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宮古島方言マガジン「くまから・かまから」
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くまから・かまから vol. 283

2021 5/14
メールマガジン
2013年1月3日2021年5月14日

2013年、明けましておめでとうございます!
みなさん、ぞうそうがつ(良い正月)をお迎えのこととお喜び申し上げます。
今年のくま・かまもどうぞよろしくお願いしますね。
今年初のくま・かまお届けします〜。

目次

宮古高校サッカー部全国大会出場

松谷初美(下地・高千穂出身)

12月31日。埼玉県にある浦和駒場スタジアムに宮古高校サッカー部の応援に行ってきました。昨日の雨は上がり、晴れの ぞうーわーつき゜(良い天気)。宮古高校の同窓2人と夫と観戦しました。

宮古高校の応援スタンドは、すでに がふっと詰まっていっぱい。対戦相手の群馬代表、前橋育英高校の応援スタンドにもたくさんの応援団が来ていました。私たちは外野(?)で応援。(外野もたくさんの人でしたよ)

14時10分にキックオフとなった試合は、前橋育英高校がリード。それでも必死にくらいついていく宮古高校。スタンドからは、「頑張れー!」「声を出して行こう!」「宮高ワイド―!」の掛け声が飛びました。

前半に2点、後半に3点と取られながらも、宮高も何度かのチャンス。でもなかなかゴールに結びつきません。このまま終わってしまうかと思った後半38分、相手のゴールキーパーがこぼしたボールを25番砂川鉄信君がすかさず蹴り、ゴール!1点を取りました!スタンドからは割れんばかりの拍手。

応援席には、宮古から川満校長先生はじめ、父兄のみなさん、関東南秀同窓会、関東宮古郷友会連合会、宮古高校OB、OGなど宮古かーぎ(顔)でいっぱい。笑顔がこぼれました。

沖縄県代表になるということは だいずなやぐみ(とてもすごい)こと。そして、全国大会で一勝するということもまたそう簡単なことではないということを実感しました。
 
1対5で負けましたが、でも、一生懸命戦う姿、努力する姿は本当に素晴らしい。それがどんな結果で終わろうと悔しさがにじむその顔もとても輝いて見えました。

試合が終わってスタンドのほうに来た選手のみなさんには、大きな拍手が送られました。

選手のみなさん、お疲れさまでした。これをバネに来年また絶対来てください。みんな待っています!
 
高校を卒業して34年。関東で母校の応援をするとは思っていませんでした。(12年前の出場の時はぜんぜん知らず。)応援をさせてくれたみなさんに感謝です。

陽がくれかかる中、私たちは「来年も まーつき(一緒に)応援に来よう!」と約束し会場を後にしたのでした。

宮古島に雪が降る?

あすなろ(平良・東仲出身)

今回は、58年前の ぱなす(話)です。

時は、1954年(昭和29)1月17日。この日は、うぱあんな(母の長姉)の長女(カナちゃん)の ささぎ(結婚式)の日でした。この日から、彼女は武島の姓に変わります。

うぱあんなの家は、んきゃどら(荷川取)集落にあり、昭和56年に消滅した幻の浜「サッフィ」のボラ崎側に位置し、岬の先端の高台に在りました。その先に人家は在りません。見晴らしの良い高台からは、決まった時間に船笛を鳴らしながら那覇に向かう大型船が見られました。

船尾には色とりどりの紙テープが連なり、別離を哀しむかの如く波間に揺られていました。夕方、子供達が遊ぶのに疲れて家路に着く頃、ポー崎の遥か彼方には伊良部島の民家の灯りが仄かに光を放っていました。今にして思えば、絶好のロケーション。

さて、ささぎ(結婚式)は宴たけなわです。突然、空から何か降ってきました。雨ではありません。妙な降り方です。「霰(あられ)だ!」誰かが叫びます。子供達は一目散に軒下へ行き興奮しながら、掌や食器等でそれを受け留めます。雪になる手前の霰(あられ)です。

