みなさん、こんにちは〜。
東京は梅の花がやっとがま咲いたと思ったら昨日は雪。 やはり簡単には春になりませんねー。 そちらは、のーしーがらやー(いかがですかー)?
三週間ぶりのくま・かまです。 お楽しみくださいね〜。
機織りのメッセージ
羽地みなと(平良・西里出身)
ある日のこと。梨木果歩作の『からくりからくさ』を読んでいると、気になる箇所を発見した。
「機織りって昔は祈りの意味や気を招くって意味合いもあったらしいよ。」ピンときた方もいらっしゃるのではないだろうか?ある物語の、あるシーンとリンクしたのだ。
沖縄県出身の作家、池上永一氏の『テンペスト(上)』での聞得大君によるミセゼル(祝詞)のシーンだ。
「ミセゼルは神の機織りだ」
そのシーンでは、孫寧温と聞得大君にしか見えないが、神を自身の身体に下し、謡い、自然を使って錦を織り上げるイメージが書かれている。
『テンペスト』を初めて読んだのは、3年前。その時、このシーンについては壮大だなという感想は持っていたものの、ふかーふか(深く)考えた事はなかった。だが、『からくりからくさ』を読んで、祈り=機織りがより鮮明に繋がり、何か起源があるのではないかと興味が湧いたのだ。
関連書籍を探していると、今度は機織り=蜘蛛=ギリシャ神話が繋がった。ミロのヴィーナスのモデルである、愛と生殖の女神アプロディーテーは、ギリシア風に糸を紡ぐ典型的な姿勢で立っていたという説があるそうだ。糸紡ぎは、新しい命の創造に対する一般的な象徴であると言われており、このアプロディーテーに織りの教育を与えたのは、機織りの守護神アテーナーである。アテーナーは、戦い、工人など、きわめて多くの女神である。
考古学者のエリザベス・W・バーバーはアテーナーを、「彼女は人間の技術と実際的知識が成し遂げることができるすべてのものを代表しています。彼女は「文明」そのものの女神です。(省略)もし人間の巧みな知恵がアテーナーによって擬人化され、女性の中心的技術が織りだすとすれば、織りそのものが人間の多彩な能力のメタファーになることが可能です」と述べている。
『テンペスト』でのミセゼルは、橋の修復作業が無事に終わったという、川の神に感謝を捧げるために行われた儀式である。エリザベス氏の説が有効だとすれば、人間の技術による工事の完成を、そのメタファーである織りで神に感謝するというシーンには納得である。
また、この女神アテーナーの有名な機織りの物語に、ある人間に織りの勝負を申し込まれ、その人間の奢った態度に腹を立て、罰として蜘蛛にしてしまったという話がある。
日本各地で語り継がれている昔話では、蜘蛛が女に化けて人間を糸で湖に引きずり込むという話が多くあるようだ。これがギリシャ神話のアテーナーの機織りの物語と関連性があるのか、また、祈りの儀式で琉球だけでなく日本でも機織りという行為の関連性が考えられるのだが、調査途中であるため割愛させていただきます。
このように、ある物語がきっかけで、いままで全く興味のなかったギリシャ神話にたどりついた。読んでみると、結構面白い。
ちょっと敏感にアンテナを張り巡らすだけで、蜘蛛の巣のようにどんどん広がっていくものがある。それが知識であったり、交遊関係であったり、人によっては様々だと思うが、広がるとどうなるか・・・。チャンスに恵まれるのではないかと私は考える。
ところで、皆様明けましておめでとうございます。すっかりご挨拶が遅れてしまいました。新しく始めた仕事や挑戦事でありがたい事に忙しく過ごしております。あぁ〜パンタムヌパンタムヌ(いそがしいいそがしい)!
