こんにちは〜。
宮古島もにすかじ(北風)が吹くようになって、そろそろ長袖を出そうかなという感じです。 うまーのーしーがらー?(そちらはいかがですか)?
ホットな vol.351、お楽しみくださいね〜。
沖縄ブーム
ビートルズ世代のサラリーマン(平良・下里出身)
あれは今年の7月のことである。うだるような暑さの中、出張を終え駐車場から ぶがりて(くたくたに疲れて)帰社する途中だった。とある沖縄居酒屋前に張り出された1枚のちらしの前で足が止まった。
ラフテーやゴーヤチャンプルーのメニューの他にハイビスカスのイラストに囲まれて「ちょっとだけ沖縄人になれる場所」というキャッチコピーがついていたからである。
一時期の沖縄ブームで雨後のたけのこのように出現した沖縄居酒屋の大方は姿を消してしまったが、ここの居酒屋は地元にすっかり定着したようで結構なお客さんで賑わっている。それにしても、あのキャッチコピーにはびっくりした。
かつて、復帰前の沖縄では「沖縄人」という言葉に強い抵抗感があり、地元沖縄はもちろん本土の新聞やマスコミでも腫れ物にさわるようにこの言葉の使用を避けていた時代があった。それが今ではむしろ一種の憧れとして使われている。
一頃の沖縄ブームは去った感があるが、沖縄の食の文化(ゴーヤチャンプルー)、唄の文化(サンシン、エイサー)は内地でも市民権を得て定着している。月に1回ほど会社近くの沖縄レストランで昼食を取るが、先日など待ち行列で入れないくらいこちらも賑わっている。
電車やバスの中で沖縄の話題を耳にする機会も多い。修学旅行で沖縄を訪れた時の話(主に高校生)、友達同士で旅行した時の話(主に女子大生)。意外と多いのがリタイアされたとおぼしき方々のゴーヤの話題である。今やゴーヤは手軽に栽培できる夏の野菜としてリタイアして家庭菜園を営む方の間では絶大な人気なのである。よーく観察すると手元にはゴーヤの苗の入ったビニール袋をぶら下げていたりする。
なにも耳をダンボにして聞いているわけでは無いが深刻な話題を耳にすることもある。喫茶店で隣の席の ばかーばかぬ(若い)サラリーマン二人の会話にしきりに「沖縄」という単語が飛び交い始める。別に聞きたいわけでは無いがどうしても聞こえてくる。
どうも沖縄出身の女性と付き合っているのだが結婚に踏み切れないと同僚に相談している様子。何でも沖縄の両親がナイチャーとの結婚は許さないとのこと。どうしても結婚したいのなら沖縄で住むことが条件だという。
「それでお前どうするんだ」
「とりあえず沖縄に行って住んでもいいかなと」
「よく考えたほうがいいぞ。戻ってこれなくなるぞ」
いやいや、戻れないことは無いと思いますが沖縄と内地との間に横たわるシビアな問題を垣間見たような気がしました。
一時の沖縄ブームは去ったがこれからは多くの内地の人が沖縄とじっくり向き合っていけばいいなと思っている。沖縄への観光客はリピータが多いと聞く。2度3度と訪れ自分に合った沖縄を探しゆったりと過ごす観光スタイルに変わってきている。じっくりと沖縄を知ってほしい。
今、沖縄は基地問題で国と対立を深めている。良くも悪くもこれからが本当の沖縄ブームの正念場だろう。
◇あの話をもう一度
アモイ(平良・宮原出身)
「『みばかす゜、みばかり』について」vol.183 2008/11/6
宮古の方言で「みばかす゜」という言葉があり、よくつかわれる。
「みばかす゜」という言葉の使われ方としては、家(やー)ーゆ みばかす゜、ぱり(畑)ゆーみばかす゜、やらび(子供)ゅーみばかりゅーり、牛すぅ みばかり、などと使う。
「みばかす゜」を日本語に訳したらどんな意味だろう?
