こんにちは〜。
25度以上の夏日が続いている宮古ですが、そちらは、のーしーがらやー(どうでしょうかー)?
今回も幅広い内容でお届けします〜。 ぬかーぬか(ゆっくり)お楽しみくださいね〜。
野鳥観察記(4)―覗き見作戦―
あば本舗(下地・上地出身)
野鳥観察にハマッてから早や数年がたつ。初めのうちは、渡りの季節になると、双眼鏡片手に、かまんかい いきってゃー くまんかい まーりみーみーしーうたー(あちらこちらへと張り切って出かけていた)
あんすぅが(だけど)、そのうち地域や我が家周辺で、いつも見かける野鳥の存在が気になってきた。
ハト、カラス、ヒヨドリ、イソヒヨドリ、タイワンシロガシラ、そして、まちゃがま(スズメ)その他名前も知らない野鳥達は、一年中琉球諸島に生息している。そういう鳥達の事を留鳥と呼ぶそうである。
私が住んでいる沖縄本島中部の西原町は、豊かで変化に富んだ自然が多い。南風原と首里に隣接した池田地域や琉球大学周辺は、本島北部のやんばるに似たような原生林が広範囲に残っている。そのせいか住宅地にも野鳥の姿を多く見ることが出来る。
我が家の黒木やホルトの木にも、ぴじ かぎーぬ とぅす゜がまぬきゃーぬ あすひ゜ぃが き゜す(とっても美しい鳥たちが遊びにやってくる)
何とかして近くで見たい。いい方法はないものか?と、考えを巡らせてみる。そして、ハタと思いついた。隣家と我が家との塀の上にパンくずを置いて、窓の障子の隙間から観察するのはどうだろう! 早速、パンくずを細かくして数か所に置いてみた。
南側の窓から塀の距離は、ほんの1メートルほどだ。ガラスは閉めたまま障子をそーっと開け覗いてみる。フフフ。きしどぅうす゜きしどぅうす゜(来てる。来てる。)ヒヨドリが1羽せっせとパンくずをつついている。近くの枝にはタイワンシロガシラ3羽が隙を狙って飛び回っている。1羽のシロガシラがパンくずに近づこうとしたその時、ヒヨドリが攻撃を仕掛けた。隣家との間で野鳥たちの激しい攻防が始まった。
キーッ!ピピピピ!キーッ!けたたましい鳴き声が響き渡る。とうとうタイワンシロガシラは諦めて退散した。一部始終を障子の隙から覗いている私は、まるでTVドラマの「家政婦は見た」のようである?
あれから、天気の良い日などは、パンくずを置いて障子から覗く。訪問するのはシロガシラとヒヨドリが多いが、時には見た事のない鳥が来てくれる事もある。そういう時は思わずガッツポーズ。鳥達も人間の気配を感じるのか、途中でパーッと飛び立ってしまう時もありなかなかスリリングだ。
ばが しゆーくとぅたぁ んじょーな わじゃがらまい っすさるんぱずや〜てぃ うまーりばーまい あっすぅが あてぃうむっしかりば やみらいんゆー(私がしている事は、残念な(又は、品のない)趣味なのでは・・・と、後ろめたく思う時もあるが、とても楽しくてやめられないよ)
◇あの話をもう一度
マツカニ(上野・高田出身)
「根間の主 どぅかってぃ解説」(vol.141 2007/2/1)
宮古民謡の大きな特徴は、歴史的な英雄を唄ったものが数多いことだそうです。確かに私が知っているだけでも数曲あるし、物の本によると、一般に知られていないものも数多い。これは他所ではあまり見られないらしく、宮古人の気質の現れなのかも知れない。
さて今回の「どぅかってぃ解説」は その中から「根間の主」をとりあげました。(ちなみに「根間の娘」とは関係ない悪しからず)宮古読みは「にーまぬ しゅう」です。
