こんにちは〜。
春と冬が いきってゃー きすきす(行ったり来たり)。 なかなか春らしい日が続きませんががんづぅかり うらまずなー(お元気ですかー)。
vol.384お届けです。お楽しみくださいね〜。
大和の雨と宮古の雨
菜の花(伊良部町仲地出身)
ぴしさ(寒さ)で くぱりて(凍えて)しまいそうな大和の冬は、何年経っても馴染めない。それでも三月になった途端に、春が来たようで気温が低くてもなぁんとなく ぬふーぬふ(温かく)感じる。曇や雨の日も増え、静電気パチパチの日々ともさよならだ。普段は雨が嫌いな私でも、雨が春を連れてくるので ぷからすむぬだ〜(嬉しくなる)。
三月のある雨の日、母ちゃんに電話したら「伊良部も うぷあみ(大雨)だよ〜。んた(土)も ジャイジャイ(雨でドロドロな様子)としているよ」と。うぷあみ(大雨)かぁ・・・。外を眺めると雨は雨でも うぷあみには程遠く、音も無くただ静かにしっとりと舞い降る雨が見えた。まるで絵巻物に描かれた奥ゆかしい十二単の姫を思わせるような雨だ。
大和の春の雨は本当に静かに降る。して、宮古の雨はいつでも突然に降る。ジャジャーと降る。ダダーと降る。ザイ゜ザイ゜と降る。遠くに真っ黒な雲が見えたかと思うと、雨を伴い迫ってくる。山の無い島ゆえ、海を渡る季節の風をもろに受け、雨も浴びる。競争するように走って雨から逃げたこともある・・・そんな思い出がいっぱいだ。
やらび(子ども)の頃は、アスファルト道路なんてなかったから、雨が降ると んつ(道)には轍が、畑には水たまりができた。轍に雨水が溜まると、いみーいみぬ(小さな)おたまじゃくしがいたりして、学校の帰りには座り込んでジーッとおたまじゃくしの動きを見て楽しんだ。うぷあみ(大雨)の日には、唇が真っ青になるまで雨の中をはしゃぎまわって遊んだ。今どきの子どもは雨に濡れて遊ぶことはしないだろうなぁ・・・。
雨の日の思い出を懐かしんでいると、不意に下地イサムさんのCD「スマフツ THE GOLDEN LANGUAGE」に収録されている「あめふり」の歌が頭の中で流れ出す。
♪シュッタ シュッタ アイジャ アイジャ ザス゜ザス゜ザス゜♪私は、このシュッタ シュッタというところが大好き!大切なワンシーンの様になぜか心にピタリとくる。
昔は雨靴なんてハイカラなものは履かなかったし、持っている人もあまりいなかった・・・と思う。さば(島ぞうり)で雨の中を歩くと、足がさば(島ぞうり)からシュッタ!と滑り抜ける。ぬかるみを歩くと、さば(島ぞうり)ごとシュッタ!と滑る。それで、アイジャ!!と思わず叫んだりするのだ。
宮古の雨の日ってそんなものだったなぁ〜、と一人クスクス笑ってしまう。この「シュッタ!」というたった一言に、宮古の雨の日を重ねる自分にも「いつの話かさー」と笑ってしまう。
春に降る大和の雨と宮古の雨。同じ雨でも場所が変われば違うね〜と、窓の外を眺めながら思う私でした。・・・とさ。
◇あの話をもう一度
ひさぼう(平良・西仲出身)
「ミャークフツ講座 連声(れんじょう)編」vol.111 2005/11/3
アメリカに行ったら、バスを降りるとき「アゲドーフ(揚げ豆腐)」と言わないと、バスを停めてくれないらしい。これを、学校で習ったとおり「アイ・ゲット・オフ(I get off )」などと言っていたら、ゼッタイ降りられないという。
