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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol. 415

2021 6/02
メールマガジン
2018年8月16日2021年6月2日

こんにちは〜。
台風がまた発生していますね。今年は台風の動きもぴんなぎやー(変ですね)。気をつけましょう。
vol.415お届けです!ぬかーぬか(ごゆっくり)どうぞ〜。

目次

まゆがま日記 パート13 んまりかーりき゜たー まゆがま(生まれ変わってきた猫)

あば本舗(下地・上地出身)

「子猫拾った、どうしよう」今年3月のある夜、豊見城に住む姪のチヒロからラインが届いた。引き取って育ててーという頼みに、最初は面倒な事に巻き込まれたと思ったが、ふと うぬまゆがまぁ(その猫は)昨年11月に19歳で亡くなった、がばまゆがま(老猫)ハナの生まれ変わりかもしれない・・・と感じた。

生前ハナには、んまりかーりってぃ ばがまいんかい またくーよー(生まれかわって、私の所にまた来てね。)と、何度も言い聞かせたが、彼女は約束通り再び私のもとに来ようとしているのだと胸が高鳴る。

ラインから二日後、初めて我が家に連れてこられた いみまゆがま(子猫)は、生後3週間くらいで体重280g。ガリガリに痩せ目ヤニだらけで眼も開かない。

姪の説明によれば、送別会の帰りに夜の繁華街でミャーミャーという声がした。声に導かれ路地裏を進んでいくと、そこには水溜まりの中で叫ぶように泣き続ける いみまゆがま(子猫)がいた。放っておけず、二次会の誘いを断り拾ってきたーという。

そうやって我が家にやってきたハナの生まれ変わり? いみまゆがま(子猫)は、片手にのるほど痩せている割に、元気よく泣く。しかし、ミルクをあまり飲まないという姪の話の通り、教えられた分量のミルクを嫌がって全く飲もうとしない。のーがすでぃびゃーてぃ しわ しーうたー(どうすればいいのかと心配していた。)

すると、我が家に居候中の姪のマナミがミルク缶の説明を読んだ後こう言った。「これ、分量が違うよ」マナミが正しい分量のミルクを与えると、哺乳瓶にしがみついて飲み始めた。

その時である。勢いよくミルクを飲んでいた いみまゆがま(子猫)は、突然シリコン製の乳首を がうがうてぃ ふぁぃ ぬみにゃーったん(ガリガリと齧り飲み込んでしまった。)乳首の消えた哺乳瓶を見つめる二人。それは止める間もない一瞬の出来事だった。

驚いた私達は、慌てて病院へと駆け込んだ。ドクターの説明では、うまく排泄できなければ開腹手術になるかもしれない。しかし、今は体が小さすぎる為手術は難しく腸閉塞で死亡する恐れがある。腹部のレントゲン写真2枚には、小さすぎる体の小さすぎる腸の中に噛み切られたシリコン製の乳首がくっきりと映っていた。                   つづく。

◇あの話をもう一度

ワタリマリ(上野・宮国出身)

「ミャークフツ講座 すぅとぅがつ(お盆)編」 vol.57 2003/8/7

宮古の すとぅがつ(お盆)は、旧暦の7月13.14.15日に行われる。

この三日間は、ご先祖様が家に来るので迎える準備をする。まず7月7日にふきゃぎ(宮古風おはぎ)を かんたな(仏壇)にすき(差し上げ)、あともう少しで すとぅがつ だから来てくださいねーと おしらせをする。

んかいび(迎え日)には、かんたなに うさぎむぬ(お供えもの)をたくさんする。

あだんの実、ばんちきらー(グアバ)、ぶーき゜(さとうきび)、すいか、こーす(お菓子)、たくぬ(タコの)刺身や あさず(アサリ)などなど。刺身は、他のところではあまりやらんみたいだけど、いんばた(海の側)のばんたがやー(私達の家)では、やっていた。

こう ゆ たき(線香をたき)、「きしー ぞー すとぅがっつゆ っしー ぬかーぬか うらさまちよー。」(来て いいお盆をして ゆっくりしてくださいね)  と てぃーゆ かみる。(手を合わせる)

