明けまして、おめでとうございます!
ぞうぞうのとっすぅんかいーうーぱずや〜。(良い年をお迎えのことでしょうね〜)
今年最初のくま・かまお届けで〜す。
『なますのぐぅ』どぅかってぃ解説
マツカニ(上野・高田出身)
こんかいは、宮古島の昔の人々の暮らしぶりが垣間見える「なますのぐう」をとりあげます。宮古民謡の中でも有名な歌でお祝い事の席では踊ったり踊らされたりした方も多いんじゃないでしょうか?例に漏れず難解な古い言葉が、散りばめらめていますが、ぼくが感じるままに訳してみました。
1.なますぬぐうや なうぬが みぐと ハヤシ(くらさーゆいゆい) あかながまぬど さらみぐとよ ハヤシ(ゆうはらめーぬ めーぬくらさーゆいゆい ゆーやなうれ) (訳)刺身のつまは 何が いいんだろう あかジソが 一番だよ 2.うりうきむのー なうぬが みぐと かいすきがまぬど さらみぐとよ それを盛るものは 何がいいんだろう 貝の皿が 見事だよ 3.うりぱさんむのー なうぬが みぐと しるばすがまぬど さらみぐとよ それをはさむのは 何が いいんだろう 白木の箸が よりいいよ 4.やまむんそでにゃや くしーちからよ カナガマあにてぃや うまーりらんよ 山桃で染めた着物を 着せたら カナガマ姉さんとは 思えませんよ 5.あかいちゅんみす゜あ そんざぎむぬよ あにたがよーらん さがーりまーりよ 赤糸の帯紐は うらやましいもんだよ お姉さん達の 横で ぶらさがっていて 6.まーりゃんぷぞうや わーきなむぬよ そざたがよーらん さがーりまーりよ 煙草入れセットは いばっているよ お兄さん達の横に ぶら下がっているよ 7.うぷみんぎーぱや そりーなむぬよ あにたがまつずん ぬりやまーりよ 耳の大きい簪は 礼儀をしらないよ お姉さん達の 頭上に 乗っかってるよ 8.うしざすぎーぱや そりーなむぬよ そざたがまつずん ぬりやまーりよ 押しさす簪は 無礼なものよ お兄さん達の 頭上に 乗っかってるよ
【解説】
宮古の人であれば、1番から3番までは、そらで歌えるんじゃないでしょうか?だけど4番以降はほとんど歌ったことがないとおもいますが、どうでしょうか?
「なます」というたべものにもいろいろあるみたいですが、ここでは生の魚を刺身にしてそれに付け合せするものはあかじそが1番だというふうに考えました。
4番から8番までは、なんとなく晴れがましい感じがしませんか?お姉さん達は普段着ないような着物を着て、目にも鮮やかな赤い帯紐を締めて、たおやかに髪をたばね大きな簪を挿し、お兄さん達の注目をあつめています。片やお兄さん達は自慢の煙草入れを腰にぶら下げ髪をきめてお姉さん達の気を引くことを考えているのでしょうか?お互いに腰紐や煙草入れ、簪にやきもち焼いているようなところが、おもしろいというか、ほほえましい?感じがします。
アップテンポで軽やかに歌われる楽しい唄です。
一行詩
松谷初美(下地・高千穂出身)
☆ お雑煮を 初めて ふぉーたー(食べた) 嫁ぎ先
宮古にお雑煮とは にゃーったん(なかった)。
☆ 「八ツ頭」も「くわい」も「数の子」も すっさたん(知らなかった)
重箱に詰めたお節。すっさんむぬちゃーか。(知らないものばかり)
☆ 間違えて 数の子煮たのは んきゃーのぱなす(昔の話)
結婚したての頃、数の子をどうしたらいいのか分からなかったので煮てしまった。家族が不思議そうに煮た数の子を見ていた。
☆ 門松を 夫と ふたーず(二人) 初飾り
毎年門松を飾っていた すたさ(義父)は んにゃ みーん(もういない)。29日は苦になる、31日は一夜飾りだからと30日に飾っていた。私たちも にゃーび(真似)して。
はじめまして絵本プロジェクト2010 絵本お手渡し会
はじめまして絵本の会 池城かおり(平良・下里出身)
12月18日、宮古島版ブックスタート企画「はじめまして絵本プロジェクト」第2回目の絵本お手渡し会を開きました。
この企画は宮古島市在住の0〜3歳に絵本を贈るという内容で、くまかまの皆様をはじめ島内外の方からお預かりしました寄付金をもとに実施いたしました。運営はすべて有志によるボランティア活動です。