言葉の前後のつながりで、もとの言葉が全然違う風に発音されるということ(連声)は、日本語でもある。例えば、観音様のかんおんは、カンノンと読むし、云々は、うんうんではなくウンヌンである。また、トイレの雪隠は、せついんであるのに、セッチンと言う。
こういう、前の音と後の音がくっついて、別の発音になるということがミャークフツには多い。しかもかなりややこしい。以下は、くまかま vol. 84(助詞「は」と「を」の使い方)の続編で、前音と後音が融合して、発音が変わる、という視点で考えてみた。
標準語 | ミャークフツ | 主 語 |
---|---|---|
花 は 赤花 | ぱな あ あかばな | ぱな(PANA) |
酒 は 命 | さきゃあ んぬつ | さき(SAKI) |
箱 は 四角 | ぱこ お しかく | ぱく(PAKU) |
星 は 知っている | ぷっさ っしどうず | ぷす(ス) |
熱 は ない | にっつあ にゃあん | につ(ツ) |
寄付 は ない | きっふぁ にゃあん | きふ(フ) |
波 は 荒い | なん ま あらあ あら | なむ(NAM) |
犬 は 吠える | いん な ぶい どうす | いん(IN) |
このように、前の主語の語尾によって、後ろの「は」の言い方が違ってくるし、主語も影響を受けている。「を」の場合も同じ。
標準語 | ミャークフツ | 主 語 |
---|---|---|
花 を 活ける | ぱのお いきず | ぱな(PANA) |
酒 を 持って来い | さきゅう むち くー | さき(SAKI) |
箱 を 作る | ぱこ お しかく | ぱく(PAKU) |
星 を 見上げる | ぷっすう みゃあぎず | ぷす(ス) |
熱 を 計る | にっつう ぱかず | につ(ツ) |
寄付 を 集める | きっふ うぐないず | きふ(フ) |
波 を 見る | なん む みいず | なむ(NAM) |
犬 を 連れていけ | いん ぬ さーりーいき | いん(IN) |
以上、ミャークフツの「は」と「を」の言い方は、ややこしいようだけれども、前の主語・目的語の語尾によって規則的に変わっていることがわかる。つまり、語尾が、A、I、U、ス、ツ、フ、M、N のどれになっているかによって、「は(WA)」と「を」の言い方が違ってくる。その中で、五十音のウ行(う・く・す・つ・ぬ・ふ・む・ゆ・る)は特徴があって、ス、ツ、フ、は、つまって、小さい っ になる。また、「ん」は、使い分けて、波(なん)、神(かん)網(あん)、芋(ん)などは、M で、犬(いん)、恩(うん)、金(じん)門(むん)などは、N である。
実際に、くいゆ いだし つかいわき しーみーさーち(声を出して、使い分けしてみて下さい。)
母ちゃんの『しぃむぬ』の作り方を教えてくれ
キムキム(平良・西里出身)
珍しく口下手の弟から電話があった。転勤族の弟は、雪深い東北から関東、九州、沖縄は八重山まで、20年近く転勤を繰り返し、ようやく45歳を過ぎてから那覇に落ち着いた。なんでか、宮古には転勤がなかった。
ふふぁぬきゃー(子ども達)の成長に合わせて、家族で異動(移動)したり、単身赴任だったりと、聞いているだけでも難義だった。「転校は、んばっ(イヤ)、友達が出来ても、また転校さー」中学生になると姪っ子達も反抗期、「親の都合で?引っかき回すな!」とのばーさー(という訳だ)。
