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くまから・かまから vol. 408

2021 5/22
メールマガジン
2018年5月3日2021年5月22日

こんにちは〜。5月になりましたね。
連休、いかがお過ごしですかー?vol.408お届けです。
ぬかーぬか ゆみふぃーさまちよ〜。(ゆっくりお読みくださいね)

目次

まゆがま日記 パート12  んまりかーり またくーでぃ(生まれ変わってまた来るよ)

あば本舗(下地・上地出身)

去年の11月8日、我が家の がば まゆがま(老猫)ハナは静かに息を引き取った。腎臓病を患いながら、脳梗塞、ケガ、んぶた(おでき)等々、様々なアクシデントに遭いつつ19年も生き延びてくれた。

病弱で だいず(ひどく)神経質。何かと世話の焼ける まゆがま(猫ちゃん)だった が、私にとって掛け替えのない存在だった。辛いとき悲しいとき、どれだけ慰められ励まされたことか。たくさんの愛情と幸せな時間をくれた がば まゆがま(老猫)に心から感謝である。

命あるもの尽きる時がくる。いつかは別れが来る事を自覚し心の準備をしなければならない。でも、まゆがま(猫ちゃん)を失う事を想像するだけで胸が苦しくなる。いすか うむい みーりゃーまい あてぃ かーむぬやたん(どれだけ思ってみても、とても辛かった)私には、とても受け入れられなかった。

気が付くと私は がば まゆがま(老猫)に、すにりゃーまい んまりかーりってぃ ばが まいんかい また くーよー(死んでも生まれ変わったら、また私の所に来てね)と、そっと話しかけていたのである。無理な注文?に戸惑いの表情を見せつつ あんすぅでぃゆ んまり かーり また くーでぃ(そうするよ。生まれ変わってまた来る)と返事したように思えた。

それはどうみても勝手な思い込みであり、傍から見れば、あの人大丈夫?と言われかねない姿に違いなかった。

ハナがこの世を去ってから思い出しては涙ぐむ日が続く。けれど心の底では、いつか分からないけど、きっと私の元にやってくると何となく思っていた。

そして、亡くなって4か月が過ぎた今年3月のとある深夜、豊見城に住む姪からラインが届いた。「子猫ひろった。どうしよう」その時、んまり かーりまた くーでぃ(生まれ変わってまた来るよ)という約束の下に降りてきたハナの魂かもしれないと思った。同時にそれは、いみ まゆがま(小さな猫ちゃん)に振り回される大騒ぎの始まりだったのである。

◇あの話をもう一度

 300号特集「うまかまの みゃーこふつ(あちこちの宮古方言)」vol. 300  2013.9.19

【動物編】

「ねずみ」

ゆむぬ(平良、下地、伊良部、佐良浜)
ゆむら(城辺、上野)
ゆむる(城辺)
やむぬ(島尻)

「蛍」

やーんぶ(平良、下地)
やーんぷ(城辺、上野)
よーんぽ(伊良部)

「カエル」

ふなた(平良、上野、下地)
ふんた(城辺)
うなた(伊良部)
うんた(佐良浜)

「山羊」

ぴんざ(平良、城辺、上野、下地、伊良部)
ぴんた(島尻)
ぴんだ(多良間)
ひんじゃ(佐良浜)

「蝉」

がーす(平良、上野、城辺、下地)
がーな(下地与那覇)
がーら(上野、伊良部)

【植物編】

「グアバ」

ばんちきろー(平良、城辺、下地、佐良浜)
ばんちきら (上野)
むむ(下地与那覇)
ばんつきろー(伊良部)

「グミ」

ざうかに (平良、下地)
ぞうかに (城辺、上野、伊良部)
ざんかにう”(与那覇)
むいきゃ んーた(佐良浜)

「クロイゲ」

ぽー (平良、城辺、上野、下地)
ふんぎ(伊良部)
ふふぅ んーた(佐良浜)

(例文)さぁアルマイト(金属)弁当箱を持ってクロイゲを採りに行こう

(1)ずぅ かにべんとうばこー むちぃ ぽーゆ とぅずが いかでぃ (平良、城辺、上野、下地)
(2)ずぅ かにべんとうばこー むっち ふんぎ とぅずき いかでぃ(伊良部)
(3)じょー かにべんとうばこー むちぃ ふふぅ んーたう とぅいが いかでぃ(佐良浜)