おかげさまで197名のお子さんに絵本を届けることができました。絵本は15作品の中から気に入ったものをご応募いただきました。そのうちの「999ひきのきょうだい」では著者の木村研さんからサインをいただける幸運もあり、今回も多くの方のご協力をいただきました。この場をお借りして皆様に厚く御礼もうしあげます。
また、お手渡し会ではとても嬉しいことに市長がゲスト出演し、子供たちに紙芝居を披露されました。各新聞社、宮古テレビのインサイド特集にも取り上げられ、多くの方に知っていただける機会ができました。
全国にひろがる「ブックスタート」を知ったのは3年前です。私は平良図書館でボランティア活動をしており、たまたま未就学児の図書館利用が少ないことを知りました。当時の平良図書館は旧文化会館の建物を利用していたので(現在は第2庁舎に一時移転)、駐車場スペースも限られる等、小さいお子さんがいらっしゃるご家庭にとっては利用しにくい状況にありました。新図書館計画もまだ先の話で、今の子供たちのために何かしたいと思ったのがきっかけです。
ブックスタートについて、NPOブックスタート協会のホームページから引用します。
「すべての赤ちゃんのまわりで楽しくあたたかいひとときが持たれることを願い、一人ひとりの赤ちゃんに、絵本を開く楽しい体験といっしょに、絵本を手渡す活動です。地域に生まれたすべての赤ちゃんを対象に、市区町村自治体の活動として、0歳児健診などで実施されます。」
宮古島市のここ数年の傾向では、年間500〜600名の赤ちゃんが誕生しているそうです。ブックスタートは「すべての赤ちゃん」が対象ですので、今後さらに多くの方のご理解とご協力をいただきながら輪を広げていきたいと思っています。
時の川 〜くまから・かまからに想う〜
菜の花(伊良部町仲地出身)
満ちては欠け、欠けてはまた満ちていく空の月。それとまったく ゆぬぐぅぬ ぴゃーさ(同じ速さ)で時の川も流れていく。ときに川底の石をさらい砂を巻き上げながら激流となり、氾濫する濁流となり、または穏やかで清い流れであったりしながら淀むことなくただ流れていく。いくつもの支流を成しては、他人(ひと)の流れと交わり大きな川をつくり、また新たな支流を成していく。時の川は自分の人生の流れであり、流れに呑みこまれることなくただ自分を生ききることこそが「命を生きる」ということでもあると思うこの頃。
2001年、メールマガジン「くまから・かまから」が発行された年の12月。私は「あぱらぎねぇねぇ」の ぱなす(話し)を「くまから・かまから」に載せた。
死の床にありながら、振り絞る力で目を輝かせ、病室を展示会場にしてしまったあぱらぎねぇねぇ(綺麗なお姉さん)。あぐ(友人)が描いてくれたというパステル画を病室の壁一面に飾り、入口には私が描いた子どもの落書きのような水彩画を掛けて「ようこそ」とのメッセージを添えてあった。病室に展示された作品をベッドから見つめては、心底満足そうな笑みを浮かべていた。かぎーかぎぬ(美しい)笑顔だった。
人生の最期の時間にやりたいことを成し遂げて「命を生ききる」ことを見せてくれたあぱらぎねぇねぇは、自身の老いた あんな(母親)と私とが繋がることも残してくれた。
お別れの日、荷物の中からあぱらぎねぇねぇが書いた一冊の本を取り出し、形見にと下さったのがきっかけで母親との手紙のやり取りがはじまった。
あれから14年が経ち、あぱらぎねぇねぇの母親は95歳になった。
手紙が途絶えたり、連絡がとれなかったりすると余計な しわ(不安)が頭をもたげる。電話の向こうのシャキシャキとしたいつもと変わらない声を聴くと、逆に私の方が力をもらったり元気になったりする。
「わたし、人様の世話になるなんて嫌なのよね」と、介護保険の世話にもならず、納めることも全て納め、何でも一人でやっていると言う。医者にもかからないというか、かかる病気がないと笑う。「歯も入れ歯なんかじゃないのよ。誰もいないから自分でやる。それが良いのかもしれないわね。」と、自分に言い聞かせるように話す声には、「老い」という響きは感じられない。
