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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol. 168

2021 5/04
メールマガジン
2008年3月20日2021年5月4日

こんにちは〜。
きょうは、「春分の日」ですねー。いかがお過ごしですかー?春のくま・かまもいろいろな話が、だう(たくさん)!
どうぞお楽しみください〜。

目次
  1. 一行詩
  2. 「白水」・・・「しら」
  3. おしらせ
  4. 北中2期卒・卒業30周年記念同期会
  5. お便りコーナー
  6. 編集後記

一行詩

ワタリマリ(上野村出身)

★春のみなか うっさ゜ぬ ぱるうーちぃ とぅびぴいさ
(春の庭 すずめが ぱたぱたととんでいく)

※ぱるうーちぃにぴったりの標準語訳がなかなかみつからず・・どういえばいいのかなあ。じゃあねえとでも言っているような飛びかた。親戚の子がまだ小学生のころ「すずめがぱるう〜ととんでいく」とそのままの詩にしたそうだがそのリズムが私は好きです。

★うぐいすゆう うわまい んみゃあち 春のみなか
(うぐいすよ あなたもおいでなさい 春の庭)

※母がうぐいすの声が聞きたくて庭に出るのだが、聞こえるのはすずめの声だけだそうです。母はすずめに言いました。うおばああびいりゃあ うらん うぐいっすぅやらし と(あなたのことはお呼びじゃないのよ うぐいすさんにきてもらってと)きっとすずめはこう返したくなるだろうな春のみなか くまあ ばんたが みゃくさい(春の庭 ここはわれらの みやこだよ)

★赤―ぬ実ぬ(あかーぬみぃ)ざうかにぎいぬ きいぬ すたん
(赤い実の 春グミの木の この下で)

※家の近くに大きなグミの木があり、そこは子供たちにとって秘密基地みたいなものでした。ままごとあり、チョッピリすっぱい恋の話しあり、だけど禁じられたことが一つだけありました。グミの木の下では絶対に寝てはいけないことです。鳥になってしまうといわれていたのです。(でも・・・誰に聞いてもそんなのしらないという??じゃあ誰がうちに教えたかさあ)

★んまーぬ むのお じょうぶん まあんちぬ うむくとぅう たあ
(おいしいものはいりません 本当の賢さをください)

※つくづく思うのです。基礎学力がないと。それと物事を考えるという事も出来てない。人間が深くない。だからほんとうの賢さがほしいのです。私がいう賢さとは、考える力、思考力のこと。

★かいまい くいまい ぴとぅだましゃ ぬ うぷううすり
(あの人もこの人も 詐欺師のおおうそつき)

※まったく世の中何を誰を信用すればいいのか。隠されていることはまだまだたくさんあるだろうなあ。「いのちの食べ方」という映画をみてみようっと。

★うわまい ぷりむぬ ぶとぅん だまさりい あがたんでぃ
(あんたもあほだわ 夫にだまされ あーあ!)

※夫との会話で っんもう!だまされて一緒になってしまったという私に夫が勝ち誇たように返す。だましたおいらが悪いのか だまされたお前が悪いのか。その上、ほれたあんたがわるいのさああ?!!やがまっさあ〜んぎゃます!

「白水」・・・「しら」

カニ(平良出身)

昨年の夏の日のことだ。太陽の照りかえる暑い日だった。カニは隣の石垣島に仕事の用事で出かけた。用事は夕方6時までには済んだ。カニは名蔵にある「白水」という場所に出かけようと計画した。

「白水」は石垣島では最も自然の豊かな場所だ。オモト山系の水がこの地に集まってくる。山の至る所から水が湧き出ている場所である。ここは今から15年程前に1人で探りあてた場所でもある。「白水」という名に惹かれてカニはこの地を探した。