「根間の主」 1.ヤイサユ にーまぬ しゅうがよ サーサー ぬーらみうに ヒヤルガヒー サーサー しゅうぬまいがよ サーサー ぬーらみうによ カリウシャホイ ヒヤルガヒー カナガマ ヤウドオ ドゥヌスミャ ヤウドオ ユーヤナウレ (カタカナ部分はハヤシ。以下省略) (根間の主が お乗りになるお船 お殿様が お乗りになるお船) 2.ふにがまどよ やりゃあまい みすぅがまどよ やりゃあまい (小さい船ではありますが 小船ではありますが) 3.いでぃがかずよ ぱるだてぃ ぬうす゜がかずよ そうせんよ (出航するたび春立船 首里昇りのたびに早船でございます) 4.いきまざき゜よ いき゜ばな ぱなりざき゜よ まあす゜ばなよ (池間島の岬を行く頃 離れ島崎を回る頃には) 5.おうぎ゜やとぅりよ まぬかでぃ かなみやとぅりよ しぬかでぃよ (扇をとって(航海安全を)招きましょう 扇の要をとって(航海の難を)凌ぎましょう)
(解説)
根間の主が首里昇りの際、愛するカナガマが見送っている様子が唄われています。軽快に演奏され、三線名人で高名な登川誠仁の「美ら弾き」という名盤でも取り上げられ、広く知られ唄われている一曲です。
CDなどでは5番まで唄われるのが通常ですが、ネフスキーや慶世村恒任の本などでは16番まであり、最後まできれいな対句になっています。
5番以降の内容は
航海の途中雨や風が吹くことと思いますが、それは私の吐息や涙だと思って下さい。沖縄までは糸や布の上を行くが如く平穏な船旅で無事国王にお会いできるようにと唄われています。
三線は早や弾きで、歌詞は伸ばして唄うので「工工四」を覚えるのに一苦労します。三線弾いて唄えるまでは時間を必要とする難曲です。
宮古の歌い手と登川流とを聞き比べるのもおもしろいと思います。
それではまた。
#参考:新里幸昭「宮古の歌謡」
兄を想って書いた詩(20)
ワタリマリ(上野・宮国出身)
この詩は、脳性マヒの あざ(兄)を想って書いたものです。
春になった 私は小学校の6年生。もうすぐ中学生 春の海を兄と一緒に眺めている 遠くの海には人や船が動画になったり、 静止画になったりして たのしげな様子だ 「はーい!ちいら、ぴしんかい」 (さあ、干瀬に行こう) 「ふにゃあ、あーなすー」 (船はあるのかね) 「ありいあーちかあ、ばぬうまい、ぬうしき」 (船があるんだたら、私も載せていってちょうだい) そんなおじさんおばさんの声が聞こえてきそうだ 「きゅうや、ぴしゃーだうぬ ぴとぅ」 (今日は干瀬はたくさんの人だね) うわまい いんかい いかじ? (あなたも 海に行く?) ・・・・・・ んなまあぬ いんぬみずっざ ぴっちゃあがま ぴぐうるーぬさあ (この時期はまだ海の水は冷たいよ) 兄は穏やかな顔で笑って 私の問いに答えようとしているようだ その日は さにつだった 私はなんだか海に降りたくない気分だった 誰にも言えない 自分の中だけにしまっておきたいことができたのだ 誰かに話せば内緒話ではなく それどころか噂の花が咲くに決まっている 反面話したくて むずむずしている 兄は絶対裏切らない ただ聞くだけ 気持ちに寄り添っているって本人は言わないけど 寄り添ってくれていた 兄に話しかけるときは自分にも話しかけていた 恥ずかしかった 友達がそっと教えてくれたのは修学旅行の時だった ○○君 あんたがすきってよ〜 そりゃ嬉しかったけど そんなことあるわけがないと少し怒って はずかしくって 拗ねた きっと冗談にきまっている こんな私のこと好きになるはずがない うわっ!どうしよう?と内心穏やかではないのに 素直になれない私がいた まともに目が合わせられないし 意識しすぎて 自分の取っている行動をよく覚えていない でも ずっと後になって そのことが勘違いだったことが分かった こんどは違う恥ずかしさと ホッとしたような 残念なような 泣きたくなるような 味わったことのないいろんな感情が交差した 自意識過剰な自分を恥じてもいた 自信のない私は 自分のことを否定するばっかりだった 兄の事を知らない友達に どうやって兄のこと話そうかと悩んだり 兄がいることで きっと誰も自分の事を好きにはなってくれないだろうと やけになったり うまくいかない事は 都合よく兄のせいにしたりだった。 