下地一秋著、《宮古群島語辞典》によれば、「mibakaru(見、計る)面倒をみてやる、世話をする。善いように処置する。」とある。
みゃーくん 農業ゆ っしうーぴすとぅぬ なかんな まいにつんだかに ぱりゅーみばかりまーりゅー ぴすとをー だう、(宮古島で農業をしている人の中には、毎日のように畑を見回っている人は多い)
そういう人の畑の作物は手入れが行き届いていて、作物の育ちもよい、一方、あまり「みばかり」がされていない畑は、雑草が生い茂り、作物の出来がよくない。その畑が知りあいの畑だったりすると、「あば!かまぬおじーや、やみどぅーべーやー。」(あら、あそこのおじーは病気でもしているのかなー)などと畑の主の健康状態が気になったりする。
宮古島の基幹産業であるサトウキビはあまり世話のかからない方の農作物だと思うが、それでも、みばかす゜かたんゆり(世話の仕方によって)大きく反収が変わってくるという話をよく耳にする。農業では「みばかり」は、非常に重要な要素なのである。
ただし例外もある。うちの家の周りの畑のゴーラ(苦瓜)は、あまり「みばかり」をしなくても自生する植物のように、勝手に生えて勝手に実をつけている。
隣の人から、のーてぃが うわたが ぱりんな うぬすく ゴーラぬなり ふぁーいゆりゃー?(何であんたなんかの家の畑にはあんなに苦瓜が実って 食されているか?)と聞かれた母は、「ばんたー ぱりゅー あばらし うーきばどぅ あんちゅーさーい」(うちらは 畑を野放しの荒れ放題にしているから そうなっているさー)と言って得意げに笑っていた。
うちの周りの畑に自生する作物とは、ミニトマト、トウガラシ、パパイヤ、ナス、琉球冬がん等である。勝手に生えては実をつけ、食卓に並ぶ、本来の自生ではないが、その理由はたぶん2つ。
1つは以前に植えていた作物の実が熟して、種がそのまま根付いてしまう。苦瓜の実をほっておくと、熟して黄色くなり、中の種が梅干しかと思うほど真っ赤な色に変わる。その種が発芽し、実をつけるのである。
もう1つは生ゴミを畑に捨てているために捨てられた種が発芽する場合もある。自生でちょっと困るのは生える場所を選べないことと、計画的な数量生産ができないことである。
ゴーラのツルなど、畑の真ん中に広がり、しかもいっぱい実をつけている。畑全体を耕運機で耕そうとして、考えてしまった。漉いてしまうにはもったいないので、そこを残して耕して、ちょっと変な耕し方になってしまった。
うちの畑に自生している野菜をみて、野菜造りは簡単だ!と思いこんでいたのだが、実際に自分で野菜を植えてみて、その難しさを思い知った。失敗した例として、
「キャベツ」葉がだいぶ成長したが、害虫に食われて葉は穴だらけでちゃんと育ったのはほんのわずか、
「レタス」葉がでて育ってくれたのだが、ぐるぐると巻いて呉れるはずのレタスの葉はぐんぐんと上に一直線に延びてしまい、葉タバコのように葉を1枚1枚むしって収穫、人に聞いてみると、時期が早かったんじゃないの?との事。
「ホウレンソウ」適当に耕して種をまきっぱなしで、みばかりをしなくて、全然発芽してこなかった。
「キュウリ」葉が大きくなりツルも広がり、いよいよ花が咲き、実が成りだすと、赤虫(正式名わからず)が大量に群がり、かたつむりが付いて、葉や花がみるみる食いつくされていく、これはやばいとうこいう事で毎朝晩 虫とり、かたつむり除去などを実行して、なんとか食卓に上がった。そこで母が一言「のーまい みばからだかー ふつんな ふぁーいんどー」(なんでも みばかり をしないと 口には はいらないさー)
なるほど、こんな苦労があるから経費がかかるにも拘わらず、ビニールハウス栽培を採用している農家が多いんだなー、と納得してしまった。
先日、ビニールハウスでマンゴーを栽培している人に聞いた話であるが、ビニールハウスでも害虫は発生するそうで、ほっておくとどんどん害虫が増えてくるそうだ。害虫がつかないようにするには、「みばからだかーならっちゃー」(見回りしないとならんさー)
人間が作物の周りを歩くだけでも、人間の匂いが作物や周囲にの残り、害虫がその匂いの残っているところには寄り付きにくくなるそうである。「あしばどぅ ぴっちー みばかり まーりゅー てぃぬ ばーさい」(だから、しょっちゅう見回りをして歩いているという訳さ)
野菜の種を蒔いて、芽がでて青々と大きく伸びてくる様子をみるのは気持ちのいいものである。しかし、自然を相手の農業は誤魔化しがきかない。ちょっとでも みばかりを怠ると、いままでの苦労が水の泡となってしまう事が多い。物事はなんでも簡単にはいかないなー。
自生してくれる野菜も気候、時期、場所などの本当に条件の揃ったときの産物であるという事をわきまえて、「みばかり」を怠らないように、少しでも我が家の食卓の自給比率を増やしていきたいと思います。
その為には、時々芽を出してくる自分の怠け癖を駆除する薬を、探す必要がありそうです。
あたらす っふぁ
Motoca(平良・下里出身)
6月に、長女を出産し、一児の母となりました。以来、まつげの長い、ぱっちりとした目の赤子と朝から晩まで まーつき(一緒に)過ごしております。日々 ぷどぅいぴず(育ってゆく)、ばがっふぁ(我が子)の一挙手一投足から目が離せません。
赤子の成長は まーんてぃ ぴゃーむぬ(本当に速い)!ガラガラを握れるようになったのもついこの間だと思っていたら、少し大きなぬいぐるみもたぐり寄せてつかむようになり、先週からは自分の足を持って、その指先を がうと(がぶっと)口にくわえております。
