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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから Vol.15

2021 4/22
メールマガジン
2001年11月1日2021年4月22日

きゅうから11月。まーーんてぃ、ぴゃーむぬ(ほんとに早いものです)風邪も流行っているようです。みなさん気をつけましょうねー。

vol.15 お送りします。

目次

『がんぞぅや(元気は)宝』

菜の花/著

みんながんぞぅしてる?ピシーピシ(寒く)なってきたから風邪ひくなよー。病院にいる患者さんも、室温一定の完備がされているのに、不思議と季節が変ったり、お盆や暮れになると病状が悪くなる。ぴんなむぬどー(変なものだよ)人の人生や まーんてぃうーむぬ。(本当に重い)科学も薬もかなわないことがいーっぱいあるよー。そんな話をしてみたいさー。

おじいは咽頭癌だったさー。声をだすところを手術で取ってしまったから、喉に穴があいたまま生きていくことになった。おじいはそれからピエロの様に笑うようになった。嬉しくても泣きたくても笑い顔。そんなおじいは頑張って食道で声をだすことができるようになった。おじいが笑い顔じゃなくて声で“話”をしてくれたときは私が泣いた。

おじいはマラソンが趣味で、喉に穴があいても走っていたんだよ。障害者聖火ランナーに選ばれて、胸をはって病棟にきたおじいは、泣き笑い顔のピエロになった。

そのおじいがまた病気になった。おじいは病気が治らんことを知っていた。おじいの最後の日、私は夜勤明けで「また明日ね」と声をかけたら心臓の音を刻んでいたモニターがスーッと静かにゆっくりになって・・止まった!家族も私も驚いた!急いで心音を確認したけど、おじいは息もなく眠ったまま。おじいの人生という道程を走り終えた瞬間だった。

穏やかな死を迎える人は、生きて残る人にも安らぎと穏やかさを置いていく。おじいの体をきれいにし終わったあと、おばあが「お父さん、笑っているみたい。看取ってほしい看護婦さんに傍にいてもらえて、おじいは幸せだよ」と返してくれた。おじいの最後の時間に一緒にいられてありがたいと思ったさー。私は患者さんを看取るといつも、自分はどんなふうに生きればいいかねー、どう死ぬのかねーと今ある時間を愛しく思うさー。

一年に数えるくらいしか、トゥートゥーイ(お祈り)をしないけど、こんな時は、生まれてきたことを意味のあることと思うよ。がんぞぅは宝! みんなワイドー。ハマリヨー。(頑張ろう)

『宮古のことわざ』

〔 火吹竹ぬ穴から天な見い 〕

ピィフキイヌミィカラ
ティンナミイ

火吹き竹の穴から見る空は限られている。ほんの一部分を覗いて空を見たと思ってはいけない。このことから狭い料簡で重要な判断を下してはならないことを教えている。

んきゃーんじゅく 佐渡山政子/編 より

『そうだはず 宮古』

宮国優子/著

私は宮古に年に数回帰郷する。しかし…今年の夏はダイッズ(とても)驚愕した。何がって宮古にこんなに本土の人がいるなんて。それも観光客ではなく生活している人の数が去年、一昨年に比べると非常に多く感じた。それも何もダイビング関係者ばかりじゃなく多種多様な人が増えた。

沖縄本島・石垣と比べると宮古島の観光はそんなに盛んではない。もちろん他にも観光化されていない島はたくさんあるけど、人口が6万人近くの大きな島は他にない。そのせいか出身者のメンタリティは、沖縄の中でも宮古独自なモノだと思う。何につけても濃い。「エスプレッソ宮古島」と友達と勝手に名付けたくらいだ。そのへんから言っても宮古は沖縄本島の縮小版では無く、気質的にはより濃く、より素朴。少し迷信深くて闇の世界を持ち続けている。

