告別式の挨拶で知らなきゃまずい「禁句」とは?NGワードに注意! 

一般的な葬儀について
告別式の挨拶で知らなきゃまずい禁句とは

日常で何気なく使っている言葉の中には、告別式や葬儀などの場で禁句とされる言葉があります。ご遺族の立場に限らず、参列する側でも告別式の挨拶で忌み言葉は使わないようにしましょう。今回は、忌み言葉の種類と言い換えられる言葉宗教によっては使用しない方がいい言葉などに注目して解説していきます。禁句となる言葉は言い換えて、参列者やご遺族に失礼のないご挨拶となるよう心掛けましょう。

告別式で禁句とされる「忌み言葉」とは

告別式で禁句とされる 忌み言葉とは

忌み言葉(いみことば)とは、主に冠婚葬祭の場面で使用を避ける言葉のことで、「忌詞」「忌み詞」「忌言葉」とも言われます。古代の日本では、言葉には霊力があると考えられてきました。不吉な言葉を口にすると、悪い事が起きるという「言霊思想(ことだましそう)」が根付き、現代でも忌み言葉はさまざまな場面でタブーとされています。

言葉は重ねない

忌み言葉の代表的なものの1つに「重ね言葉」があります。不幸が重なることを連想させるような言葉は、告別式の挨拶では禁句となります。挨拶では「皆々様におかれましては…」という決まり文句がありますが、「皆々様」も重ね言葉となりNGなので気を付けましょう。

重ね言葉 ・ 次々に
・ ぜひぜひ
・ 近々
・ わざわざ
・ つくづく
・ ますます
・ 返す返すも
・ 重ね重ね
・ いろいろ

NG例①:「ご多忙の中、わざわざお集まりいただきお礼申し上げます。」

NG例②:「ささやかではございますが、別室に簡単な食事の用意などをさせていただきました。お時間の許す方はぜひぜひご参加ください。」

「不幸が続く」ことは連想させない

重ね言葉と併せて気を付けたい言葉が「続き言葉」です。続き言葉は、不幸が続くことを連想させます。たとえば、「再び」「追って」「くり返し」などが該当します。

続き言葉 ・ 再び
・ 続いて
・ 再三
・ 追って
・ くり返し
・ もっと

NG例①:「一度は父の体調も良くなり退院しましたが、先週、再び入院となりました。」

NG例②:「父にはもっと長生きをして、孫との時間を楽しんでもらいたかったです。」

「生死」に関する表現にも気を付ける

生死に関して直接的な言葉も避けるようにしましょう。ご遺族の場合、つい言いがちなのが「急死で…」「生きている頃は…」という言葉です。

「生死」に関する表現 ・ 死亡した
・ 亡くなる
・ 急死で
・ 生きている時は

NG例①:「昨晩までは元気に過ごしていましたが今朝容態が悪化し、まさかの急死でした。」

また、参列する立場の場合、ご遺族に対して「ご存命中は…」「ご生存されていた時は…」といった直接的なお声掛けは、ご遺族を傷付けることがあります。弔電などでも同様に、避けるようにしましょう。

NG例②:「お父様のご存命中は、家族全員大変お世話になりました。」

宗教や宗派によって気を付ける言葉もある

告別式や葬儀などの挨拶で、禁句とされる忌み言葉があることが分かりました。続いては、ある特定の宗教や宗派の中で使用を避けなくてはいけない言葉をご紹介します。

【浄土真宗の場合】

浄土真宗は、他の宗派とは異なり独自の考えを持っているのが特徴です。浄土真宗では、往生即成仏(おうじょうそくしんぶつ)の考え方が基本になります。これは、「亡くなったら既に成仏している」という意味なので、「霊を供養する」「成仏してもらう」という死後の世界の概念はありません。このため、浄土真宗の教えとは異なる趣旨の発言は、遺族側でも参列者側でも口にしないように気を付けましょう。

NG例①:「ご冥福をお祈りします。」→死後の世界で彷徨わないようにお祈りしますという意味なので、浄土真宗には適さない。

NG例②:「安らかにご永眠ください。」→永眠とは「ずっと眠り続ける」という意味なので、浄土真宗には適さない。

NG例③:「故人も、草葉の陰から見守ってくれていると思います。」→まだ成仏せず「草葉の陰」で彷徨っていることを連想させるため、適さない。

・浄土真宗に適した言葉とは?

では、浄土真宗ではどのような言葉が適しているのでしょうか。浄土真宗の告別式に出席した場合は、ご遺族に対して「謹んで哀悼の意を表します」「ご逝去を悼み、慎んでお悔やみ申し上げます」という内容の挨拶をするとよいでしょう。

【キリスト教の場合】

キリスト教の教えの中では、死は不幸なことではありません。そのため、仏式の葬儀のときによく使用する「お悔やみ言葉」は、キリスト教の葬儀には適さないことが多くあります。

NG例①お悔やみ申し上げます。」→キリスト教の教えでは死に対して悔やまない。

NG例成仏」「供養→成仏や供養は「仏教用語」になり、キリスト教の葬儀には適さない。

もし、ご遺族に対して声をお掛けするなら、「安らかなお眠りになるようお祈り申し上げます」など、故人の安息を願った言葉などを選びましょう。

【早見表】忌み言葉の言い換え一覧

【早見表】 忌み言葉の 言い換え一覧

続いては、禁句とされる「忌み言葉」の言い換えとなる言葉をご紹介します。どのような言葉に言い換えたらよいのか確認し、うっかり使ってしまわないよう気を付けましょう。

忌み言葉(重ね言葉)言い換え
次々に休みなく
ぜひぜひぜひとも・ぜひ
近々近いうちに
わざわざあえて
つくづく心から
ますます一段と
返す返すも本当に・思い起こせば
重ね重ね加えて
いろいろ多くの

忌み言葉(不幸が続くことを連想させる)言い換え
再び改めて
続いて同じく
再三頻繁に
追って後ほど、同様に
繰り返し加えて
もっと一段と

「生死」に関する表現言い換え
死亡した他界した
亡くなるご逝去
急死で突然のことで
生きている頃は生前は

上記以外にも、「四(し)」「九(く)」という数字も、「死」「苦」を連想させる不吉な言葉として、避ける必要があります。

「四」は「よん」、「九」は「きゅう」と言い換えると問題なくなりますが、告別式や葬儀にはあまり使用しないよう気を付けましょう。

まとめ

近年は、身内だけで執り行う告別式も多く、昔ほど「忌み言葉」は注目されなくなりました。しかし、ご年配の方の中には「忌み言葉」は禁句として嫌がる方も多くいます。また、参列する側で忌み言葉や直接的な表現を使用すると、相手のご遺族を傷付けることにもなりかねません。どのような言葉が挨拶の中で相応しくないのか確認し、葬儀マナーを守ることを心掛けましょう。