首も最近はだいぶ据わってきて、わたしが支えて座らせてやると、にひーとがましー(にこにこして)嬉しそう。きのうまでうつぶせ姿勢から頭を起こせなかったのに、これを書いているまさに今、おおお!という夫の声に振り返ったら、しっかり腕を地面に張って、頭を持ち上げておりました。あがーい、しまい(ああ、しまった)。決定的瞬間を見逃した・・・。
この原稿を書くに当たって、この数ヶ月、うまかま(あちこち)に書き留めたメモを見返していたら、赤子の成長に従って、私の思っていることや感じていることも、日を追う毎に変化してきていることに気がついて、自分でびっくり。
そういえば新生児の頃は、ただおっぱいを飲んで寝るのを繰り返すこの子とどうやって親子関係を築いていくんだろう、小さすぎてまだハグすることもできないのに、というところから悩んでいたのです。何もかも初めてだらけで、不安で毎日のように泣いていました。
最近は顔を合わせると、あぱらぎ あまい みぱな(かわいいい笑顔)を見せてくれるようになりました。かまって欲しいときはうそ泣きもするし、抱っこして欲しいときは手や足をいっぱいに使って私の腕にしがみついてきます。でも私からぎゅーっとハグすると んばとする(嫌がる)のです。なんでかよー。
私が泣かなくなるのと入れ替わるように、これまであまり泣く方ではなかった赤子が、泣くことで意思を伝えようとする うむくとぅ(知恵)を身につけてきました。泣かれるのに慣れていない私は、「フルマラソンを走ったほうが楽だはず」と思うほどぐったり疲れるけれど、安らかな寝顔や無垢な表情や、満面の笑顔を見ているとたまらなくなって、手のかかったこともすべて許せてしまう。
そんなとき、実はこれまでぴんと来ていなかった宮古ふつの「あたらす(大切な)」とか「かなす(愛しい)」といった愛着をあらわす表現が、すっと体にしみこんでくるように感じます。一瞬一瞬がべて、いとおしい。
まいふか(おりこうさん)、ばがっふぁ(我が子)よ。まいにつ、かぁちゃんかい やまかさのことー ならーしふぃー、すでぃがふう(毎日、母ちゃんに、たくさんのことを教えてくれてありがとう)。産まれてきてくれて、ありがとう。
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
季節感がないと言われる宮古ですが、ススキやイワシ雲や とぅすぴゃ(シマヤマヒハツ)の実などを見つけて、いみっちゃぬ(小さい)秋を楽しんでいます。前号から三週間。いろいろなことがありました。
まずは、宮古島市制施行10周年記念事業「第10回宮古島市民総合文化祭 一般の部」が10月16日〜21日まで宮古島市中央公民館にて行われました。開催期間も内容もバージョンアップ。やまかさ(たくさんの)来場者でにぎわいました。掲示板で紹介しましたので、ご覧くださいね〜。
10月25日は「第2回下地フェスティバル」が下地の体育館で行われました。各地域の伝統芸能やのど自慢大会、方言漫談、民謡ショー、そして、ばんたが(我らの)下地勇さんのライブもありましたよ!とても楽しく盛り上がったフェスティバルでした。地域の連帯感も実感しました。
10月31日は、ありんこ文庫の池城かおりさん主催のトークショーに帰省していた宮国優子さんがゲスト出演しました。これまでのことや今やっていることなどについて、たくさん語られ、優子さんの熱い想いに触れれることができました。素晴らしい優子さん!今後の活動も楽しみです。
11月1日は、第14回クイチャーフェスティバルが「〜島ぬ宝、我々たが宝〜」と題してカママミネ公園多目的広場にて行われました。各地の伝統クイチャーや創作クイチャーが披露され、とても見応えがありました。久しぶりに見ましたが、伝統クイチャーは味わい深く、創作クイチャーはとても進化していて、素晴らしかったです。最後はみんなでクイチャーを踊り、閉めとなりました。やっぱり、ここは踊らんとね!
宮古方言を研究したニコライ・ネフスキーについての情報です。天理大学創立90周年記念特別展として「悲劇の天才言語学者ネフスキー」ー自筆資料に見る奇跡ーが11月20日〜29日まで、天理大学九号棟「ふるさと会館」にて行われるそうです!自筆ノートや書簡、日記、手帳、写真などが公開されるとのこと。お近くの方、興味のある方はぜひおでかけくださいね。
さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?
B.サラさんの「沖縄ブーム」の内容を実感している読者の方、多いのではないでしょうか。沖縄料理や三線教室など、すっかり定着していますね。うれしい限りです。時代に翻弄されることなく、沖縄の良さが伝わり続けていくといいですね。
アモイさんの「みばかず」の言葉。宮古にいるとよく耳にし、そして又「みばかず」ことの大切さを実感します。みばかず為には、その対象となる、植物であれ、生き物であれ、それをよく見ないと上等 みばかずは、出来ないですよね。大切にしたい素晴らしい言葉だなーと思います。
Morocaさんは、すっかりお母さんしていますね〜。子育ての不安や喜びが手にとるように伝わってきました。大変だけれど「あたらす」「かなす」想いがあふれる時間はなににも代えられませんね。こちらも、ばっしていていた(忘れていた)幸せ〜な時間を思いだし心がほんわかしました。
貴方は、どんな感想を持ちましたか?ぜひ、感想を聞かせてくださいね。。
掲示板での感想もお待ちしています。
きゅうまい、しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました!)
次号は11月19日(木)発行予定です。
感冒しないようにしましょうね〜。あつかー、またやー!