今ちょこちょこと舞台や映像の仕事をしております。また2月末に舞台出演が決まったのですが、三線を演奏する事になりました。さぁ、宮古から遙々やってくるmy三線がどんな音を奏でるか、楽しみでなりません。おそらくお祭りのシーンでの演奏となるようです。演出と三線がコラボしてどの様な作品ができあがるか・・・乞うご期待ください。
※参考文献
『からくりからくさ』
梨木果歩著 2001年1月新潮社発行
『テンペスト(上)』
池上永一著 2007年8月角川書店発行
『女の仕事―織物から見た古代の生活文化』
エリザベス・W・バーバー著 1996年7月青土社発行
野鳥観察記−クロツラヘラサギとの出会い−
あば本舗(下地・上地出身)
ほんの3〜4年前までは、野鳥について、ばやー のーまいっすさったん あんしってぃ のーてぃまい うまぁったん(私は何にも知らなかった。そして、まったく興味が無かった。)
ところが、4年前の10月。一つの新聞記事が目に留まった。
「今年も絶滅危惧種のクロツラヘラサギが大陸から飛来した。」「2年前、釣り糸がくちばしに絡んだため、餌が食べられなくなった所を保護され回復した個体も確認された。」
初めて見る鳥の写真。真っ白の全身に、黒く長いしゃもじのようなくちばしの鳥群が紙面を飾っている。確かに写真の一羽の足には、保護されたときに装着されたであろうリングがはめられていた。
だいずうむっしゆ〜!(凄くおもしろ〜い!)俄然興味が湧いてきた!人間に助けられた野生の鳥が、毎年海を越え渡ってくるなんて、まるで民話の世界さいがよー。
一ヵ月後の日曜日、私は豊見城市与根の三角池の前にいた。そこは、沖縄本島の中でも多くの野鳥が飛来する貴重な場所である。
池の周囲には、親子連れやカメラ、双眼鏡を構えた大勢の人々が集まっていた。これから、豊見城市環境課とWWFJ(世界自然保護基金日本支部)共催の“クロツラヘラサギ歓迎会&観察会”が開かれるのだ。大勢の市民とともに、マスコミ関係者も集まり鳥の出現を待ちわびていた。
そうこうしているうちに、市長の挨拶が始まりTV局のカメラが回りだす。次に、WWFJ(世界自然保護基金日本支部)の職員による渡り鳥保護についての説明が始まる。と、その時だった。絶妙のタイミングで、西の空から白い鳥の群れが飛んで来るのが見えた。おおぉ〜!と、どよめきの声があがり、それがクロツラヘラサギだと気がつく。
ぴじ あぱらぎ とぅす゜がまゆー(何て美しい鳥だろう)羽を広げ優雅に飛ぶ姿に思わず見とれた。
下界のざわめきが気になるのか池の上空を幾度も旋回していた鳥たちは、一羽また一羽と池の中に降り立つ。 そして、降りたつや否や賑やかな捕食行動が始まった。優美な姿から一転、長いくちばしを右に左にせわしなく動き回る7羽の白い鳥。
うかーす んたぎーぬ ばかすき とぅす゜がまゆ〜(凄く忙しそうな可笑しい鳥だなぁ)夢中で双眼鏡を握りしめ、気がつけばすっかり虜になっていた。
こうして私は、クロツラヘラサギに導かれるように?県内各地の飛来地や野鳥観察会に通うようになった。
そういえば昨年ラムサール条約に登録された、ばんたが(私たちの)与那覇湾にもクロツラヘラサギが飛来するという。
みゃーくんかいまい みーが いかだかーならん(宮古へも見に行かなくっちゃね!)と密かに計画中。
学習成果発表会の感想
アモイ(平良・宮原出身)
2月3日母校である宮原小学校の学習成果発表会があった。自治会役員として学校行事に参加しているうちに、校長先生や教頭先生と顔見知りになり、教頭先生から学習発表会で子供達がサンシンを弾くので、教えながら一緒に出演して欲しいとの声がかかった。ぶーぎなぎしー、ぱんたかーすが、(キビ収穫で忙しいけど)時間がとれるか心配ながら、引き受ける事にした。
