こんにちは〜。
今月の25日は中秋の名月ですね。かぎつき゜(きれいな月)が見られるといいですね。
今回は、十五夜にちなんで、月にまつわる話を集めてみましたよ。
じゅーぐやぬ つき゜ゆー(十五夜の月夜)
あば本舗(下地出身)
もうすぐ十五夜の季節。この頃は年齢のせいか?それともゆっくり月を見られる環境にないせいか?満足に つき゜ゆ〜(お月様)を見ていないのが寂しい。
宮古で過ごした頃に眺めた つき゜ゆ〜(お月様)は何故あんなにもうぽーぅぷしー かぎーかぎ(大きくて美しく)輝いていたのだろうーと、時々思い出す。
高校生のころまで、十五夜の季節になり つき゜ゆ〜(お月様)が天空に輝きだすと家でじっとしていられなかった。まいゆー(毎夜)ういづ里(上地の里)の幼馴染達と、まるで満月に誘われるように夜が更けるまで遊びまわった。
あの時代は、沖縄が日本に復帰した前後でまだまだ貧しかったころ。夜遊びとはいっても、ゲーム機もなければ華やかな遊び場があるわけでもない。何故だか男女別々に遊ぶのが普通であり素朴でのどかだった。
女の子は、月がよく見える家々の屋根に登ったり、前浜ビーチの砂浜まで足を伸ばしたりした。そこで幽霊話をしてはキャーキャー騒ぎ、流行のレコードをかけてはゴーゴー(当時はそう呼んだ)を踊る。ただそれだけなのに、いつもの夜とは違う気配が感じられ妙にわくわくドキドキしたものだった。
そして男の子達は、手作りの月見台を作るのが慣わしだった。我が家の兄達も、十五夜の季節になると中庭にススキの葉の月見台を作った。私は、兄たちが作る草の香りのする月見台が大好きだった。そこから見る つき゜ゆ〜(お月様)は、今にも何者かが舞い降りてきそうな光を放っていた事をはっきりと覚えている。
そういえば、月に関する不思議な本を読んだことがある。 A.L.リーバーというアメリカ人が書いた『月の魔力』という本だ。
満月と新月の日に起こる引力の変化が、人間の身体と精神にある影響を及ぼすという内容だ。満月と新月。人智が及ばない力が働いているとしても不思議はないのかもしれない。
この本を読みながら思い出されたのは、子供のころに見た十五夜の月である。あの頃に幾度となく眺めた宮古の青い満月には、特別で素敵な魔力があるように思えたものだ。
私にとって、今でも十五夜の気分に浸れるのは、職場の観月会よりも宮古での思い出や風景を心に描くときなのである。
ふきゃぎの作り方
松谷初美(下地町出身)
十五夜といえば、ふきゃぎ(餅の周りに小豆がついたもの)やー。その年に収穫した、あかまみ(赤豆)か、ふふまみ(黒豆)を細長い餅にまぶして作ります。
ちょうどこの頃に豆が収穫できるので「じゅうぐやまみ(十五夜豆)」とも呼ばれるそうです。
作った ふきゃぎは、うかまがん(火の神様)、ゆーぬかん(富をもたらす神様)、かんたな(仏壇)に供えます。
昔は、ふきゃぎは、米のもちではなく、うぷぎゃむ(大黍)という穀物で作っていたそうです。先日の新里教室で先生が話していました。うちの母ちゃんも うぷぎゃむで作ったことがあるそうで、もちもちとして美味しかったよと言っていました。
ふきゃぎの作り方を母ちゃんに聞いてみた。グラム数などはあまり分からないということなので、たいがいで(適当に)やってくださいね。
【材料】
小豆(赤いのでも、黒いものでも良い)
塩 適宜
もち粉
水
(1)小豆を煮る
みゃーみゃーぬ(新しい)豆なら40分くらい、がばーがばぬ(古い)豆なら1時間くらい煮る(1キロの豆の場合)。一度沸騰したお湯は捨てて、もう一度煮るとアクが取れて上等だそう。
(2)煮上がったらザルにあけて、少し風に通して熱いうちに塩を振る。
(3)もち粉に水を少しずつ入れながら耳たぶくらいの柔らかさになるまで混ぜる
(4)手の平に乗るくらい(3)を取り、握り(じゃんけんのぐうの形)細長い形にする。(親指が、中指のところに届くくらいの大きさが一番上等と母ちゃんは言っていた)
(5)なべに湯を沸かし、沸騰したら(4)を入れる。浮き上がってから5分くらいゆでる。
(6)茹で上がったら少し冷まし、ゆでた小豆をまぶす。
うすか(以上)
作りたての ふきゃぎを ふぉーぶすむぬやー(食べたいですね)今年の十五夜には、ふきゃぎを作ってみませんか?