40代は、たうきゃーしー(ひとり(単身赴任)で)だまがりていたはず。毎日、居酒屋で鍋をつつく夕飯が続いた東北での日々、「正月も仕事で、沖縄には帰れないよ〜」と、電話の声は、ため息とも落胆とも聞こえる。
「んじ、母ちゃんの しぃむぬ(吸い物)の作り方を教えてくれ」食べれないと思うと、余計に食べたくなるもので、自炊もせず、ほとんど外食だったはずだが・・・しぃむぬを作ってみたいと?。あすがどぅ(でも)「母ちゃんのしぃむぬ」を食べんと正月じゃないとのばーさーね。
母ちゃんの しぃむぬは、カツオ節をやまかさ削るところから始まる。小さい頃は弟と交替でやらされた。弟が削るとカツオ節が粉々で、「あがぃ、もっと大きく削らんと上等ダシは出ないよ〜」と注文され、私の出番。結構、カツオ節削りは得意だった。薄く、長く、シュッシュッと小気味いい音をたてて削れていく、大工さんがカンナで木材を削る、あの技に似ている・・・つもりだが。沸騰したお湯にたっぷりの削りカツオ節を入れて贅沢な出汁が出来上がる。綺麗な黄金色で、それだけでも完璧な味がする。
余談だが、たちづる(たち汁)を知っているだろうか。冷や飯に生卵を割り入れ、出来立てのカツオ出汁をかけ、ズルズルとかき込む、風邪をひいた時、母ちゃんは、きまって「たち汁」を作ってくれた。アツーアツーの「たち汁」は、薬よりも良く効いたさー。
中身(豚の内臓)は二回茹でこぼす、三回目に母ちゃんはメリケン粉でモミ洗いをしていた。臭みが無くなり、柔らかくて噛みやすくなる。湯通ししたコンニャク、今では見かけなくなったが、あの頃は、コンニャクの塊を、その場で、ところてんのように天付き器で押し出して売っていた。
八重山かまぼこ(四角くて、作り手の指の跡がついた薄いかまぼこ)を細く長く、コンニャクと同じように切っていた。母ちゃんの しぃむぬには、椎茸は入れない。たぶん たかだい(高価)だったし、あの頃の宮古で乾燥椎茸は高級品だったはず。塩と醤油で味付け、ここに母ちゃんの隠し味があったと思うが、なかなか同じ味がだせない。んぞうさやー(残念だなー)、母ちゃんが元気なうちに、ちゃんと聞いておくべきだったさ。
「母ちゃんのしぃむぬ」の裏ワザには、やまかさの隠し味があった、と知ったのは、久しぶりに宮古で叔母が作ってくれた しぃむぬを食べた時だった。「叔母さん、このしぃむぬは、どんなに作るか〜?」今年88歳になる叔母のしぃむぬは、健在で、これが「母ちゃんのしぃむぬ」の味だった。
「カツオ節」、我が家には「いずー かーまちー(魚を買ってください)」と頭にタライを載せた魚売りが来ていた。西辺の魚売りオバサン達で、「ういまい、んまき゜どぅ!」と、あの独特な口調で、売りさばいていた。その魚売りのカツオ節が隠し味の一つであったらしい。今では魚売りも来なくなったけど、叔母は、ある知り合いを通して、今でも西辺のカツオ節を手に入れているらしい。
「八重山かまぼこ」、父の従姉がヤーマに嫁に行き、1年に2〜3回帰省する度に、お土産にもらっていた。切ってそのままでも十分おいしい。そのかまぼこからも、隠し味が出るという。「でも、母ちゃんの手の味が一番の隠し味だったはずさー」と叔母は笑った。
今は、私のしぃむぬが娘たちの味になり、椎茸入りの「高級しぃむぬ」になった。少しだけ「おばぁの味」に似てるだろうか?