「白水」の「水」とはどのような水だろうか?そんな簡単なことがカニを誘った。清らかな水が湧き出ているに違いない、そう思った。

新聞で一人の老人が「白水谷」のことを載せていた。「石垣島市民の水がめである白水谷の自然を後世に残していこう」。ダム建設の話が持ち上がっていたのだ。

白水の自然観察会が行われた。新聞に「白水」のことを載せた一人の老人も自然観察会主催者の代表になり参加されていた。波照間島の生まれだった。

戦争中にはこの白水の地に石垣島の市民らは避難し生活していたとの話に始まり、石垣島の雑草や木の話、動植物の話、そうして何百万年もかかってできたオモト山系の花崗岩の大岩から染み出てくる素晴らしい「白水」の「水」が、自分は世界で一番美味しい水だ、ともいう話、すべてが生き生きとカニの心に聞こえ響いてきた。一本の老木をみてその木にまつわる話を淡々と心豊かに語ってくれた。心の豊かさを感じた。

名蔵湾の砂浜に隠れる小さな生き物たちを楽しそうに子供らと一緒に泥まみれになり掴み、その特徴などを説明していた。生きた教育とはこんなものかもしれない・・・そう思った。学ぶ楽しさ、考える楽しさなど理科教育・自然科学の楽しさを実践していた。

教育とは一体何だろうか・・・己自身の頭の中で世の中の物事を考えられるように一人の人間として自立したい・・・自分の言葉で語りたい・・高校を卒業しても何一つ宮古島のことなど分かっていない・・・。これまでの理科教育、そう自然科学に対する教育のあり方にはカニは疑問を持っていた。子供らと一緒に故郷の野山をかけめぐる先生がいた、そのような一人の老人が「白水」を愛していた。

その老人が「白水」の地には「清らかな神聖な水」が流れていると話してきた。その話でカニも白水をだんだんと好きになっていった。暇があれば何度も「白水」の地に通った。多くの木々や植物の種類、生き物の種類・・・白水谷の森は凄かった。訪れるごとに感動した。

オモト花崗岩の大岩から染み出てしたたり落ちてくる美しい水(かぎみず)・・・両手の掌を丸くして「美ぎ水(かぎみず)」をすくい飲んだ。何度も何度も飲んだ。「美ぎ水(かぎみず)」を飲むときには、自然とこころが神聖になった。

宮古島の古い歌「弘治年間仲宗根豊見親島の主成り候時のあやご」に次のような句が出てくる。

白か川の、湧とどか かげ水
ちきゃい水 すずか水 のます
・
・
へとら川の、湧とどか かげ水
ちきゃい水 すずか水 のます
・
・
へふつ川の、湧とどか かげ水
ちきゃい水 すずか水 のます

これは、仲宗根豊見親が宮古島の主となった1500年頃に、生活水を確保しようと工事を計画し、各地の為政者(友利大殿、砂川大殿、川満殿、真直金殿ら)らと、湧き出る かげ水(かぎ水)を飲み、堅い誓いをかわした時に詠ったあやごである。

このあやごでは、湧き出る清水を「かげみず」と表現している。沖縄本島では「清水」に「ちゅらみず」というかなを充てる。宮古では「清水」を「かげみず」と言い、ここに「かげ」=「美しい」という宮古独自の方言になっていることも分かる。

沖縄本島などでは、美しいことを「ちゅら」と言い、宮古では「かぎ」と言っている。「かぎ」の語源が「かげ」になっていることが理解できる。昔、上代の時代には、月の影、太陽の影などを「美しい」ものとして表したかもしれない。宮古方言には奈良時代などに使われていた「古語」が多く残っていると言われる。こんなところにも「あぱらぎ」「かぎ」の宮古方言の語源の謎解きをする糸口が現れてくる。

もうひとつ、誓いの水を神聖な水とし、「すずか水」といっている。神聖な神事を行う人や霊感のある人を宮古方言では、「しず」という。くいちゃ−あやごでも「しず」が出てくる。

かむからまい しずからまい あらんすがどぅよ
(神でもない、神事を行う霊感者でもないがね)

「すずか水」とは「しずか水」で清らかな神聖な水のことを指している。宮古方言の「しず」の語源は神聖な水・「すずか水」から出ているのかもしれないと想像する。

この「かげみず」「すずかみず」が「しらみず」と呼ばれているのだと思う。

話は横道にそれたが、カニは「白水」の地を何度も訪れた。特に石垣島の最後の年には素晴らしい「白水」の地に何度も何度も赴いた。「白水」の入り口に入ると、第1の沢と第2の沢に分かれていた。第1の沢を奥に進めば「白水の滝」があった。石垣島の人たちですらこの滝の存在を殆ど知らない。