まずは練習という事で、公民館でやる事になった。私と老人会のメンバー3人、小学生4人中学生1人が参加して始める事になった。
自己紹介のあと、調弦の説明を始め、サンシンの基礎のうんちくを話し出すと、毎年参加しているおばさんが、「あんちぬくとーじょうぶん、んんながサンシンぬ げんぬあわし ぴかすかーなりやーば」(そう言う事はいいから、みんなのサンシンを調弦して弾かせてればいいさー)と言う事になり、みんなのサンシンを調弦して、練習となった。
「豊年の唄」と「なりやまあやぐ」の2曲をやるという事で、それじゃと言う事で弾き始めると、なるほど、みんな工工四をみながらちゃんと弾けるではないか。サンシンは弾けるので、歌を歌ってリードして欲しいという事で依頼された事がわかった。その後、本番3日前に体育館の舞台でのリハーサルを終えて本番当日を待つことになった。
発表会当日、時間前に会場に行くと、本番を待つばかりと準備が整っていた。会場には父兄や地域の人達から出品された、「我が家の宝物の展示」コーナーが設けられて、昔使っていた農機具から、馬で引いて田んぼを耕す「マンガ」という刃の何本もある鋤や、米や豚肉などを量る大きな天秤ばかり、足踏みミシン、琉球時代のパスポート、油絵、生徒達の絵や習字、父兄や地域の人達の手作り籠や置物、色々な飾り物等が展示され、手作りのローゼル茶等も試飲できた。ミニ博物館の感じである。時間があればもっとじっくりと見たい思いだった。
観客も集まりはじめ、いよいよ本番がはじまった。客席にいると、教頭先生から、「みんなのサンシンが更衣室に置いてあるので、先に調弦をしておいてくださいね。」と言われ、更衣室で調弦をしている間に1〜2年生の発表であるプログラムの2番までは終わっていた。
調弦を終えて、会場に行くと、3番目のプログラムに入っていて、年配の女性サークルによる「リハビリ体操」がおわる所だった。4番目の幼稚園生による「さるかにばなし」からは、ちゃんと見る事ができた。4人の幼稚園生の発表、セリフも長いのにしっかり覚えていて、ハキハキ堂々と話している。見ながらだんだんと童話の中に引きこまれていき、小学生の頃の記憶をたどりながら、「そうだっけ、そうだったか」とかつぶやいていた。
宮原小学校の生徒は幼稚園生4人を含めて18人。発表会のプログラムは12番まで組まれ、サンシンの発表は8番目、サンシン発表の主役は小学生であるので、気負わないように、と言い聞かせつつ、生徒達の演じる世界に引き込まれていた。
プログラム6番目「レッツ!グッジョブ」仕事上での挨拶の仕方や、名刺の交換の仕方、職場でのマナーを、ダメな例、いい見本などを演じて見せてくれた。小学校の思い出を探しながら見学していたが、名刺交換の場面では一気に自分が会社でやってきた事を思い浮かべ、応接室での名刺交換の場面などが頭をよぎった。「んーんー、」と頷きながら、今は小学校でこんな事まで教えてくれるのかと、毎日農作業手伝いから逃げ出す事ばかり考えていた、自分の小学生の頃との落差を感じていた。
休憩を挟んでいよいよサンシンの発表。舞台裏にいき、みんなのサンシンの音を再確認して、いざ本番。大人4人の予定が、不可避な都合で3人となり、小中学生5人と合わせて、8人での演奏となった。みんながサンシンを弾き易いようにと思い、大きな声で歌を歌い始めたが、逆にみんなの弾くサンシンに助けれて、歌いやすくて無事本番終了となった。
6年生による「この絵 私はこう見る」では「ピカソの3人の音楽家」をプロジェクターで映しだし、3人が独自の想像力でそれぞれの解説をして見せてくれた。絵心のない私は、もう自分の能力の限界を超えられ、完全に打ちのめされてしまった。