なぜ私の兄がめずらしい人間なんだろう?障害者? 6年生の私にはそれが分からず 私は兄に話しかけながら答えを見つけようとしている ちがう みんなと違う みんなのうちには障害者はいない それはだめなこと? ダメなのにじゃあどうして兄はいるの? 誰も答えなんか持っていないのに 兄の目が語っていた うわがぱなすっう きかっちどぅ うまん ううさあ (あんたの話を聞きたいからそこにいるんだよ) んーな(皆)同じ にんぎん(人間) うりゅう ばっしいかあ ならんさ (そのことを忘れてはいけないよ) 兄はそう言っているようだ さにつの浜に降りたくないのに友達が呼びに来た 兄と話したことをそっと胸にしまって 何にも悩みなんかないよな顔して 春の浜遊びに歓声を上げた あれから20年 春になった 三月のある日 兄はしんだ そして私には小さな命が宿された 生まれてくる子に出会うことなく 春のざわめきをききながらそらに上ったんだ 春の風はやわらかく 兄と戯れながら私の涙をぬぐう
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
一昨日(17日)は、県立高校の合格発表の日でした。宮古は よーず(お祝い)ムードでいっぱい。私も、近所、親戚と三軒の合格祝いがあり、出かけました。お祝いの家の前はどこも車がたくさん。玄関は履物でいっぱい。(笑)どこの家でもちゃんと本人のお出迎えがあり、その場で本人にお祝いを渡しました。するとお礼の言葉とともにお返しが。これは、本人がお祝いをもらった人にきちんと挨拶をするというのとお返しの渡し忘れがないようという意図の両方を兼ねているんですね。宮古では定着したやり方のようです。いいなーと思いました。
宮古の子どもたちは、小学校入学、高校合格や成人式など、その都度たくさんの人に祝福されて、大きくなっていくんですよね。自分もそうでした。これはとても幸せなことだなーとつくづく思います。
さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?
あば本舗さん、今回は身近な野鳥の観察でしたね〜。首里に近い地域で、原生林があるとは。びっくりでしたが、つかふがま(近く)にたくさんの鳥たちがいるんですね。タイワンシロガシラを見たことないので、見てみたいと思いました。ばんまい、ばんたがやーのつかふ(私も、うちの近く)で とぅみみー(探してみよう)
春は出発の季節でもありますね。進学や就職、転勤などで宮古を離れる方も多いことでしょう。内容は異なりますが「根間の主」もこの時季に宮古を船で出発。また大切な人を見送る歌です。重なる部分があるように思い掲載しました。マツカニさんならではの分かりやすい解説、楽しんでいただけたと思います。
ワタリマリのお兄さんの詩は、一昨年ぶりでした。ワタリマリの心の中にはお兄さんとのさまざまなシーンが鮮やかに刻まれているんですね。あたかもつい最近の出来事のよう。思春期入口の切ない想いも伝わってきました。シリーズを読むごとにお兄さんの存在の大きさを感じます。
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お待ちしています!
今号も、しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(最後までお読みくださり、ありがとうございました!)
次号は4月2日(木)発行予定です。どうぞ、お楽しみに〜。
きゅうまい、かぎ ぴかず(良き日)でありますように!あつかー、またや〜。