かぎつきぬ ゆーんな(月の美しい夜には)
ビートルズ世代のサラリーマン(平良出身)
父はよく宮古の方言の素晴らしさをほめたたえていました。
その中でも忘れられないのが、月の照る様をあらわす「ばなー」という言葉です。月の光が溢れんばかりに地上を照射し、サトウキビ畑が、家々の萱葺き屋根が、なうさ道が月の光の下、静かに光輝いている。
「ばなー」はまさにその照射する光線をあらわす言葉なのです。「あがい、宮古のこの風景はこの言葉でしか言い表せない。そう思わないか」と父はよく言っていました。
つきぬ ばなーてぃ てぃりゅうー
(月が煌煌と照り輝いている)
かぎつきぬ ゆーんな
(月の美しい夜には)
みなかん むっすゆ すき
(庭にむしろを敷いて)
やーでぃやんーな うがなーり
(家族みんな揃って)
ゆーすずんゆ すたー
(夕涼みをした)
おとうや さきがまゆ ぬみ
(お父は お酒を飲み)
おじぃや さんしんゆ ぴき
(お爺は 三線を弾き)
おばぁや あーぐゆ あっし
(オバアは 唄を歌い)
かあちゃんな っふふあぬきゃーゆ
(母ちゃんは 子供達を)
おーぎ につかし うず
(扇いで 寝付かしている)
昔はよくこんな光景が見られたものです。
十五夜にちなんで
アモイ(平良市出身)
みゃーくん うーたーとぅけぬ 十五夜の思い出がもーかきみーってぃうむいばどぅ、あんちなー うぶいゆーくとぅぬ ぴいっちゃしか にゃーんにすぅが、かかいでぃべーやー?(宮古島にいたときの十五夜の思い出を書いてみようとしたら、記憶に残っている事がすくないけど、かけるのかなー?)
中国では十五夜は「中秋節」といって月餅を食べる習慣があるので、毎年取引先から贈り物として大きい箱に入った月餅が届けられる。ものすごい箱で届けられたりするのだが、中身はあまり多くない。その過剰包装ぶりに、政府も腰を上げて過剰包装を控えるように通達もしたという話もあり、最近は前ほどひどくはなくなってきている。
また年に一度しかでないので、名のある会社が前年に売れ残った月餅を再利用し、立ち入り検査を受けた。なんていう事もニュースになったりしていたが、最近は食品検査も厳しいようなのでそんな問題は解消されていると思う。
そんな取引先からもらった月餅を食べた後、会社の帰りなどは月が出ているか確かめるのは毎年恒例だった。月が綺麗な時は思わずデジカメで撮ったりしたが、肉眼でみるほどいい写真は収められていない。
宮古での十五夜で覚えている事といえば、昭和40年前半の小学生から中学生の頃に爆竹で遊んだことだろう。確かに十五夜だったよなー?