「ハイ、カナちゃん姉さん。あんたの ささぎは何時だったかねー。この日、霰(あられ)が降ったよねー」

「ささぎの日は忘れたから、後で連絡するさー。その日は暖かったよー」と主人公が全面否定。

あまり覚えていないなー」とカナちゃんの弟の廣ちゃん(当時6歳)。

そうだ!最強の助っ人がいた。主人公の妹の勝ちゃん(当時小学3年)
「そう言えば、かーちゃん(うぱあんな)が『その日は、ぴしーぴし(寒すぎ)で、カナちゃんの手が ふぉふぅ(黒っぽい)だったよー』と言っていたような気がするさーね。私も何となく覚えているさー」と心強い。

しかし、測候所のOBで うつざ(親戚)の勲兄さんにその日の最低気温を教えてもらって愕然とする。「21.1度。霰(あられ)はあり得ない!」と一刀両断。「翌年、1955年2月21日最低気温8.2度。この日に霰(あられ)が記録されている」との事。この日に他の ゆーず(祝い事)が、うぱあんな家であったのだろうか?思い込みとは怖いもので、記憶の信憑性が怪しくなってきた。

参考までに、過去の宮古島の最低気温は1967年1月16日の6.9度。幸いな事に宮古島での降雪の記録は見当たりませんが、琉球王朝時代の歴史書『球陽』によると1774年久米島に雪混じりの雨。さらに、1816年久米島で2.5cmの積雪。同年、伊平屋島で6cmの積雪が記録されていると言う。最近では、1999年12月、那覇の久茂地で降雪らしきものがビデオに撮影され、NHKでニュースになったとの事。ネットで動画を見ましたが間違いなく雪でした。気象庁は認めていませんが!

ここで、得意の脱線をお許しあれ。

『南の島に雪が降る』は加東大介の戦争体験本を映画化した物です。敗戦濃厚な1943年(昭和18)に召集を受け、ニューギニアへ向かいます。救援物資も届かない最果ての地ニューギニア。飢えとマラリヤでバタバタ死んでいく極限の状態。何時終わるか分からない戦争。この中にあって、上官から兵士の慰安の為にと演芸分隊の立ち上げを命令される。紙の雪を降らせる場面で、東北出身の兵士達が故郷を想い号泣する。やっぱり、ニューギニアでも雪が降ったのです。

欲張って、さらなる脱線をお許し下さい。

1943年(昭和18)〜終戦までの宮古島も悲惨を極めていました。この頃を『宮古の戦争と平和を歩く』(宮古郷土史研究会編)で記録しています。特筆されるのは、宮古島にも朝鮮から強制連行された従軍慰安婦が数多くいた事。同様に強制労働を強いられた朝鮮軍夫たちが朝な夕なにアリランを歌っていた事。

1944年10月10日の空襲の凄まじさ。国策で1944年8月18日平良港から1隻の船が出航します。平良第一国民学校13名、平良第二国民学校21名、下地国民学校46名。各学校の教師3名を含む83名は宮崎県の小林町を目指します。集団疎開です。一行は、大変な思いをして1946年2月に親元に戻ります。

これらの地道で貴重な記録を残して下さった宮古郷土史研究会の皆さんに敬意を表します。さて、突飛なタイトルから大脱線でした。やはり、宮古島は降雪より常夏の島が似合うのです。 

『宮古豊年音頭』どぅかってぃ解説

マツカニ(上野・高田出身)

宮古民謡を愛する方なら 誰でも知っているであろう偉大な唄者は、棚原玄正と言う名前ではないでしょうか?昭和元年生まれで昭和55年に早世されましたが、本業の郵便配達をしながら宮古民謡の保存研究に力を注いだ人です。また自ら民謡の創作も手がけ「平安名崎灯台」「宮古豊年音頭」「家庭和合」等、現在でも広く愛唱されている名曲を残しました。

今回は、その中の「宮古豊年音頭」をとりあげます。んーな ふつぐしぬ あーぐやいば、とーまい うぶいやす むぬぱず。(全部標準語の唄なので、誰でも覚えやすいと思います。)

1、島は良い島宮古島よ(ユイヤサー)
   花咲く島一面に(ササユイサッサイ)
   眺めも飽かぬ銀の花
   (唄え踊れよ豊年音頭 島は豊年サーソーニノヨイサッサイ)
  