年度末の人事異動発表、弟は、4月から宮古へ単身赴任が決まった。宮古の居酒屋では、「母ちゃんのしぃむぬ」に似た味に出会えるだろうか。
おしらせ
◆枝元なほみさんと家庭料理大集合in伊良部島
日 時 | 2017年3月19日(日)午前11時〜午後1時30分 |
場 所 | 伊良部島東部構造改善センター(伊良部地区津波タワー隣) |
内 容 | 枝元さんのクッキングライブショーと試食会 |
主 催 | 伊良部島食と暮らし事業協議会 |
問合せ | 中村 090-8946-2619 |
◆第13回地域貢献フォーラムin宮古
日 時 | 2017年3月19日(日)午後2時〜4時30分 |
場 所 | 宮古島市中央公民館内琉球大学サテライト宮古キャンパス |
内 容 | 西圭介琉球大講師が「自転車が拓く宮古島のエコツーリズム・ ヨーロッパの先進事例から」ゲストは藤田尚哉サンセットバイク店長 |
入 場 | 無料 |
問合せ | 琉球大学観光産業科学部総務係 098-895-8182 |
◆THE SAKISHIMA meeting tour2017『“THE”BIRAKI』
日 時 | 2017年3月23日(木)午後8時オープン 午後8時30分スタート |
場 所 | 宮古島 JANG JANG |
内 容 | THE SAKISHIMA meeting tour2017『“THE”BIRAKI』(新良幸人×下地イサム) |
入 場 | 前売り:2,500円 当日:3,000円(ドリンク別) |
問合せ・予約 | JANG JANG 0980-73-8668(火曜〜土曜 20:30以降) |
◆亀浜律子練場開設30周年記念公演「第30回竜宮の舞」
日 時 | 2017年3月26日(日)午後2時30分開場 |
場 所 | マティダ市民劇場 |
主 催 | 琉球舞踊「穂花会」・宮古舞踊「んまてぃだの会」 |
入 場 | 前売り:2,500円 当日:3,000円(ドリンク別) |
チケット | 穂花会各錬場 |
問合せ | 亀浜 090-8419-9628 |
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
昨日は沖縄県立高校の合格発表の日でした。親せきの家(2軒)でも合格祝いがありました。宮古では親せきはもちろん、職場の同僚、友人、知人がお祝いにかけつけるので、家の中はお客さんでいっぱい。そして、いふきゅう(何軒)も回るので、島中、車がぐるぐる回っています。(笑)本人が玄関でお迎えをし、お祝いをもらうとその場でお返しを渡します。お客さんがたくさん来るので渡し忘れがないようにとの意味もあるのでしょうが本人がしっかりとお客さんにお礼を言えるのでいい風習(?)だなーと思います。家の中には、高校合格おめでとうの横幕が掲げられてすごいです。宮古の子どもたちはたくさんの大人に見守られて育っていきますね。
前号から多くのお知らせを載せるようにしていますが、お知らせした、libraryライブ、苧麻糸展示会、こどもシアター、宮古高校吹奏楽部定期演奏会行ってきましたよ〜。あまりのイベントの多さに行けるのかーと思っていましたが大丈夫でした。どのイベントも行って良かったぁ!いろいろな方がいろいろなことを頑張っています。素晴らしかったです。
してからにが、おとついは二度目のスマホ水没。あがんにゃよーい(泣)4〜5日で新しいのが届く予定。それにしても今は、だいず便利。宅配業者の人が家まで新しいのを届けて、水没したスマホも回収していくんですからね。離島は特に助かります。あー、その前にそそっかしいのを何とかせねばっ。
さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがら やー?
菜の花の雨の話し、分かりますね〜。やらびぱだ(子どもの頃)は本当に雨なんて濡れてもへっちゃらだった。水たまりもあちこちにあって、雨が上がると水たまりに青空が映ったりしてね。イサムさんの歌は子どもたちにも大人気です。それにしても、シュッタが歌詞になるとはね!
あの話をもう一度は、ひさぼうさんのみゃーくふつ講座「連声」でした。10年以上前の掲載でしたが、その時「連声」なる言葉を初めて知りました。音は規則的に変化しているんですよね。当時はあまり理解できなかったことが少しずつ分かるようになってきた感じがします。
キムキムさんの「しぃむぬ」の話、いいですね〜。「しぃむぬ」はそれぞれの家庭の味があってまさにソールフードですね。特に母の味は忘れがたいものですよね。手の指の跡のついたあのかまぼこは必須ですね。弟さんは宮古に住んでお母さんの味に近いしぃむぬに出合うといいですね。
おしらせのコーナー、充実していけたらと思っています。お知らせしたいことがある方は、ぜひご利用ください。下記のメルアドまでご連絡くださいね。
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きゅうまい しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(きょうも 最後まで 読んでくださり ありがとうございました!)
次号は三週間後の4月6日(木)発行予定です。
うぬとぅきゃがみ がんづうかり うらあちよー(その時までお元気で) あつかー、またいら!