部落中の男の子があつまり暴走族ならぬ徒歩族みたいな感じで爆竹を鳴らしながら歩き回るのだ。2B、3B、ダイナマイト、ねずみ等と言って10種類位はあったはず、爆竹は自分が持っていなくても、持っている人に付いて歩くだけで楽しめるのだった。
中でも一番多かったのは、タバコより一回り小さいくらいの大きさで赤い色をした「2B」」だった。火をつけると、白い煙をだし、30秒前後位に爆発するのだ。気づかないように人の足元に置いて爆発させびっくりさせたりするが、爆発前に相手が気がつき、投げ返されたりして爆発ぎりぎりまでスリルが味わえるのだ。
かっこいいやり方として、点火をして爆発間際までもっていて、空に投げたときにタイミングよく爆発させる方法があるが、あまりうまく行かず、投げても爆発せず落ちてきてから爆発したり、変なところにおちると不発になったりもする。またタイミングが遅くなると投げる瞬間に耳元で爆発して痛い思いをする事もあったものだ。
ダイナマイトは点火してから3〜5秒くらいで爆発するので点火する時ちょっと怖かったりするものだ。癇癪玉は叩きつけて人を脅かすのにつかったり、2Bや3Bを空き缶の中にいれて空き缶が上に上がるとうれしかったものだった。
夜遅くまで爆竹遊びをしたにもかかわらず、翌朝登校するときはちょっと早めに家をでて、昨晩遊んだ道で不発弾を探しながら歩くのだった。爆竹の点火部分から中央にかけ指で押さえてみると、火薬が残っているのは硬くて不発弾の可能性が高いのだ。小遣いが少なく少ししか買えない子供にとっては不発弾を探し当てた時はすごいうれしい瞬間だ。メンコやビー玉等と並んで爆竹もかなりわくわくする楽しいあそびであった。
ちなみに中国人は爆竹や花火が大好きで結婚式や会社の竣工式などの行事があるときに爆竹を鳴らしますので、普段でも頻繁に聞こえてきますが、なんといっても旧正月がいちばんであろう。店先では店の入り口が塞がるほどブリキ缶大の箱がつみあげられ、旧暦の大晦日はまるで空爆でも始まったかのように、街中がすさまじい爆発音に包まれます。
十五夜の食べ物ではフカギムツ(おはぎ)を作っていたが、当時はあまり好きじゃなかったのだった。小豆をくっつけてあるより、あんこ餅の方が好きだったし、うちではほとんどフカギは作ってなかったせいも有るのかもしれない。今ではメタボリックに近いせいもある為か、好みもまったく逆転してしまっている。
あの頃は つきす゜ぬ ゆー(月の夜)も当たり前の事で、その良さを全然感じていなかったですね。もったいなかったなー。その為か思い出も少ないですね。人恋しくてセンチになるはずの秋なのに、十五夜の満月をみても、あの子は今頃この月をどこでみているんだろう?なんて言う事も感じなかったのかなー?
おしらせ
■琉球民謡伝統協会 神奈川支部 第一回発表会
菜の花(伊良部町出身)
くまかまライターのマツカニさんが教えるサンシン教室の発表会が「南風を感じて〜笑顔あふれる唄三線〜」と題して行われます。
日 時 | 2007年10月7日 日曜日 開場/午後4時 開演/4時30分 |
会 場 | メイプルホール tel/042-751-5011 (JR横浜線 相模原駅より上溝方面へ15分 高校入り口下車) |
料 金 | 前売券/1500円 当日券/2000円 |
お問合せ | チケットのお問合わせ tel/090-9382-4886 |
当日は沖縄から琉球伝統協会の方がお祝いに駆けつけ唄・踊りも披露してくださいます。お時間のある方は、一緒に琉球の唄・踊りを楽しみませんか〜♪
■「第34回 関東宮古ふるさとまつり」 関東宮古郷友会連合会より
今年も、関東宮古ふるさとまつりが東京で行われます。当日は、飲食物の持ち込み自由です。ピクニック気分でまつりを楽しんでください。たくさんのご来場をお待ちしています。なお、飲食物の売店などはありませんのでご了承ください。
日 時 | 2007年10月14日(日) 雨天決行 13時開場 14時開演 |
会 場 | 上野水上音楽堂(03-3828-9168) (JR上野駅・御徒町駅 徒歩10分) |
入場料 | 前売り3000円 当日3500円 |
主 催 | 関東宮古郷友会連合会 |
チケット お問合せ | 宮古郷友会事務局(クイチャーパラダイス内) 電話 03-3982-2446 mail info@quipara.jp |
【予定プログラム】
・なりやまあやぐコンテスト(開場から開演の間の時間に行います)
・宮古島各郷友会の芸能
・クイチャーパラダイスのライブ
・下地 勇ソロライブ
・なりやまあやぐコンテスト優勝者の演奏披露
・エイサーなど
※飲食物、三線、太鼓等の持ち込み自由!! みなさん、んみゃーちよー。
編集後記
松谷初美(下地町出身)
すだーすすだーす(涼しく)なったかねーと思ったら、残暑厳しい日が続いている東京です。みなさんのところは、のーしーがらーやー(いかがですかー)?
