい あんちぬ ぞーぎみどぅん やーむぬ ぷからすむぬてぃ うまぬ むくんなり、うまぬやーん ぱたらき、ゆかす゜きないやむち 何年まい たつたーっざ。
(両親は弟に「貴方は娘を助けた恩人で、『命の主』であるので、貴方さえよければ、娘をもらってくださいませんか?」と言うので、こんな綺麗な娘なら申し分ない、ということで喜んで申し入れを受けて、婿入りすることにして、そこで働いて幸せな家庭を築いて、何年かすぎていた。)
あんつかー うやんまぬ「むくがまー うわまい どぅーが やーゆまい いきみーきすどぅまっすさ あらんな」てぃうーてしば、「あんちーすぅーでぃてぃ」いきす゜くとぅんなす゜たー。
(ある日、両親が「婿殿!そろそろ自分の家をみに行ってきてはどうか」というので、「そうします」という事で、行く事になった。)
「あつかー ぷじ いきみーくうー」てぃ 1里がきぬーまー(さにぬーまんだかにぬ だいばんぬーま) いだしきし くいん ぬーりぴりてぃ っしって、あとー くぬ3−つぬ ようじんだま「さるかだま」「んまつだま」「みずだま」を むちぴりてぃー むたし やらすたーっざ。
(「だったら いまからすぐに行ってみてきなさい」と言って、一里駆け馬(種付け馬のような大きい馬)を出してきて、この馬に乗って、そして、この3つの用心玉「さるか玉」「火の玉」「水玉」を持っていきなさい、と持たせてくれたそうです。)
くぬ みーつぬ 玉をー むち いちりがきぬーましー あんがが うーむらんかい かきらーすたー。いふかが なすたーがら、ようやくむらんかい つかふなり、たかーたかぬ んみがまから むろー みーるばどぅまいや なんけんまい ありゅーたーやーぬ ぴなりまいうー、ぶりんきぬ やーまいあり、ぴすとぅぬ たうきゃーまい うらんぎてぃん。
(この3つの玉を持って一里駆け馬で姉のいる村へと駆け出した。何日駆けたか、やっと村に近づいてきた。小高い丘の上から村をみると、以前は何軒もあった村の家が無くなったりつぶれたりしていて、人影も見えなかった。)
うまぬ んみがまん ぬーまー つなぎってぃ やーぬまいがみ あす゜きぃ ぱごーぱごーがまーしー やどぬ ばっしがまから なこー みーるばどぅ だいばんなしー ふくぱりぬ みどぅんぎむぬぬ にうふゅーてぃんだら、
(丘の上に馬をつないで、家まで歩いていって、戸のすきまから家の中を覗くと、おそろしく膨らんだ女の人らしきものが見えた)
やどぅふつぬ まいん うぶぬ ありゅーば あんごーばー みっずぅふますが やらさーてぃ さんみんなしー うりゅー よーんなー うらかいし みっずぅ んんな おおぎすてぃってぃから、「あんががまーあんががまー、うとぅがまぬどぅ むどぅりきす」てぃー あすしばどぅ むとぅぬ あんがんなり、うききし やどぅーあきってぃ「あがい うとぅがま くーらいでぃすたーなー」てぃーうーば、なかんかい ぱす゜しばどぅ、
(入り口近くに 水がめがあったので、姉を水汲みに行かせよう、と作戦をたて、水がめをゆっくり倒して、中の水を全部流して捨ててから、「お姉さん 弟が戻ってきたよ」と言うと、膨らんでいた姉は以前の姉の姿に戻り、戸をあけて「おー弟よ、良く来れたなー」と言うので、中に入ると)
なびゅー むちきし わーぶから さがーりゅー がぎすん かき うまっつぅ つきってぃ、うぶんみずぬ にゃーんにゅば、あらーんき みっずぅ ふみくーっちゃー くぬ んまっつぅ みーゆーりよー、てぃあす゜しってぃ うぶー やいてぃ かなますん ぬーし、しかきたー とおり いでぃぴーたー。
(鍋を覗いて、上から吊るされたフックに吊るすと、火をつけて「ちょっと待ってね」と言って水を汲みにいったが、水がめに水が無いので、「外に水を汲みに行くから鍋をみていてね」と言って、でかい水がめをひょいと頭にのせて、仕掛けた通り出かけていった。)