足が痛くて階段の昇り降りが大変だけど、年のことは考えずに生きますとまた笑う。
ひとしきり近況報告した後「本音はね、いつまで生きるのかな〜と思うのよ。朝起きたらぽっくりと亡くなっていたいわね。」と、ぼそりと言った言葉がいつまでも私の みん(耳)に残っていた。
看護師として働く私の時の川には、たくさんの患者さんとその きない(家族)、すぐとぅ(仕事)の仲間が いみふに(小舟)を浮かべている。私の時の川の支流で交わる多くの人々の時の流れが、んなみまい(今この時も)注がれては流れていく。
私は「命」や「生きる」というテーマを掲げて「くまから・かまから」という場所に自分の思いを置き、そこに集う人の思いに触れてきた。10年という大きな節目を迎える今年にライターとして書くことができることに感謝する。
「くまから・かまから」は私にとって心の整理をさせてくれる場所であり、人と出会う んなと(港)であり、人の思いの深さと温かさに支えられ、私の時の川が豊かな流れとなっていくのを感じるところでもあった。
心静かに 時とともに 心優しく 人とともに 心穏やかに 己とともに
これはなにかあるたび自分に言い聞かせる言葉。
さぁ。今年の私の時の川はどんな流れになるのだろうか・・・?!
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
2011年も始まりましたね〜。くとすっさ のーしぬ しょうがつやたーがらやー(今年はどんなお正月でしたかー)?全国的に ぴしーぴしの正月になりましたね。実家に電話をしたら、宮古も ぴしーぴししているよーと話していました。
我家は、つかふ(近く)の公園で初日の出を見て、いつもの神社にお参りをし、お節を食べて墓参りに行きました。こっちではお正月に墓参りをする人が多く、墓地には花がたくさん飾られ、新春の風の中に、線香の かざ(匂い)が立ち込めていました。
今年は、景気が少しでも回復して、明るいニュースが やまかさある年だといいですね。皆さんにとっても、がんずぅ(健康)で、明るい一年でありますようお祈りしています!
さて、今年の新年号、のーしが やたーがらやー?
二年ぶりにマツカニさんの民謡解説からスタートしました。「なますのぐぅ」は、お祝い事によく歌われる歌で、お正月にもぴったりでしたね。私も やらびぱだ(子どもの頃)親戚の結婚式で何回か踊ったことがあります。3番までしか知らなかったので、4番以降新鮮でした。
内地嫁になって何も知らない私は、すとま(義母)や すとさ(義父)からいろいろ習いました。二人とももういないけれど、何かをするにつけこうしていたなー、ああしていたなーと蘇ります。
「はじめまして絵本プロジェクト」2回目の今回、さらに子どもたちに喜ばれるものとなったようですね。かおりさんたちの情熱、ホントにすごいなーと思います。だからいろいろな方が協力を惜しまないのでしょうね。(絵本作家のサイン入りもとはすごい!)絵本お渡し会の様子は「あんちーかんちー」でもレポートされています。ぜひ、ご覧くださいね。
菜の花の看護師としての姿勢は、創刊当時から んなまがみ(今まで)少しも変わることがない。患者さん、ご家族との関わりも普通の人にはなかなかできない凄いことだなーと近くにいていつも思います。(それは彼女が看護師として働き始めた頃もらった手紙にもよく表れています)。今年も時の川の流れの中で、また物語が生まれることでしょう。
あなたの感想もぜひお聞かせくださいね。
10年になる節目の今年。気持ち新たにライター一同頑張っていきます。どうぞ応援宜しくお願いしますね。
きゅうや んにゃ しまいっとー(きょうはもう終りましょうね)。しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。(最後までお読みいただいて、ありがとうございました)!
次回は、1月20日(木)発行予定です。
がんずぅかり うらあちよ〜(お元気で〜)あつかー、またいら!