今回は、十五夜が近いということで、十五夜特集を組んでみました。(前号の編集後記で十五夜は18日と書きましたが、25日の間違いでした。大変失礼しました。)
やらびぱだ(子どもの頃)、十五夜は特別な日でした。夜遅くまで遊んでも怒られないし、煌々と照る月は私たちを、にっこりと笑って見守っているようでした。そのシーンを思い出すだけで、だいず 幸せな気持ちになります。
そういえば、やらびぱだの十五夜では、雨が降ったという記憶がないのだけれど、十五夜は晴れの得意日だったのでしょうか。
さて、ライターそれぞれの月夜の話。懐かしく、楽しく、味わっていただけたのではないかと思っています。
あば本舗さんは、屋根や前浜で月見を楽しんだんですね〜。前浜で月見というのは土地柄ですね。お兄さんたちが作った草の香りのする月見台で見る月は、また格段と風情があったことでしょうね。
ふきゃぎは、自分で作ったことがないので、今年の十五夜には、挑戦してみようと思っています。それにしても、どうして塩味なのでしょうか。ご存知の方は、ならあしふぃーさまち(教えてください)
ビートルズ世代のサラリーマンさんの話は、掲示板に書き込みがあったものをメルマガでも紹介させてもらいました。情景が絵のように浮かびますねー。家族のそれぞれの姿から温かいものが伝わってきます。
「十五夜にちなんで」は、中国に詳しいアモイさんならではの話も入ってうむっしでしたねー。中国では月餅を食べるんですね。爆竹は、うちの兄たちもやっていました。2B、3B、癇癪玉など、懐かしすぎー!ぼうちら(腕白坊主)たちの姿が見えるようです。
現在は、昔のような十五夜の過ごし方はしていないようですが、ぴさら(平良)のほうでは、しーしゃがうがう(シーサーのかぶりものを作り、家家を回り、お菓子やお小遣いをもらうというもの)をやる子どもたちの姿が見られるようです。
時代が変わっても、月夜を楽しむ余裕は持っていたいなーと思いますね。
十五夜特集、あなたはどんな感想を持ちましたかー?今号の感想も どんない(どしどし)お寄せ下さいね。
おしらせも二つありました。
マツカニ(棚原芳和)さんの三線教室の発表会には、マツカニさんはもちろん、菜の花も出ますよ〜。楽しみですね〜。ぜひ、みなさんも足をお運びください〜。チケットの予約はお早めに。
「宮古ふるさとまつり」はこれまで、ホテルなどで行われることが多かったですが、今回は野外だそうです。また違った楽しさが味わえそうですね。くま・かまのメンバーも行く予定ですよー。盛り上がりましょうね〜。
次号は、11月1日(木)の予定です。どうぞお楽しみに〜。
季節の変わり目です。
感冒などしないように、がんずぅ(元気)で いましょうね〜。しまいぎー ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃでした〜。
つかー、またいら!