うぬ あいだん、どぅーが んきゃーんぬ むぬーとみゅーりってぃ、のーゆが にーゆーがらー てぃ なびぬ ふとーあきみいるばどぅ、にんぎんぬ ういびぬきゃーぬ ぐつぐつ てぃ にーゆーてぃんだら、
(その間に以前の自分の荷物をさがしたりしたあと、何を煮ているんだろうと思い、鍋の蓋をあけてみると、人間の指がぐつぐつと煮えているのがみえた。)
「えっげたんでぃ、くりゃーにんぎんぬ にく−がみまい ふぁいゆーのーかん」てぃ うどぅるきうりばどぅ、すぐんだかに、ゆむるぬ きゃーぬ いでぃきし「うわー うまん うーつかー だいずどー、ビス゜―ヤ ビス゜―ヤ」てぃー ぶどぅりまーりってぃ、やーぬ ばっしんかいくまりぴす゜「くりゃー だいず、くまんうーすかー あとーばんまい っふぃふぁーいでぃす。むどぅりくーんきゃー ぴんぎる」てぃー ぬぅーまぬ うーとぅかながみ とぅばしぴんぎたー。
(「なんだこりゃー 人の肉までをも食ってるのか」と驚いていると、すかさず鼠達がでてきて、「あんたここに居たら、たいへんな事になるよ、チューチューチューチュー」と騒ぎ立てては、壁のすきまに入っていった。「これはヤバイ、ここにいたら、あとには自分も 食べられてしまう、戻らないうちに逃げよう」弟は一目散に馬のいる丘まで走って逃げた。)
ぴっちゃ っしってぃ みっつぁ ふみ むどぅりきすたー あんがー「うとぅがま みっつぅ うらす かしーゆ っすぅ」てぃー あびりばどぅ ぶす゜てぃーまい にゃーんにゅば、「ドッファ」てぃー うぶーうらすかー、ゆむるぬ きゃーぬ うどぅるき「あがたんでぃ まーんてぃー うとぅるすむぬ、ビス゜ーヤ ビス゜ーヤ」てぃー なき かべぬばっしんかいくまりぴりば、「あば、うとぅがまー ゆむるんなりどぅ かふぃ うーさいが」てぃー あーがちゃん うまかまぬ かびゅー 「グッファ グッファ」てぃー やぶす゜たーてぃんだら あしってぃ んだりたー かべぬ ばっしから ぬーまん ぬーり ぴんぎ ぴらでぃーてぃ うー うとぅがまが みーらいゆーてぃんだら、
(ほどなくして水を汲んだ姉が戻ってきて、「弟よ、水がめをおろすのを手伝ってくれないか、」と叫んでいたが、返事が無いので、「ドスン」とおろすと、鼠たちがびっくりして騒ぎ出し、「ほんとに怖いねーチューチューチュ」と壁の隙間に入っていくので、「さては弟め、鼠になって隠れたか」といいながら、あちこちの壁を突き破ると鼠たちはチューチューと逃げ出した。壊れた壁の向こうの丘には馬に乗って逃げていこうとする弟がみえていた。)
うとぅがまー いちりがきぬうーまん ぬーり「シーシイッ」てぃー かきらーし ぴんぎがっちゃん ちびゅー みいーるばどぅ、あんがーまずぅむぬん なり とびゅーんだかーに ういきしきし ぬーまぬ ずぅー ゆ んざみでぃ んざみでぃ てぃー うーてぃん。
(弟は一里がけ馬にのって「シーシーッ」と馬をせかして必死で逃げながら、後ろを振り向くと、姉は化け物になって恐ろしい勢いで追いかけてきて、やがて馬の尻尾をつかみそうなところまで迫ってきた。)
くりゃー だいず、あはー ようじん だまぬどぅあーさいが、「さるかだま どー うりっ」てぃー まやーしぃばどぅ さるかぬ きーぬうじゃうじゃてぃー ういきすてぃんだら あすぅがどぅ まずぅむのーんざからがらす゜さろー むちきすがら、ガツガツ てぃー きしすてぃ がっちゃん ういきしきす てぃんだら。
(これは大変だ、そうだ、用心玉を使おう。「サルカ玉だー、それーっ」投げつけると、馬の後ろにはサルカの木がもうもうと生え茂ってきた。しかし、化け物はどこから鎌を出してきたか、ガツガツと刈り取って追いかけてくる。)
「くぬ まずぅむのー んまつだまー うりぃ」てぃー たいつきつかー うぬさるか 木ぬきゃーぬ ばんまみき むいあがす たー。あんすつかー ゆっぱすさ かき んまっつあ きゃーし ういきし きす。
