【火葬費用】お金がないときの強い味方とは?葬祭扶助制度を知ろう

一般的な葬儀について
葬祭扶助制度

自治体が葬儀の費用を負担する「葬祭扶助制度」という制度はご存じですか。制度を利用するには、「生活保護を受けていて、経済的に困窮している」「遺族以外が生活保護受給者の葬儀を執り行った」というなど、さまざまな条件があります。今回は、「葬祭扶助制度」に注目し、支援の条件、申請方法、支給される金額などについてまとめてみました。最後までお読みいただき、葬儀の知識の1つとしてお役立てください。

葬祭扶助制度とは

生活に困っている人を支援する生活保護制度には、以下の8つの種類の扶助があります。

  • 生活扶助:生活に必要な費用
  • 住宅扶助:家賃または住宅の修理費などの費用
  • 教育扶助:義務教育の学用品代、給食費など
  • 介護扶助:介護サービスが必要な場合の費用
  • 医療扶助:医療に必要な費用
  • 出産扶助:出産費用など
  • 生業扶助:技術を身につけるための費用や高等学校等への就学費用など
  • 葬祭扶助:葬儀などに要する費用

葬儀などに必要な費用は「葬祭扶助」と呼ばれます。経済的に困窮していて、故人を見送ることができない場合に、 自治体が葬儀関係の金銭補助をすることで、荼毘に付すことができます。しかし、 葬祭扶助の金額は以下の生活保護法で定められている通り、最低限の範囲が基本となります。

「生活保護基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を 考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。 (生活保護法第8条第2項)」

葬祭扶助制度が適用される条件

葬祭扶助制度が適用される条件

葬祭扶助制度を申請するためには、「喪主やご遺族が生活保護を受けている経済状態で葬儀費用が捻出できない」、「親族以外が葬儀を代理で執り行った」という条件があります。それぞれについて以下でご紹介します。

喪主が生活保護受給者

喪主をはじめご遺族が生活保護を受けている経済状態で、「葬儀費用が捻出できない」という理由がある場合は、「葬祭扶助制度」を利用できる可能性が高いです。ただし、故人が生活保護を受けていたとしても、ご遺族側に葬儀を執り行うことができる金額の資産を所有していたり、一定の収入があり支払い能力に問題なかったりする場合は制度を利用することができません。

故人に身寄りもいない

故人に親兄弟や配偶者がいなく、「親族以外が葬儀を代理で執り行った場合」も葬祭扶助制度を利用することが可能です。たとえば以下のようなケースが該当することが多いです。

・ 故人が住んでいた部屋の家主が葬儀(火葬)を行った
・ 相談援助を行っていた民生委員が葬儀(火葬)を行った
・ 友人、知人などが葬儀(火葬)を行った

※基本的には故人が残した金品などが葬儀代に充当され、それでも足りない場合に葬祭扶助が支給されます。

葬祭扶助制度の申請の方法と葬儀の流れ

葬祭扶助制度の申請方法と葬儀の流れ

続いては、葬祭扶助制度を申請する方法について解説します。

申請方法

申請者原則として喪主。委任状などの準備を行えば、葬儀社が申請することも可能
申請場所申請者本人の住民票のある自治体、生活保護被保護者が保護費を受けていた自治体の福祉事務所で行う
申請時期葬儀前に申請

葬儀の流れ

  1. 生活保護を受給していた場合は、民生委員等に連絡。
  2. 安置施設等に安置後、自治体へ連絡し葬祭扶助の申請を行う
  3. 葬儀社と打ち合わせ
  4. 葬儀(葬儀扶助の費用の範囲で)
  5. 費用の支払い

民生委員に連絡後に葬儀社との打ち合わせを行いますが、その際に「葬祭扶助制度」の利用予定であることをあらかじめ伝えておきましょう。前述の通り、最低限の範囲で葬儀を執り行うことになりますので、通夜や葬儀を行わず直接火葬場に向かってお別れをする「火葬式」という形式になることがほとんどです。また、5の費用の支払いは、基本的には自治体から直接葬儀屋に支払われるため、特に手続きなどは必要ありません。

支給額と支給される範囲

自治体によって支給額は異なりますが一般的に葬祭扶助の金額は20万円前後であると言われています。また、生活保護法第18場で、支給される範囲が決められていますので、以下でご紹介しましょう。

  • 検案
  • 死体の運搬
  • 火葬または埋葬
  • 納骨その他葬祭のために必要なもの

また、どのようなものが認められているのか具体的にご紹介しましょう。

認められているもの認められていないもの
遺体搬送料
死亡診断書
死体検案書などの文書作成費
遺体保存にかかる費用

火葬料
骨壷 
経などをあげてもらために宗教者(僧侶など)を呼ぶ費用
祭壇
供花

上記は一例ですが、読経をあげてもらうために宗教者を呼んだり、祭壇を用意したりということは「葬祭扶助制度」の範囲外になるため、できません。あくまでも火葬場でお別れをする「火葬式」の範囲内になります。

葬祭扶助制度の注意点

葬祭扶助の制度にはいくつかの注意点があります。項目別にご紹介しましょう。

葬祭扶助の上限額は自治体によって異なる

葬祭扶助制度の上限額は自治体によって異なります。概ね、大人はおよそ20万円以内、12歳以下の子どもはおよそ16万円の範囲内で支給されることが多いです。具体的な金額は、お住まいの自治体などに問い合わせてあらかじめ確認しておきましょう。

葬儀後の申請は不可

葬祭扶助制度は、亡くなってから申請することができます。また、気を付けたいのが申請するタイミングです。葬儀後が終わりってから、葬祭扶助制度を利用したいと伝えても不可能になることもあるため、必ず葬儀前に申請を行いましょう。

一般的な葬儀は不可

葬祭扶助制度では、通夜と葬儀・告別式を執り行う「一般的な葬儀」は認められていません。火葬場で直接故人とお別れをして、その後収骨するという「火葬式」の葬儀になることがほとんどです。

まとめ

今回は「葬祭扶助制度」に注目し、解説しました。 葬祭扶助制度とは、さまざまな事情から経済的に困窮し葬儀費用を用意することができないご遺族にに自治体が葬儀費用を負担してくれる制度です。また、生活保護受給者だった人の葬儀を執り行う際にも利用することが可能です。申請にはいくつか条件がありますので、お困りの方は一度、市町村自治体や民生委員に相談してみるのがおすすめです。