<参加者>

平 良ビートルズ世代のサラリーマン(下里)
宮国優子(下里)
Motoca(下里)
神童(島尻)
城 辺宮国勉(西中)
大和の宮古人(長南)
上 野マツカニ(高田)
下 地クイチャーマン(与那覇)
松谷初美(高千穂)
伊良部菜の花(仲地)
佐良浜sarahama三女(池間添)
多良間糸州幸子

稲垣国三郎レポート(VOL5)

あすなろ(平良・東仲出身)

くんどぬ ぱなすや 国三郎が  のーしぬ ばーてー うくなーんかい
(今度の) (話は)(国三郎が) (どの様な理由で)(沖縄に) 

きしって 「綴り方」教育ゆ、 ならあす くとぅん なずたーが
(来て) (「綴り方」教育を) (教えることになったか)

レポートしーみーやー
(レポートしてみますね)

「国三郎」の沖縄師範赴任は、国の辞令と思い込んでいました。事実は違うようです。彼の才能(綴り方教育)に惚れ込んだ、当時の沖縄師範校長・保田銓次郎(大正4年4月〜大正8年12月)の招きによって沖縄師範訓導兼附属小学校の主事として大正6年1月に迎えられています。

彼は、若くして数冊の本を公にして、同僚から羨望の的になっています。とりわけ、教師歴10年、30歳にして広島高等師範時代に著わした『最近研究・綴り方の教授の新建設』(大正5年5月東京寶文館発行)は15章からなり「綴り方教育」の自説を開陳しています。「第2章・綴り方の意義・第1節」で「綴り方とは自己の思想を論理的に整理して之を文字體系に譯出する作用である」と述べ、「第2節・綴り方と作文」で「元来文章を作ることは自己の思想を自己の形式であらわす性質のものである。自己の形式とは何かと言えば讀本に於いて學んで既に獲得領有せるもの即ち是である」

多少、重たくなりましたが「彼」の論文の質の高さを体験してもらいたく記述させてもらいました。この著書の研究成果を高く評価した保田校長は沖縄での「綴り方教育」を彼に託します。彼は、その期待に答えて各地で講演しながらその普及に努め、優秀な教師や教師の卵達に影響を与える事になるわけです。自らも「白い煙・黒い煙」等の流麗な名文を残します。又、この本の「序文」の中で自分の事に触れ「小学児童の頃から作文には多大の興味をもっていた。殊に学生時代には絶大の興味を有して作文習練に熱狂した」と述べています。

この学生時代の文章を今年の2月、高知市立図書館に所蔵されていることを知りました。彼が愛知第2師範(2年)生の頃に投稿し入選した「うらみ」「流れ蛍」と言う作品です。この文章を読むと彼の文才の高さにに驚かされます。

 「うらみ」

 愛知縣第二師範學校 稲垣國太郎

『ゴーンゴーン』『田平さん早鐘がなるよ』『へえ早鐘?』
向ふでもこちらでも火事!火事!。『火事は何處でげす』
『何でも北の方そんなに遠くはない』と云て若者は走つて行つた。
村はづれへ出ると、鎮守の森の左手へあたつて、火の手は一面、天はまる焦げさう、さても物悽い。・・・・・・翌日妙齢の美人の後ろ手に縛られて行くのがあつた。

【評】數十頁の小説にもまさる   大町桂月〔注1〕

(※原文は縦書き)

この作品は、上記の如く「国三郎」が師範学校の2年生(18歳)の時に「国太郎」の別名で、『中学世界(第8巻8号)』(明治38年6月20日博文館発行)に投稿したものです。この本の発見が何故、高知なのか?私の仮説ですが「大町桂月」が高知の出身と関係があると思っています。他には、横浜国立大学・東京大大学院・立教大学・国立国会図書館等に所蔵されています。

 「流れ螢」

 愛知 稲垣國太郎

夏の冷しい夕であった。小川の葦に月が上って畫の様な汀に、螢が二つ三つ飛び出したのを捕へて妹に與へた。妹は確と握って居つたが突然「兄さんお腹が痛い」といつて放つた時には螢は死んで居た、蛍は小川へ流した。妹はこの夜から病が重つて、遂になくなつた。それも十とせの夢とすぎた。今小川の流れ螢を見る僕の心は・・・。