「白水の滝」までは約1時間半程の行程でたどり着けた。暑い夏の日には冷たい水の流れる渓流沿いのコ−スを選び、渓流の岩をよじ登ったり、岩と岩の間を、短い足を精一杯伸ばしながら「白水の滝」に向かって進んだ。寒い日には遠回りのコ−スで山間を渓流に沿って登ったり下りたりして「白水の滝」にたどり着いた。

「白水の滝」が落ちてくるオモト花崗岩の断崖を見ると、これが何百万年も昔から今日に至るまでオモト山系から湧き出る清水により侵食されてきたことが思い浮かばれた。

人間の一生なんて何とちっぽけなんだろう・・・何故、小さなことにくよくよしているんだろう・・・もっと大らかに生きよう・・・そんなことに思いを馳せた。

絶え間なく自分と向き合うことができた。「白水の滝」の下で、大きな岩に滝のしぶきをあびながら何時間も寝そべった。目が覚めると何度か元気になった。「よし、さあ、また明日から出直しだ」「頑張ろう」・・・そんな気になった。命の源となる力を感じていた。
・
・
・
そんな思い出深い「白水」の地に14年ぶりに訪れた。着いたのは夕方の7時、日は暮れかかっていた。カニは急いで入り口から中に入っていった。森の入り口には、宮古島では少なくなったアワダンの木が沢山茂っていた。入り口から見える森の頂上には白い花が咲いているのも見えた。イジュの木の白い花だ。直感でそう思った。

少し進むと清らかな白水川が姿を見せた。昔のままだった。第1の沢にいく道は細く、第2の沢に行く道は広かった。細い道は草に覆われていた。間違って第2の沢に入った。宮古島では少なくなったキノボリトカゲが無数にいた。イジュの若木も沢山あり、橙色の若葉が森の中を鮮やかにしていた。

だんだんと進んで行き、ここは第2の沢なんだと思った。「白水の滝」に行く道ではないことを悟った。急いで戻った。会議に出てその帰りだったので、靴はお出かけ用、ズボンもお出かけ用だ。だんだんと汚れていくのも分かっていた。

もう一度入り口に戻り、今度は第1の沢に入った。2箇所で川を横切らねばならない。新品同様の靴が濡れてしまった。14年前の白水の光景がすべて甦ってきた。カニの脳裏に刻み込まれた白水の地、白水の香、薄暗くなる森の中でカニは興奮しながら足を急がせた。

途中に第2次世界大戦中に非難していた石垣島の住民の生活跡を思わせる石積みの囲い、炭焼きをしていたと思われる穴跡などがあった。それも全部、昔見たままだった。

「白水の滝」が見たい。カニは興奮し、走り出した。心が熱くなった。胸が高鳴った。こんな心のあり方は初めての経験だ。何だか嬉しさのあまりに心が高まっていくのが分かった。カニの愛した「白水」の地に再び戻ってきたのだ。

薄暗くなってくる中、渓流の岩を上がっていった。渓流の傍には、石垣島と西表島にしかない「ツルアダン」の木が、まるでツル植物のように伸びていた。このツルアダンの木に咲く花の色は鮮やかな黄色だ。いつ頃、黄色花を咲かせるのだろうか・・・そんな時期にまた来たいな・・・あたりは暗くなってきた。迷子になるかもしれない、と「白水の滝」に行くのは諦め、帰路に向かった。白水の渓流の「かげみず」「すずか水」で顔を洗い、両手の掌に「しらみず」をすくって飲んだ。

「あーやはり白水はよい」

「きて良かった」

「また来たい」

気がつくとあたりは暗くなり、カニは借りてきたミニバイクで裏石垣に住む義妹の家路に向かった。途中、オモトトンネルを越えながら、夜空に輝く星くずを見た。さそり座が南天の空に輝いていた。