 2、風はそよ風豊年のせて
   緑の島に花穂がゆれる
   青空高く鳴くひばり 
  
 3、老いも若きも豊かな島に
   今年ゃ豊年祈ろうじゃないか
   島に世加報の雨が降る  
  
 4、今年ゃ豊年明るい笑顔
   たすき姿で姉さんかぶり
   握る手綱の牛が鳴く
  
 5、島は良い島宮古島よ
   文化経済伸びゆく先は
   手と手をつなぎ輪になって
  
   (  )部分繰り返し

【解説】

島を離れて暮らす誰もが何年か経って島に降り立った時 風の心地よさ、青い空に白い雲、草花等島の匂いに、ああ くまぬどぅ ばが んまりずまさいが(ああ ここが 私が生まれた島なんだな)と心が癒され溶けていく感覚になったことがあると思います。

この「宮古豊年音頭」は、そんな宮古島の空気感にあふれた歌詞ではないでしょうか?明るい曲調ではありますが、どこかノスタルジックな雰囲気も漂う唄です。

三線は早弾きですが、掛け音(バチで上から下へ弾いたあと下から上に弦を引っ掛けて音をだす奏法)を入れた三連(上から下、下から上、上から下と連続する早弾き)が数箇所あるため歌いながら弾きこなすのは初心者にとってはなかなか大変だと思います。でも諦めないで練習をかさねれば、そのうちに・・・。

(ユイヤサー)(ササユイサッサイ)というハヤシが絶妙にマッチした宮古島の名曲です。

今年の宮古島が豊かで実り多い一年でありますように。

※参考資料『宮古芸能の系譜』平良重信 著

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

元日は、宮古も ぞーわーつき゜(良い天気)だったようですね。実家に電話をしたら、上等正月だよーと母ちゃんが話していました。東京も ぞーわーつきで、いつも通りにお節を食べて、近所の神社にお参りに行き、それから墓参りをしてきました。中央高速からは、真っ白な富士山がきれいに見えました。

家に帰ると年賀状と宮古毎日新聞http://www.miyakomainichi.com/の厚い正月版が届いていて、じっくり楽しみました。新聞には下地敏彦市長のインタビューも載っていて「島という小さな容量の中で、どれくらいの観光客数が適正なのかをしっかりと考えて観光の政策を進めていかないと、変な形の観光地になってしまう懸念がある」と書かれていたのが印象的でした。池城かおりさんの「ありんこ文庫」のことも載っていました〜。下地勇さんの久松でのコンサートでのことや久松小・中学校の生徒たちと考えたという歌詞も載っていましたよ〜。あ、それから、地元企業紹介の中で、東京スカイツリー・ソラマチで「塩屋(まーすやー)」(雪塩で有名なパラダイスプラン)がオープンしたことも載っていました。全然すっさったん(知らなかった)!今度行かなくては。今年も話題の多い宮古になりそうですね。


さて、今年初のくま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

浦和駒場スタジアムでは、郷友会や高校の同窓やくま・かま仲間とたくさんの人に会いました。ふるさとを離れている私たちにとって、宮古を応援できるということは、まーんてぃ うれしい事。結果は残念でしたが、上等な時間となりました。

あすなろさんの58年前のお話、さっふぃの情景と子どもたちの様子がありありと見えるようでした。鮮やかに覚えている情景と時が一致しないということありますねー。でも ささぎ(結婚式)と霰がセットになって、忘れ難いものとなったのかもしれませんね。『宮古の戦争と平和を歩く』私も手に入れたいと思います。

「宮古豊年音頭」は、まーんてぃ味わい深い唄ですね〜。棚原玄正さんのすごさを改めて感じました。この唄のように、豊年となりますように私もお祈りいたします。まだこの唄を聞いたことがないという方も解説を読んで聞きたくなったのではないでしょうか。それにしても三線で弾くのは難しそう・・・。でもいつかきっと!

貴方の感想もぜひお寄せくださいね。まちうんどー(待っていますよ)

今年もいろいろな内容でお届けしたいと思っています。みなさんもぜひ身近なお話をお寄せください。この一年もどうぞご愛読のほどをお願いしますね。

しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃでした。
皆様にとって ぽからす(うれしい)ことの多い一年でありますように!

次号は、1月17日(木)発行予定です。
あつかー、またや〜。

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