それに呼応するように精神世界からは「癒し」というキーワードで宮古が語られていることが多い。その癒しブームにちょっと乗っかっているふしがあるが、光と影のちょうど良いバランスが生きているのは確か。いまだ自然、運命に畏敬の念を持っている慣習が脈々と人々の中に残っている、そんな土壌なんだと思う。そして時代が少し変わって、そんな土地にひかれて多種多様な人が集まって来たんだなとドゥカッティ(自分勝手)に思っている。たぶん、そうだはず。

宮古を旅した青年が海岸でテントを張り、楽しくキャンプしていたら、通りすがりのおばあが「台風でも来たらどうするべきか(どうするの)」と無理矢理自分の家に泊まらせたという話を聞いた。青年は困りつつも、おばあとしばらく暮らしたらしい。そのおせっかい度合いが宮古的さーね。苦笑いしながらも胸は、ほわっと温かくなった。

宮古を訪ねる予定のある人にイピッチャ(ちょっと)アドバイス。「宮古の人は素っ気ないけど、何を言っているか分からないかも知れないけど、しつこく話してみると、すごくお友達?になれます。最初、素っ気ないからといって、あきらめないでね。ちょっとドゥグリー(恥ずかし)がっているだけだから」。あ、もちろんピンナピトゥ(変な人)も中にはいるので、お気をつけください。と、言ってもオトーリを飲まされるかユタ話かどっちかだはず(でしょう)…。

『みゃーくふつ講座 道具編』

Hatsumi.M/著

  • ピラ = へら
  • イサ゜ラ = 鎌
  • グシャン = 杖
  • ポーキ゜ = 箒
  • オーキ゜ = うちわ
  • パサン = 鋏
  • ナビ = 鍋
  • ウミス = お箸
  • マカス゜ = お椀
  • ミスキナ = しゃもじ
  • ミスワン = ご飯茶碗
  • ユヌン = 湯のみ茶碗
  • チュウカ = やかん
  • カタナ = 包丁
  • マナツァ = まな板

『お便りコーナー』

ア、イラブyou さんより

パソコンを習って2ヶ月、インターネットも楽しく最近ではいろんな所も見ることが出来るようになり、このページもはじめて見せてもらいました。おもしろい。

方言は忘れ去られようとしていましたが、最近になって見直しされるようになっています。方言でしか表現できないニュアンスなど大事にしたいものです。また、同じことばなのにその土地によっては全然違ってしまう意味になったり、ほんとおもしろい。語源を調べるとなお一層おもしろいかも。

カタツムリのことを伊良部町北区では「ハルンナ」と呼び、西区では「パルンナ」東区は「ツナミ」という。

ある時、岩手県宮古市沖で地震があり、津波警報が発表された。それを聞いた西区の人は慌てふためき東区の人に

「アガイ、ダイズミャークンドゥ、ツナミヌハッセイヤシーウイティンドゥ。プッチーピンギダカー」
(大変だ、宮古にツナミが発生したそうだ。早く避難しなくっちゃ)

と話すと、それを聞いた東区の人は

「シュワースナ、ウリュウバー、マイマイペレットティヌ、ノウヤクウ、マフティガーノーマイシン」
(慌てるな、今はマイマイペレットという農薬をまいておけば大丈夫だ)

と言った。

解るかな。とんだツナミ事件でした。 

※「津波」と「かたつむり」とでは、大違いだからねー。東区の人は、あわたてはずねー。まーんてぃ(ホントに)ことばの違いはうむっしやー。(面白いですね)

『編集後記』

Hatsumi.M

多くの人が宮古を好きだと言ってくれるのは、ぷからす(うれしい)ことだ。あすが(しかし)目立ってそうなってきたのは、ここ数年のこと。これまで長い歴史の中で、こんなにたくんさんの人から宮古を好きだと言われたことはなかった。少し戸惑いがあるのも正直な気持ち。

いいところもいっぱいあるけど、でも楽園だなんて思わないでね。どこにでも表から見えにくいものは、やまかさ(たくさん)ある。

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