「白水」の「しら」とは命の源との意味があるような気がした。刈り取った草を重ねると小さな草の山(盛)ができる、これを「ふさじら」と呼んでいる。刈り取った稲穂を積んだのを「穂積」とも呼ぶ。これも「しら」になる。稲は命の根源だ。畑を掘り起こし出てくる石を積んだら、これもまた小さな山(盛)になる。このことを宮古方言で「しゃ-がる」という。「しらがる」から変化した言葉だと思う。

小さな山(盛)は妊婦の腹にも似ている。「しら」という言葉はお産にも関係している。子供が生まれる産屋を「しら」とも呼ぶ。妊婦は「しらぴとぅ」と呼び、産婦は「わかじらぁ」とも呼ぶ。宮古の方言で、しらいん(しら犬)とは産褥期に入った犬のこと、しらわ-(しら豚)とは産褥期に入った豚のことだ。産婦が産褥から離れ外に出て歩くことを「しらあき」とも言っている。

「しら」とは生まれ出る、生み出すところとの意味がある。

「白水」・・・命の根源が生まれる地・・・カニはその地で14年ぶりに
心から感動していた。

八重山の「とぅばら-ま」が自然に出てきた。

うう"ぁとぅ いでぁい(あなたと出会い)
  
 くくるどぅ なゆず(心がゆれる)
  
 ぷからしゃぬ ぷからしゃぬ(嬉しくてね)
  
 しらぬみずぬ あてぃかぎかりゃよ(白水川の水が清らかなことよ)
  
 うう"ぁん−だかん(あなたのように)
  
 あがいたんでぃがま(あ〜)
  
 かなしゃ-がまよ(愛する人よ)

おしらせ

ポストカードプロジェクト ぴん座より

■映画「ポストマン」 上映記念オリジナルポストカード(三枚セット)を製作

昨年11月、ポストカードアート展を主催したぴん座プロです。ご来場くださったみなさん、その節は、ありがとうございました。

さて、ぴん座プロでは、このたび映画「ポストマン」の上映企画の一環として、宮古島限定の「オリジナルポストカード」の特典を製作させていただきました。詳細は、下記のようになっていますので、よろしくお願いします。

日本郵政グループ誕生記念の映画、「ポストマン」(主演・製作総指揮:長島一茂)が、2008年3月22日(土)より、全国一斉ロードショー公開されます。

宮古島では、島唯一の映画館「シネマパニック宮古島」にて上映。また、この映画は民営化された郵便局会社で、映画鑑賞券を販売(郵便関連商品以外の初めての取り扱い商品となります)。

「ポストマン」製作委員会の公認企画として、宮古地区の郵便局、シネマパニック、ぴん座プロの三者が、コラボレーションとして、宮古限定で展開しています。

郵便局でチケットを買って、シネパニで映画を見に来てくれた、先着400名様限定に、ぴん座プロが製作した「ポストマン」上映記念オリジナルポストカード(三枚セット)をプレゼント。

自画自賛ではありますが、カードはかなりの出来です。もちろん、暖かくて熱くてちょっぴり泣ける映画「ポストマン」もオススメです。

【詳細】

「ポストマン」公式HPhttp://www.postman-movie.jp/
チケット販売宮古地区各郵便局(簡易局をのぞく)、シネマパニック
上映期間2008年3月22日(土)〜4月11日(金)
上映場所シネマパニック宮古島(旧宮古国映館)
お問合せ0980−75−3215
※特典がもらえる条件郵便局でチケットを購入し、シネパニで「ポストマン」を見た方
(シネパニの年間会員も可)、先着400名様限定。

※こちらで特典ポストカードの図案が見れます↓

※特報! 「第二回 ポストカードアート展 ぴん座 2008」、9月開催決定!