開始時は少なかった観客もいつのまにか増えていて、キビ収穫時期にも拘わらず、100人位はいただろうか。プログラムの最後は生徒全員が合奏したあと合唱し、会場を回ってタッチをしてくれた。可愛らしい18人全員の手にタッチできた。たんでぃがーたんでぃ(ありがとう)生徒達の一生懸命な姿に感動で少し目頭が熱くなっていた。自治会長は「感動で涙が止められなかったよ」と照れながら話してくれた。
頑張った生徒達に拍手ぜずにいられなかった。校長先生、教頭先生、担当の先生方、父兄や地域のみなさん、ありがとうございました。
校長先生によると、宮原小学校の生徒の成績は沖縄県の平均よりも高いのだそうです。水泳にも力を入れており、全校生徒が泳げて、中でも2人は3km以上も泳げ続けられるそうです。合言葉では校長先生が「宮原〜〜」と言うと生徒達が「ズミ!」と返しています。
こんな素敵な先生と生徒がいる宮原小学校ですが、宮古島市の「学校規模の適正化」という名目の下に、2年後に統廃合されようとしています。この発表会に関係した皆さん誰もが、宮原小学校が統廃合にならないようにと改めて強く願ったのではないだろうか。
編集後記
松谷初美(下地・高千穂出身)
宮古では4日、気温が26度を越えたようですね。海では、アオサ採りも始まったとか。もう春ですね〜。2月10日は旧正月、25日はジュウロクニツ(十六日祭)がありますね。それに合わせて帰省する人も多いはずね。
くま・かまの掲示板では、伊良部高校男子バレー部の選手のお母さんから「第23回全九州選抜高等学校バレーボール大会」に出場するので応援をお願いしますという書き込みがありました。父兄のみなさんは、旧正月やキビ倒しの最盛期と重なり、応援に行けないとのこと。九州宮古郷友会の会長さんからは応援に行きますとさっそく書き込みがありました。お近くの方はぜひ応援に行ってく下さいね〜。詳しくは、くま・かまの掲示板をご覧ください。選手のみなさん、優勝めざして頑張ってくださいね。わいてぃどー!!
さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?
みなとさんの「機織りのメッセ―ジ」の話、「織り」と「祈り」にこんな深い関係があったとは。宮古でも昔から宮古上布などを女性が織ってきた歴史があるのでとても興味深く読みました。みなとさんの初舞台昨年見ましたが、のびのびと素晴らしいものでしたよ〜。今度のも楽しみです。掲示板で日程のおしらせがあると思います。ぜひ、ご覧くださいね〜。
鳥について のーまい うまぁったん(何も思わなかった)というあば本舗さんがクロツラヘラサギに魅せられ、観察会を楽しんでいる様子、伝わってきましたね〜。鳥の生態は、まーんてぃ ぴるますむぬやー(本当に不思議ですねー)与那覇湾にも飛来するとのことなので、いつか私も みーぶすむぬ(見てみたいものです)〜。
アモイさんの母校での学習成果発表会、素晴らしいですね。まるでその会場にいるようで笑ったり、胸が熱くなったりしました。子どもたちは、地域の人たちに見守られ、たかさ(大切に)されながら育っていることが分かりますね。そして、大人も子どもたちからたくさんのものをもらっている感じがしました。この経験は子どもたちにとってこの先大きな財産になることでしょうね。
貴方の感想もぜひお聞かせださい。まちうんどー(待っていますよ)
今回も しまいがみ ゆみふぃーさまい すでぃがふー!
(今回も 最後まで お読みくださり ありがとうございました!)
次号は、2月21日(木)発行予定です。
きょうも、ぞうぞうの(良い)一日でありますように!あつかー、またや〜。