離れて住んでいる姉妹家族も親戚もお中元を持って集まってくる。(宮古ではこのお盆の時にお中元をする。そしてそれは仏壇の前に供える)

ご先祖様がいらっしゃる間は、あさむぬ(朝ごはん)、あし(昼ごはん)、ゆず(夕ご飯)を ちゃんと すきる(差し上げる)。3時ぬ ちゃーゆまいちょうきまい(おやつも) ばっしやー ならん(お茶も忘れてはいけない)。

三日間は、うまかまぬ(あちこちの)うとぅざ(親戚)が てぃーゆかみ が きす。(手を合わせに来る)

そして うくずびー(送り日)。みゃーぐん(宮国)は綱引きがあるため、早めに見送りをする。かびじん(紙のお金)を焼き、(ご先祖様があの世でお金に困らないように、お金を持たせるのだ)。たてた こう(線香)がぜんぶ消えると、ぞー(門)の所に行き、西南に向って、ここでもまた こう(線香)をたいて送る。そのとき、かんたなに お供えしてあったもの全部から 少しずつ ばきがまーしー(分けて)、それをおみやげとして持たせる(下に置く)最後は、みんなで てぃーゆ かみ 家の主が 見送りの言葉を言う。

「うわたが やーんかい きす゜たー うかぎん 内地からまい んざーからまい んーな やーんかい きし ぷからす すとぅがつ ゆ んかいたーまいふか。うり やまかさぬ つとぅ むちいき とぅなずんかいまい なかーり ふぁいよー。また んなまからまい くぬやーぬ ぷからす くとぅう守り ふぃーさまち たんでぃがーたんでぃ。」
(あなたたちが(ご先祖様が)来てくれたおかげで、内地からも どこからもみんな家に来てうれしいお盆となりました。ありがとう。どうぞ たくさんのおみやげを持って行って、お隣りさんにも分けて食べてください。またこれからもこの家の幸せをお守りください。ありがとうございました)

屋号で言葉遊び

松谷初美(下地・高千穂出身)

私の生まれ育ったところは、下地地区の高千穂のカザンミという20軒くらいの いみーいみの(小さい)集落だ。父方は、何代も前からここに住んでいる。

私は4年半前に東京からカザンミにUターン。父からカザンミのことをいろいろと聞くようになった。小さな集落の中で、引っ越して行った家、誰も住む人がいなくなり畑になってしまった場所など、父の やらびぱだ(子どもの頃)とは、家々の様子も変わってきているようだ。

カザンミの家のほとんどに屋号があり、今でもその屋号で呼ばれている。父から屋号の話を聞いていたら、突然、呪文のように言い出した。

「モーニヤーんかい いき さんかたー かり、スマッチャーんかい いきすまーとぅり かちってぃ、ガーラヤーんかい いき がーりー、ウプヤーんかい いき うぷむぬーゆみ ピスガズヤーんかい いき ぴすがらし、ブバガマヤーんかい いき ぶばがまんかい ぱなし、ブバヤーんかい いき ぶばんかい あっじ アンディヤーんかい いき あんでぃんーま ふぁい、ピダズヤーんかい いき ぴんなーり、ツカザンヤーんかい いきつぶり」

(モーニヤーに行き、さんかたを借りて、スマッチャーに行き、相撲をとり勝ち、ガーラヤーに行き、自慢をし、ウプヤーに行き、ホラをふき、ピスガズヤーに行き、(話を)広め、ブバガマヤーに行き、叔母さんに話し、ブバヤーに行き、叔母さんに報告、アンディヤーに行き、デコボコ芋を食べ、ピダズヤーに行き、ひっくり返り、ツカザンヤーに行き、潰れた)

「こんなふうに言って遊んだよ」と父は言う。屋号を使っての言葉遊びというのだろうか。カタカナが屋号で、その屋号にまつわる言葉で繋げていくというものらしい。うまく出来ていて、その家のことが分かるだけに笑ってしまった。父も久しぶりに思い出し、口にしたようで、ぷからすきなり(うれしそうに)笑っていた。

屋号の音だけが同じというものもあるが、そこはご愛敬?中にはもうない家(4軒)もあるが、入っていない屋号もある。もしかしたら、もっと長いバージョンもあったかもしれないが、私が聞いたのはこれだけであった。