北中2期卒・卒業30周年記念同期会

R(平良出身)

去年の「くま・かま本」の出版記念パーティーの席で偶然会った同級生が「中学時代の同期会を来年計画しているから是非参加してほしい」と声を掛けてくれました。中学の頃のままの彼の笑顔に誘われて、「行くからねー(参加します)」と即、その場で返事をしました。

私は、平良中に入学し、2年生に進級する時に新設された北中に移った北中の2期生です。中学を卒業して30年後に行われる同期会は、平良中の卒業生によりずっと以前から毎年(毎期)行われているようで、北中においても1期生から始まったということでした。

その同期会は桜の花咲く2月23日、じゅうるくぬつ(十六日祭)の翌日に行われました。(平良中の同期会も場所を違え、同日に開催されました)

午前中、北中体育館でのソフトバレーボール大会に始まり(動きが鈍くなった体をみんなで認め合い)、記念植樹(黄色の花が咲く「いっぺー」の木を植えました)、記念品贈呈(図書購入費を贈りました)と行い、夜は、ホテル共和の新館ホールでの宴会へ続きました。

当日、宴会の参加人数は、先生方7人を含む76人。その内の17人が、宮古島以外からの参加者で、名古屋・兵庫・千葉・東京など、本土からの参加者は、8人でした。

舞台は、「トーガニアヤグ」の唄に合わせた同級生の踊りで幕を明け、のひなひろしさんが「うりずんの島」を歌い、盛り上げてくれました。

小学校から一緒の懐かしい面々ばかりなので、その日は、中学時代を超え、思い切り30年以上の時間を遡ることから始まりました。

思春期を迎えている当時は、運動会のフォークダンスでは、棒きれを準備し、手と手を繋がないようにしたりと、かなり異性を意識して男子と女子の間には高い壁がありました。しかし、30年の時間はその壁を充分に崩してくれていました。

覚えている顔を見つけ話かけて行き、「どうしてたー?」と会話を進ませますが、中には名前を思い出せない人もいます。男女の壁が無くなるともう遠慮は要らない間柄です。正面から「うばぁー、とぅがー?(あなたは誰だった?)」と尋ねると「ばやー、○○ゆー(私は○○だよ)。はい、のーしすっさいんがー(どうしてわからないのかな)」と返す場面がくまかまで見られました。

中学時代の話になると話に登場する主人公は覚えていないことばかり。共有した時間・空間の中で心に残るエピソードはそれぞれ違うことも楽しい会話へ発展して行きました。

宮古島で一番おいしいと評判のレストランのオーナー、女性に癒しの時間を提供するエステサロンのオーナー、宮古のおじー・おばーの世話をする介護センターのオーナー、「それぞれ得意分野で頑張れ!」と生徒を励ます母校北中の美術の先生、宮古島市の市民サービスに奔走する市の職員、オートバイの修理屋さん、タイル工・サッシ工・内装業などの職人さん(本土で親方になっている人もいました)、愛しいカントリーボーイのレントゲン技師、寿司職人をしていた時に金沢からのお客さんが北中の同級生を知っていてびっくりしたと話してくれた人、独身貴族の銀行員、背筋がぴーんと伸びたホテルマン、陽気な養護学校の先生、中学時代のアルバムを持ってきてくれた人、二十歳の頃に作った服を着てきた人(体型が変わっていないんだってよー、さすが!)、リーゼントヘアーのスタイルを続けている人(息子さんにも引き継がれたそうです)、香港に転勤になって3ヶ月で英語をマスターした人(彼は沖縄のリゾート産業の発展を目指し、新しい事業をスタートさせたそうです)、会社で責任ある地位についた人、同級生と組んで新しい会社体制にかえる人、好きだった人、転機を迎えている人、最近結婚した人、同級生同士で結婚した人、姉さん女房をもらった人、多良間に嫁いだ人、本土に嫁いだ人、スマートに東京の言葉で話す人、明るく関西弁で話す人、4月には宮古を離れ沖縄本島の高校に進学が決まった息子さんがいるちょっと寂しい気分の人、二十歳を超えた美しい娘さんの写メを見せて「これ、自分の長女」と誇らしげな顔を見せてくれた人、孫がいる人、東京で5人の子どもを育てている人、子育て真っ最中の人(2歳と4歳の子どもがいるそうです、頑張って!)、離婚して宮古島に戻って輝いている表情を見せてくれた人、「自分のかあちゃん(奥さん)が一番好き」と家族を大事にしている様子を見せてくれた人、中学生時代はぼうちり故に敬遠される存在だったと思うが「子どもを育てることで勉強がまだ続いています」と丁寧に話してくれた人・・・30年積もり積もった話は一夜では語り尽くせませんでした。