(「この化け物、火の玉だーそれーっ」と叩きつけると、さるかの木がぼうぼうと燃え上がった、すると、勢いよくションベンをかけて、火を消しながら、なおも追いかけてくる。)
あがい くいしーおわりさーがやー てぃううむい 「くやー みずだま」てぃ たいつきつかー ちびゃー んんな かーずぅくん なすたーてぃ。あんつかー んざからがら ふにゅー いだしきし、くぎ きすてぃん。ちびゃー みーんたきゃーしー かきらーし いきってぃ あとーからちびゅー みーつかー かーずぅくぬ にゃーんふなり、んにゃ ういきしくーんてぃんだら、やっとぅがましー まずぅむぬから ぴんぎってぃ、うむやすむぬてぃー やーゆ みざし やーぬ つかふがみ きすたーざ。
(これで最後だなーと思いながら「それーっ、水球だーっ」と叩きつけると馬の後ろには湖がひろがった。そしたら、どこからか船をだしてきて船を漕いで追いかけてきたので、後ろもふりむかず、必死で駆けて、しばらくして後ろを見ると、もう湖がなくなっており、追いかけてこなかった。ようやくあの化け物を振り切る事ができ、ほっとしながら家を目指して、家の近くまでたどりついたのだった。)
いちりがき ぬーまん ぬーり たびすんかい いでぃってぃ、2ヶ月あますなりゅーたーっざ。やっとぅがまてぃー やーぬ つかふ がみきしってぃ、すぐぉー やーんかい いかだなしー、とぅなすぬ いみーぬおばーがやんかい いき、「ばが ゆみぬ やーや のーしがなりゅー」てぃ きすき みーるばどぅ「うわが なぎゃーふ むどぅりくーんにゅばどぅ みどぅんな ぷかぬ ゆみんかい いきす くとぅん なりゅー。んなまどぅ よーす゜さしー やがてぃ かぐん ぬーしらい さーりぴらい てぃー うーとぅかなやーば、うわー いき かぐぬ まいぬ かたぬ ぼーゆ かたみってぃ、とちゅーんな『んぬつぬ しゅうどー』てぃー ばみきよー」てぃ ならーさいたー。
(一里駆け馬で旅にでてから2ヶ月あまりが過ぎていた。ようやく家の近くまでたどり着いたが、すぐに家にいかず、近所の知ってる小さなオバーの家に行って、オバーに俺の家の事情はどうなってるか?と訪ねると、「あんたがいつまでも帰ってこないので、娘は嫁にいくことになっていて、今お祝いをしているところだ、もうすぐ篭に乗せられて連れていかれるから、あんた急いでいって、篭の棒の前方を担いで、途中で『命の主どー』と叫びなさい」と教えられた。)
おばーが ならーすたーとおり、「んぬつぬ しゅぅどー」てぃ ばみきばどぅ なかぬ ゆみぬ 「ばたぬどぅ やみゅーば やーんかい むどぅりいきふぃーる」てぃ あっしば かぐ かたみゅーたー ぴすとぅぬきゃーまい かごー うらしばどぅ みどぅんな むとぅぬ むくぬまいんかいてぃ とびゅーてぃんだら、ー うとぅがまーぷからっさてぃやーがみ さーりいきすたーっざ。あいてんかいや、あんちーかんちぬばーやしどいぅ むくぬ もどぅりきしうーば、てぃ しょうじきんぱなし、むとぅぬ みーとぅらんかい むどぅり しあわせん くらすたーっざ。
(オバーの教え通りに、途中で「命の主どー」と叫んだ、すると中の花嫁が「お腹が痛いので、家に帰してください」と、言い出した。篭をかついでる人達もその声で篭をおろした。花嫁は篭をでて元婿のところへと駆け寄った。弟は大喜びで、花嫁を連れて家へと急いで戻った。戻ってから、相手の方には、これこれこういう訳で、婿殿が戻ってきたもので、と正直に話して、元の夫婦となって、幸せに暮らしたそうです。)
※サルカ=和名:サルカケミカン、別名を「ヤマジュンシャ」ともいい、刺が鋭くて、昔はスイカ畑などの泥棒進入防護柵として使うこともあった。
おしらせ
松谷初美(下地町高千穂出身)
■明日、久松中学校演劇部発表!