<ぴっちゃ(少し)解説>
◎モーニヤーには、さんかた(母曰く、計算をするものらしい)があるのが有名。
◎スマッチャーとは、島尻から来た家という意味だが、ここで相撲と言っているのは、スマトゥズ(相撲)と音が似ているから。
◎ガーラヤーの語源が、がーる(自慢する)家という意味か不明だが、がーりー(自慢して)
◎ウプヤー の「うぷ」は、大きいという意味。そこから、うぷむぬー(大きな話の意)ホラ。
◎ピスガズヤーを直訳すると広がる家。そこから、話を広め。
◎ブバガマヤー のブバは、叔母(をば)の意。ガマが付いているのは、2人叔母がいたので、年下の方の家のこと。
◎ブバヤーは叔母の家(実際の親戚関係のない人でも屋号なのでそう呼ぶ)
◎アンディヤー アンディとは、デコボコしている様。
◎ピダズヤーとは、直訳すると「左家」、左利きの人がいたため?ぴんなーりとの関係は、ピの音だけ。
◎ツカザンヤーとは、津嘉山という苗字から。ここも、ツの音だけで、つぶり。

お知らせ

■納涼 咲き誇る唄、三線祭り in 高田公民館

くま・かまライターのマツカニさんこと棚原芳和さん率いる棚原民謡研究会の発表会が今度の日曜日(19日)に地元(上野高田)で開催されます。入場無料です。皆さん、んみゃあちよ〜(お越しくださいね〜)

日 時2018年8月19日(日)午後4時開場 午後4時30分開演
場 所高田公民館(上野地区)
入 場無料
出 演棚原民謡研究会会員
太鼓:松堂 亨 唄・三線:吉田里香
賛助出演宮古民謡協会
司 会松谷初美
主 催棚原民謡研究会

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

この夏は、日本列島が ぴんなぎ(変な)気候が続いていますね。宮古も50年に一度の大雨警報が出て、うぷあみ(大雨)が降りました。全国ニュースにも出て、心配のメールや電話を頂きましたが、大きな被害は出なかったようです。近所の畑には、水がいっぱい溜まっていましたが、翌日には引いていました。その後も、雨が続いていて、ふなた(カエル)の大合唱。んーな(かたつむり)も やまかさ(たくさん)見えます。

宮古島市文化協会では、今年もいろいろな行事を予定しています。10月にはJTAドームにて第13回宮古島市民総合文化祭(児童生徒、一般の部(展示他)の合同開催。中文連の文化祭(展示)も同時開催)。11月24日には、マティダ市民劇場で「危機的状況にある言語・方言サミット(宮古島大会)」(主催・共催:文化庁他)があり、その関連イベントとして翌日(25日)に「方言大会歴代チャンピオン大会」を開催します。文化祭も方言サミットもどなたでも見ることが可能です。方言大会はチケットの販売がありますので、詳細が決まり次第、お知らせいたしますね。

さて、今回のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

あば本舗さんの、まゆがまシリーズ、ハナちゃんの生まれ変わりの いみまゆがま(子猫ちゃん)、最初からびっくりな展開でしたが、あば本舗さんや姪御さんの愛情がいっぱい伝わってきました。前回を読んでいない方は、こちらから。https://miyakojima.jp/kumakara-kamakara/vol-408/

今年の旧盆は、8月23日、24日、25日ですね。あの話をもう一度はお盆が近いという事で再掲載しました。ワタリマリは宮国出身ですが、そこの地域ならではの御供えのものもありましたね。ご先祖様を迎えて、今年もとーとぅーい。 

言葉遊びで覚える屋号。繋がりで覚えているといくつになってもスイスイと出てくるのかも。できたら、んなまぬ(今の)屋号のものも作ってみたいけれど、センスぱぎ(なし)だからなぁ。他の地域で、うちにも同じようなものがあるという方、ぜひお知らせくださいね。

貴方の感想もぜひ、御寄せください。
掲示板への書き込み、大歓迎です。よろしくございます!

今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。

次号は、3週間後の9月6日(木)発行予定です。
うぬ とぅきゃがみ ぱだーぱだ うらまちよー(その時までお元気で)!
あつかー、またいら〜。

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