確かに皺は増え、太ったり痩せたり、髪に白いものが見られるようになったり、おでこが広くなったりと外見は変わったかもしれませんが、話をすると殆どの人が「○○、変わってないねー」との印象を持ったようです。心根が変わっていないということでしょうか。

宮古島を故郷とする者は、中学・高校を卒業すると大方、進学や就職のため島を離れます。(全ての離島では同じ状況でしょう)島に残る親たちは、子どもが島を離れることを「旅に出る」と表現します。宮古島に戻って住む事はなくても親にとって子どもの「旅」は続くのです。

旅から帰った者が実行委員会を立ち上げ、まだ旅の途中の者にも声を掛けてくれ、うがなーり、ぱなすゆしー、あーぐゆあっじ、ぶどぅり、あまい、かたむすゆ組み(集い、語り、歌い、踊り、笑い、肩を組み)、中学生ではできなかった(?)お酒を飲み、別れました。

楽しいばかりではなく、つらい事、悲しい事を一つずつ着実に乗り越え(乗り越えざるを得ず)、今のいい顔になった同級生を何に例えましょうか。

そう、・・・やはり「花」だと思います。

30年かけてそれぞれ自分の「花」を美しく咲かせた姿を見せてくれた時間が、この同期会だったと思います。私も自分の花を見せてあげられたでしょうか。

翌日、後ろ髪を思い切り引かれながら、仕事のため、宮古空港から東京行きの飛行機に乗りました。東京では、春一番が吹き荒れる中に、しっかりと咲く梅の花を見つけました。

みんながそれぞれ過ごす土地で自分の花を咲かせ続けることができるように願わずにいられません。

30年。
長い時間ですが、確実に経ってしまった時間。これまでは前だけを見て暮らして来たように思います。立ち止まり、振り返る事もいいものだと感じた一日でした。
 
たんでぃがー、たんでぃ。

お便りコーナー

めいさんより

くまかまvol.167も楽しく読ませていただきました!ありがとうございました!

「サニツの風景」
サニツの時期に1度だけちょうど宮古に行っていたことがあるんですけど、確か来間島の海岸でいろいろと収穫?捕獲?(笑)している人たちがたくさんいたのを見たことがあります〜。B.サラさんの書かれていたほどのどかな雰囲気ではなかったけど、年に1度の自然からの贈り物を地元の人たちが楽しみにしている感じが伝わってきたのを思い出しました。みゃーくの いむのかぎさ、いつがみまい、いつがみまい!!ですねー。またいつかサニツの頃に宮古に行きたいな!

「虫釣り」
私も子供の時やりましたよ!釣る道具はニラの葉でした。本当のニラか、単にニラのようなにおいのする細いスッとした葉っぱだったかわかりませんが。。でもどんな虫が釣れたのか、全然覚えていない!(笑)ハンミョウだったのかなぁ。。ちなみに私は蛙はちいさいアマガエル(黄緑色の2cmくらいの)なら大丈夫ですが、デッカイのはダメです。芋虫は、、、ダメですねー。絶対触れないです(笑)割りばしでつまみますねー。

「宮古んつで麻婆豆腐」
おいしそう〜〜!!食べたくなりましたーー。麦麹なんですね、宮古のみそは。粒粒が残るタイプですかね??水に溶けないことは知ってます!(笑)おかあさんの手作りみそなんて素敵ですね〜。

「お袋と宮古島女工哀史」
宮古島でも紡績工場に出稼ぎに行かれた方がいらっしゃったんですね。昔は、家族のためにみんな家族や故郷と別れて若いうちから出稼ぎに行ったんですね。大変な苦労だったでしょう。唄うことは唯一のなぐさめだったんでしょうね。。歌はその時代の人々の生活と歴史を映し出す鏡のようですね。

※BBSも春の訪れを告げるものが満載でなんだかうきうきしますね。それから、多良間島ってそんなにフクギがたくさんあるんですね〜。私、フクギが大好きなんです。白保や波照間の集落を歩いた時、フクギの木が多くて、すごく癒されたというか心が落ち着くんですよね。渡名喜島もすごく美しいフクギの並木があるんですよね、、、写真でしか知りませんが。本島の備瀬は有名ですけど。フクギ廻りでもしたくなってきました〜(笑)