(※原文は縦書き)

この作品は、『明治秀才文集(第三集)』(明治38年11月14日「東洋社」発行)に収録されています。(国立国会図書館所蔵)

この2作品が発表された明治38年の5月には歴史的に重要な事件が起きています。そうです!5月27・28日は、東郷平八郎率いる日本海軍聯合隊とロシアのバルチック艦隊が日本海で一戦を交える「日本海海戦」が勃発しています。まさか、まさか14年後に久松を訪れ「五勇士」の「遅かりし一時間」の文章を著す事になろうとは歴史の神様さえも予想しなかったことでしょう!勿論、本人も!

得意な脱線をお許しください。

「うらみ」「流れ蛍」の作品は偶然が重なって発見されたものです。「国三郎」のお孫さんにあたる土倉洋(ひろ)子さん(在札幌)が「おじいさんの遺品を沖縄県立博物館に寄贈した」との情報を基に、昨年10月同館に足を運び「寄贈品目録」を確認しました。

この中に誤記入が2箇所。寄贈者名「稲垣」千代野が「新垣」に、「国三郎」が「国太郎」に。しかし、「国太郎」は誤記ではないと同館の勝連女史。

そうです、彼はこの2つの名前を使い分けていたのです。この経過を「くま・かま」掲示板に載せた所、この掲示板を見た秋田県のS・N氏から情報提供があり、「稲垣国太郎」をPCで検索にかけ、この本の発見となりました。名前を出させて欲しいとお願いしましたが、固辞されましたのでイニシャルで失礼します。S・N氏にはかなりの情報提供を戴いています。この場をお借りして感謝申し上げます。尚、「国三郎」「國太郎」の名前を使い分けた理由は未だ不明です。

〔注1〕
大町桂月(おおまちけいげつ)(本名芳衛よしえ)高知県出身
東京帝国大学国文科卒。明治大学で教鞭をとる。
漱石の『吾輩は猫である』等も雑誌『太陽』(博文館発行)で批評。
与謝野晶子の「きみ死にたまうことなかれ」等を批判。
三顧の礼で「博文館」に迎えられる。『中学世界』も同社の発行

編集後記

松谷初美(下地・高千穂出身)

一番がーす(イワサキクロゼミ)が、ジージージーと鳴き、夏がそこまで来ている感じがしますが、今年の宮古は暑くなるのが遅い気がします。関東のほうが30度まで上がったりと気温が高かったりしていますね。宮古も昨日は28度くらいまでありましたが、きょうは気温が下がるとのこと。ぴんなぎ(変な)気候です。

第34回全日本宮古島トライアスロン宮古島大会は、天気にも恵まれ無事に終りました。1572人が参加し1270人が完走。完走率80.8%だったそうです。過酷なレースに挑戦するアスリートたちに沿道からは、声援や拍手が送られました。ボランティアの数は5,500人。皆さん、お疲れ様でした!

さて、今回の くま・かまぁ のーしが やたーがらやー?

あば本舗さんのところに新しい まゆがま(猫ちゃん)が現れましたね。あば本舗さんが生まれ変わって会いに来てくれると思い続けたからきっと現れたんですね。幸せな大騒動の日々の始まりですね。今後の、まゆがま日記お楽しみに〜。

あの話をもう一度は、前号に続いて、300号特集からお届けしました。動物編、植物編、地域ごとに似ていたり、似ていなかったり。微妙な差だったり。改めて、そのユニークさが伝われば。

あすなろさんの稲垣国三郎についての情報、細かいところまで明らかになってきましたね。沖縄に赴任したのは、彼の綴り方教育に惚れ込んだ師範学校の校長先生によるものだったんですね。それにしても短い文章でその物語のすべてが見えるような表現、すごいですね。点と点が結ばれて彼の像が見えてくるようです。

貴方の感想もぜひ、お聞かせくださいね。
掲示板への書き込みやらばん、ぷからすむぬ(うれしいです)心よりお待ちしてます!
投稿もぜひお気軽に。

今回まい しまいがみ ゆみふぃーさまい たんでぃがーたんでぃ〜〜。

次号は、5月17日(木)発行予定です。
がんづぅかり うらあちよー(お元気でいてくださいね)
あつかー、またいら〜。

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