以前にもおしらせしましたが、全国中学校文化祭に参加する久松中学校演劇部の舞台「やくそく〜涙をこえて〜」の発表がいよいよ明日となりました。関東にお住まいの皆さん、ぜひ、応援に行きましょう〜。はい、んーなーしー、みーが ずぅ!
日 時 | 2009年8月21日(金) 午後1時〜 |
場 所 | 神奈川県立青少年センター JR根岸線及び市営地下鉄「桜木町駅」から徒歩約10分 京浜急行線「日ノ出町駅」から徒歩約10分 みなとみらい線「みなとみらい駅」から徒歩約15分 |
■「一粒の種」アンコール放送
菜の花(伊良部町仲地出身)
「一粒の種」のアンコール放送のお知らせです。
「福祉ネットワーク一粒の種〜遺言から咲いた命の歌〜」
・8/31(月)20:00〜
・9/7(月)13:20〜
NHK教育テレビ(全国放送)
※放送日時・内容は変更になることがあります
「一粒の種」を歌っている歌手の砂川恵理歌さんのライブが神奈川でもあります♪
◆8/23(日)神奈川・海老名ビナウォークインストアライブ
時 間 | 14:00〜 ,16:00〜(2回公演) |
場 所 | 海老名ビナウォークビナステップ 観覧無料 |
◆8/29(土)神奈川ノースポートモールインストアライブ(横浜市営地下鉄センター北駅前)
時 間 | 14:00〜 ,16:00〜(2回公演) |
場 所 | ノースポートモール2Fセンターコート 観覧無料 |
お時間のある方は、恵理歌さんの透明感のある生歌を是非お聞きくださいね。よろしくお願いいたします。
編集後記
松谷初美(下地町高千穂出身)
8月15日は、終戦の日でしたね。「お父と戦争」をトップにお届けしました。ワタリマリのお父さんの複雑な気持ち、「強気と裏腹の無念」。それをしっかり見ている娘のまなざし。なだ(涙)がぽろぽろこぼれました。戦争を経験した人の数だけ、その人の戦争があるんでしょうね。「立派な標準語」でしゃべるお父さん、リアルにせまってきました。
あば本舗さんの話しには「へぇー!」と驚きました。植物に話しをしたり、クラッシック音楽を聞かせるなどの話しは、よくテレビや本等で見聞きしますが、実際に奇跡を経験したとは!その驚きよう分かります〜。やっぱり愛情なんですねー。私も気になる木があるので、やってみようっと!
下地勇さんは、忙しいのにも関わらず、いつもこちらの要望に一生懸命に応えてくれます。デビュー当時から のーまい かーらん(ぜんぜん変わらない)勇さんです。今回も、久松中学校演劇部壮行会で宮古に行くという前の忙しい時に、応じてくれました。ホントにふるさと思いの勇さん。今回のアルバムも楽しみです。
アモイさんのお母さんから聞いた昔話の第二弾。今回も大作でしたね。うとるすーうとるす(怖い思いを)しながらも、惹きこまれていきました。オールみやこふつの語りも ずみーずみ。お母さんの話す語りを直接聞いてみたいなーと思いました。今後もどうぞお楽しみに〜。
久松中学校演劇部の壮行会が宮古のマティダ市民劇場で行われ、やまかさの人が詰めかけたそうです。その時の様子が掲示板に書き込みされました。感動の舞台だったようです。明日見にいくのが、だいず楽しみ!ご都合のつく方は、ぜひ、お出かけくださいね。
「一粒の種」のアンコール放送まい まーだ ぷからすむぬや〜。再々放送になるのかな。反響はずっと続いているようですよ。まだご覧になってない方もいると思いますので、ぜひおしえてあげくださいね〜。ぜひライブへもお出かけください。
しまいがみ ゆみふぃーさまい、たんでぃがーたんでぃでした。
今回の感想、ぜひお寄せくださいね〜。まちうんどー。
次号は9月3日(木)の発行予定です。
次回がみ、がんずぅかり、うらあちよー(お元気でー)
あつかー、またやー。