編集後記

松谷初美(下地町出身)

祭日なので、ゆったりくつろぎながら読んでくださっている方も うーぱずやー(いるでしょうね)。ぴんがん(お彼岸)で、お墓参りに行って来た方も多いでしょうか。

ぴんがん(お彼岸)には、都会の墓地でも、線香の かざ(匂い)が漂っていますよ。ばんたがやーぬ つかふんな(我家の近くには)、大きな墓地があるので、手に花と線香を持ったお墓参りの人たちで賑わっています。こういう光景、いいなーと思いますね。

宮古の ばんたがやー(実家)では、ぴんがんのきょうは、お墓参りはせず、お餅や ぱんびん(天ぷら)、あぎどうふ(あげ豆腐)などを作って、重箱に詰め、かんたな(仏壇)に供え、かびじん(紙のお金)を焼いて焼香をします。じゅうるくにつ(十六日祭)は、あの世のお正月なので、ゆで卵やイカを赤く染めてめでたく華やかにしますが、お彼岸は、赤いものはしないのだそうです。母ちゃんは今頃、料理の準備をしているかねー。私も東京から、とーとぅーい。

さて、今回もいろいろな話しがありましたが、のーしがやたーがらや?

ワタリマリは、お兄さんの詩でおなじみですが、一行詩は今回が初めてでした。春の風景とワタリマリの飾らない気持ちが表れていて、共感した人も多かったのではないでしょうか。ぱるうーと飛ぶスズメの様も見えるよう。みゃーくふつの擬態語は、まーんてぃ あずーあず。

14年ぶりに「白水」に会いにいったカニさんのお話し、感動が伝わってきましたねー。「白水」の豊かな自然、水ぬ かぎさ(きれいさ)、自分もその場にいるような清清しさに包まれ、“「白水」・・・命の根源が生まれる地”の言葉には心ふるえました。

映画「ポストマン」と「オリジナルポストカード」のコラボはだいず画期的ですね〜。ポストカードも まーんてぃ ずみ!行ける方は、ぜひ、手にしてくださいね〜。「ポストカードアート展2008」も9月に予定されているとのことで、こちらも楽しみです。ぴん座プロさん、頑張ってくださいね。おしらせありがとうございました。

宮古の同期会は、ほんとにどの世代もすごいものがありますが、Rさんの同期会も素晴らしかったのが分かりますね〜。Rさんの あぐ(同級生)たちへの想いがやまかさ(たくさん)伝わってきて、なだ(涙)がこぼれました。同級生てぃ まーんてぃ ぞうむぬやー(いいものですね)

お便りを紹介した、めいさんは、最近メルマガの登録してくださったそうで、感想を送ってくれました。掲示板も見てくれているとのこと。ぷからすむぬです。味噌が水に溶けない話は、どこかで聞いたような?(笑)感想、たんでぃがーたんでぃでした。これからもよろしくお願いしますね。

それから、掲示板でも書き込みがありましたが、『島へ。』という雑誌の5月号(4月1日発売予定)は、宮古特集だそうですよ〜。(3月号では下地勇さんがばっちり紹介されていましたよね)いろいろな宮古を取材したようですので5月号も楽しみですね。発売されたら、お近くの本屋さんでぜひ! 『島へ。』HP http://www.kaifusha.com/

今回も、しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃでした。(最後まで読んでくださって、ありがとうございました)

うわが感想ゆまい きかしふぃーさまちよー(あなたの感想も聞かせてくださいね)お待ちしています。投稿もお気軽にどうぞ〜。

次号は、4月3日(木)の発行予定です。
4月には、花粉症も軽くなるべきかね〜。花粉症の方、お大事にねー。そうでない方も、季節の変わり目です。お体大切に〜。
あつかー、また来月お会いしましょう。

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目次
  1. 一行詩
  2. 「白水」・・・「しら」
  3. おしらせ
  4. 北中2期卒・卒業30周年記念同期会
  5. お便りコーナー
  6. 編集後記